105 / 125
見えてきた“彼女”
2
しおりを挟む
すると。
瑞紀は、俺の知ってる瑞紀とは別人の様に白く、今にも倒れそうな顔で。
ゆっくりと振り返って、俺を見て笑った。
俺がその姿に思わず眉を寄せると。
瑞紀は、寂しそうに。
かと思えば嬉しそうに。
「…もう、見つけられてしまったんですね。」
その左手には。
俺がはめた指輪がはまってる。
「…必死で、探したからね。」
俺がそう言葉を絞り出すと。
瑞紀は何を考えてるのか分からない顔で少し笑いながら。
「すみません。」
と言って。
それから。
ゆっくりと。
その意味を噛み締める様に。
「…知哉さん。」
と言った。
「…っ」
その声に思わず、瑞紀が座るベットまで早足で近づいて行ってそんな俺を見ても笑い続けている瑞紀を抱きしめる。
この、甘い匂いも。
この、白く細い体も。
全て。
もう二度と離さない。
「…本当に、勝手な事してくれるね。君。」
あぁ。
もう。
すっかり。
瑞紀もそんな俺を点滴注射の線がたくさんついた腕で抱きしめ返しながら。
瑞紀は涙を抑えたような声で。
抱きしめる俺に顔をうずめながら。
「知哉さん。大好きです。愛してます。」
と言った。
瑞紀は、俺の知ってる瑞紀とは別人の様に白く、今にも倒れそうな顔で。
ゆっくりと振り返って、俺を見て笑った。
俺がその姿に思わず眉を寄せると。
瑞紀は、寂しそうに。
かと思えば嬉しそうに。
「…もう、見つけられてしまったんですね。」
その左手には。
俺がはめた指輪がはまってる。
「…必死で、探したからね。」
俺がそう言葉を絞り出すと。
瑞紀は何を考えてるのか分からない顔で少し笑いながら。
「すみません。」
と言って。
それから。
ゆっくりと。
その意味を噛み締める様に。
「…知哉さん。」
と言った。
「…っ」
その声に思わず、瑞紀が座るベットまで早足で近づいて行ってそんな俺を見ても笑い続けている瑞紀を抱きしめる。
この、甘い匂いも。
この、白く細い体も。
全て。
もう二度と離さない。
「…本当に、勝手な事してくれるね。君。」
あぁ。
もう。
すっかり。
瑞紀もそんな俺を点滴注射の線がたくさんついた腕で抱きしめ返しながら。
瑞紀は涙を抑えたような声で。
抱きしめる俺に顔をうずめながら。
「知哉さん。大好きです。愛してます。」
と言った。
0
お気に入りに追加
845
あなたにおすすめの小説
愛のかたち
凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。
ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は……
情けない男の不器用な愛。

初恋の呪縛
泉南佳那
恋愛
久保朱利(くぼ あかり)27歳 アパレルメーカーのプランナー
×
都築 匡(つづき きょう)27歳 デザイナー
ふたりは同じ専門学校の出身。
現在も同じアパレルメーカーで働いている。
朱利と都築は男女を超えた親友同士。
回りだけでなく、本人たちもそう思っていた。
いや、思いこもうとしていた。
互いに本心を隠して。

自信家CEOは花嫁を略奪する
朝陽ゆりね
恋愛
「あなたとは、一夜限りの関係です」
そのはずだったのに、
そう言ったはずなのに――
私には婚約者がいて、あなたと交際することはできない。
それにあなたは特定の女とはつきあわないのでしょ?
だったら、なぜ?
お願いだからもうかまわないで――
松坂和眞は特定の相手とは交際しないと宣言し、言い寄る女と一時を愉しむ男だ。
だが、経営者としての手腕は世間に広く知られている。
璃桜はそんな和眞に憧れて入社したが、親からもらった自由な時間は3年だった。
そしてその期間が来てしまった。
半年後、親が決めた相手と結婚する。
退職する前日、和眞を誘惑する決意をし、成功するが――

禁断の関係かもしれないが、それが?
しゃーりん
恋愛
王太子カインロットにはラフィティという婚約者がいる。
公爵令嬢であるラフィティは可愛くて人気もあるのだが少し頭が悪く、カインロットはこのままラフィティと結婚していいものか、悩んでいた。
そんな時、ラフィティが自分の代わりに王太子妃の仕事をしてくれる人として連れて来たのが伯爵令嬢マリージュ。
カインロットはマリージュが自分の異母妹かもしれない令嬢だということを思い出す。
しかも初恋の女の子でもあり、マリージュを手に入れたいと思ったカインロットは自分の欲望のためにラフィティの頼みを受け入れる。
兄妹かもしれないが子供を生ませなければ問題ないだろう?というお話です。
【完】あなたから、目が離せない。
ツチノカヲリ
恋愛
入社して3年目、デザイン設計会社で膨大な仕事に追われる金目杏里(かなめあんり)は今日も徹夜で図面を引いていた。共に徹夜で仕事をしていた現場監理の松山一成(まつやまひとなり)は、12歳年上の頼れる男性。直属の上司ではないが金目の入社当時からとても世話になっている。お互い「人として」の好感は持っているものの、あくまで普通の会社の仲間、という間柄だった。ところがある夏、金目の30歳の誕生日をきっかけに、だんだんと二人の距離が縮まってきて、、、。
・全18話、エピソードによってヒーローとヒロインの視点で書かれています。

片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる