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第三部 トゥー・ワールド・ウォーズ
ライター・ヘンプの人生
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「出て行け、カルト教団ッ!」
その言葉で先陣を切ったエーマ・ラクスランドのデモは実に一時間にも及んだ。
デモの参加者は300名。いずれも反カルトを旗に掲げていた。
「カルト教団反対ッ!カルト教団反対ッ!お前らは街から出て行けッ!」
「息子を返せッ!娘を返せッ!」
その言葉とともにプラカードを掲げ、教団の門の前に詰め寄る。
その様子を世界審判教の教祖であるライター・ヘンプはその様子を三回建の屋敷の教祖の部屋から苦々しく眺めていた。
「あいつらはどうにかならんのか、ビレジ」
ビレジと呼ばれた男は困ったように下に俯く。
「もういいよ、あいつは不道徳者だッ!彼らは死後は必ず宇宙人の手により、地獄に落ちるだろう !とにかく奴らを武力で追い詰めてもいいかもしれん……」
ヘンプはしゃがれた声で言った。ボソボソと喋るようで、はっきりと聞こえる壮年の声は彼の代名詞であった。
と、ここで初めてビレジが口を開く。
「ですが、ゴッドーゴール……彼らを武力で追いやれば、我々が政府に悪役にされるでしょう」
ヘンプは自分の部屋の棚にある赤ワインを取り出し、それを腹心の部下であるビレジにも手渡す。
「飲みなさい、キミもあいつらの対処で眠れていないだろ?」
ビレジは教祖から勧められたワイングラスを手渡され、それを恭しく受け取る。
「ありがとうございます。ゴッドーゴール」
ビレジは受け渡された赤ワインを一気に飲み干した。
「だけれど、あいつらの声は本当に修行の邪魔だよ、彼らが今後も大声で弟子たちの修行を邪魔するのなら、いずれ法的処置を取ってもいいかもしれんな、弁護士のレッドマウンテンに連絡しておけ」
ピーター・レッドマウンテンはヘンプ曰く熱心な弟子であり、同時に教団の顧問の弁護士を務めていた。
他のマフィアや企業が抱えているように……。
「分かりました。今後は彼らに伝えておきます」
ビレジは教祖に恭しくお辞儀をして、部屋を跡にした。
ライター・ヘンプが世界審判教の教祖であった。彼は1924年にロスト・ヘブンリータウンの出身であり、ドイツ系移民の父とアイルランド系移民の母親との間に産まれた。
彼は幼い頃から、不思議な子供であった。
幼少時から、宇宙人と遭遇したと周囲に言いふらしていたし、中学に入っても尚周囲に自分は宇宙人に認められた唯一の人間だと主張していた。
ここまでなら、普通にクラスに一人はいる不思議な子供としか思わないだろう。
だが、ヘンプは高校に入ってからもその主張を曲げることはなかった。
それどころか、彼のホラ話を真に受けてしまう人もいたぐらいだ。彼の成績はクラスでもトップの成績だったから……。
その時に彼は現在の部下であるフレディ・ビレジと出会った。ビレジはその時に学校で二位の成績であったが、どうしてもヘンプに勝てなかった。その訳を聞きに行ったところ……。
「私にはね、宇宙人が付いていてね、彼がいつもわたしに答えを教えてくれるんだよ、キミも一緒にボクの教えを信じようよ、ねッ!」
ヘンプは目を輝かせながらビレジの手を取った。ビレジはヘンプのしつこさに負け、話だけでも聞くことにしたが、彼の話は神秘深かった。
彼の話を聞いているうちに、彼は本当に宇宙人がいるのだと思い始め、彼は熱心なカトリックであったにも関わらず、教会のミサに行くのをやめ、ヘンプの話を聞き始めた。彼はヘンプの宗教の虜になってしまったのだ。
彼は熱心な信徒となり、同級生の多くをヘンプの元へと入信させていく。
その熱心さは、彼の両親が彼を止めても行くどころか、両親の財布を盗み、ヘンプにお布施として寄付するくらいであった。
だが、流石に両親もこの行為で息子を責め、同時にヘンプの宗教をインチキ宗教だと認定し、ヘンプの元へと向かった。
「ちょっと、あなた !うちのフレディに変なことを吹き込まないでよ !」
