123 / 125
望んだ未来
9
しおりを挟む
二人は自分達の事を政略結婚だって言うけど、二人の話を聞いてると俺としては立派な恋愛結婚だと思う。
だって母さんは、結婚する時父さんの事が好きだったわけだし。
うん。
その後は、母さんよりむしろ父さんが母さんにのめり込んだ感じだ。
母さんにそっくりの妹にまで執着してるし。
…ま、母さんも父さんと同じくらい、父さんにそっくりの俺に執着してくるけど。
それに、父さんも同じ副社長である瀬川さんの話を聞く限り、父さんは会社でも母さんの事をかなり束縛しているようで。
何でも父さんが前の副社長の会社のお金を微量に自分に横流しした事を、めざとく(父さんによるとたまたま)、見つけてそれを社長に密告した時から父さんは社長のお気に入りらしく、そのおかげで母さんも父さんと同じエリート会社に入れたらしい。
…ま、そんな事なしにしても母さんは入社試験を余裕で突破出来る頭を持ってたらしいけど。
本当は、その時点ですでに総務部長となっていた父さんは、自分の秘書に付ける気だったらしいが、人事部長であった瀬川さんが勝手に
“可愛い子には旅をさせようぜー”
とか何とか意味の分から無い事を言って、受付嬢にしたらしい。
それを知った時の。
父さんの一言は。
『…一回死んでよ。』
だったらしい。
そんな事を言われながらも母さんを今の秘書に、受付嬢から暫く動かさなかったのは父さんの反応が度を超えて面白かったらしい。
いつもは仕事以外で瀬川さんの話をろくに聞かない父さんに、瀬川さんが冗談で少し息を切らした振りをしながらノックもせずに父さんの副社長室に入って
『…な、『悠河!大変だ、瑞紀ちゃんが…!』
そう言うと。
父さんは眉を寄せながら素早く手に持っていた書類を机の上に置き座っていた椅子から立ち。
ドアの前にいる瀬川さんを無理矢理押しのけて母さんの元まで向かって。
…父さんには珍しく同じ話で何回もだまされて。
瀬川さんは少し汗ばんで急いで母さんの元まで走って眉を寄せながら意味が分から無い、というような顔をしている母さんと話してる父さんを上から見ては。
“…マジで最高。”
そう思ったらしい。
だって母さんは、結婚する時父さんの事が好きだったわけだし。
うん。
その後は、母さんよりむしろ父さんが母さんにのめり込んだ感じだ。
母さんにそっくりの妹にまで執着してるし。
…ま、母さんも父さんと同じくらい、父さんにそっくりの俺に執着してくるけど。
それに、父さんも同じ副社長である瀬川さんの話を聞く限り、父さんは会社でも母さんの事をかなり束縛しているようで。
何でも父さんが前の副社長の会社のお金を微量に自分に横流しした事を、めざとく(父さんによるとたまたま)、見つけてそれを社長に密告した時から父さんは社長のお気に入りらしく、そのおかげで母さんも父さんと同じエリート会社に入れたらしい。
…ま、そんな事なしにしても母さんは入社試験を余裕で突破出来る頭を持ってたらしいけど。
本当は、その時点ですでに総務部長となっていた父さんは、自分の秘書に付ける気だったらしいが、人事部長であった瀬川さんが勝手に
“可愛い子には旅をさせようぜー”
とか何とか意味の分から無い事を言って、受付嬢にしたらしい。
それを知った時の。
父さんの一言は。
『…一回死んでよ。』
だったらしい。
そんな事を言われながらも母さんを今の秘書に、受付嬢から暫く動かさなかったのは父さんの反応が度を超えて面白かったらしい。
いつもは仕事以外で瀬川さんの話をろくに聞かない父さんに、瀬川さんが冗談で少し息を切らした振りをしながらノックもせずに父さんの副社長室に入って
『…な、『悠河!大変だ、瑞紀ちゃんが…!』
そう言うと。
父さんは眉を寄せながら素早く手に持っていた書類を机の上に置き座っていた椅子から立ち。
ドアの前にいる瀬川さんを無理矢理押しのけて母さんの元まで向かって。
…父さんには珍しく同じ話で何回もだまされて。
瀬川さんは少し汗ばんで急いで母さんの元まで走って眉を寄せながら意味が分から無い、というような顔をしている母さんと話してる父さんを上から見ては。
“…マジで最高。”
そう思ったらしい。
0
お気に入りに追加
845
あなたにおすすめの小説
愛のかたち
凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。
ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は……
情けない男の不器用な愛。
【完】あなたから、目が離せない。
ツチノカヲリ
恋愛
入社して3年目、デザイン設計会社で膨大な仕事に追われる金目杏里(かなめあんり)は今日も徹夜で図面を引いていた。共に徹夜で仕事をしていた現場監理の松山一成(まつやまひとなり)は、12歳年上の頼れる男性。直属の上司ではないが金目の入社当時からとても世話になっている。お互い「人として」の好感は持っているものの、あくまで普通の会社の仲間、という間柄だった。ところがある夏、金目の30歳の誕生日をきっかけに、だんだんと二人の距離が縮まってきて、、、。
・全18話、エピソードによってヒーローとヒロインの視点で書かれています。
誰にも言えないあなたへ
天海月
恋愛
子爵令嬢のクリスティーナは心に決めた思い人がいたが、彼が平民だという理由で結ばれることを諦め、彼女の事を見初めたという騎士で伯爵のマリオンと婚姻を結ぶ。
マリオンは家格も高いうえに、優しく美しい男であったが、常に他人と一線を引き、妻であるクリスティーナにさえ、どこか壁があるようだった。
年齢が離れている彼にとって自分は子供にしか見えないのかもしれない、と落ち込む彼女だったが・・・マリオンには誰にも言えない秘密があって・・・。


愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。
初恋の呪縛
泉南佳那
恋愛
久保朱利(くぼ あかり)27歳 アパレルメーカーのプランナー
×
都築 匡(つづき きょう)27歳 デザイナー
ふたりは同じ専門学校の出身。
現在も同じアパレルメーカーで働いている。
朱利と都築は男女を超えた親友同士。
回りだけでなく、本人たちもそう思っていた。
いや、思いこもうとしていた。
互いに本心を隠して。
じれったい夜の残像
ペコかな
恋愛
キャリアウーマンの美咲は、日々の忙しさに追われながらも、
ふとした瞬間に孤独を感じることが増えていた。
そんな彼女の前に、昔の恋人であり今は経営者として成功している涼介が突然現れる。
再会した涼介は、冷たく離れていったかつての面影とは違い、成熟しながらも情熱的な姿勢で美咲に接する。
再燃する恋心と、互いに抱える過去の傷が交錯する中で、
美咲は「じれったい」感情に翻弄される。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる