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お店開店編
第一章 21話『『元』究極メイド、ダンジョン攻略を始める』
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遺跡――またの名をダンジョン。
呼び方に深い理由など無く、同一視される事がほとんどだ。
国から言わせれば立派な文化遺産、冒険者等の流浪者からすればダンジョン。
そんな感じの線引をされているダンジョン達は奥深くに宝が眠っていたり、強い魔物が潜んでいたりと、冒険者からすれば、好奇心を掻き立てられないハズもなく、その思いに身を任せて飛び込んでしまうだろう。
しかし、今回ばかりはそうも言ってられない。
ここは危険な、『迷宮遺跡・ララバイ』。
その広さに遺跡調査に慣れている人ですら匙を投げて調査を冒険者達に依頼したほどだ。
ここは慎重に、冷静に――そう思いながらアミナとエルミナは今、ケイとギーラとフィーと逸れていた。
「参ったな……合流できるだろうか」
「私も不注意でした。……でも、ダンジョン入るの慣れてると思ってたんですけど、そんな事無かったんですか?」
アミナがエルミナに聞く。
すると、「面目ない……」とエルミナが申し訳無さそうに言うので、それ以上は何も言えなかった。
何故どうして、2人と1匹と逸れてしまったのかと言うと、それはダンジョンに入った、今から少し前まで遡る。
―――
「中は結構明るいんだな」
ギーラが手に持った松明で中を照らしながら狭い一本道の通路を進んでいた。
それに続いてケイ、アミナ、エルミナが続いて歩いた。
フィーは小さくなってアミナの手の中に抱かれていた為、強いて言うならアミナの前だ。
「この遺跡自体は古くて広いのにこの明るさ……光源も魔鉱石じゃなさそうだし何がエネルギー源になってるのかしらね」
ケイも興味深そうに周囲を見回す。
かくいう私も、光を放つ物が何によって動いているのか、物を作る人間としては興味を惹かれない訳が無かった。
街の街灯は昼間に吸い込んだ光や熱を放つことで小さく燃え上がり夜の闇を照らすことが出来る。
だがこの通路には当たり前だが太陽は差し込んでこない。
では何が元となって動いているのか。
考えられる可能性は今のところ一つしか浮かばない。
エーテリアの灯――それは周囲の魔力を安定させ、魔物の活動を抑制する物だと聞いた。
安定……この言葉がずっと気になっている。
もし仮に、魔力を損なわずに安定させることが出来る代物だとしたら、この遺跡の通路内部を照らしているエネルギー源はきっとそれになる。
それが本当ならば、永久機関も夢ではない、まさに伝承の古代魔道具。
国が欲しがる理由がもしそれなのだとしたら――
「うおっ!!」
「きゃっ!!」
アミナは考え事をしていると、前方からギーラとケイの悲鳴が聞こえ、ふと我に返って前を見上げた。
すると、目の前にギーラとケイの姿は無く、再び足元に目をやると、そこには底の見えない真っ黒な落とし穴らしきものがあった。
アミナは危うく一歩を踏み出しそうになり、後ろにいたエルミナに肩を抑えられ、なんとか踏みとどまった。
「アミナさん、これを」
そう言って冷静にエルミナはアミナに松明を預け、膝を地面について2人が落ちたであろう穴に向かって大声で叫んだ。
「ギーラ!!ケイ!!無事か!!」
その声が反響し、しばらくの間通路中に響き渡った。
声の反響する長さが、このダンジョンの広さをそのまま表しており、アミナは少し身構えた。
少しすると、穴の中から小さく響いた声で「大丈夫だ」と返ってきた。
どうやら底はあったようで、2人とも無事なようだった。
「上がってこれそうか!!」
「いや!!壁にとっかかりがないから登れそうにねぇ!!俺達はこっちから行くから!!お前等はそっちから頼んだ!!」
「分かった!!気をつけるのだぞ!!」
2人はそう会話していく。
エルミナは最後の一言を言うと、立ち上がり、アミナから松明を受け取った。
アミナは戦えないから私が持っている、と言ったが、エルミナは笑顔で松明を掴んだ。
手持ち無沙汰になったアミナは仕方無く、地面に座って穴の中を除いているフィーに声をかけた。
「どうしたのフィーちゃん?あの2人なら大丈夫だから、私達も進みましょう」
アミナはそう言って手を差し伸べたが、フィーはアミナと自身を待ちながら振り返っているエルミナの顔を見て、一瞬頷いたかと思うと、そのまま穴の中へと入っていった。