「そうだ !うちの息子を惑わせやがって !息子から預かった金を返せッ!」
これには、ビレジも冷や汗をかいていたが、ヘンプは汗一つかくことなく、冷静にビレジの両親を手で静止させた。
「落ち着いて聞いてください、あなた達は偽りの神に騙されています。私の話を聞けば、あなた達は必ずや、宇宙人が仰るこれからの未来を考えると、この世界を救えるのは、わたしだけだと信じられるようになりますよ」
ヘンプはビレジの両親にも自分の教えを語った。初めは、二人はヘンプの話など聞く気などなかったが、徐々にヘンプに引き込まれ、なんと入信してしまったのだ。
ヘンプは大人二人を信徒に引き込んだのに調子付き、徐々に教会の周りの大人たちに自分の教えを吹き込んでいった。
ヘンプが高校の三年生に上がる頃には、街の信者は100名を超え、その中にはヘンプの高校の校長がいたぐらいであった。
まもなく、彼は州で一番の大学に合格し、そこでも信徒を引き込んでいく。
その時に出会ったのが、教団の顧問弁護士であるピーター・レッドマウンテンであった。
彼はその時に大学の法学部に所属し、弁護士を目指していたが、その途中に事故で大怪我を負ってしまったのだ。
そんな時に病室を訪れたのが、ヘンプとビレジであった。
「聞いたよ、ピート。衝突事故だって……可哀想に、でも宇宙人がキミの怪我を治してくれる筈だよ」
ヘンプはピーターの怪我をした脚に手で触れた。
すると、どうだろう。ピーターは自分の脚が楽になったのに気が付いたのだ。
「すごいよ、ヘンプ……キミは本当に宇宙人の!?」
「さっきから言ってるじゃあないか、ゴッドーゴールは、宇宙人に認められた唯一の人間なんだよ、彼らから色々な声を聞いているんだ。ゴッドーゴールが言うんだ。キミの怪我も治るよ」
ビレジはピーターにウィンクしてみせた。
この時既にビレジにとって、ヘンプは特別な人間であり、ゴッドーゴールと呼んでいたのだ。
「ありがとう……オレ頑張って怪我を治して、必ずゴッドーゴールの役に立ってみせるよ」
「ありがとう……彼らもキミの怪我の全快に尽力を尽くすようだよ」
ヘンプはベッドから差し出されたピーターの手を握りながら言った。
その言葉で先陣を切ったエーマ・ラクスランドのデモは実に一時間にも及んだ。
デモの参加者は300名。いずれも反カルトを旗に掲げていた。
「カルト教団反対ッ!カルト教団反対ッ!お前らは街から出て行けッ!」
「息子を返せッ!娘を返せッ!」
その言葉とともにプラカードを掲げ、教団の門の前に詰め寄る。
その様子を世界審判教の教祖であるライター・ヘンプはその様子を三回建の屋敷の教祖の部屋から苦々しく眺めていた。
「あいつらはどうにかならんのか、ビレジ」
ビレジと呼ばれた男は困ったように下に俯く。
「もういいよ、あいつは不道徳者だッ!彼らは死後は必ず宇宙人の手により、地獄に落ちるだろう !とにかく奴らを武力で追い詰めてもいいかもしれん……」
ヘンプはしゃがれた声で言った。ボソボソと喋るようで、はっきりと聞こえる壮年の声は彼の代名詞であった。
と、ここで初めてビレジが口を開く。
「ですが、ゴッドーゴール……彼らを武力で追いやれば、我々が政府に悪役にされるでしょう」
ヘンプは自分の部屋の棚にある赤ワインを取り出し、それを腹心の部下であるビレジにも手渡す。
「飲みなさい、キミもあいつらの対処で眠れていないだろ?」
ビレジは教祖から勧められたワイングラスを手渡され、それを恭しく受け取る。
「ありがとうございます。ゴッドーゴール」
ビレジは受け渡された赤ワインを一気に飲み干した。
「だけれど、あいつらの声は本当に修行の邪魔だよ、彼らが今後も大声で弟子たちの修行を邪魔するのなら、いずれ法的処置を取ってもいいかもしれんな、弁護士のレッドマウンテンに連絡しておけ」
ピーター・レッドマウンテンはヘンプ曰く熱心な弟子であり、同時に教団の顧問の弁護士を務めていた。
他のマフィアや企業が抱えているように……。
「分かりました。今後は彼らに伝えておきます」
ビレジは教祖に恭しくお辞儀をして、部屋を跡にした。
