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二人の間にある距離

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「…瑞紀。」

それから、俺は朝は少し遅めに夜は少し早めに家から出たり帰って来たりして、昼ご飯以外は家で食べるようになった。

いつものように朝、起きて自室から出ると。

瑞紀はいつもと違って慌てたようにバタバタと廊下を走って、俺の前を通り過ぎ声をかけた俺を見ながらローファーを履き続けてる。

「…と、もやさん。おはようございますっ。私、今日日直で!ご飯は作ってありますから!すみません、もう行かなくちゃ…っ。」

そう言って瑞紀は俺の返事も聞かずにさっさとドアから出て行った。

何なんだ。

朝から騒がしい。

そんな事を考えながらワイシャツとスーツのズボンをはいてリビングへと入る。

ダイニングテーブルの上にはいつもの様に綺麗に並べられた朝ごはん。

俺がご飯が好きだからだろう、和食でバランスが整ってる物。

カタン

静かに椅子に座って、近くにあったテレビのリモコンを手に取ってニュースをつける。

そのニュースを見ながら、ご飯を食べ終えて。

お皿は今洗っておかないと、瑞紀が帰って来るまでそのままになるから洗おうとキッチンに歩いて行くと。

「…」

キッチンには、ボウルの中に二個の卵がすでに割られていて、ウィンナーが袋から飛び出して、瑞紀がいつも使っているお弁当は空のまま無残にも置かれたままで。

カチャン…

流しに食器を置いて。

ボウルを手に取って、中に割ってある卵を少しグルグルと回す。

「…」

お弁当、作る途中で日直である事に気づいたのか。

こんなままで。

このまま放置して置いたら虫がわく。

何より、この食料がもったいない。

あの女。

俺は腕時計を見てため息をついて、斜め下にあった引き出しを開けた。

「…え、だれ、あの人…」

うるさい。

こっちを見るな、鬱陶しい。

高校生は、相手に気づかれない様に見るという事が出来ないのか。

しかも聞こえるぐらいの大きさで声に出して。

暇なのか。

「え、イケメーン♥」

そこら辺のトイレでは、数人の女子が鏡を見て身支度を整えてる。

瑞紀みたいに家でやって行け。

見える所でやるな。

しかもそんなにバッチリしたら、確かに顔も変わるだろ。

「え、何しに来たんです「うるさい。邪魔。」

話しかけて来た香水がきついくらいに香る女子生徒を一目で黙らして。

男子も男子で、ワックスで髪を立たせてる。

そんなに立ってても身長そんな変わらないし、盛りすぎて変だし。

しかもここは学校だろう。

勉強しろ。

そんな事を思いつつ、廊下にいるたくさんの生徒の目線を受け流しながら辿り着いた瑞紀の教室を勢い良く開ける。

ガラ

俺が教室のドアを開けると、それまで騒がしかった教室が一気に静まり返った。
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