「フィーちゃん!?どうしたの!?」
アミナは突然の出来事に驚いたが、エルミナがフィーの顔を立てるように口を開いた。
「猫殿は2人が心配だったようだ。一瞬、私の目を見たが、あれは「2人が心配だから行ってくる。その代わり、アミナを危険な目に合わせたら許さんぞ」と言っている目だった。本当に主人に従順で賢い猫殿だ」
「そう……ですか」
「さぁ、2人の事は猫殿に任せて、私達も先に進もう。道を記録しながら進めば、いずれはゴールへ辿り着いて、2人とも合流できる」
エルミナはそう言ってアミナの背中を押して前に進んだ。
アミナはフィーが入っていった落とし穴に横目をやり、「フィーちゃん、気をつけてね」と呟いて先に進むこととした。
―――
そして現在に至る。
重たい扉が音を立てて閉じ、外界から切り離された空間に2人の影が沈む。
薄暗い光が差し込むのは入り口付近だけで、少し進めばすぐに闇が支配する。
遺跡の中は湿り気を帯びた空気が満ち、埃と苔の匂いが鼻を突いた。
「本当に広いですね、ここ。歩き始めてからどれだけ経ったんでしょう」
アミナが呟きながら背負った荷物の中から木から作り出した記録用のノートを取り出した。
中には通った道と出会った特徴的な地形、扉の位置、敵の種類などがびっしりと書き込まれている。
「少なくとも迷宮の名前に偽りはないようだな。ララバイ――『子守唄』というより、疲労で眠らされるという感じか」
アミナは地図の書かれたページを片手に進む方向を示した。
今は一度行った道が行き止まりだった為、戻っていたのだ。
「とりあえず入口から一番近い通路まで戻れました。次はこの通路を左に行っておきましょう」
エルミナは頷いてその方へ先に歩いた。
通路は直線的なものもあれば、複雑に入り組んだものもある。
どちらに進んでも似たような石の壁が続き、時折壁に刻まれた古い文字や紋様だけがこの遺跡の歴史を物語っていた。
二人が歩いていると、通路の奥から不気味な物音が響いてきた。
「またか」
エルミナは剣を構え、周囲の気配を探る。
ほどなくして、通路の奥から何かが這いずるような音が聞こえたかと思うと、複数の赤い目が闇の中に浮かび上がった。
「『スケルトンウォリアー』。何体いるんでしょうか……」
アミナが冷静に言うと、エルミナが鋭い声で応じる。
「ざっと五体以上。群れを成してくるのが厄介だ」
『スケルトンウォリアー』
危険度ランクCの魔物。
一体一体の力はそこまでだが、ダンジョンや洞窟内で群れをなすため厄介な魔物だ。
スケルトン達は骨と錆びた鎧で身を固め、手には欠けた剣や棍棒を持っている。
動きはぎこちないが、数の多さが脅威だ。
エルミナは前に出て、一体に向かって突進する。
剣が空を切る音と共にスケルトンの胴体を貫き、骨が砕ける音が響いた。
だが、倒れた一体を追うように別のスケルトンが迫る。
エルミナは剣を振り抜き、次の攻撃に移った。
後方にいるアミナはノートを取り出しながら、周囲の地形を素早く記録している。
戦闘中でも後戻りできる道を確保するため、彼女の役割は重要だ。
「エルミナさん! 左側からも来てます!」
エルミナは視線を横に向け、迫るスケルトンに剣を振るう。
だが数が多すぎて、倒しても倒しても湧いて出るようだった。
「数の差を埋めるなら、これしかないな!」
エルミナがそう叫ぶと、剣に魔法の力を込めた。
「聖なる炎刃に、焼かれ斬り裂かれよ!『剣技・灼』!!」
剣から炎が迸り、一振りで数体のスケルトンを巻き込んで炎に包み込む。
スケルトンたちは抵抗する間もなく燃え上がり、次々と崩れ落ちていった。
戦闘が終わると、2人は少しだけ息を整えた。
周囲には焼け焦げた骨や錆びた武器の残骸が散らばっている。
アミナはノートを見ながら言った。
「流石ですエルミナさん。でも、さっきの戦闘で時間を取られてしまいました。慎重に素早く、先へ進みましょう」
「あぁ。……すまないな遺跡に巣食う亡者達よ。私では貴方達を故郷の土に埋めてやることは出来ん。どうか、安らかに眠ってくれ」
エルミナはしばらくしゃがんで、手を握り合って祈った。
先程から、スケルトンウォリアーと戦った後はこうしていた。
彼女いわく、この魔物は死んだ人間の魂が朽ち果てた事により自我を失い、暴走して遺跡内を徘徊する死族になってしまっているそうだ。
だからエルミナの先程使った技のように、光や炎の属性を纏った攻撃に弱い。
その人達の魂を案じ、エルミナは祈りを捧げていたのだ。
「すまない、時間を取らせた。先へ進もう」
アミナは頷いて、先導するエルミナの後ろをついて歩いた。
