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一人より二人で

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「ーーと、いうわけさ」
ティールームに移動し、タイランから死後の出来事を聞いたユリアは目眩を覚えた。
「うそぉー。ギフトが受動的パッシブ能力だったなんて」
「そう!だから、どうやったって、誰が見ても分かるような、ありがたやーって感じの能力発動はしないのさ」
「それにしても、時間遡行リバースなんて、これはまた、凄い魔法を編み出しちゃったのね」
ユリアは少しぬるくなってしまった紅茶を喉に通して、深く息を吐く。
「精度は悪いけどね。君は10才からのやり直しだったみたいだけど、ボクは本当に最初からだったからね…分かるかい?母乳、下の世話、退屈な日々、もう勘弁だね」
「あら、貴重な経験ができたのね」
「笑い事じゃないよ!でも、それを耐えられたのは、絶対キミに会って確かめなきゃって思ったから」
「回帰させたこと、責任取ってくれるのかしら?」
受動的パッシブ能力だって直ぐに見抜けなかった事については責任を感じてる。キミが望むならやり直しの人生に責任取ろうか。結婚でもする?」
ふふふっとユリアは笑った。
「そういうのは懲りたわ。ただ静かに、できれば幸せに暮らしたいの」
「ありゃ、速攻で振られちゃったかー。じゃあ、何をすればいい?」
少し考えてから、ユリアは口を開いた。
「私ね、転生者でもあるのーー」

それからユリアは、自分が浅山優里亜だったこと、この世界に似たゲームで遊んでいたこと、一度目の人生で王子ルートを選んだことなどをタイランに話した。
勿論、タイランルートのバッドエンドで自身が軟禁されることも全てだ。

「ふぅん、興味深いね。確かにボクならやりかねないかも!」
「転生者ってこと、信じてくれるの?」
「回帰だってできるんだもん、転生もあるかなぁってね、他人の身体に別の魂かぁ…それだと元の魂はどうなったんだろう?わぁ、研究したいなぁ」
キラキラのルビーのように目を輝かせてああでもない、こうでもないと、思考を飛躍させているタイランを呼び戻すように、身を乗り出してユリアは続けた。
「でね!私、今度はどのルートにも行かないで、友情エンドに持ち込みたいの。だから、協力してくれないかな?」
「えぇーっ?ボクとのハッピーエンドにしようよ!」
(上目遣い可愛いっ!!)
「だ、ダメよ!だってタイランも身分が高いじゃない。めでたしめでたしのその後が怖いもん」
「そっかぁ、残念。でも、好きになってくれたら言ってね!全力で幸せにするから」
(これで中身は18+13才なのよね…この見た目に騙されそうだけど。まあ、私なんて17+18+3才になるんだけどさ)「分かったわよ、じゃあ、ライバル他の攻略キャラとのイベントフラグを折るときは協力よろしくね」
視界にリノの姿を見つけて、ユリアは立ち上がった。
タイランは「はーい」と返事をして手をひらひら振る。
「ごきげんよう、タイラン様。また入学式で」
わざとらしくお辞儀をして、ユリアは場を辞した。
協力者が居る。
それだけで心が軽くなる。
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