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第6章 魔法学校の章

第67話 王都に向かった

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 俺とキサラは今のところ順調に王都へと向かっていた。ロングウッドから王都アステアールまでは馬車で約10日というところだ。

 途中いくつかの街を通ったが、咎められることもなく普通に通過できた。俺への手配書か回収されたのかも知れない。

 ということは『赤い太陽の雫』は無事シルザール公の手元に戻ったという事だろう。

 あれ?何か忘れてないか?

「あっ」

「どうなさいました、コータロー様」

「いや、ちょっと嫌なことを思い出しただけだ」

「嫌なこと?」

「そうだ。『赤い太陽の雫』の件は師匠がちゃんと立ち回ってくれたんじゃないかと思うんだが、もう一つ俺か手配されていることを思い出した」

「ああ、セリス様のことですね」

「今でも俺はセリス誘拐の犯人、それも二度も攫った凶悪犯だと思われているかも知れない」

 ダンテが上手く俺の関与を否定してくれていればいいんだが、俺の手配がそのままの可能性も高い。今のところ、どこの街でも捕まったりはしていないので、手配が取り下げられた可能性もあるにはあるんだが。

「でも、それは事実では?」

「事実だなぁ、間違いなく俺が犯人だ」

「まあ逃げるしかないですね」

 キサラは割と厳しい。

 旅は順調だった。こんなに順調だと逆に何か起こって欲しい気分にさえなる。

 そしてとうとうアステアールに着いてしまった。

 アステアールに着いのでまずは落ち着ける先を探す。ボワール商会の建物の一部を使わせてもらえることになった。勿論キサラの手配だ。ワリス・ボワール伯爵からも連絡がちゃんと来ていて助かった。

「で、コータロー様、王都で何をされるおつもりですか?」

 道中、キサラの魔法修行はちゃんとして来たが王都に向かう目的は何も伝えていなかった。

「いや、特に何も考えていない」

 これは本当だった。まあ何となくエル・ドアンの顔でも見れれば、とかは考えていたんだが。

「魔法学校にでも行ってみようか」

 キサラと出来れば俺も魔法学校に入学でもできればいいのだが、どうすれば入学できるのか判らない。せめてキサラだけでも入学できれば彼女の修行には効果があるだろう。

「魔法学校ですか。一応私は地方の魔法学校は出ているのですが」

「そうなのか」

「ええ。私の出身は南方のロスドルという街なのですが、そこにも魔法学校があって、一応そこを卒業してからボワール家にお世話になっていました。元々孤児だった私を魔法学校に入れてくださったのが伯爵様だったんです」

 ワリスさんは足長おじさんみたいなことをやってたのか。ただの商売人では無いな。

「じゃあ恩は返さないとな」

「はい。そのためにコータロー様の元で修業をさせてもらことにしたんですから、せめて上級になって伯爵様のお役に立ちたいのです」

「特級まで行くか?」

 今の俺は何級なんだろう、とか思いながらキサラを炊き付ける。

「私が特級?飛んでもない」

「ちゃんと真面目に取り組めば行けるんじゃないか?」

「中級と上級には相当な開きがあるんですよ。上級と特級にはもっとです。昇級試験なんて難しくてなかなか通りません」

 そうか、級を確定するには試験が有るのか。それすら知らなかった。

「試験があるんだな」

「そうです。中級までは地方の魔法学校でも受験できますが上級からは王都でしか試験が受けられません。だからいつかは私も王都に来て試験を受けたいとは思っていたんです」

 俺の提案は渡りに船だったのか。

「今のキサラなら上級でも行けるんじゃないか?」

 俺は無責任なことを言う。自分の階級も判っていないのだ。

「そんなことは無いと思いますよ。でもコータロー様は上級は余裕だと思いますが」

「そうなのか?俺は独学だからそのあたりが全く判らないんだが」

「えっ、独学なんですか?ヴァルドア様の弟子じゃなかったですか?」

「師匠は師匠だけど、それほど教えて貰ってないからな」

 伝説級魔法士ヴァルドア・サンザールからはもっと色々と教えてもらいたかったがバタバタしてあまり修行を付けてもらえなかった。

「なんとか王都の魔法学校に入学できないものかな」

「それならコータロー様なら問題ないと思いますよ。入学にも試験は有りますが絶対通ると思います」

「そんなに簡単な試験なのか?」

「そうですね、コータロー様の場合、その以上に多いマナの量だけでも通りそうです」

「じゃあ一回一緒に上級を受けてみるか」

「そうですね、私も今の実力を測るためにはいいかも知れません。一緒に受けてみましょう」

 こうして俺とキサラは王都で魔法士の昇級試験を受けることになった。 


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