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第5章 十二神襲撃!
1話 穢れた大地? 汚染されているなら浄化すればいいじゃない
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「あなたたち、村の外に集まって何してるの?」
「あ、アビー様!」
村人たちの困った顔を見て、声をかけたことを後悔した。
これ面倒なやつだわ。
「じつは、ここの土が穢れているんじゃないかって話になったんです。もし穢れているなら、周辺の畑が使えなくなるかもしれません」
「村の近くの土が穢れてる? たしかに、魔術師の墓場の大地は穢れてるって話だけど……」
大地の穢れとは、人体にとって有害な魔力や魔物の瘴気に汚染された大地のことをそう呼んでいる。
ちょっと興味が出たので、土の状態を確認する。村人たちが取り囲んでいる土地には雑草ひとつ生えていない。周りの草花も枯れかけている。
私の隣に立ったシルバーが、私と同じように土を眺めた。
「アビー様、どうですか? 私にはよくわかりませんが……」
「村長の家ひとつ分くらいの土地が穢れてるみたいね。原因は山賊の魔道具と魔物の瘴気よ。あいつが作成した魔道具は粗悪品だったから、地面に埋めたことで有害な魔力が漏れたみたいね」
顔を上げると、村人たちはびっくりしたように目を丸くしていた。
「すごいです! そんなことまでわかるんですか!?」
「すごくはないわ。原因を突き止めただけよ」
「じゅうぶんですよ! 穢れていることはわかりましたし、残念ですが、周辺の畑はあきらめるしかなさそうですね」
今度は私のほうが驚かされた。あきらめるの早すぎでしょ。
「どうしてそうなるのよ。汚染されてるなら浄化すればいいだけじゃない。穢れてるから捨てましょう、なんてやってたら住む場所がなくなるでしょ」
「浄化、ですか?」
村人たちは「浄化」という単語を初めて聞いたような反応を見せた。
「穢れた土は捨てるか、その場所を放棄するしか方法がないのでは?」
「嘘でしょ、穢れた土は浄化するのが常識でしょ!?」
「それが都会の常識なんですね! 都会ってすげぇ!」
なるほど、私の常識が通用しない場所ってことね。やっぱり面倒なことになった、と私は深くため息をついた。
「あーもう、わかったわ! 私がその土を浄化してあげる」
「そんなことができるのですか!?」
「できるわよ。私も試したいことがあるし、サービスしてあげる」
「ありがとうございます、アビー様!」
村人たちはいちいち驚愕したり、大袈裟に喜んだりしている。
十二神だった頃は、これくらいできて当たり前って思われていたから、何だか変な感じ。
「それにしても、くさいわね」
穢れた大地から、生ゴミのようなひどい悪臭がした。
魔力の扱いに長けた者ほど穢れに気づきやすいらしいけど、最悪な気分だ。
私は穢れた大地に向けて右手をかざした。
土の浄化は魔道具を使うのが常識。でも、今の私には万能治癒魔法がある。
「即席! 大地浄化!」
呪文を唱えると、穢れた大地が黄金色に輝いた。光が消えると、土の中から無数の泡の玉がふわりと浮いて、パチンと弾ける。
瘴気が泡となって浄化されたことで悪臭が消えて、土の色も明るく綺麗になった。枯れかけていた草花も元気を取り戻していく。
「うん、ざっとこんなものね! 魔道具がなくてもいけるじゃない! あなたたち、終わったわよ」
私が浄化作業を終えると、村人たちの大歓声が上がった。
予想外の反応に、私はきょとんとしてしまった。
「すごい! もう二度と使えないと思った土がこんなに綺麗になるなんて!」
「あんなに美しい魔法、初めて見ました! 草花も元気になって、景色に色が戻ったみたい!」
「アビー様の魔法すごい! どうやったんですか? 私たちでも浄化はできますか?」