―――
2人は再び通路を進むが、やがて行き止まりにぶつかる。
扉もなければ隠し通路のような仕掛けも見つからない。アミナが肩を落としながら言った。
「また外れか……戻るしかないですね」
「まぁ元来、ダンジョン攻略とはこう地道なものなのだ。だが不自由はかけさせない事は約束しよう」
エルミナが困ったような笑顔を見せながら、背後の道を振り返る。
戻る道にはスケルトンとの戦闘でできた爪痕や焦げた壁の跡が残されており、それが2人の通ってきた道を物語っていた。
次に進んだ通路は、一見すると真っ直ぐ続いているだけの普通の道のように見えた。
そしてしばらく進んでいると、広く大きな部屋に出た。
「地下にこれだけ大きな空間が……」
2人は上を見上げながら前に進む。
だが、足元に仕掛けられた罠にエルミナが気づくのは一瞬遅かった。
「伏せて!」
エルミナが叫ぶと同時に、部屋の壁から矢が飛び出してきた。
2人は身を低くして矢を避けたが、その音が新たな敵を呼び寄せた。
「また何か来ました……今度はなんでしょう」
奥から姿を現したのは、ゴーレムのような巨大な魔物だった。
石と鉄が組み合わさったその体は堅牢そのもので、一見すると剣が通るとは思えないほど頑丈そうだ。
エルミナは剣を構え直し、アミナに言った。
「後ろで待機してくれ。こいつは私が何とかする」
ゴーレムは重たい足音を立てながら近づいてくる。
その一撃は大地を揺るがすほどの威力があり、エルミナが一撃をかわすと、通路の床が砕けて砂埃が舞い上がった。
湿った遺跡の空気を切り裂くように、鈍い足音が響いた。
巨体がゆっくりと揺れるたびに、遺跡全体も震えるようだった。
エルミナは剣を握り直し、その鋭い視線をゴーレムに向ける。
「危険度ランクS……『ガーディアンゴーレム』か」
アミナが背後で息を呑む音が聞こえる。
エルミナはそれに応えず、剣を構えたまま一歩前に進んだ。
目の前にそびえるゴーレムは、まさに遺跡の守護者と呼ぶにふさわしい姿だった。
全身を覆うのは鈍く光る鉄と重厚な石の装甲。
その表面には古代文字のような刻印が浮かび上がり、淡い光を放っている。
ゴーレムが腕を動かすたびに、鉄が軋む音が遺跡中に響いた。
「アミナさん、後ろに下がっていてくれ。絶対にこいつの攻撃範囲に入らないでくれ。」
エルミナの声は冷静だったが、その中には緊張感が滲んでいた。
ゴーレムの目にあたる部分が赤く輝いた瞬間、巨体が急に動き出した。
まるで地響きのような振動と共に、その巨大な腕がエルミナに向かって振り下ろされる。
「速い……!」
エルミナは一瞬の判断で横に跳び、巨大な腕が床を叩きつけるのを避けた。
その一撃で遺跡の床が砕け、砂煙が巻き上がる。
「強そうってレベルじゃないなっ――!!」
彼女は小さく呟きながら剣を構え直し、素早く間合いを詰める。
ゴーレムの攻撃が重い分、隙が生まれるのはその直後だ。
その瞬間を狙う――それがエルミナの戦い方だった。
ゴーレムの次の攻撃が来る前に、エルミナは一気に距離を詰めて剣を振り上げる。
その刃がゴーレムの胴体部分に直撃するはずだったが、硬い装甲に阻まれ、弾かれるように剣が滑った。
「やはり硬いか」
エルミナは冷静に後退しながら状況を把握する。
ゴーレムの装甲は、普通の剣では到底貫けるものではない。
それどころか、攻撃が通る手ごたえすら感じられなかった。
ゴーレムはその場でゆっくりと振り向き、再びエルミナに向けて腕を振り下ろす。
今度は縦ではなく横薙ぎだ。その巨大な腕は、遺跡の狭い通路全体を覆うほどの範囲を持つ。
「不味い……!」
エルミナは即座に身を低くしてその攻撃をかわすが、その衝撃波だけで体が揺さぶられる。
壁に激突したゴーレムの腕が砕けた石片を撒き散らし、アミナが慌てて身を隠す。
「エルミナさん、大丈夫ですか!?」
アミナの声が響くが、エルミナは振り返らずに叫び返す。
「心配ない! 近づいて来てはダメだ!」
ゴーレムの巨体は鈍重そうに見えるが、その一撃一撃には計り知れない破壊力が宿っている。
彼女の体力を削る前に何とか対策を見つけなければならない。
「やっぱり弱点を探るしかない……どこか脆い部分があるはずだ」
エルミナは冷静さを保ちながら、ゴーレムの動きを観察する。
その巨大な胴体と四肢、そして鈍く赤く輝く目――どれもが堅牢に見えるが、どこかに綻びがあるはずだ。
そう考えているエルミナの後ろで、アミナは思考を巡らせる。
エルミナさんも何か相手の弱点を探している。
私も何か考えろ……!
