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3章 戦士の心は
【カタファ】酔って語るは勇者の夢<祝勝会後>
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「トニー」
浮かれた肩を誰かが叩いた。そこに立っていたのは、カタファだった。
「まだ飲むのかよ! もう、これだから酒好きは……」
カタファはトニーの肩を組んで、酒瓶をひょいと奪った。
「やめとけ、やめとけ。どうせ明日になったら俺らは二日酔いになった奴らの治療をしなくちゃならないんだから」
トニーはむすっとした表情を隠さない。
ーーこうなると、トニーは意地になるんだよな。
カタファは頭を掻いた。バンダナの飾りが揺れてきらりと光る。
「あぁ、もう。俺の部屋に来い。酒は瓶の半分まで! それ以上はダメだからな」
途端、トニーの顔が明るくなった。カタファの背中を軽く叩き、早く行けと催促までし始めた。
部屋に着き、トニーは早速コルクを開けた。
「カタファ、グラスを……」
声を掛けると、カタファは綺麗に畳んだバンダナをクローゼット前のミニテーブルに置くところだった。
「あぁ。ちょっと待ってな」
さっとカタファは移動してしまうが、トニーは何となくそのバンダナを見ていた。
緋色の下地に金色の細かい刺繍。小さな飾りは風に揺れたり光に煌めいたりと、時々で見せる表情が違う。まるでカタファの明るく素直な性格を象徴するようだった。
「カタファ。そのバンダナって……」
「ん? あぁ、これな。母の手作りだよ」
グラスをテーブルに置きながら、カタファは言った。
「俺の母は、大陸の東側にある砂の国の出身でさ。旅をする者に贈る勇者のバンダナ、らしい」
「素敵な風習だな」
「だろ。俺も好きだよ。なんかこう、情緒があるよな」
カタファはトニーから酒瓶を受け取り、少しずつグラスに注いだ。
灰色の髪も紫色の瞳も、母親の影響なのだとカタファは言う。
トニーは一口だけ酒を含んだ。いつもは水のように飲んでしまうが、ゆっくりと味わいたくなった。
「勇者のバンダナか。カタファらしい」
カタファの笑顔が一瞬固まった。
「そうか? 勇者だなんて俺には夢のまた夢だ」
恥ずかしそうに頭をかいた後、カタファはじっとグラスを見つめ、一気に傾けた。
ーーわりと強い酒なのに。
そう思いながらトニーはお代わりを注ぐ。
カタファはもう一度グラスを呷った。縁についた酒を指で拭う。
「勇者、か」
そしてふっと自嘲気味に笑う。
雰囲気がいつもと違う。トニーは口を挟まずに聞くことにした。カタファもトニーが真剣な顔になったのを見届けて語りだす。
「俺には兄が二人いて、どちらも優秀なんだ。上の兄は不思議なカリスマがあって、老若男女問わず、ついていきたくなるような魅力がある。下の兄は時流を読むのが上手くて流行りを先取りしたり危険を回避する能力が高い。どっちかが家を継ぐだろうなと思ったから、俺は実家を出て騎士団に入ったてわけ」
語りだしたカタファはとにかく饒舌だった。
トニーは黙って空いたグラスに酒を注いだーー半分だけ。
カタファは舐めるようにちびちびと酒を煽った。まるで喉奥にある砂を流し込むかのように苦しそうに見えた。
「騎士団に入って大変だったのはとにかく人間関係だな。ここは貴族社会が前提になってるし、俺は思いっきり移民二世の成金だろ? 入団当時から悪目立ちしてさ。それに焦ったね。実直で仕事のできるガヨ、顔が良くて人心掌握に長けてるエイラス。二人とも年下なのに立派で。俺には何があるんだろうって思った」
とわざとらしく眉を寄せ、カタファは悲しい顔を作る。オーバーなリアクションは逆に痛々しい。
ーーらしくない。
カタファは悲観的な人間でも苦労を語る人間でもない。
「カタファ。お前はバランス感覚に優れてる。人と人の間に立つのが上手い。俺には出来ない」
