死に戻り悪役令嬢、すぐ燃える~最弱魔術師ですが『燃えると死に戻りする』を乱用して、全人類をひざまずかせます!~

屋根上花火

文字の大きさ
上 下
12 / 73
第5章 十二神襲撃!

1話 穢れた大地? 汚染されているなら浄化すればいいじゃない

しおりを挟む
「あなたたち、村の外に集まって何してるの?」
「あ、アビー様!」

 村人たちの困った顔を見て、声をかけたことを後悔した。
 これ面倒なやつだわ。

「じつは、ここの土が穢れているんじゃないかって話になったんです。もし穢れているなら、周辺の畑が使えなくなるかもしれません」
「村の近くの土が穢れてる? たしかに、魔術師の墓場の大地は穢れてるって話だけど……」
 
 大地の穢れとは、人体にとって有害な魔力や魔物の瘴気しょうきに汚染された大地のことをそう呼んでいる。

 ちょっと興味が出たので、土の状態を確認する。村人たちが取り囲んでいる土地には雑草ひとつ生えていない。周りの草花も枯れかけている。
 私の隣に立ったシルバーが、私と同じように土を眺めた。

「アビー様、どうですか? 私にはよくわかりませんが……」
「村長の家ひとつ分くらいの土地が穢れてるみたいね。原因は山賊の魔道具と魔物の瘴気よ。あいつが作成した魔道具は粗悪品だったから、地面に埋めたことで有害な魔力が漏れたみたいね」

 顔を上げると、村人たちはびっくりしたように目を丸くしていた。

「すごいです! そんなことまでわかるんですか!?」
「すごくはないわ。原因を突き止めただけよ」
「じゅうぶんですよ! 穢れていることはわかりましたし、残念ですが、周辺の畑はあきらめるしかなさそうですね」

 今度は私のほうが驚かされた。あきらめるの早すぎでしょ。

「どうしてそうなるのよ。汚染されてるなら浄化すればいいだけじゃない。穢れてるから捨てましょう、なんてやってたら住む場所がなくなるでしょ」
「浄化、ですか?」

 村人たちは「浄化」という単語を初めて聞いたような反応を見せた。

「穢れた土は捨てるか、その場所を放棄するしか方法がないのでは?」
「嘘でしょ、穢れた土は浄化するのが常識でしょ!?」
「それが都会の常識なんですね! 都会ってすげぇ!」

 なるほど、私の常識が通用しない場所ってことね。やっぱり面倒なことになった、と私は深くため息をついた。

「あーもう、わかったわ! 私がその土を浄化してあげる」
「そんなことができるのですか!?」
「できるわよ。私も試したいことがあるし、サービスしてあげる」
「ありがとうございます、アビー様!」

 村人たちはいちいち驚愕したり、大袈裟おおげさに喜んだりしている。
 十二神だった頃は、これくらいできて当たり前って思われていたから、何だか変な感じ。

「それにしても、くさいわね」

 穢れた大地から、生ゴミのようなひどい悪臭がした。
 魔力の扱いに長けた者ほど穢れに気づきやすいらしいけど、最悪な気分だ。

 私は穢れた大地に向けて右手をかざした。
 土の浄化は魔道具を使うのが常識。でも、今の私には万能治癒魔法がある。

「即席! 大地浄化アンバーヒール!」

 呪文を唱えると、穢れた大地が黄金色に輝いた。光が消えると、土の中から無数の泡の玉がふわりと浮いて、パチンと弾ける。
 瘴気が泡となって浄化されたことで悪臭が消えて、土の色も明るく綺麗になった。枯れかけていた草花も元気を取り戻していく。

「うん、ざっとこんなものね! 魔道具がなくてもいけるじゃない! あなたたち、終わったわよ」
 
 私が浄化作業を終えると、村人たちの大歓声が上がった。
 予想外の反応に、私はきょとんとしてしまった。

「すごい! もう二度と使えないと思った土がこんなに綺麗になるなんて!」
「あんなに美しい魔法、初めて見ました! 草花も元気になって、景色に色が戻ったみたい!」
「アビー様の魔法すごい! どうやったんですか? 私たちでも浄化はできますか?」

