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近づく距離
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コーヒーだって、
いれたままで。
一口しか飲んでなくて。
リビングの電気も、
自室の電気も、
廊下の電気も。
全て点けたまま。
かろうじて玄関の鍵は閉めてきたけど、外はまだ肌寒いのにスーツのジャケットだって部屋に置いてきたままで。
何やってるんだ。
そう思いながらも。
財布も、何も持たず。
手に持ってるのは、広げた紙とその下に置いてあったメモ用紙。
エレベーターが来るのを待ちきれずに年甲斐もなく階段を全力で駆け下りて。
真っ暗で何も見えない外の中に飛び出して。
いるはずもない面影を探して辺りを見回す。
…は。
「…どう言う事。」
わけが分からない。
意味が分からない。
だって、昨日は。
君だって、あんなに。
なのに。
何で。
どうして。
握られた右手には。
握りすぎてくしゃくしゃになった、一方的に書かれた離婚届と
『知哉さん。ありがとうございました。私、知哉さんが旦那さんで良かったです。』
そう書いてある、メモ用紙。
どう言う事だ。
何で過去形になっている。
何で。
何で。
何で。
何で。
昨日は、あんなに俺の名前を呼んで。
俺に応えたのに。
目的地もなく。
探すあてもないまま。
夜中になるまで。
途方もなく歩き回るしかなかった。
いれたままで。
一口しか飲んでなくて。
リビングの電気も、
自室の電気も、
廊下の電気も。
全て点けたまま。
かろうじて玄関の鍵は閉めてきたけど、外はまだ肌寒いのにスーツのジャケットだって部屋に置いてきたままで。
何やってるんだ。
そう思いながらも。
財布も、何も持たず。
手に持ってるのは、広げた紙とその下に置いてあったメモ用紙。
エレベーターが来るのを待ちきれずに年甲斐もなく階段を全力で駆け下りて。
真っ暗で何も見えない外の中に飛び出して。
いるはずもない面影を探して辺りを見回す。
…は。
「…どう言う事。」
わけが分からない。
意味が分からない。
だって、昨日は。
君だって、あんなに。
なのに。
何で。
どうして。
握られた右手には。
握りすぎてくしゃくしゃになった、一方的に書かれた離婚届と
『知哉さん。ありがとうございました。私、知哉さんが旦那さんで良かったです。』
そう書いてある、メモ用紙。
どう言う事だ。
何で過去形になっている。
何で。
何で。
何で。
何で。
昨日は、あんなに俺の名前を呼んで。
俺に応えたのに。
目的地もなく。
探すあてもないまま。
夜中になるまで。
途方もなく歩き回るしかなかった。
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