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第三部 トゥー・ワールド・ウォーズ
二代国大戦ーその14
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ヴィトはエドワードが予想以上にダメージを受けている事を知り、目を丸くせずにはいられない。
「何故、アイツはあんなにもダメージを受けているんだ……?)
その時にヴィトの脳裏をよぎったのは、自分の愛用の王家の剣の黄金の光が、いつものように剣を覆っているのではなく、外に向かって放出されたという事だ。
(あの剣がアイツの体にダメージを与えたとでもいうのか?そうとしか考えられんな……実際にオレは今まで、この光は今まで剣の中で輝いて、それから剣の力を強化していた……だが、これこそがオレの身を守るための防御魔法だったとしたら……)
ヴィトの中に浮かんだ仮説はたった一つ。
(あの黄金の光の力は、剣を覆う事で、防御すると同時に剣本体の攻撃力も高めていたんだ……つまり、あれは防御魔法であると同時に攻撃魔法でもあったんだッ!だけど、次の問題点は……)
ヴィトは再び剣を覆っているの黄金の光に目をやる。
(これを放出しちまうと……オレを守る光も消えてしまうという事だな……)
ヴィトは思わぬ事態に唇を噛み締めたが、すぐに木から立ち上がり、左手にダメージを負っている巨大な狼の姿をしたエドワードに向かって叫ぶ。
「おい、エドワードッ!お前とオレとの勝負はここからだろ?オレともっとやれよッ!」
エドワードはそれに答えるように、何本ものサーベルを生やしているかのような歯を見せて笑う。
「ふふふ、いいだろう……先程はお前の攻撃にやられてしまったが、余の最大のパワーを見せてやろうッ!」
エドワードはそう叫んだ瞬間に右手を炎で覆わせる。
(まさか……アイツめッ!)
ヴィトはそれを見た瞬間に、エドワードは自分の右手或いはあの鋭い爪に炎魔法を付け加えたのだと考えた。
「お前も驚いたようだな、余の爪に炎魔法を付け加える事により、余の爪の力は更に強まっていったのだッ!炎という人間の最大の友を加える事によってなッ!」
エドワードは自分の右手を横に振って、ヴィトを攻撃する。
ヴィトは浮遊魔法を使い、その場を逃れたのだが、周りの木々が燃え始める。
「やばいヤローだぜ、アイツめ見境なしって事かよ……」
ヴィトは炎に包まれた木々に囲まれた中に立っている巨大な狼に冷たい視線を向ける。
「ふふふ、左手はすっかり封じられたのだがな、お陰で余に魔法の爪でお前を攻撃させてもらう事を学ばせてもらったよッ!」
ヴィトはエドワードの凶悪な手に思わず生唾を飲み込む。
「ふふ、余を恐れて手も足も出んらしいなッ!余のパワーを見くびり過ぎたか?」
ヴィトは木々の燃える暑さのせいで、着ていた白色のシャツを脱ぎ捨て、エドワードの顔面に投げつける。
「くっ、目くらましかッ!」
エドワードは自分の顔面にピッタリとくっついたシャツを剥がそうと、右手の魔法を一旦解除し、剥ぎ取ろうとした瞬間だった。
「ウォォォォォォォォォ~!」
ヴィトが剣を携え、エドワードの方に向かって突っ込む。
「くっ、賢しいッ!」
エドワードは声でヴィトが自分の目の前に突っ込んでくる事を察知した。
(もらったぜッ!)
