政略結婚が恋愛結婚に変わる時。

二人の間にある距離

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＊瑞紀side＊
「…っちょ、瑞紀、行っちゃうよ！良いの？！」

隣にいる友達の声を聞きながら。

目の前に置かれた私がいつもお弁当箱を入れているバックを開けて中を見ると。

そこには案の定お弁当箱が入っていて。

でも、私、今日はお弁当の中身も作らないままで…

お弁当を開くと。

そこには。

「…っ」

私はお弁当を机の上に置いてガタン、と勢い良く椅子から立ち上がってざわつく教室の中を急いで歩いて教室と同じように騒めく廊下を見回すと。

…いた。

階段をおりていく知哉さんの背中に向かって。

「…っ知哉さん！」

そう言うと。

知哉さんはゆっくりと振り返って、私を見る。

「…っあれ、作ってくれたんですか？」

知哉さんは私の言葉に眉を寄せて
「じゃなきゃ、あの色んな食料出したままでどうするの。」

あ、私…

そういえば出したままで…

「…すみません」

私が目を伏せると。

知哉さんは階段の下から私を見上げて、スーツのポケットに手を突っ込んだまま。

「食べたくないなら、それで良い。」

そう言ってそのまま行こうと歩き出す知哉さんに対して。

…何で。

そうなるの。

「…っ」

急いで階段を下りて知哉さんの元まで走って行く。

そんな私の足音に気づいた知哉さんは目を見開いて私を見る。

「食べないわけっ、無いじゃないですか！」

私がそう言うと。

知哉さんは眉を寄せながら私を見て。

「…あ、そ。好きにすれば。」

その言葉に。

私は笑いながら。

「ありがとうございました、知哉さん。」

返事をしないまま、歩き出した知哉さんの背中に。

「…いってらっしゃい。」

そう呟いた。