カタファがゆっくりと顔を上げた。その顔は今度はにやりと笑っている。彼の目元は赤く染まっている。それが酒のせいなのか、心情的なものなのかトニーには判断がつかなかった。それくらいカタファの笑顔は完璧で、心から笑っているように見えた。
「そ。それが俺の得意分野」
「得意分野?」
カタファは口角を上げて笑みを保ち続ける。人の良い、無害そうな笑顔はいつもと変わらないーー変わっているのは、赤い目元と潤んだ瞳だ。
「人柄の良さ。自分で言うなって感じだろうけど……明るく優しく振舞って人の懐に入り込む。そんで、仲間を作る。笑顔、声色、相手の仕草から感情を読み取ること……つまりは小手先のテクニック。情けないけど、それが一番俺に合ってた」
カタファはそう話してグラスのそこに残った酒を呷って舐めた。トニーは今度は少なめに酒を注いだ。糖度の高い琥珀色の酒は、グラスの中で揺蕩うように揺れていた。
「そんでもって、その実、誰とも深く付き合わない。あくまで俺はバランスを取った”人の良い第三者”。物語の主人公でも、その親友でもない。知人以上友達未満って感じ」
グラスの中の氷が音を立てて沈む。安っぽい氷はとろける琥珀色の酒の中で小さな気泡を立てながらゆっくりと消えていく。
「な? そんな人間が勇者のバンダナを大事にしてるなんておかしいだろ?」
カタファはまた一気にグラスを傾け、その中にあった小さな氷ごと口に放り込んだ。氷を含んだ頬が膨らむ。
ーーカタファの瞳が揺れた気がした。
だが彼はそれを噛み砕く。ごりごりと大きめの氷が割れて、削れ、粉々に鳴っていく音がする。
最後の一粒さえ潰さなければ気がすまないとでも言うような、しつこくて長い咀嚼だった。
カタファはかなり酔っている、のだと思う。
むしろそうとしかトニーには思えなかった。今のカタファはあまりにも危うくて脆い。ーーそういう自分を演出して、自らを傷つけているように思えるほどだ。
「それはそれで才能だろ。それに、勇者は結果の姿だ。生まれ持った資質じゃない。誰だって人にできない偉業をなし得たら勇者になり得る。それこそ、人の良い第三者だって……」
トニーは言葉を続けられなかった。
話を聞くカタファは両手で頬杖をついて、にこにこと笑っている。
ーートニーの言葉は何も響いていない。
人の機微に疎いトニーでもはっきりと分かった。カタファは、拒絶している。
さりとて、トニーは開いた口を閉じることも出来なかった。何か言わなければ、カタファはトニーにとって永遠に”人の良い第三者”になる。踏み入らず、踏み入られず波もない凪のような、ただ心地良いだけの”他人"に。
トニーは沈黙した。何も言えない。
心臓がバクバクと鳴るのに、体がそこから冷えていく感覚がした。
向かい合ったカタファの紫色の瞳はーーくしゃっと細められた。同時に彼はぷっと吹き出し、くっくと肩を揺らして笑い始めた。
「え? ……は?」
トニーは突然の出来事に全く対応できない。先程までカタファはとんでもない威圧感と高い壁を作ってトニーを拒否していたのに、今は腹を抱えて笑っている。
感情の洪水に巻き込まれたトニーが呆然と立ち尽くしていると、カタファは眉を下げつつ、指先で目尻を拭った。
「ごめん。意地悪しすぎたな。俺、すげぇ酔っ払ってたみたいだわ」
からりとした声には、これまでのような薄ら寒い軽さはない。
「トニーが髪の毛まで石化されちまったみたいに固まってるの見たら、なんか……俺、むなしいこと言って勝手に盛り上がってんだなって冷静になって……」
だいぶ落ち着いて来たが、カタファの声はまだ笑いで震えている。完全に振り回されたトニーの心には若干しこりが残ったがーーカタファが笑ったので良しとすることにした。
正直、ほっとした。カタファはトニーの何倍も人を見る目がある。そんな彼に知らず知らずのうちに見限られるよりはこうしてぶつかりあったほうがまだ良い。
「ごめんな、トニー。俺、面倒臭かっただろ? いやぁ、俺、重い男なんだなって反省したわ」
カタファは明るく言った。不快にならない程よい自虐と絡みやすい口調。フォローは完璧だ。