ライター・ヘンプが世界審判教の教祖であった。彼は1924年にロスト・ヘブンリータウンの出身であり、ドイツ系移民の父とアイルランド系移民の母親との間に産まれた。
彼は幼い頃から、不思議な子供であった。
幼少時から、宇宙人と遭遇したと周囲に言いふらしていたし、中学に入っても尚周囲に自分は宇宙人に認められた唯一の人間だと主張していた。
ここまでなら、普通にクラスに一人はいる不思議な子供としか思わないだろう。
だが、ヘンプは高校に入ってからもその主張を曲げることはなかった。
それどころか、彼のホラ話を真に受けてしまう人もいたぐらいだ。彼の成績はクラスでもトップの成績だったから……。
その時に彼は現在の部下であるフレディ・ビレジと出会った。ビレジはその時に学校で二位の成績であったが、どうしてもヘンプに勝てなかった。その訳を聞きに行ったところ……。
「私にはね、宇宙人が付いていてね、彼がいつもわたしに答えを教えてくれるんだよ、キミも一緒にボクの教えを信じようよ、ねッ!」
ヘンプは目を輝かせながらビレジの手を取った。ビレジはヘンプのしつこさに負け、話だけでも聞くことにしたが、彼の話は神秘深かった。
彼の話を聞いているうちに、彼は本当に宇宙人がいるのだと思い始め、彼は熱心なカトリックであったにも関わらず、教会のミサに行くのをやめ、ヘンプの話を聞き始めた。彼はヘンプの宗教の虜になってしまったのだ。
彼は熱心な信徒となり、同級生の多くをヘンプの元へと入信させていく。
その熱心さは、彼の両親が彼を止めても行くどころか、両親の財布を盗み、ヘンプにお布施として寄付するくらいであった。
だが、流石に両親もこの行為で息子を責め、同時にヘンプの宗教をインチキ宗教だと認定し、ヘンプの元へと向かった。
「ちょっと、あなた !うちのフレディに変なことを吹き込まないでよ !」
「そうだ !うちの息子を惑わせやがって !息子から預かった金を返せッ!」
これには、ビレジも冷や汗をかいていたが、ヘンプは汗一つかくことなく、冷静にビレジの両親を手で静止させた。
「落ち着いて聞いてください、あなた達は偽りの神に騙されています。私の話を聞けば、あなた達は必ずや、宇宙人が仰るこれからの未来を考えると、この世界を救えるのは、わたしだけだと信じられるようになりますよ」
ヘンプはビレジの両親にも自分の教えを語った。初めは、二人はヘンプの話など聞く気などなかったが、徐々にヘンプに引き込まれ、なんと入信してしまったのだ。
ヘンプは大人二人を信徒に引き込んだのに調子付き、徐々に教会の周りの大人たちに自分の教えを吹き込んでいった。
ヘンプが高校の三年生に上がる頃には、街の信者は100名を超え、その中にはヘンプの高校の校長がいたぐらいであった。
まもなく、彼は州で一番の大学に合格し、そこでも信徒を引き込んでいく。
その時に出会ったのが、教団の顧問弁護士であるピーター・レッドマウンテンであった。
彼はその時に大学の法学部に所属し、弁護士を目指していたが、その途中に事故で大怪我を負ってしまったのだ。
そんな時に病室を訪れたのが、ヘンプとビレジであった。
「聞いたよ、ピート。衝突事故だって……可哀想に、でも宇宙人がキミの怪我を治してくれる筈だよ」
ヘンプはピーターの怪我をした脚に手で触れた。
すると、どうだろう。ピーターは自分の脚が楽になったのに気が付いたのだ。
「すごいよ、ヘンプ……キミは本当に宇宙人の!?」
「さっきから言ってるじゃあないか、ゴッドーゴールは、宇宙人に認められた唯一の人間なんだよ、彼らから色々な声を聞いているんだ。ゴッドーゴールが言うんだ。キミの怪我も治るよ」
ビレジはピーターにウィンクしてみせた。
この時既にビレジにとって、ヘンプは特別な人間であり、ゴッドーゴールと呼んでいたのだ。
「ありがとう……オレ頑張って怪我を治して、必ずゴッドーゴールの役に立ってみせるよ」
「ありがとう……彼らもキミの怪我の全快に尽力を尽くすようだよ」
ヘンプはベッドから差し出されたピーターの手を握りながら言った。
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