今、この瞬間を走りゆく

佐々森りろ

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第二章 友達トリオ

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「なになに~!! なんかおもしろい話してるー? 僕も混ぜてー!」

 突然、キカくんの後ろから現れたのは、色素の薄いサラサラの明るい髪色をした男の子。キカくんよりは背が小さくて、ニコニコと目を細めた笑顔が子犬のようにかわいい。

「あ! お友達って女の子なんじゃん! はじめましてー、僕アオイです」

 キカくんの前に出てきてぺこりと頭を下げるから、あたしも思わず姿勢を正して軽く頭を下げた。

「あ、涼暮すずくれミナって言います。よろしくお願いします」
「ミナちゃんだって、ほら、ハヅキも挨拶しなよ」

 ぐいっと押されて次に部屋の中に入って来たのは、短い髪がツンツンに立っていて、三人の中で一番背が高い男の子。あたしが見上げると、照れているのか目を合わせてくれない。

「ハヅキ、よろしく」

 手短に言われて、あたしは頷いた。

「で? なんなの? その本、マンガ?」

 興味津々で近づいてきて、アオイくんがあたしの手から本を取る。パラパラとめくったと思ったら、すぐに手元に戻ってきた。

「文字ばっかじゃん、無理」

 首を振って拒否するアオイくんに、キカくんは呆れているし、ハヅキくんは苦笑いしている。
 三人はきっと仲のいいお友達なんだろう。見た目や雰囲気は全然違うのに、楽しそうに笑う姿がなんだか羨ましい。

「ミナはもう夏休みなのか? いいよなー、都会は休みが長くて」

 キカくんが部屋の中に入ってきて扇風機の前を陣取る。

「えー! もう休みなの!? まじか、僕らなんてまだまだ先だよ?」

 アオイくんもキカくんの隣に座って扇風機の涼風争いが始まった。

「あらあらー、こんな狭い部屋に集まっていないであっちにいらっしゃい。アイス用意してるわよ」

 和子さんが部屋の中を覗いて手招きしてくれるから、順番に部屋からみんなが出て行って、あたしも本をテーブルに残して障子戸を閉めた。
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