「全く、本当だ」
トニーの緊張もずいぶん解けた。強張った肩を回しながらトニーは口走る。
「ま、俺にとってはカタファはやっぱり勇者だな」
「……え?」
紫色の瞳がトニーを見つめた。トニーは両目をつぶって全力で背中を伸ばしている。見つめた瞳が揺らいでいることをトニーは気付かなかった。「カタファは軽いようでいて、周囲をよく観察してる。相手の求める姿や回答をしてあげようと気を張ってるだろ?」
ふう、と長く息を吐いてトニーは伸ばした腕をゆっくりと下げた。そ
「俺はカタファが言う”情けない”部分に何度も助けられた。勇者の定義は曖昧だが……俺にとって、カタファは勇者だ」
なんてな、とトニーが顔を上げるとーー真っ赤になったカタファと目が合った。耳まで赤い。
カタファはわななく口をぎゅっと結んだ。トニーもカタファがこんな反応を示すとは思わず、また固まってしまう。
カチ、コチ、カチ……と時計の秒針の音だけが静寂に包まれた部屋の中で響いている。
「な……」
喉に何かがつまったような上ずった声をカタファが出した。一瞬喉を引きつらせたが、ぐっと唾液を嚥下すると、白い歯を見せて、にかっと笑う。
「なぁに、恥ずかしいこと言ってんだよ! 俺をオトす気かぁ?」
そして腰を浮かせてトニーの肩をバシバシ叩く。叩かれる度に髪は揺れ、骨に響くようで痛かったが、トニーはされるがまま椅子に座っていた。自分でも恥ずかしいことを言ったと思いーーカタファの強めのじゃれ合いが恥を雪いでくれるような気がして、トニーもまた顔を赤くして痛みに耐えていた。
浮かれた肩を誰かが叩いた。そこに立っていたのは、カタファだった。
「まだ飲むのかよ! もう、これだから酒好きは……」
カタファはトニーの肩を組んで、酒瓶をひょいと奪った。
「やめとけ、やめとけ。どうせ明日になったら俺らは二日酔いになった奴らの治療をしなくちゃならないんだから」
トニーはむすっとした表情を隠さない。
ーーこうなると、トニーは意地になるんだよな。
カタファは頭を掻いた。バンダナの飾りが揺れてきらりと光る。
「あぁ、もう。俺の部屋に来い。酒は瓶の半分まで! それ以上はダメだからな」
途端、トニーの顔が明るくなった。カタファの背中を軽く叩き、早く行けと催促までし始めた。
部屋に着き、トニーは早速コルクを開けた。
「カタファ、グラスを……」
声を掛けると、カタファは綺麗に畳んだバンダナをクローゼット前のミニテーブルに置くところだった。
「あぁ。ちょっと待ってな」
さっとカタファは移動してしまうが、トニーは何となくそのバンダナを見ていた。
緋色の下地に金色の細かい刺繍。小さな飾りは風に揺れたり光に煌めいたりと、時々で見せる表情が違う。まるでカタファの明るく素直な性格を象徴するようだった。
「カタファ。そのバンダナって……」
「ん? あぁ、これな。母の手作りだよ」
グラスをテーブルに置きながら、カタファは言った。
「俺の母は、大陸の東側にある砂の国の出身でさ。旅をする者に贈る勇者のバンダナ、らしい」
「素敵な風習だな」
「だろ。俺も好きだよ。なんかこう、情緒があるよな」
カタファはトニーから酒瓶を受け取り、少しずつグラスに注いだ。
灰色の髪も紫色の瞳も、母親の影響なのだとカタファは言う。
トニーは一口だけ酒を含んだ。いつもは水のように飲んでしまうが、ゆっくりと味わいたくなった。
「勇者のバンダナか。カタファらしい」
カタファの笑顔が一瞬固まった。
「そうか? 勇者だなんて俺には夢のまた夢だ」
恥ずかしそうに頭をかいた後、カタファはじっとグラスを見つめ、一気に傾けた。
ーーわりと強い酒なのに。
そう思いながらトニーはお代わりを注ぐ。
カタファはもう一度グラスを呷った。縁についた酒を指で拭う。
「勇者、か」
そしてふっと自嘲気味に笑う。
雰囲気がいつもと違う。トニーは口を挟まずに聞くことにした。カタファもトニーが真剣な顔になったのを見届けて語りだす。
