政略結婚が恋愛結婚に変わる時。

揺れ動く心

22

瀬川の言葉に納得する。

…ああ。

あれが副社長の。

若いから盛ってるのか？

そんな事を考えながら。

ネクタイをキュッと直して、バルコニーとは反対の方向へ歩いて行こうとすると。

「おい！お前、どこ行くんだよ！」

うるさいな。

「…どこ行くってそんなのまだ決めてないけど。」

だまれ。

「は？！助けに行けよ！」

お前に関係無いだろう。

「だから、何で。興味ないし、勝手に恋愛でも何でもすれば良いよ。」

俺が冷たくそう言うと。

「お前、あの男がどういう男か知ってんのかよ？！」

は？

何が嬉しくて、

あんな男の。

そう思いながらも。

瀬川の必死な形相に眉を寄せて。

「…だから、仕事が出来て、かっこ良くて、お金持ってて「それ以外の話だよ！」

何の話だ。

意味が分からない。

「？瑞紀の事を気に入ってる「あの男！お金あって顔良いからって、その辺の女とっかえひっかえして用が済んだら捨てる、用が済んだら捨てるの繰り返しなんだよ！」

…は。

何だと。

俺が眉を寄せながら瀬川を見ると。

「…何それ。」

「だから、お前は…」

瀬川の呆れたような言葉を最後まで聞く前に。

俺は、足を踏み出した。