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描かれる明日
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「ユリア嬢!」
イルミオたちの宿とは数ブロック離れた別の宿が、ユリア達浄化部隊の滞在場所になっていた。
二人に送ってもらって、別れの挨拶をしたのも束の間、リノから来客の知らせを受け、宿先に出てみれば、そこにジョシュアの姿があった。
「ジョシュアさん、どうしたの?」
「早速、旅の消耗品集めのために、買い物を始めたついでに、主のフォローをしようと思いましてね」
「イルミオ様の?」
「そう、本人目の前にしては言えないことですし、今くらいしか言うチャンスがないもので、お疲れのところ申し訳ないと思うのですが、お付き合いください」
深々と頭を下げて、ジョシュアはこちらの許可を待っているようだ。
「分かりました、聴きましょう」
「恩に着ます。まず、うちの主がすみません。騎士はあっちこっち遠征に出ることが多いので、感覚が麻痺しちゃってるんです。普通の貴族令嬢には慣れないことだと思います、配慮が足りず申し訳ございません」
「いいえ、気にしないで。私、普通の貴族令嬢じゃないみたい。結構楽しんじゃってますから」
ジョシュアはキョトンとして、それから微笑んだ。
「それと、もう一つ。主は魔塔との取引で聖女の同行が条件だったから、来て欲しって言ってたじゃないですか」
「ええ、そう言ってましたね」
「本当は、それだけじゃ無いんですよ。確かに主は魔剣士で、魔物の討伐経験もあります。でも、魔物にもっとも有効なのは聖属性魔法ですよね?」
「授業では、そう教わったわ」
「主、結構今回の件、失敗できないってプレッシャーを感じていたみたいで、貴女が参加してくれたらなって最初から思ってたんです。女性に頼るのは騎士道に反するとか思ってるみたいで、口には出しませんけどね。本当は参加してくれて嬉しく思ってるんです」
「ちゃんと言ってくれれば良かったのに」
そうしたら、自分はただのエサとして利用されたなんて思わず、喜んで手を貸せた。
「私もそう思いました、だから、フォローしに来たんです」
わざと大きな体を曲げて、上目遣いで覗き込んでくるジョシュアを見ては許さずには居られない。
「仕方ないなぁ、ジョシュアさんの気持ちを汲んで、今回は許してあげます」
「ユリア嬢の寛大なお心に感謝申し上げます。まさに聖女!ご不便をおかけしないように、しっかりと準備させていただきますね!」
イルミオ様持ちで、がっつり買い付けさせてもらいますと言って、ジョシュアは意気込んで街に消えていった。
部屋に戻ると、自分の大事な侍女に腕を伸ばす。
「リーノー!」
服にブラシをかけていたリノを後ろからぎゅっと、抱きしめる。
「あらあら、お嬢様?どうされたのですか?」
「イルミオ様とジョシュアさんの関係が良いなぁって思って」
主従関係というよりは、理解し合う友人といった感じだと思った。
私とリノは傍からみればどう映るだろうか?