矢継ぎ早に質問が飛んできて、どう答えればいいのかわからない。
とりあえず、村人たちが感激しているってことはわかるわ。
「あ、アビー様!」
村人たちの困った顔を見て、声をかけたことを後悔した。
これ面倒なやつだわ。
「じつは、ここの土が穢れているんじゃないかって話になったんです。もし穢れているなら、周辺の畑が使えなくなるかもしれません」
「村の近くの土が穢れてる? たしかに、魔術師の墓場の大地は穢れてるって話だけど……」
大地の穢れとは、人体にとって有害な魔力や魔物の瘴気に汚染された大地のことをそう呼んでいる。
ちょっと興味が出たので、土の状態を確認する。村人たちが取り囲んでいる土地には雑草ひとつ生えていない。周りの草花も枯れかけている。
私の隣に立ったシルバーが、私と同じように土を眺めた。
「アビー様、どうですか? 私にはよくわかりませんが……」
「村長の家ひとつ分くらいの土地が穢れてるみたいね。原因は山賊の魔道具と魔物の瘴気よ。あいつが作成した魔道具は粗悪品だったから、地面に埋めたことで有害な魔力が漏れたみたいね」
顔を上げると、村人たちはびっくりしたように目を丸くしていた。
「すごいです! そんなことまでわかるんですか!?」
「すごくはないわ。原因を突き止めただけよ」
「じゅうぶんですよ! 穢れていることはわかりましたし、残念ですが、周辺の畑はあきらめるしかなさそうですね」
今度は私のほうが驚かされた。あきらめるの早すぎでしょ。
「どうしてそうなるのよ。汚染されてるなら浄化すればいいだけじゃない。穢れてるから捨てましょう、なんてやってたら住む場所がなくなるでしょ」
「浄化、ですか?」
村人たちは「浄化」という単語を初めて聞いたような反応を見せた。
「穢れた土は捨てるか、その場所を放棄するしか方法がないのでは?」
「嘘でしょ、穢れた土は浄化するのが常識でしょ!?」
「それが都会の常識なんですね! 都会ってすげぇ!」
なるほど、私の常識が通用しない場所ってことね。やっぱり面倒なことになった、と私は深くため息をついた。
「あーもう、わかったわ! 私がその土を浄化してあげる」
「そんなことができるのですか!?」
「できるわよ。私も試したいことがあるし、サービスしてあげる」
「ありがとうございます、アビー様!」
村人たちはいちいち驚愕したり、大袈裟に喜んだりしている。
十二神だった頃は、これくらいできて当たり前って思われていたから、何だか変な感じ。
「それにしても、くさいわね」
穢れた大地から、生ゴミのようなひどい悪臭がした。
魔力の扱いに長けた者ほど穢れに気づきやすいらしいけど、最悪な気分だ。
私は穢れた大地に向けて右手をかざした。
土の浄化は魔道具を使うのが常識。でも、今の私には万能治癒魔法がある。
「即席! 大地浄化!」
呪文を唱えると、穢れた大地が黄金色に輝いた。光が消えると、土の中から無数の泡の玉がふわりと浮いて、パチンと弾ける。
瘴気が泡となって浄化されたことで悪臭が消えて、土の色も明るく綺麗になった。枯れかけていた草花も元気を取り戻していく。
「うん、ざっとこんなものね! 魔道具がなくてもいけるじゃない! あなたたち、終わったわよ」
私が浄化作業を終えると、村人たちの大歓声が上がった。
予想外の反応に、私はきょとんとしてしまった。
「すごい! もう二度と使えないと思った土がこんなに綺麗になるなんて!」
「あんなに美しい魔法、初めて見ました! 草花も元気になって、景色に色が戻ったみたい!」
「アビー様の魔法すごい! どうやったんですか? 私たちでも浄化はできますか?」
矢継ぎ早に質問が飛んできて、どう答えればいいのかわからない。
とりあえず、村人たちが感激しているってことはわかるわ。
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