ヴィトはエドワードの正面に剣を一直線に振り下ろす。
だが……。
「ふっ、危なかった……余が後一歩遅ければ、お前に倒されていたな」
なんと、エドワードは負傷した筈の左手でヴィトの剣を抑えていたのだ。
「なんッ……てッ……野郎だッ!」
ヴィトは一旦エドワードから離れ、今度は自らのピストルを目に構える。
「余を撃ち殺す気なのか?」
エドワードは眉間を狙っていると思っているらしい。
「そうさ」
ヴィトは嘘を吐いてみた。エドワードに通じるかどうかは分からなかったが、取り敢えずバカ正直に言ったり、何も答えずにいるよりはマシだと感じたから。
「良かろう……やってみるがよい、あの時と同様に、恥をかくだけになるだろうがな……」
エドワードの挑発とも取れる言葉に、ヴィトは憤りを感じずにはいられない。
(あの野郎め、オレを舐め腐っていやがる……ここは、野郎の目を撃ち抜いて一泡吹かせてやる……)
ヴィトは決心し、引き金を引こうとしたが……。
「おっと、やっぱりお前に撃つのは遠慮願いたいな……」
エドワードはヴィトが撃つ前に、自分の右手をヴィトに向かって振り上げてきたのだ。
「ふふふ、お前も短気だな、いかんな……『短気は損気』という言葉をキミも聞いたことがあるだろ?今、お前は余の目玉を撃ち抜こうとしただろ?『ギャングが顔にピストルを向ける時は、必ずしも眉間を狙うとは変わらない』……これは言ったのは、ルカの懐刀と言われたメアリー・クイーンズさ」
メアリー・クイーンズ。あの女か。
ヴィトはエドワードの事を警告してくれた彼女が自分の首を締めるとは、何とも皮肉な結果になってしまったと苦笑する。
「ふん、何がおかしい?」
「いいや、何でもないさッ!」
ヴィトはためらう事なく、エドワードの腹に発砲した。
「ふん、余に拳銃は効かぬと言った筈だッ!」
「いいや、拳銃は囮さッ!お前にはここで倒れてもらわなければなァ!」
ヴィトは拳銃を瞬時にポケットに入れ、次に左手で持っていた剣を両手に持ち替え、エドワードに突撃する。
「何度来ても、同じだッ!」
「いいや、今回こそは、お前の負けだッ!」
ヴィトが叫んだ瞬間に、剣の中にあった黄金の光が全て放出されたように、大量の黄金の光が剣から出てくる。
「そんなもの、受け止めてやるわッ!」
(頼む……当たってくれッ!)
黄金の光はエドワードに向かって、一直線に降りかかっていく。
「ヌ……ヌ……ヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~~!!!」
黄金の光を抑えていたエドワードの手の爪が破壊された。
そして……。
「グァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ~~!!!」
エドワード本人に黄金の光が直撃した。
後には、人間の姿に戻ったエドワードだけが残された。
「どうした……トドメを刺さぬのか?」
エドワードは自分をただ見つめいるだけのヴィトに問いかける。
「いいや、アンタはオレがトドメを刺す前にその傷じゃ死ぬだろう……だから、それまでに猶予を与えるだけさ」
ヴィトはそう言うと、近くの岩に座る。
「何故、アイツはあんなにもダメージを受けているんだ……?)
その時にヴィトの脳裏をよぎったのは、自分の愛用の王家の剣の黄金の光が、いつものように剣を覆っているのではなく、外に向かって放出されたという事だ。
(あの剣がアイツの体にダメージを与えたとでもいうのか?そうとしか考えられんな……実際にオレは今まで、この光は今まで剣の中で輝いて、それから剣の力を強化していた……だが、これこそがオレの身を守るための防御魔法だったとしたら……)
ヴィトの中に浮かんだ仮説はたった一つ。
(あの黄金の光の力は、剣を覆う事で、防御すると同時に剣本体の攻撃力も高めていたんだ……つまり、あれは防御魔法であると同時に攻撃魔法でもあったんだッ!だけど、次の問題点は……)
ヴィトは再び剣を覆っているの黄金の光に目をやる。
(これを放出しちまうと……オレを守る光も消えてしまうという事だな……)
ヴィトは思わぬ事態に唇を噛み締めたが、すぐに木から立ち上がり、左手にダメージを負っている巨大な狼の姿をしたエドワードに向かって叫ぶ。
「おい、エドワードッ!お前とオレとの勝負はここからだろ?オレともっとやれよッ!」
エドワードはそれに答えるように、何本ものサーベルを生やしているかのような歯を見せて笑う。
「ふふふ、いいだろう……先程はお前の攻撃にやられてしまったが、余の最大のパワーを見せてやろうッ!」
エドワードはそう叫んだ瞬間に右手を炎で覆わせる。
(まさか……アイツめッ!)