「リノは十分やってくれてるわ。問題は私なのよ、ちゃんと主人が出来てるかしら?」
「お嬢様は、ちゃんと私の尊敬する主人ですよ」
回された腕を、ぽんぽんと優しく叩かれる。
「凄いじゃないですか、聖女と期待されて、龍の浄化をして、今度は西の森に自らの意志で赴かれる。普通の令嬢では根を上げているか、プレッシャーに押しつぶされていたでしょう」
ユリアは、もう一度リノをギュッとする。
「私だって、押しつぶされそうになる事もあるよ」
「それでも、リノはお嬢様が強い事を知ってます。だから、自慢の主なんです」
「私の優秀な侍女は、励ますのも上手いのよね。それに、何があっても側にいてくれる」
「お嬢様の侍女として、釣り合いたいだけですよ」
「リノ、大好き」
「はい、私もです。さあ、大好きなお嬢様、まずはリノの早めの休息のためにも、サクッとお風呂に入って下さいませね」
どこまでも、主の扱いが上手い侍女。
私とリノの関係は、このくらいがちょうど良い。
そう、再認識したのだった。
それからの旅路は、特に特筆する事もなく、王都近郊で聖職者たちとは別れ、四人だけで西へと進路をとった。
イルミオたちの宿とは数ブロック離れた別の宿が、ユリア達浄化部隊の滞在場所になっていた。
二人に送ってもらって、別れの挨拶をしたのも束の間、リノから来客の知らせを受け、宿先に出てみれば、そこにジョシュアの姿があった。
「ジョシュアさん、どうしたの?」
「早速、旅の消耗品集めのために、買い物を始めたついでに、主のフォローをしようと思いましてね」
「イルミオ様の?」
「そう、本人目の前にしては言えないことですし、今くらいしか言うチャンスがないもので、お疲れのところ申し訳ないと思うのですが、お付き合いください」
深々と頭を下げて、ジョシュアはこちらの許可を待っているようだ。
「分かりました、聴きましょう」
「恩に着ます。まず、うちの主がすみません。騎士はあっちこっち遠征に出ることが多いので、感覚が麻痺しちゃってるんです。普通の貴族令嬢には慣れないことだと思います、配慮が足りず申し訳ございません」
「いいえ、気にしないで。私、普通の貴族令嬢じゃないみたい。結構楽しんじゃってますから」
ジョシュアはキョトンとして、それから微笑んだ。
「それと、もう一つ。主は魔塔との取引で聖女の同行が条件だったから、来て欲しって言ってたじゃないですか」
「ええ、そう言ってましたね」
「本当は、それだけじゃ無いんですよ。確かに主は魔剣士で、魔物の討伐経験もあります。でも、魔物にもっとも有効なのは聖属性魔法ですよね?」
「授業では、そう教わったわ」
「主、結構今回の件、失敗できないってプレッシャーを感じていたみたいで、貴女が参加してくれたらなって最初から思ってたんです。女性に頼るのは騎士道に反するとか思ってるみたいで、口には出しませんけどね。本当は参加してくれて嬉しく思ってるんです」
「ちゃんと言ってくれれば良かったのに」
そうしたら、自分はただのエサとして利用されたなんて思わず、喜んで手を貸せた。
「私もそう思いました、だから、フォローしに来たんです」
わざと大きな体を曲げて、上目遣いで覗き込んでくるジョシュアを見ては許さずには居られない。
「仕方ないなぁ、ジョシュアさんの気持ちを汲んで、今回は許してあげます」
「ユリア嬢の寛大なお心に感謝申し上げます。まさに聖女!ご不便をおかけしないように、しっかりと準備させていただきますね!」
イルミオ様持ちで、がっつり買い付けさせてもらいますと言って、ジョシュアは意気込んで街に消えていった。
部屋に戻ると、自分の大事な侍女に腕を伸ばす。
「リーノー!」
服にブラシをかけていたリノを後ろからぎゅっと、抱きしめる。
「あらあら、お嬢様?どうされたのですか?」
「イルミオ様とジョシュアさんの関係が良いなぁって思って」
主従関係というよりは、理解し合う友人といった感じだと思った。
私とリノは傍からみればどう映るだろうか?
「リノは十分やってくれてるわ。問題は私なのよ、ちゃんと主人が出来てるかしら?」
「お嬢様は、ちゃんと私の尊敬する主人ですよ」
回された腕を、ぽんぽんと優しく叩かれる。
「凄いじゃないですか、聖女と期待されて、龍の浄化をして、今度は西の森に自らの意志で赴かれる。普通の令嬢では根を上げているか、プレッシャーに押しつぶされていたでしょう」
ユリアは、もう一度リノをギュッとする。
「私だって、押しつぶされそうになる事もあるよ」
「それでも、リノはお嬢様が強い事を知ってます。だから、自慢の主なんです」
「私の優秀な侍女は、励ますのも上手いのよね。それに、何があっても側にいてくれる」
「お嬢様の侍女として、釣り合いたいだけですよ」
「リノ、大好き」
「はい、私もです。さあ、大好きなお嬢様、まずはリノの早めの休息のためにも、サクッとお風呂に入って下さいませね」
どこまでも、主の扱いが上手い侍女。
私とリノの関係は、このくらいがちょうど良い。
そう、再認識したのだった。
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