ここで時間をあまり使わずに勝つ方法……!!
ゴーレムが再び動き出し、今度は拳を突き出してくる。
その速度は驚くほど速く、エルミナは剣を盾代わりにしてそれを受け流す。
だが、その衝撃で剣が軋み、手首に痺れるような痛みが走る。
「このままじゃ……埒が明かない!」
エルミナは剣を一度下ろし、深呼吸をする。
そして、再び剣を構え直すと、今度はその刃に魔力を込め始めた。
刃の表面が青白く光り始め、淡い光が彼女の周囲を照らす。
エルミナの剣と魔法を融合させた高レベル魔法『魔法付与』だ。
「これでどうだ。試す価値くらいはあるだろう……!!」
エルミナはゴーレムの足元を狙い、一気に突進した。
剣に込めた魔力を解放しながら、一撃を放つ。
その刃がゴーレムの膝部分に直撃すると、硬い装甲がわずかにヒビ割れる音が聞こえ、破片が飛び散る。
アミナは自分の足元に飛んできたその破片を手に取って触れると、「これって……」と驚きの表情を浮かべた。
「やっぱりそこが弱点……!」
対するエルミナはその瞬間を見逃さず、再び攻撃を仕掛ける。
今度はヒビの入った部分を正確に狙い、剣を振り下ろした。
その一撃でゴーレムの膝部分が完全に砕け、巨体がぐらつき始める。
「膝を崩せば、動きを止められる……!」
しかしそう思ったのもつかの間、足元の攻撃に集中していたエルミナは、まさかゴーレムが体勢を崩しながらも攻撃してくるとは思っておらず、倒れるのもお構いなしに振り下ろされたゴーレムの両の腕に体を強打された。
「―――ッ!!」
「エルミナさん!!」
アミナが声を上げたときには、エルミナは地面に打ち付けられ、砂埃の中ギリギリで立っていた。
殴打された頭からは血が流れ出し、肋付近からは骨が飛び出している。
防御力の要であるギーラがいない弊害がこんなところで現れてしまった。
「ぐぅっ……!!」
エルミナは更に吐血した。
これが危険度ランクSの魔物の力なのか、とアミナは驚愕したが、一瞬で頭を切り替えて戦闘態勢へ入る。
そして前に出て、エルミナに声を掛ける。
「エルミナさん、酷い怪我の貴女に、更に酷いお願いをしてもいいですか」
「……貴女の作戦だ。私は信じよう」
聞き返しもせずそう言ったエルミナにアミナは頷いて耳打ちをした。
それを聞き終わったエルミナは「そんな事が可能なのか……いや、私は貴女を信じると言ったんだ。貴女に委ねよう」と笑顔で言った。
2人はゴーレムへ向き直り、再び戦闘態勢を取った。
最初に動いたのはアミナだった。
その素早い身の熟しで、振り下ろされるゴーレムの腕や、攻撃が外れたことで地面に窪みが出来、それによって舞い上がった瓦礫を避けていく。
エルミナは瓦礫を避けながらゴーレムへと迫るアミナの後ろで魔法の詠唱をしていた。
「炎の盟約、蒼き流転、風の精霊、大地の女神、雷轟の鐘、渦巻き結合し、全を無に帰す――」
そしてゴーレムの背後へと回ると、アミナはゴーレムの脚と地面を同時に触れた。
触れた部位同士が光り、結合し、境目が無くなる。
ゴーレムは次第に動けなくなり、両膝をついて前方に倒れた。
「やっぱり!!地面と同じ素材だ……!!」
アミナは引き続き、エルミナの詠唱が終わるまで結合をし続ける。
ゴーレムは何が起こっているかわからない様子だったが、アミナの姿を足元に見つけるなり、その拳を振り下ろしてきた。
「光輪月下を曇らす永久の深淵よ、円環の檻を超え、混沌の彼方へと導け!!」
「今です!!」
アミナのその掛け声にエルミナは目を見開いて剣を構える。
アミナはすぐさま後ろに飛び退いて、その勢いで部屋の壁に背中を打ち付けた。
「やはり貴女には心底驚かされる!!―――七大合成魔剣!!