 矢継ぎ早に質問が飛んできて、どう答えればいいのかわからない。
 とりあえず、村人たちが感激しているってことはわかるわ。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

悪役令嬢は大好きな絵を描いていたら大変な事になった件について!

naturalsoft
ファンタジー
『※タイトル変更するかも知れません』 シオン・バーニングハート公爵令嬢は、婚約破棄され辺境へと追放される。 そして失意の中、悲壮感漂う雰囲気で馬車で向かって─ 「うふふ、計画通りですわ♪」 いなかった。 これは悪役令嬢として目覚めた転生少女が無駄に能天気で、好きな絵を描いていたら周囲がとんでもない事になっていったファンタジー(コメディ)小説である! 最初は幼少期から始まります。婚約破棄は後からの話になります。

学園首席の私は魔力を奪われて婚約破棄されたけど、借り物の魔力でいつまで調子に乗っているつもり?

今川幸乃
ファンタジー
下級貴族の生まれながら魔法の練習に励み、貴族の子女が集まるデルフィーラ学園に首席入学を果たしたレミリア。 しかし進級試験の際に彼女の実力を嫉妬したシルヴィアの呪いで魔力を奪われ、婚約者であったオルクには婚約破棄されてしまう。 が、そんな彼女を助けてくれたのはアルフというミステリアスなクラスメイトであった。 レミリアはアルフとともに呪いを解き、シルヴィアへの復讐を行うことを決意する。 レミリアの魔力を奪ったシルヴィアは調子に乗っていたが、全校生徒の前で魔法を披露する際に魔力を奪い返され、醜態を晒すことになってしまう。 ※3/6~ プチ改稿中

婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。

拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。

ひめさまはおうちにかえりたい

あかね
ファンタジー
政略結婚と言えど、これはない。帰ろう。とヴァージニアは決めた。故郷の兄に気に入らなかったら潰して帰ってこいと言われ嫁いだお姫様が、王冠を手にするまでのお話。(おうちにかえりたい編)

モブで可哀相? いえ、幸せです!

みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。 “あんたはモブで可哀相”。 お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

神様と呼ばれた精霊使い ~個性豊かな精霊達と共に~

川原源明
ファンタジー
ルマーン帝国ハーヴァー地方の小さな村に一人の少女がいた。 彼女の名はラミナ、小さな村で祖母と両親と4人で平和な生活を送っていた。 そんなある日のこと、狩りに行った父が倒れ、仲間の狩人に担がれて帰宅。 祖母の必死な看病もむなしく数時間後には亡くなり、同日母親も謎の病で息を引き取った。 両親が立て続けに亡くなった事で絶望で埋め尽くされているなか、 『ラミナ元気出しぃ、ウチが側におるから! と言うても聞こえてへんか……』 活発そうな女の子の声が頭の中に響いた。 祖母にそのことを話すと、代々側に居る精霊様では無いかという そして、週末にあるスキル継承の儀で『精霊使い』を授かるかもしれないねと言われ、 絶望の中に居る少女に小さな明かりが灯った気がした。 そして、週末、スキル継承の儀で念願の『精霊使い』を授かり、少女の物語はここから始まった。 先祖の甥に学園に行ってみてはといわれ、ルマーン帝国国立アカデミーに入学、そこで知り合った友人や先輩や先生等と織りなす物語 各地に散る精霊達と契約しながら 外科医療の存在しない世の中で、友人の肺に巣くう病魔を取り除いたり 探偵のまねごとをしている精霊とアカデミー7不思議の謎を解いたり ラミナ自身は学内武道会には参加しないけれど、400年ぶりに公衆の面前に姿を現す精霊達 夏休みには,思ってもみなかったことに巻き込まれ 収穫祭&学園祭では、○○役になったりと様々なことに巻き込まれていく。 そして、数年後には、先祖の軌跡をなぞるように、ラミナも世界に羽ばたく。 何事にも捕らわれない発想と、様々な経験をしていくことで、周囲から神様と呼ばれるようになった一人の精霊使いの物語のはじまりはじまり

処理中です...