102 / 105
いつも通りの朝が展開されたので、俺は嬉しかったです
しおりを挟む
俺が手を振り返すと、クロエも大きく手を振って、こちらに向かって歩いてきた。
「おはようございます!グレース様!いよいよ、今日で私たちは卒業ですね!」
「ええ、そうね、時間が経つのは早いものだわ。あなたと会ってから、よく考えたら、まだ半年間しか経ってないよね」
「そうですよね。よく考えたら、私、半年しか通ってなかったんですね。凄く、濃い日々であったので、半年しか経っていないというのが本当に信じられません」
クロエは感心した口調で言った。それから、俺を見ると両頬を赤く染めて、
「どれもこれも、グレース様のお陰です。本当に感謝しているのですよ」
そう言われると、照れる。俺が頭の後ろをかいていると、背後に痛みを感じ、恐る恐る背後を振り返ると、そこには御立腹な様子のオリビア嬢の姿。
オリビア嬢はそのまま俺を殴った扇子で俺を指して、
「クロエ、こんなクサレ脳みそに感謝する事なんてないわ。こんなおつむの詰まってないバカは後先考えず、あなたが可愛い女の子という理由だけで助けたに過ぎないと私は見ているわ」
クサレ脳みそとその推測は酷いのではないのだろうか。
もし、オリビア嬢の身分が俺より高くなければ、何処ぞの借金俳優ではないが、『言葉に気を付けてもらいたい』と警告してやりたいところだ。
俺がオリビア嬢を睨んでいると、背後からゴツい男二人が声を掛ける。
「あら、ディビッドに団長、あなた方も?」
「あぁ、団長とはそこで、バッタリと出会ってな。話したら、意気投合して、お前のところにまで来たってわけさ」
ディビッドは満面の笑みを浮かべて俺に答えてくれた。
また、彼の話によれば、団長は卒業記念のパーティーの護衛も務めるのだそうだ。
これならば、賊が王家を狙ってやって来たとしても一安心だろう。
最も、その賊が親父や俺だった場合は『安心』は『脅威』へと変わっていくのだが……。
まぁ、今はそんな事を気にしても仕方がないから、俺は団長に微笑んで、
「あなたが警備を担当してくれるのなら、安心だわ。よろしくね」
団長は何も言い返さずに耳を真っ赤にして、首を縦に動かす。
どうやら、主人公枠の少女の微笑みに悩殺されてしまったらしい。
俺は団長を眺めていると、またしても背後から声を掛けられた。
声の主はサミュエルとガブリエルの二人だった。
特にガブリエルの方は俺に手を振るなり、俺に抱き着こうとした。
それをサミュエルが止める。最後の時もいつもの二人と同じ姿を見れて、俺は思わず笑いを溢してしまう。
「おはようございます!グレース様!いよいよ、今日で私たちは卒業ですね!」
「ええ、そうね、時間が経つのは早いものだわ。あなたと会ってから、よく考えたら、まだ半年間しか経ってないよね」
「そうですよね。よく考えたら、私、半年しか通ってなかったんですね。凄く、濃い日々であったので、半年しか経っていないというのが本当に信じられません」
クロエは感心した口調で言った。それから、俺を見ると両頬を赤く染めて、
「どれもこれも、グレース様のお陰です。本当に感謝しているのですよ」
そう言われると、照れる。俺が頭の後ろをかいていると、背後に痛みを感じ、恐る恐る背後を振り返ると、そこには御立腹な様子のオリビア嬢の姿。
オリビア嬢はそのまま俺を殴った扇子で俺を指して、
「クロエ、こんなクサレ脳みそに感謝する事なんてないわ。こんなおつむの詰まってないバカは後先考えず、あなたが可愛い女の子という理由だけで助けたに過ぎないと私は見ているわ」
クサレ脳みそとその推測は酷いのではないのだろうか。
もし、オリビア嬢の身分が俺より高くなければ、何処ぞの借金俳優ではないが、『言葉に気を付けてもらいたい』と警告してやりたいところだ。
俺がオリビア嬢を睨んでいると、背後からゴツい男二人が声を掛ける。
「あら、ディビッドに団長、あなた方も?」
「あぁ、団長とはそこで、バッタリと出会ってな。話したら、意気投合して、お前のところにまで来たってわけさ」
ディビッドは満面の笑みを浮かべて俺に答えてくれた。
また、彼の話によれば、団長は卒業記念のパーティーの護衛も務めるのだそうだ。
これならば、賊が王家を狙ってやって来たとしても一安心だろう。
最も、その賊が親父や俺だった場合は『安心』は『脅威』へと変わっていくのだが……。
まぁ、今はそんな事を気にしても仕方がないから、俺は団長に微笑んで、
「あなたが警備を担当してくれるのなら、安心だわ。よろしくね」
団長は何も言い返さずに耳を真っ赤にして、首を縦に動かす。
どうやら、主人公枠の少女の微笑みに悩殺されてしまったらしい。
俺は団長を眺めていると、またしても背後から声を掛けられた。
声の主はサミュエルとガブリエルの二人だった。
特にガブリエルの方は俺に手を振るなり、俺に抱き着こうとした。
それをサミュエルが止める。最後の時もいつもの二人と同じ姿を見れて、俺は思わず笑いを溢してしまう。
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました
かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中!
そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……?
可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです!
そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!?
イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!!
毎日17時と19時に更新します。
全12話完結+番外編
「小説家になろう」でも掲載しています。
社長室の蜜月
ゆる
恋愛
相沢結衣は秘書課に異動となり、冷徹と噂される若き社長・西園寺蓮のもとで働くことになる。彼の完璧主義に振り回されながらも、仕事を通じて互いに信頼を築いていく二人。秘書として彼を支え続ける結衣の前に、次第に明かされる蓮の本当の姿とは――。仕事と恋愛が交錯する中で紡がれる、大人の純愛ストーリー。
私も異世界に転生してみたい ~令嬢やめて冒険者になります~
こひな
恋愛
巷で溢れる、異世界から召喚された強大な力を持つ聖女の話や、異世界での記憶を持つ令嬢のハッピーエンドが描かれた数々の書物。
…私にもそんな物語のような力があったら…
そんな書物の主人公に憧れる、平々凡々な読書好きな令嬢の奇想天外なお話です。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
【完結】勇者学園の異端児は強者ムーブをかましたい
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、pixivにも投稿中。
※小説家になろうでは最新『勇者祭編』の中盤まで連載中。
※アルファポリスでは『オスカーの帰郷編』まで公開し、完結表記にしています。
【完結】異世界転生した先は断罪イベント五秒前!
春風悠里
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したと思ったら、まさかの悪役令嬢で断罪イベント直前!
さて、どうやって切り抜けようか?
(全6話で完結)
※一般的なざまぁではありません
※他サイト様にも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる