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第三十三話 天文台の決戦ーその③
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何度も何度も同じ場所に弾を放っているうちに、とうとう、天文台の台が爆発した。隠れていたルカ・ミラノリアの姿が露わになる。
「ふっふっ、はっはっはっはっはっはっ~小僧ッ!それでオレを追い詰めたつもりか !!」
ルカは漆黒の刃の付いた剣をヴィトに見せながら叫ぶ。
「それでどうするつもりだ!?」
ヴィトはショットガンを放り捨て、自らの剣を引き抜きながらルカに問う。
「おれの剣の威力を知らんらしいなッ!見せてやろうッ!雷の剣を暗黒の雷の力をなッ!」
ルカが叫ぶやいなや漆黒の剣に雷がまとわりつく。
「気をつけろッ!」
ヴィトが問いかけた時にはもう遅い。暗黒の雷が正面に発射され、部下の一人が犠牲になる。
「そっ、そんな……何て恐ろしさなの、本当に雷が当たったみたいに黒焦げになってるわ……」
ルーシーは見たこともない強烈な攻撃に思わず唾を飲み込む。
「どうだ、小娘?お前のオヤジには散々してやられていたが、この力があれば、禁酒法時代にはカヴァリエーレ・ファミリーなんぞ滅んでいただろうなッ!」
ルーシーはファミリーの親玉だ。なので、弱みや泣きを見せることは許されない。だが、この場合だけは例外だろう。ルーシーはその場にヘタレこむ。
「いいぞ、その場に座ってろよぉ~」
ルカは再び雷を剣に纏わせる。
「いかんッ!その場から離れるんだッ!」
その言葉にルカはヴィトの方に振り向く。
「ちょうどいい、お前から始末してくれるわ~ッ!」
ルカはヴィトに向かって雷の剣から、暗黒の雷を発射した。ヴィトは防御魔法を使用し、難を逃れたものの、緑の全身を覆う防御壁を前にしても、ヴィトにはダメージが伝わっていた。
「うっ、ぐっぐっ……」
直接的に大きな怪我は負っていないものの、全身にズキズキとした痛みが残っていた。
「はっはっはっ、ヴィトォォォォォォォ~!どうだッ!気分は?えっ?」
ルカは勝ち誇った笑顔を見せる。
「良くないに決まってるだろ?」
「そうかそうか、やはりおれの力は強いだろ?やはり、他人に任せるべきではないと、今更ながら実感しているよ」
ルカは剣の雷をヴィトに再び向ける。
「死ねェェェェェェェェ~~!!!」
ルカは渾身の雷を放つ。ヴィトは剣を握りしめ、黄金の光を自分の剣に纏わせる。
「雷をそんなチンケなもので防ぐ気なのかッ!無駄よぉ~!お前の攻撃なんぞ、弱いッ!弱いッ!弱いッ!弱ィィィィィ~!」
ルカは雷の力を強くする。だが、ヴィトは黄金の光で雷を吸収させる。
「ほぅ、やるな……ならッ!」
ルカはなんと直接ヴィトに斬りかかってくる。
「直接の剣勝負だ……」
剣と剣の間に火花が散る。お互い歯をギリギリと握りしめているが、それでは勝負がつかない事は二人とも承知だろう。
(ここは、蹴りを入れるか)
ヴィトはルカの腹を狙い、蹴りを入れようとしたが、それはルカも同じだったらしい。お互いの蹴りでお互いの体が後方に突っ込む。
「うっ、ぐっ……」
ヴィトは剣を杖に起き上がる。それはルカも同じ事。呻き声を上げながら起き上がろうとする。
「まさかお前も同じことをするとはな?」
ルカは怒るどころか、笑顔を見せて起き上がる。
「当たり前だろ?この戦いは中世の騎士の正当なる決闘じゃあないんだ……カタギの奴らにとっては、ギャング或いはマフィアの迷惑極まりない、抗争だぜ、おれとあんたとの戦いもそうだろ?」
ヴィトの問いにルカもくっくっと笑う。
「そうだな、オレ達はギャングで、マフィアだ……カタギの連中にとっては、迷惑過ぎる存在だよ、でもな……この戦いで街の支配者が決まるんだッ!遠慮なんかしてられねぇよッ!」
ルカは剣を握りしめ、再びヴィトに襲い掛かる。
「やりたいらしいな?」
ヴィトの剣とルカの漆黒の雷の剣が交わり合う。
「オラァ!」
「フン !」
お互いの本気の剣撃がぶつかり合い、二人の間に波のようなものができる。