『虹呪・禍津葬送』!!」
エルミナは剣に最後の魔力を注ぎ込み、七色に光る魔力を込めた剣でゴーレムの胸元に向かって突進した。
その刃が輝きながら深々と刺さり、ゴーレムの体全体に白い光が走る。
そして――
巨大なゴーレムはその場に崩れ落ち、遺跡全体に響き渡る轟音を立てた。
埃が舞い上がり、静寂が訪れる。
エルミナは剣を収め、振り返ってアミナに微笑んだ。
エルミナは無事だったのか、と安堵したアミナだったが、次の瞬間には笑顔で前のめりに倒れ、血溜まりへと顔を埋めた。
「エルミナさん!!」
アミナはそう叫んで駆け寄った。
2人の危機にはまだ、終わりが訪れていなかった。
呼び方に深い理由など無く、同一視される事がほとんどだ。
国から言わせれば立派な文化遺産、冒険者等の流浪者からすればダンジョン。
そんな感じの線引をされているダンジョン達は奥深くに宝が眠っていたり、強い魔物が潜んでいたりと、冒険者からすれば、好奇心を掻き立てられないハズもなく、その思いに身を任せて飛び込んでしまうだろう。
しかし、今回ばかりはそうも言ってられない。
ここは危険な、『迷宮遺跡・ララバイ』。
その広さに遺跡調査に慣れている人ですら匙を投げて調査を冒険者達に依頼したほどだ。
ここは慎重に、冷静に――そう思いながらアミナとエルミナは今、ケイとギーラとフィーと逸れていた。
「参ったな……合流できるだろうか」
「私も不注意でした。……でも、ダンジョン入るの慣れてると思ってたんですけど、そんな事無かったんですか?」
アミナがエルミナに聞く。
すると、「面目ない……」とエルミナが申し訳無さそうに言うので、それ以上は何も言えなかった。
何故どうして、2人と1匹と逸れてしまったのかと言うと、それはダンジョンに入った、今から少し前まで遡る。
―――
「中は結構明るいんだな」
ギーラが手に持った松明で中を照らしながら狭い一本道の通路を進んでいた。
それに続いてケイ、アミナ、エルミナが続いて歩いた。
フィーは小さくなってアミナの手の中に抱かれていた為、強いて言うならアミナの前だ。
「この遺跡自体は古くて広いのにこの明るさ……光源も魔鉱石じゃなさそうだし何がエネルギー源になってるのかしらね」
ケイも興味深そうに周囲を見回す。
かくいう私も、光を放つ物が何によって動いているのか、物を作る人間としては興味を惹かれない訳が無かった。
街の街灯は昼間に吸い込んだ光や熱を放つことで小さく燃え上がり夜の闇を照らすことが出来る。
だがこの通路には当たり前だが太陽は差し込んでこない。
では何が元となって動いているのか。
考えられる可能性は今のところ一つしか浮かばない。
エーテリアの灯――それは周囲の魔力を安定させ、魔物の活動を抑制する物だと聞いた。
安定……この言葉がずっと気になっている。
もし仮に、魔力を損なわずに安定させることが出来る代物だとしたら、この遺跡の通路内部を照らしているエネルギー源はきっとそれになる。
それが本当ならば、永久機関も夢ではない、まさに伝承の古代魔道具。
国が欲しがる理由がもしそれなのだとしたら――
「うおっ!!」
「きゃっ!!」
アミナは考え事をしていると、前方からギーラとケイの悲鳴が聞こえ、ふと我に返って前を見上げた。
すると、目の前にギーラとケイの姿は無く、再び足元に目をやると、そこには底の見えない真っ黒な落とし穴らしきものがあった。
アミナは危うく一歩を踏み出しそうになり、後ろにいたエルミナに肩を抑えられ、なんとか踏みとどまった。
「アミナさん、これを」
そう言って冷静にエルミナはアミナに松明を預け、膝を地面について2人が落ちたであろう穴に向かって大声で叫んだ。
「ギーラ!!ケイ!!無事か!!」
その声が反響し、しばらくの間通路中に響き渡った。
声の反響する長さが、このダンジョンの広さをそのまま表しており、アミナは少し身構えた。
少しすると、穴の中から小さく響いた声で「大丈夫だ」と返ってきた。
どうやら底はあったようで、2人とも無事なようだった。
「上がってこれそうか!!」
「いや!!壁にとっかかりがないから登れそうにねぇ!!俺達はこっちから行くから!!お前等はそっちから頼んだ!!」
「分かった!!気をつけるのだぞ!!」
2人はそう会話していく。
エルミナは最後の一言を言うと、立ち上がり、アミナから松明を受け取った。
アミナは戦えないから私が持っている、と言ったが、エルミナは笑顔で松明を掴んだ。
手持ち無沙汰になったアミナは仕方無く、地面に座って穴の中を除いているフィーに声をかけた。
「どうしたのフィーちゃん?あの2人なら大丈夫だから、私達も進みましょう」