「俺には兄が二人いて、どちらも優秀なんだ。上の兄は不思議なカリスマがあって、老若男女問わず、ついていきたくなるような魅力がある。下の兄は時流を読むのが上手くて流行りを先取りしたり危険を回避する能力が高い。どっちかが家を継ぐだろうなと思ったから、俺は実家を出て騎士団に入ったてわけ」
語りだしたカタファはとにかく饒舌だった。
トニーは黙って空いたグラスに酒を注いだーー半分だけ。
カタファは舐めるようにちびちびと酒を煽った。まるで喉奥にある砂を流し込むかのように苦しそうに見えた。
「騎士団に入って大変だったのはとにかく人間関係だな。ここは貴族社会が前提になってるし、俺は思いっきり移民二世の成金だろ? 入団当時から悪目立ちしてさ。それに焦ったね。実直で仕事のできるガヨ、顔が良くて人心掌握に長けてるエイラス。二人とも年下なのに立派で。俺には何があるんだろうって思った」
とわざとらしく眉を寄せ、カタファは悲しい顔を作る。オーバーなリアクションは逆に痛々しい。
ーーらしくない。
カタファは悲観的な人間でも苦労を語る人間でもない。
「カタファ。お前はバランス感覚に優れてる。人と人の間に立つのが上手い。俺には出来ない」
カタファがゆっくりと顔を上げた。その顔は今度はにやりと笑っている。彼の目元は赤く染まっている。それが酒のせいなのか、心情的なものなのかトニーには判断がつかなかった。それくらいカタファの笑顔は完璧で、心から笑っているように見えた。
「そ。それが俺の得意分野」
「得意分野?」
カタファは口角を上げて笑みを保ち続ける。人の良い、無害そうな笑顔はいつもと変わらないーー変わっているのは、赤い目元と潤んだ瞳だ。
「人柄の良さ。自分で言うなって感じだろうけど……明るく優しく振舞って人の懐に入り込む。そんで、仲間を作る。笑顔、声色、相手の仕草から感情を読み取ること……つまりは小手先のテクニック。情けないけど、それが一番俺に合ってた」
カタファはそう話してグラスのそこに残った酒を呷って舐めた。トニーは今度は少なめに酒を注いだ。糖度の高い琥珀色の酒は、グラスの中で揺蕩うように揺れていた。
「そんでもって、その実、誰とも深く付き合わない。あくまで俺はバランスを取った”人の良い第三者”。物語の主人公でも、その親友でもない。知人以上友達未満って感じ」
グラスの中の氷が音を立てて沈む。安っぽい氷はとろける琥珀色の酒の中で小さな気泡を立てながらゆっくりと消えていく。
「な? そんな人間が勇者のバンダナを大事にしてるなんておかしいだろ?」
カタファはまた一気にグラスを傾け、その中にあった小さな氷ごと口に放り込んだ。氷を含んだ頬が膨らむ。
ーーカタファの瞳が揺れた気がした。
だが彼はそれを噛み砕く。ごりごりと大きめの氷が割れて、削れ、粉々に鳴っていく音がする。
最後の一粒さえ潰さなければ気がすまないとでも言うような、しつこくて長い咀嚼だった。
カタファはかなり酔っている、のだと思う。
むしろそうとしかトニーには思えなかった。今のカタファはあまりにも危うくて脆い。ーーそういう自分を演出して、自らを傷つけているように思えるほどだ。
「それはそれで才能だろ。それに、勇者は結果の姿だ。生まれ持った資質じゃない。誰だって人にできない偉業をなし得たら勇者になり得る。それこそ、人の良い第三者だって……」
トニーは言葉を続けられなかった。
話を聞くカタファは両手で頬杖をついて、にこにこと笑っている。
ーートニーの言葉は何も響いていない。
人の機微に疎いトニーでもはっきりと分かった。カタファは、拒絶している。
さりとて、トニーは開いた口を閉じることも出来なかった。何か言わなければ、カタファはトニーにとって永遠に”人の良い第三者”になる。踏み入らず、踏み入られず波もない凪のような、ただ心地良いだけの”他人"に。
トニーは沈黙した。何も言えない。
心臓がバクバクと鳴るのに、体がそこから冷えていく感覚がした。
向かい合ったカタファの紫色の瞳はーーくしゃっと細められた。同時に彼はぷっと吹き出し、くっくと肩を揺らして笑い始めた。
