よくある悪役令嬢ものの性悪ヒロインのポジにTS転生してしまったので、前世で培った知識を活用して、破滅フラグを回避しようと思います!

アンジェロ岩井

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暇だったので、暇潰しの方法を考えていたら、事態が思うように動いた件について

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「乾いた街の片隅で、お前は何を探すのか?傷つき~赤い~痛みに耐えて~」
俺は耳に打ちつける音楽と決して、現実には現れない歌詞を頼りに、熱唱していく。朝食のすぐ後の事なので、歌っている間も、あの執事が扉を開ける事もない。なので、安心して、俺は歌っていく。歌い終わると同時に、俺はベッドの上に思いっきり倒れていく。
そして、暇をしていたので、前世の事を思い出していく。
俺が死ぬ直前に昼間に再放送が始まり、学校から帰ると、撮っていたものを慌てて見ていた事は今でも覚えている。
そう、あの頃は高校二年で止まって欲しいと思っていた。
と、言うのも、俺が前世でも歴史以外の勉強が嫌いだったという事もあり、来年、高校三年生になれば、否が応でも、大学受験という形で、勉強に臨まなくてはならなかったからだ。
だから、俺はあんな平和な日々が永遠に続く事を望んでいたのだ。学校から帰ると、塾の日以外はネットにゲームにアニメに、テレビという日々が続く事を。
まぁ、その願いはあんな最悪の形で叶えられたわけだが……。
いけない、いけない。俺は慌てて首を横に振って、前世の事を頭から振るい落としていく。
泣いて昨日を振り返るよりも、明日の歌を歌え、と某有名時代劇スターも歌っているではないか。
今は前世の事を考えるよりも、今、この状況を脱する事を考えるべきではないだろうか。
思えば、随分と長い間、あの腹黒王子ともチャラ男とも悪役令嬢とも会っていない。
あの頃は腹黒王子や、それに纏わる破滅フラグが怖かったのだが、ずっと監禁されていると、あの日々が恋しくなってしまう。
すると、大きな欠伸が俺の口から出ていく。そして、そのまま夢の世界へと旅立っていく。
朝のうちにカラオケをしていたためか、夢の世界で、江戸時代の目明しをしていて、もう後少しで、モノホンの悪党を捕まえようとした時だ。
「起きてくださいませ、お嬢様」という言葉で俺は強制的に夢の世界から現実へと引き戻されてしまう。
俺が目を擦りながら、起き上がると、そこにはニコニコとした笑みを浮かべた男が立っていた。
俺はゆっくりとベッドから体を起こし、男が持ってきた昼食を取る。
その間、ずっとニコニコとした笑顔を浮かべて、側に立っていた。
この時、ペーターが側に居なかった事もあり、俺は堪らずにエミリオに話しかけた。
「ねぇ、エミリオさん?」
「何でしょうか?お嬢様?」
「良かったら、あなたも食べない?今日のお昼ご飯はとってーも美味しゅうございますし、私、一人で食べるのにはちょっとばっかり、量が多いんでございましてことよ」
それを聞いた、彼は口元の右端を吊り上げて、
「ならば、お言葉に甘えて頂きましょうか?私の腹も空き始めた頃でしたので」
と、彼は躊躇いもなく食べ始めた。
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