アミナはそう言って手を差し伸べたが、フィーはアミナと自身を待ちながら振り返っているエルミナの顔を見て、一瞬頷いたかと思うと、そのまま穴の中へと入っていった。
「フィーちゃん!?どうしたの!?」
アミナは突然の出来事に驚いたが、エルミナがフィーの顔を立てるように口を開いた。
「猫殿は2人が心配だったようだ。一瞬、私の目を見たが、あれは「2人が心配だから行ってくる。その代わり、アミナを危険な目に合わせたら許さんぞ」と言っている目だった。本当に主人に従順で賢い猫殿だ」
「そう……ですか」
「さぁ、2人の事は猫殿に任せて、私達も先に進もう。道を記録しながら進めば、いずれはゴールへ辿り着いて、2人とも合流できる」
エルミナはそう言ってアミナの背中を押して前に進んだ。
アミナはフィーが入っていった落とし穴に横目をやり、「フィーちゃん、気をつけてね」と呟いて先に進むこととした。
―――
そして現在に至る。
重たい扉が音を立てて閉じ、外界から切り離された空間に2人の影が沈む。
薄暗い光が差し込むのは入り口付近だけで、少し進めばすぐに闇が支配する。
遺跡の中は湿り気を帯びた空気が満ち、埃と苔の匂いが鼻を突いた。
「本当に広いですね、ここ。歩き始めてからどれだけ経ったんでしょう」
アミナが呟きながら背負った荷物の中から木から作り出した記録用のノートを取り出した。
中には通った道と出会った特徴的な地形、扉の位置、敵の種類などがびっしりと書き込まれている。
「少なくとも迷宮の名前に偽りはないようだな。ララバイ――『子守唄』というより、疲労で眠らされるという感じか」
アミナは地図の書かれたページを片手に進む方向を示した。
今は一度行った道が行き止まりだった為、戻っていたのだ。
「とりあえず入口から一番近い通路まで戻れました。次はこの通路を左に行っておきましょう」
エルミナは頷いてその方へ先に歩いた。
通路は直線的なものもあれば、複雑に入り組んだものもある。
どちらに進んでも似たような石の壁が続き、時折壁に刻まれた古い文字や紋様だけがこの遺跡の歴史を物語っていた。
二人が歩いていると、通路の奥から不気味な物音が響いてきた。
「またか」
エルミナは剣を構え、周囲の気配を探る。
ほどなくして、通路の奥から何かが這いずるような音が聞こえたかと思うと、複数の赤い目が闇の中に浮かび上がった。
「『スケルトンウォリアー』。何体いるんでしょうか……」
アミナが冷静に言うと、エルミナが鋭い声で応じる。
「ざっと五体以上。群れを成してくるのが厄介だ」
『スケルトンウォリアー』
危険度ランクCの魔物。
一体一体の力はそこまでだが、ダンジョンや洞窟内で群れをなすため厄介な魔物だ。
スケルトン達は骨と錆びた鎧で身を固め、手には欠けた剣や棍棒を持っている。
動きはぎこちないが、数の多さが脅威だ。
エルミナは前に出て、一体に向かって突進する。
剣が空を切る音と共にスケルトンの胴体を貫き、骨が砕ける音が響いた。
だが、倒れた一体を追うように別のスケルトンが迫る。
エルミナは剣を振り抜き、次の攻撃に移った。
後方にいるアミナはノートを取り出しながら、周囲の地形を素早く記録している。
戦闘中でも後戻りできる道を確保するため、彼女の役割は重要だ。
「エルミナさん! 左側からも来てます!」
エルミナは視線を横に向け、迫るスケルトンに剣を振るう。
だが数が多すぎて、倒しても倒しても湧いて出るようだった。
「数の差を埋めるなら、これしかないな!」
エルミナがそう叫ぶと、剣に魔法の力を込めた。
「聖なる炎刃に、焼かれ斬り裂かれよ!『剣技・灼』!!」
剣から炎が迸り、一振りで数体のスケルトンを巻き込んで炎に包み込む。
スケルトンたちは抵抗する間もなく燃え上がり、次々と崩れ落ちていった。
戦闘が終わると、2人は少しだけ息を整えた。
周囲には焼け焦げた骨や錆びた武器の残骸が散らばっている。
アミナはノートを見ながら言った。
「流石ですエルミナさん。でも、さっきの戦闘で時間を取られてしまいました。慎重に素早く、先へ進みましょう」
「あぁ。……すまないな遺跡に巣食う亡者達よ。私では貴方達を故郷の土に埋めてやることは出来ん。どうか、安らかに眠ってくれ」
エルミナはしばらくしゃがんで、手を握り合って祈った。
先程から、スケルトンウォリアーと戦った後はこうしていた。
彼女いわく、この魔物は死んだ人間の魂が朽ち果てた事により自我を失い、暴走して遺跡内を徘徊する死族になってしまっているそうだ。
だからエルミナの先程使った技のように、光や炎の属性を纏った攻撃に弱い。
その人達の魂を案じ、エルミナは祈りを捧げていたのだ。
「すまない、時間を取らせた。先へ進もう」