「え? ……は?」
トニーは突然の出来事に全く対応できない。先程までカタファはとんでもない威圧感と高い壁を作ってトニーを拒否していたのに、今は腹を抱えて笑っている。
感情の洪水に巻き込まれたトニーが呆然と立ち尽くしていると、カタファは眉を下げつつ、指先で目尻を拭った。
「ごめん。意地悪しすぎたな。俺、すげぇ酔っ払ってたみたいだわ」
からりとした声には、これまでのような薄ら寒い軽さはない。
「トニーが髪の毛まで石化されちまったみたいに固まってるの見たら、なんか……俺、むなしいこと言って勝手に盛り上がってんだなって冷静になって……」
だいぶ落ち着いて来たが、カタファの声はまだ笑いで震えている。完全に振り回されたトニーの心には若干しこりが残ったがーーカタファが笑ったので良しとすることにした。
正直、ほっとした。カタファはトニーの何倍も人を見る目がある。そんな彼に知らず知らずのうちに見限られるよりはこうしてぶつかりあったほうがまだ良い。
「ごめんな、トニー。俺、面倒臭かっただろ? いやぁ、俺、重い男なんだなって反省したわ」
カタファは明るく言った。不快にならない程よい自虐と絡みやすい口調。フォローは完璧だ。
「全く、本当だ」
トニーの緊張もずいぶん解けた。強張った肩を回しながらトニーは口走る。
「ま、俺にとってはカタファはやっぱり勇者だな」
「……え?」
紫色の瞳がトニーを見つめた。トニーは両目をつぶって全力で背中を伸ばしている。見つめた瞳が揺らいでいることをトニーは気付かなかった。「カタファは軽いようでいて、周囲をよく観察してる。相手の求める姿や回答をしてあげようと気を張ってるだろ?」
ふう、と長く息を吐いてトニーは伸ばした腕をゆっくりと下げた。そ
「俺はカタファが言う”情けない”部分に何度も助けられた。勇者の定義は曖昧だが……俺にとって、カタファは勇者だ」
なんてな、とトニーが顔を上げるとーー真っ赤になったカタファと目が合った。耳まで赤い。
カタファはわななく口をぎゅっと結んだ。トニーもカタファがこんな反応を示すとは思わず、また固まってしまう。
カチ、コチ、カチ……と時計の秒針の音だけが静寂に包まれた部屋の中で響いている。
「な……」
喉に何かがつまったような上ずった声をカタファが出した。一瞬喉を引きつらせたが、ぐっと唾液を嚥下すると、白い歯を見せて、にかっと笑う。
「なぁに、恥ずかしいこと言ってんだよ! 俺をオトす気かぁ?」
そして腰を浮かせてトニーの肩をバシバシ叩く。叩かれる度に髪は揺れ、骨に響くようで痛かったが、トニーはされるがまま椅子に座っていた。自分でも恥ずかしいことを言ったと思いーーカタファの強めのじゃれ合いが恥を雪いでくれるような気がして、トニーもまた顔を赤くして痛みに耐えていた。
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𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
⚠︎書きながら展開を考えていくので、途中で何度も加筆修正が入ると思います。
タイトルも仮ですし、不定期更新です。
下書きみたいなお話ですみません💦
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
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漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
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仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
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