よくある悪役令嬢ものの性悪ヒロインのポジにTS転生してしまったので、前世で培った知識を活用して、破滅フラグを回避しようと思います!

アンジェロ岩井

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お昼に伝えられた緊急ニュース

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俺が授業中の眠気に耐え、無理矢理に目を覚ませた後、俺は欠伸を抑えながら、飯を取っていた。
眠気と戦いながら、ステーキを斬っていると、突然、クロエが俺の肩を揺さぶって、
「あの、グレース様」
「どうしたの?クロエ?」
「あの、今日何やら、ディビッド様が深刻な顔をしておられて、それで私は声を掛けたのですが、反応がなく、憂鬱な顔でしたので、それで心配になって」
クロエはかなり真剣な顔で俺に向かって告げてくれていた。だから、あの脳筋が落ち込んでいないというのは嘘なのだろう。
普段は屈託なく笑う彼が落ち込んでいるとはどうにも考えにくい。
俺は落ち込んだ姿のあいつの事を両腕を組んで考えたのだが、やはり、どうにも考えづらく、途中でその考えを取っ払ってしまう。
あの元気な顔が邪魔をするのだ。あぁ、浮かぶな、ニヤけ面よ。
俺はなんとなく、モヤモヤとした気持ちのまま昼食を食べ終えた。
結局、その日はディビッドの姿は見つけられず、鬱蒼とした気分のまま、学び、戦う事になった。
それは夜にまで引っ張られ、好きな冒険小説を読でも内容が頭の中に入ってこない。
ディビッドのせいで……。そう考えた時だ。今日、剣の稽古をしようとしたら、騎士団長殿も何処か鬱蒼とした気分であった事を思い出す。
普段はオレを怒鳴りつけたりするのだが、今日の彼は何処か静かであった。
それだけではない。いつもならば、すれ違うたびにこちらが聞いて恥ずかしくなるほどの甘い言葉を囁いでくれる筈のガブリエルが、今日は何処か迷子の子鹿のようにしょんぼりとしていた。
ガブリエルだけではなく、完璧王子で、いつも学園の人々を相手に笑顔を振り撒いているサミュエルも今日は何処か曇っていた。
どうしたのだろう。まさか、このクラスが国の殺し合いプログラムの中に食い込まれ、修学旅行に行った先でガスを吸わされて、殺し合いを強制される島に送り込まれるという事もあるまい。
ここはアンソロジーの読み切り漫画とはいえ、漫画の設定は乙女ゲームを舞台にしている筈。
そんな可能性は万に一つもあり得ない。
俺は首を横に振って、その考えを捨てていく。
あの映画は好きな俳優が出ているから見たのだが、中々に衝撃的であった。
まさか、あのお笑い芸人が教師役で出ているとは夢にも思うまい。個人的には、主演よりも深い衝撃を残した。
と、今は映画の感想を思い出している場合ではない。
俺は首を横に振り、その考えを慌てて捨て去っていく。
だが、男性陣ばかりがあんなにも慌てていたのはどういう事だろう。
枕の下に手の枕を作り、考えていると、俺は深い微睡みへと落ちて行ったので、その答えは明日、知る事になった。
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