アミナは頷いて、先導するエルミナの後ろをついて歩いた。
―――
2人は再び通路を進むが、やがて行き止まりにぶつかる。
扉もなければ隠し通路のような仕掛けも見つからない。アミナが肩を落としながら言った。
「また外れか……戻るしかないですね」
「まぁ元来、ダンジョン攻略とはこう地道なものなのだ。だが不自由はかけさせない事は約束しよう」
エルミナが困ったような笑顔を見せながら、背後の道を振り返る。
戻る道にはスケルトンとの戦闘でできた爪痕や焦げた壁の跡が残されており、それが2人の通ってきた道を物語っていた。
次に進んだ通路は、一見すると真っ直ぐ続いているだけの普通の道のように見えた。
そしてしばらく進んでいると、広く大きな部屋に出た。
「地下にこれだけ大きな空間が……」
2人は上を見上げながら前に進む。
だが、足元に仕掛けられた罠にエルミナが気づくのは一瞬遅かった。
「伏せて!」
エルミナが叫ぶと同時に、部屋の壁から矢が飛び出してきた。
2人は身を低くして矢を避けたが、その音が新たな敵を呼び寄せた。
「また何か来ました……今度はなんでしょう」
奥から姿を現したのは、ゴーレムのような巨大な魔物だった。
石と鉄が組み合わさったその体は堅牢そのもので、一見すると剣が通るとは思えないほど頑丈そうだ。
エルミナは剣を構え直し、アミナに言った。
「後ろで待機してくれ。こいつは私が何とかする」
ゴーレムは重たい足音を立てながら近づいてくる。
その一撃は大地を揺るがすほどの威力があり、エルミナが一撃をかわすと、通路の床が砕けて砂埃が舞い上がった。
湿った遺跡の空気を切り裂くように、鈍い足音が響いた。
巨体がゆっくりと揺れるたびに、遺跡全体も震えるようだった。
エルミナは剣を握り直し、その鋭い視線をゴーレムに向ける。
「危険度ランクS……『ガーディアンゴーレム』か」
アミナが背後で息を呑む音が聞こえる。
エルミナはそれに応えず、剣を構えたまま一歩前に進んだ。
目の前にそびえるゴーレムは、まさに遺跡の守護者と呼ぶにふさわしい姿だった。
全身を覆うのは鈍く光る鉄と重厚な石の装甲。
その表面には古代文字のような刻印が浮かび上がり、淡い光を放っている。
ゴーレムが腕を動かすたびに、鉄が軋む音が遺跡中に響いた。
「アミナさん、後ろに下がっていてくれ。絶対にこいつの攻撃範囲に入らないでくれ。」
エルミナの声は冷静だったが、その中には緊張感が滲んでいた。
ゴーレムの目にあたる部分が赤く輝いた瞬間、巨体が急に動き出した。
まるで地響きのような振動と共に、その巨大な腕がエルミナに向かって振り下ろされる。
「速い……!」
エルミナは一瞬の判断で横に跳び、巨大な腕が床を叩きつけるのを避けた。
その一撃で遺跡の床が砕け、砂煙が巻き上がる。
「強そうってレベルじゃないなっ――!!」
彼女は小さく呟きながら剣を構え直し、素早く間合いを詰める。
ゴーレムの攻撃が重い分、隙が生まれるのはその直後だ。
その瞬間を狙う――それがエルミナの戦い方だった。
ゴーレムの次の攻撃が来る前に、エルミナは一気に距離を詰めて剣を振り上げる。
その刃がゴーレムの胴体部分に直撃するはずだったが、硬い装甲に阻まれ、弾かれるように剣が滑った。
「やはり硬いか」
エルミナは冷静に後退しながら状況を把握する。
ゴーレムの装甲は、普通の剣では到底貫けるものではない。
それどころか、攻撃が通る手ごたえすら感じられなかった。
ゴーレムはその場でゆっくりと振り向き、再びエルミナに向けて腕を振り下ろす。
今度は縦ではなく横薙ぎだ。その巨大な腕は、遺跡の狭い通路全体を覆うほどの範囲を持つ。
「不味い……!」
エルミナは即座に身を低くしてその攻撃をかわすが、その衝撃波だけで体が揺さぶられる。
壁に激突したゴーレムの腕が砕けた石片を撒き散らし、アミナが慌てて身を隠す。
「エルミナさん、大丈夫ですか!?」
アミナの声が響くが、エルミナは振り返らずに叫び返す。
「心配ない! 近づいて来てはダメだ!」
ゴーレムの巨体は鈍重そうに見えるが、その一撃一撃には計り知れない破壊力が宿っている。
彼女の体力を削る前に何とか対策を見つけなければならない。
「やっぱり弱点を探るしかない……どこか脆い部分があるはずだ」
エルミナは冷静さを保ちながら、ゴーレムの動きを観察する。
その巨大な胴体と四肢、そして鈍く赤く輝く目――どれもが堅牢に見えるが、どこかに綻びがあるはずだ。
そう考えているエルミナの後ろで、アミナは思考を巡らせる。
エルミナさんも何か相手の弱点を探している。
私も何か考えろ……!
ここで時間をあまり使わずに勝つ方法……!!