「すっ、すげぇ……二人は何をやっていやがるんだ……オレらには何が起こってるのか、何も分からねぇよ……頼む、ドン・カヴァリエーレ !何が起こっているのか教えてくれよ !!」
部下の一人が被っていた帽子のつばを握りしめる。
「魔法をいや、剣を使って戦っているのよ、それに私たちには想像もつかない、凄まじい剣撃が二人の武器になっているんだわ」
ルーシーはフゥとため息を吐きながら、部下の一人に説明する。
「つまり、相談役とルカの野郎はもうオレ達には追いつけない存在になったということですかい?!?」
ルーシーは「そうよ」と肯定してみせた。
「二人の剣は伝説よ、伝説の剣を使っているんだわ」
部下は二人の戦いを見守り始めた。
ヴィトとルカは相変わらず激しい戦いを続けていた。
「どうしたァァァ~!ヴィトォォォォォォォ~!お前の力はそんなものかァァァァァァァ~~!!!」
「いいや、お前を片付けるのには充分過ぎるほどの力だと思うぜッ!」
ヴィトは右腕で剣を引き、それからルカに向かって振り下ろすものの、ルカには簡単に防がれてしまう。
「なら、オレの面白い自慢の技を見せてやるぜ……」
そうルカが言った瞬間に再びルカの剣に雷が宿り、さっき雷を放つ時と同じ状況になる。
「まずいッ!」
ヴィトは雷をルカが一斉に放つのかと身構えたが、違った。何とルカの雷が雷の球となり、それがヴィトに向かって飛んでくる。
「ぐっ、このッ!」
ヴィトは剣を自分の目の前に立て飛んでくる雷の球を防いだが、ビリビリと雷の球が剣に当たる音がこちらにも聞こえてくる。
「ふははは、もう一発撃ってやるぜ !」
ルカは再び雷を纏い、もう一発雷の球を発射する。ヴィトは剣を握る手に力を込め、雷の球を弾き飛ばす。
二つの雷の球がぶつかり合い、ビリビリと二つの球が重なり合うと、やがて二人とも消え去った。
「中々面白い回避方法を取るな、えっ?」
「お褒めに預かって光栄だぜ、そのお礼に一つ忠告しといてやろうか?」
ヴィトの態度に起こることなく、ルカは「それはありがたい」と好意的な言葉を口にした。
「お前は力に溺れ過ぎだぜ、もうちょっと気をつけた方がいい」
ヴィトの忠告にルカは不気味な笑いを浮かべた。
「ふっふっ、はっはっはっはっはっはっ~小僧ッ!それでオレを追い詰めたつもりか !!」
ルカは漆黒の刃の付いた剣をヴィトに見せながら叫ぶ。
「それでどうするつもりだ!?」
ヴィトはショットガンを放り捨て、自らの剣を引き抜きながらルカに問う。
「おれの剣の威力を知らんらしいなッ!見せてやろうッ!雷の剣を暗黒の雷の力をなッ!」
ルカが叫ぶやいなや漆黒の剣に雷がまとわりつく。
「気をつけろッ!」
ヴィトが問いかけた時にはもう遅い。暗黒の雷が正面に発射され、部下の一人が犠牲になる。
「そっ、そんな……何て恐ろしさなの、本当に雷が当たったみたいに黒焦げになってるわ……」
ルーシーは見たこともない強烈な攻撃に思わず唾を飲み込む。
「どうだ、小娘?お前のオヤジには散々してやられていたが、この力があれば、禁酒法時代にはカヴァリエーレ・ファミリーなんぞ滅んでいただろうなッ!」
ルーシーはファミリーの親玉だ。なので、弱みや泣きを見せることは許されない。だが、この場合だけは例外だろう。ルーシーはその場にヘタレこむ。
「いいぞ、その場に座ってろよぉ~」
ルカは再び雷を剣に纏わせる。
「いかんッ!その場から離れるんだッ!」
その言葉にルカはヴィトの方に振り向く。
「ちょうどいい、お前から始末してくれるわ~ッ!」
ルカはヴィトに向かって雷の剣から、暗黒の雷を発射した。ヴィトは防御魔法を使用し、難を逃れたものの、緑の全身を覆う防御壁を前にしても、ヴィトにはダメージが伝わっていた。
「うっ、ぐっぐっ……」
直接的に大きな怪我は負っていないものの、全身にズキズキとした痛みが残っていた。
「はっはっはっ、ヴィトォォォォォォォ~!どうだッ!気分は?えっ?」
ルカは勝ち誇った笑顔を見せる。
「良くないに決まってるだろ?」
「そうかそうか、やはりおれの力は強いだろ?やはり、他人に任せるべきではないと、今更ながら実感しているよ」
