王道マジックファンタジーの世界で、俺だけが異端

プロローグ

（１）

「これより異端審問を行う」
荘厳な空間を演出する、どこまでも高い天井。
どんだけ金をかけたのかって位に凝ったステンドグラスや金の装飾。
無理やり跪かされた祭壇で、仁王立ちして発言をする、青い祭服の神官の表情は1ミリも動かない。
（厳ついオッサンのクセに、おかっぱ頭なのがまた…悪趣味というか、怖ぇわ）
祭壇奥の壁に並ぶ七柱の神。
右に火・風・光という生を司る神
左に水・土・闇という死を司る神
そして真ん中には聖を司る神が両手を広げてそれらを従える。
ここは、七芒星教（通称:神殿）本部。
他の属性に比べ、出生率の低い聖属性の魔法使い達が集う場所。
その魔力の特性から、彼ら自身が神格化される事も多く、それがそのまま信仰となり、宗教として成り立っている。

セブ聖国は、七芒星教の教皇が治める小さな国ではあるが、ユーロアリア大陸のど真ん中に位置する非常に豊かな国でもある。
その東方に位置する自由国家ヒスピリアで生まれたロッテンが、何故この国のこんな場所で異端審問に掛けられているのか？
それは遡ること2ヶ月前、彼の誕生日から全てが始まった。