ゴーレムが再び動き出し、今度は拳を突き出してくる。
その速度は驚くほど速く、エルミナは剣を盾代わりにしてそれを受け流す。
だが、その衝撃で剣が軋み、手首に痺れるような痛みが走る。
「このままじゃ……埒が明かない!」
エルミナは剣を一度下ろし、深呼吸をする。
そして、再び剣を構え直すと、今度はその刃に魔力を込め始めた。
刃の表面が青白く光り始め、淡い光が彼女の周囲を照らす。
エルミナの剣と魔法を融合させた高レベル魔法『魔法付与』だ。
「これでどうだ。試す価値くらいはあるだろう……!!」
エルミナはゴーレムの足元を狙い、一気に突進した。
剣に込めた魔力を解放しながら、一撃を放つ。
その刃がゴーレムの膝部分に直撃すると、硬い装甲がわずかにヒビ割れる音が聞こえ、破片が飛び散る。
アミナは自分の足元に飛んできたその破片を手に取って触れると、「これって……」と驚きの表情を浮かべた。
「やっぱりそこが弱点……!」
対するエルミナはその瞬間を見逃さず、再び攻撃を仕掛ける。
今度はヒビの入った部分を正確に狙い、剣を振り下ろした。
その一撃でゴーレムの膝部分が完全に砕け、巨体がぐらつき始める。
「膝を崩せば、動きを止められる……!」
しかしそう思ったのもつかの間、足元の攻撃に集中していたエルミナは、まさかゴーレムが体勢を崩しながらも攻撃してくるとは思っておらず、倒れるのもお構いなしに振り下ろされたゴーレムの両の腕に体を強打された。
「―――ッ!!」
「エルミナさん!!」
アミナが声を上げたときには、エルミナは地面に打ち付けられ、砂埃の中ギリギリで立っていた。
殴打された頭からは血が流れ出し、肋付近からは骨が飛び出している。
防御力の要であるギーラがいない弊害がこんなところで現れてしまった。
「ぐぅっ……!!」
エルミナは更に吐血した。
これが危険度ランクSの魔物の力なのか、とアミナは驚愕したが、一瞬で頭を切り替えて戦闘態勢へ入る。
そして前に出て、エルミナに声を掛ける。
「エルミナさん、酷い怪我の貴女に、更に酷いお願いをしてもいいですか」
「……貴女の作戦だ。私は信じよう」
聞き返しもせずそう言ったエルミナにアミナは頷いて耳打ちをした。
それを聞き終わったエルミナは「そんな事が可能なのか……いや、私は貴女を信じると言ったんだ。貴女に委ねよう」と笑顔で言った。
2人はゴーレムへ向き直り、再び戦闘態勢を取った。
最初に動いたのはアミナだった。
その素早い身の熟しで、振り下ろされるゴーレムの腕や、攻撃が外れたことで地面に窪みが出来、それによって舞い上がった瓦礫を避けていく。
エルミナは瓦礫を避けながらゴーレムへと迫るアミナの後ろで魔法の詠唱をしていた。
「炎の盟約、蒼き流転、風の精霊、大地の女神、雷轟の鐘、渦巻き結合し、全を無に帰す――」
そしてゴーレムの背後へと回ると、アミナはゴーレムの脚と地面を同時に触れた。
触れた部位同士が光り、結合し、境目が無くなる。
ゴーレムは次第に動けなくなり、両膝をついて前方に倒れた。
「やっぱり!!地面と同じ素材だ……!!」
アミナは引き続き、エルミナの詠唱が終わるまで結合をし続ける。
ゴーレムは何が起こっているかわからない様子だったが、アミナの姿を足元に見つけるなり、その拳を振り下ろしてきた。
「光輪月下を曇らす永久の深淵よ、円環の檻を超え、混沌の彼方へと導け!!」
「今です!!」
アミナのその掛け声にエルミナは目を見開いて剣を構える。
アミナはすぐさま後ろに飛び退いて、その勢いで部屋の壁に背中を打ち付けた。
「やはり貴女には心底驚かされる!!―――七大合成魔剣!!
『虹呪・禍津葬送』!!」
エルミナは剣に最後の魔力を注ぎ込み、七色に光る魔力を込めた剣でゴーレムの胸元に向かって突進した。
その刃が輝きながら深々と刺さり、ゴーレムの体全体に白い光が走る。
そして――
巨大なゴーレムはその場に崩れ落ち、遺跡全体に響き渡る轟音を立てた。
埃が舞い上がり、静寂が訪れる。
エルミナは剣を収め、振り返ってアミナに微笑んだ。
エルミナは無事だったのか、と安堵したアミナだったが、次の瞬間には笑顔で前のめりに倒れ、血溜まりへと顔を埋めた。
「エルミナさん!!」
アミナはそう叫んで駆け寄った。
2人の危機にはまだ、終わりが訪れていなかった。
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