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最後の脳内会議

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「それでは、最後の脳内最高評議会を招集します。みなさま、お揃いですね」
俺の脳内、そこには脳内最高評議会の面々と元の性悪女と元のグレースの人格とが席を並べて会議を行う場所である。
本日はそこで、最後の脳内会議が行われようとしていた。
「議長閣下!卒業式の断罪の時に備えるための対処法を私、副議長が簡潔に纏めましたので、みなさまにお配りしようと思います!」
副議長俺は席を立ち、秘書俺を呼ぶと、分厚く束ねられた紙を持ってきて、全員に配っていく。
各々がそれを見て、一瞬は顔を顰めるものの、すぐに満面の笑みを浮かべて、
「これはすごい。流石は俺」
「全くですな。これならば、我々も安全でしょう」
議長俺と書記俺との両方が連続で納得の言葉を述べると、性悪女と元のグレースの両方もうんうんと頷いていく。
「これならば、完璧ですね。きっと、上手くあなたの言う破滅フラグを乗り切れると思いますよ」
「ったく、よくこんな馬鹿な事ばっかり考えられたもんだね。でも、いいや、あんたのその熱意だけは買ってあげる。でも、忘れんなよ。本来なら、卒業式で断罪されるのはオリビアで、結ばれるのはグレースなの!」
「いや、そんな馬鹿な思い込みのままこの世界で生きていたから、ろくに勉強もしないで、オリビア嬢から『馬鹿』だと嘲笑われたのでは?」
「清く正しくとはよく言ったもんだな。声が白○涼子の蜘蛛のねーちゃんみたいな性格で良く王妃になれると思ったな?」
副議長俺と議長俺の追及に、彼女はまたしても声を荒げて掴み掛かろうとしたので、またしても警備員俺に腕を抱えられて退場してしまう。
「まぁ、かくして、我々は相も変わらず東奔西走して、なんとか好感度を上げただが、その苦労は無駄ではなった筈だ!今日の卒業パーティーで我々の成果が無駄であったが、そうでないかが判明されるだろう!」
議長俺の演説に脳内最高評議会の面々と元のグレースの人格が手を叩く。
いよいよ、会議が締め括られそうになった時だ。
元のグレースが立ち上がって、
「みなさまに言いたい事があります」
と、その凛とした目で俺たちを見回していく。
「みなさまのお陰で、私はいつも楽しい会話を聞かせてもらいましたわ。とても、楽しゅうございました。でも、もし、これから先の人生でも会議があるのならば、是非とも私も呼んでくださいませね」
そのグレースの言葉を聞いた時に、俺たちの胸が熱くなっていくのが分かる。
今は脳の奥に捕らえられている性悪女よ、これが本当のヒロインなのだ。
ドヤ顔のまま、その日の会議は終わる事になった。
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