ヴィトはそれを見た瞬間に、エドワードは自分の右手或いはあの鋭い爪に炎魔法を付け加えたのだと考えた。
「お前も驚いたようだな、余の爪に炎魔法を付け加える事により、余の爪の力は更に強まっていったのだッ!炎という人間の最大の友を加える事によってなッ!」
エドワードは自分の右手を横に振って、ヴィトを攻撃する。
ヴィトは浮遊魔法を使い、その場を逃れたのだが、周りの木々が燃え始める。
「やばいヤローだぜ、アイツめ見境なしって事かよ……」
ヴィトは炎に包まれた木々に囲まれた中に立っている巨大な狼に冷たい視線を向ける。
「ふふふ、左手はすっかり封じられたのだがな、お陰で余に魔法の爪でお前を攻撃させてもらう事を学ばせてもらったよッ!」
ヴィトはエドワードの凶悪な手に思わず生唾を飲み込む。
「ふふ、余を恐れて手も足も出んらしいなッ!余のパワーを見くびり過ぎたか?」
ヴィトは木々の燃える暑さのせいで、着ていた白色のシャツを脱ぎ捨て、エドワードの顔面に投げつける。
「くっ、目くらましかッ!」
エドワードは自分の顔面にピッタリとくっついたシャツを剥がそうと、右手の魔法を一旦解除し、剥ぎ取ろうとした瞬間だった。
「ウォォォォォォォォォ~!」
ヴィトが剣を携え、エドワードの方に向かって突っ込む。
「くっ、賢しいッ!」
エドワードは声でヴィトが自分の目の前に突っ込んでくる事を察知した。
(もらったぜッ!)
ヴィトはエドワードの正面に剣を一直線に振り下ろす。
だが……。
「ふっ、危なかった……余が後一歩遅ければ、お前に倒されていたな」
なんと、エドワードは負傷した筈の左手でヴィトの剣を抑えていたのだ。
「なんッ……てッ……野郎だッ!」
ヴィトは一旦エドワードから離れ、今度は自らのピストルを目に構える。
「余を撃ち殺す気なのか?」
エドワードは眉間を狙っていると思っているらしい。
「そうさ」
ヴィトは嘘を吐いてみた。エドワードに通じるかどうかは分からなかったが、取り敢えずバカ正直に言ったり、何も答えずにいるよりはマシだと感じたから。
「良かろう……やってみるがよい、あの時と同様に、恥をかくだけになるだろうがな……」
エドワードの挑発とも取れる言葉に、ヴィトは憤りを感じずにはいられない。
(あの野郎め、オレを舐め腐っていやがる……ここは、野郎の目を撃ち抜いて一泡吹かせてやる……)
ヴィトは決心し、引き金を引こうとしたが……。
「おっと、やっぱりお前に撃つのは遠慮願いたいな……」
エドワードはヴィトが撃つ前に、自分の右手をヴィトに向かって振り上げてきたのだ。
「ふふふ、お前も短気だな、いかんな……『短気は損気』という言葉をキミも聞いたことがあるだろ?今、お前は余の目玉を撃ち抜こうとしただろ?『ギャングが顔にピストルを向ける時は、必ずしも眉間を狙うとは変わらない』……これは言ったのは、ルカの懐刀と言われたメアリー・クイーンズさ」
メアリー・クイーンズ。あの女か。
ヴィトはエドワードの事を警告してくれた彼女が自分の首を締めるとは、何とも皮肉な結果になってしまったと苦笑する。
「ふん、何がおかしい?」
「いいや、何でもないさッ!」
ヴィトはためらう事なく、エドワードの腹に発砲した。
「ふん、余に拳銃は効かぬと言った筈だッ!」
「いいや、拳銃は囮さッ!お前にはここで倒れてもらわなければなァ!」
ヴィトは拳銃を瞬時にポケットに入れ、次に左手で持っていた剣を両手に持ち替え、エドワードに突撃する。
「何度来ても、同じだッ!」
「いいや、今回こそは、お前の負けだッ!」
ヴィトが叫んだ瞬間に、剣の中にあった黄金の光が全て放出されたように、大量の黄金の光が剣から出てくる。
「そんなもの、受け止めてやるわッ!」
(頼む……当たってくれッ!)
黄金の光はエドワードに向かって、一直線に降りかかっていく。
「ヌ……ヌ……ヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~~!!!」
黄金の光を抑えていたエドワードの手の爪が破壊された。
そして……。
「グァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ~~!!!」
エドワード本人に黄金の光が直撃した。
後には、人間の姿に戻ったエドワードだけが残された。
「どうした……トドメを刺さぬのか?」
エドワードは自分をただ見つめいるだけのヴィトに問いかける。
「いいや、アンタはオレがトドメを刺す前にその傷じゃ死ぬだろう……だから、それまでに猶予を与えるだけさ」
ヴィトはそう言うと、近くの岩に座る。
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