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会談へと、いさ参らん!
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俺はそれから、ペーターを練習相手にして、夜までの時間を過ごしていく。
ペーター相手に思う存分、自分の弁舌を振るっていると、扉を叩く音が聞こえたので、入室を許可すると、先程の執事が姿を表す。
彼は丁寧に頭を下げると、俺を手招きし、ペーターに自分の部屋に戻る様に指示を出す。
こうして、俺は初めて自分が監禁されていた部屋から出され、建物の中を動き回っていく。
やはり、というか、監禁された建物は豪華で、廊下の端々には煌びやかな燭台やら、歴史上の人物を象った胸像、そして、豪華な金の額縁で囲われた風景画や人物画があった。
しかし、比率として、大王と呼ばれたジェームズや伝説上の王にして、人類の救世主であるジョー一世もしくはジョー・クウガニアンが多いのはどういう事だろう。
俺がキョロキョロと辺りを見渡していると、不意にエミリオに体が当たってしまう。それは、鉄板の様に硬い胸であった。
そのために、地面に倒れそうになった俺をエミリオはお姫様抱っこで優しく受け止める。
「おおっと、お気を付けてくださいね」
並の女子ならば、即座に落とせそうな顔で笑った後で、俺を立たせ、扉を開ける。
扉の向こうから俺の視界に飛び込んできたのは、かくも豪華な食堂であった。
細くて長い長方形のテーブルの上にはこれ見よがしに豪華な料理が載っており、思わず涎を飲み込んでしまう。
どれも美味そうであるが、一番、目に付いたのはテーブルの中央に置かれた巨大な鳥の丸焼きである。
俺が料理を眺めるのに夢中になっていると、
「おやおや、気に入ってくれましたかな?今夜のために、無理を言って猟師に鳥を譲ってもらいましてな。そりゃあ、もう、大金が掛かりましたよ」
彼は背後から、腹を鳴らしながら自慢げにいう。
俺は丁寧に頭を下げ、お礼を告げたのだが、彼はカラカラと笑って、
「いやいや、これくらい、いいんですよ!これからの事を、思えばね」
と、俺に向かって怪しげなウィンクを放つが、誓ってもいいが、俺はこんな事でお前に屈したりしないぞ。
心の中で釘を刺しておいたが、彼はそんな事は察しずに、そのまま満面の笑みを浮かべて席に着く。
ご機嫌な様子で、エミリオを顎で使い、酒を入れさせたり、給仕をさせたりしていた。
俺がそれを眺めていると、彼は何やら慌てて、執事に耳打ちし、彼を俺の元にやる。
執事の男は「失礼しました」と言って俺のワイングラスを持って、そこに飲み物を注いでいく。
俺のワイングラスが赤い液体で満たされた時に、ようやく俺は話を切り出す。
ペーター相手に思う存分、自分の弁舌を振るっていると、扉を叩く音が聞こえたので、入室を許可すると、先程の執事が姿を表す。
彼は丁寧に頭を下げると、俺を手招きし、ペーターに自分の部屋に戻る様に指示を出す。
こうして、俺は初めて自分が監禁されていた部屋から出され、建物の中を動き回っていく。
やはり、というか、監禁された建物は豪華で、廊下の端々には煌びやかな燭台やら、歴史上の人物を象った胸像、そして、豪華な金の額縁で囲われた風景画や人物画があった。
しかし、比率として、大王と呼ばれたジェームズや伝説上の王にして、人類の救世主であるジョー一世もしくはジョー・クウガニアンが多いのはどういう事だろう。
俺がキョロキョロと辺りを見渡していると、不意にエミリオに体が当たってしまう。それは、鉄板の様に硬い胸であった。
そのために、地面に倒れそうになった俺をエミリオはお姫様抱っこで優しく受け止める。
「おおっと、お気を付けてくださいね」
並の女子ならば、即座に落とせそうな顔で笑った後で、俺を立たせ、扉を開ける。
扉の向こうから俺の視界に飛び込んできたのは、かくも豪華な食堂であった。
細くて長い長方形のテーブルの上にはこれ見よがしに豪華な料理が載っており、思わず涎を飲み込んでしまう。
どれも美味そうであるが、一番、目に付いたのはテーブルの中央に置かれた巨大な鳥の丸焼きである。
俺が料理を眺めるのに夢中になっていると、
「おやおや、気に入ってくれましたかな?今夜のために、無理を言って猟師に鳥を譲ってもらいましてな。そりゃあ、もう、大金が掛かりましたよ」
彼は背後から、腹を鳴らしながら自慢げにいう。
俺は丁寧に頭を下げ、お礼を告げたのだが、彼はカラカラと笑って、
「いやいや、これくらい、いいんですよ!これからの事を、思えばね」
と、俺に向かって怪しげなウィンクを放つが、誓ってもいいが、俺はこんな事でお前に屈したりしないぞ。
心の中で釘を刺しておいたが、彼はそんな事は察しずに、そのまま満面の笑みを浮かべて席に着く。
ご機嫌な様子で、エミリオを顎で使い、酒を入れさせたり、給仕をさせたりしていた。
俺がそれを眺めていると、彼は何やら慌てて、執事に耳打ちし、彼を俺の元にやる。
執事の男は「失礼しました」と言って俺のワイングラスを持って、そこに飲み物を注いでいく。
俺のワイングラスが赤い液体で満たされた時に、ようやく俺は話を切り出す。
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