ルカは剣の雷をヴィトに再び向ける。
「死ねェェェェェェェェ~~!!!」
ルカは渾身の雷を放つ。ヴィトは剣を握りしめ、黄金の光を自分の剣に纏わせる。
「雷をそんなチンケなもので防ぐ気なのかッ!無駄よぉ~!お前の攻撃なんぞ、弱いッ!弱いッ!弱いッ!弱ィィィィィ~!」
ルカは雷の力を強くする。だが、ヴィトは黄金の光で雷を吸収させる。
「ほぅ、やるな……ならッ!」
ルカはなんと直接ヴィトに斬りかかってくる。
「直接の剣勝負だ……」
剣と剣の間に火花が散る。お互い歯をギリギリと握りしめているが、それでは勝負がつかない事は二人とも承知だろう。
(ここは、蹴りを入れるか)
ヴィトはルカの腹を狙い、蹴りを入れようとしたが、それはルカも同じだったらしい。お互いの蹴りでお互いの体が後方に突っ込む。
「うっ、ぐっ……」
ヴィトは剣を杖に起き上がる。それはルカも同じ事。呻き声を上げながら起き上がろうとする。
「まさかお前も同じことをするとはな?」
ルカは怒るどころか、笑顔を見せて起き上がる。
「当たり前だろ?この戦いは中世の騎士の正当なる決闘じゃあないんだ……カタギの奴らにとっては、ギャング或いはマフィアの迷惑極まりない、抗争だぜ、おれとあんたとの戦いもそうだろ?」
ヴィトの問いにルカもくっくっと笑う。
「そうだな、オレ達はギャングで、マフィアだ……カタギの連中にとっては、迷惑過ぎる存在だよ、でもな……この戦いで街の支配者が決まるんだッ!遠慮なんかしてられねぇよッ!」
ルカは剣を握りしめ、再びヴィトに襲い掛かる。
「やりたいらしいな?」
ヴィトの剣とルカの漆黒の雷の剣が交わり合う。
「オラァ!」
「フン !」
お互いの本気の剣撃がぶつかり合い、二人の間に波のようなものができる。
「すっ、すげぇ……二人は何をやっていやがるんだ……オレらには何が起こってるのか、何も分からねぇよ……頼む、ドン・カヴァリエーレ !何が起こっているのか教えてくれよ !!」
部下の一人が被っていた帽子のつばを握りしめる。
「魔法をいや、剣を使って戦っているのよ、それに私たちには想像もつかない、凄まじい剣撃が二人の武器になっているんだわ」
ルーシーはフゥとため息を吐きながら、部下の一人に説明する。
「つまり、相談役とルカの野郎はもうオレ達には追いつけない存在になったということですかい?!?」
ルーシーは「そうよ」と肯定してみせた。
「二人の剣は伝説よ、伝説の剣を使っているんだわ」
部下は二人の戦いを見守り始めた。
ヴィトとルカは相変わらず激しい戦いを続けていた。
「どうしたァァァ~!ヴィトォォォォォォォ~!お前の力はそんなものかァァァァァァァ~~!!!」
「いいや、お前を片付けるのには充分過ぎるほどの力だと思うぜッ!」
ヴィトは右腕で剣を引き、それからルカに向かって振り下ろすものの、ルカには簡単に防がれてしまう。
「なら、オレの面白い自慢の技を見せてやるぜ……」
そうルカが言った瞬間に再びルカの剣に雷が宿り、さっき雷を放つ時と同じ状況になる。
「まずいッ!」
ヴィトは雷をルカが一斉に放つのかと身構えたが、違った。何とルカの雷が雷の球となり、それがヴィトに向かって飛んでくる。
「ぐっ、このッ!」
ヴィトは剣を自分の目の前に立て飛んでくる雷の球を防いだが、ビリビリと雷の球が剣に当たる音がこちらにも聞こえてくる。
「ふははは、もう一発撃ってやるぜ !」
ルカは再び雷を纏い、もう一発雷の球を発射する。ヴィトは剣を握る手に力を込め、雷の球を弾き飛ばす。
二つの雷の球がぶつかり合い、ビリビリと二つの球が重なり合うと、やがて二人とも消え去った。
「中々面白い回避方法を取るな、えっ?」
「お褒めに預かって光栄だぜ、そのお礼に一つ忠告しといてやろうか?」
ヴィトの態度に起こることなく、ルカは「それはありがたい」と好意的な言葉を口にした。
「お前は力に溺れ過ぎだぜ、もうちょっと気をつけた方がいい」
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