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なんとか、この場を凌ごうと頑張ります!
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俺はすかさず剣を拾い上げ、男たちに向かって、前世の時代からずっと言ってやりたかった台詞を告げる。
「最初に言っておくぞ、俺はかーなり強い!その上で更に告げておく。俺は今、イライラしてんだよ!」
と、時間を超える電車に乗るヒーローと俺が好きな特撮ヒーローに登場するチートアウトローヒーローのセリフの両方を男たちに向かって同時に吐く。
決まった、めっちゃかっこいい。個人的には、ヒーローに変身するためのベルトがないのが残念でたまらない。
俺が少しばかり自画自賛にふけていると、それが、盗賊の男たちの逆鱗に触れたのだろう。
俺に向かって剣を振り上げて向かっていく。
一応、俺は団長との修行で剣の腕を鍛えていたから、慌てる事なく、俺の真上に振り下ろされた剣を自らの剣を盾にして防ぐ。
剣と剣との間に生じる大きな音が道に響いていく。
こう着状態を危惧したのか、ジーンは慌てて俺の剣から自らの剣を離すと、今度は真横から剣を振っていく。
それを見た、俺はまたしても剣を盾にして防ぐ。
またしても金属と金属とがぶつかり合う音が響いていく。
ジーンは先程と同じ状況になった事を悟り、慌てて剣を引っ込める。
そして、あろう事か、奴は自分の足を俺の足に引っ掛け、俺を転ばされてしまう。
クソッタレ、最悪の気分だ。地面の上に倒れ込んだためか、俺が普段着として着ていたドレスが泥に塗れてしまう。
正直に言えば気分は最悪であったが、俺は同じ様に泥塗れになって奮闘する十三人の特撮ヒーローの事を思えば、なんて事もない様に思えた。
特に、俺の推しのアウトローヒーローなど、辛い時には泥さえも食していたと言うではないか。
その事を思えば、俺はまだ戦える。俺が起きあがろうとするのと、向こうから静止する声とが同時に響いていく。
「へっへっ、構うもんかよ。オレをここまでイラつかせたんだ。この場で始末してやる!クライアントだろうが、誰だろうが、文句なんか言わさねぇぞ!」
俺が倒れた場所から見上げたところで俺を見つめるジーンは有名ロボットアニメの第一話に登場する、かませ犬のロボット操縦者と同様に危うい精神状態にあるらしい。
思えば、あのジーンがあそこで暴れたから、主人公がロボットを動かそうと思ったんだっけ……。
俺は立ち上がろうと考えたが、この状況では起き上がるのも難しいだろう。
もしかして、俺はこのまま……。嫌だ。そんなの……。俺は声を震わせて叫ぶ。
「ウソダドンドコドーン!」
いけない、『嘘だそんな事!』と叫んだつもりであったのに、滑舌が悪かったせいか、オンドゥル語になっている。
すると、訳の分からない言語に御者はおろか、今、剣を振り上げようとしているジーンでさえも首を傾げていた。
逃げるのなら、今だろう。俺は慌てて起き上がると、御者の元へと駆けていく。
「最初に言っておくぞ、俺はかーなり強い!その上で更に告げておく。俺は今、イライラしてんだよ!」
と、時間を超える電車に乗るヒーローと俺が好きな特撮ヒーローに登場するチートアウトローヒーローのセリフの両方を男たちに向かって同時に吐く。
決まった、めっちゃかっこいい。個人的には、ヒーローに変身するためのベルトがないのが残念でたまらない。
俺が少しばかり自画自賛にふけていると、それが、盗賊の男たちの逆鱗に触れたのだろう。
俺に向かって剣を振り上げて向かっていく。
一応、俺は団長との修行で剣の腕を鍛えていたから、慌てる事なく、俺の真上に振り下ろされた剣を自らの剣を盾にして防ぐ。
剣と剣との間に生じる大きな音が道に響いていく。
こう着状態を危惧したのか、ジーンは慌てて俺の剣から自らの剣を離すと、今度は真横から剣を振っていく。
それを見た、俺はまたしても剣を盾にして防ぐ。
またしても金属と金属とがぶつかり合う音が響いていく。
ジーンは先程と同じ状況になった事を悟り、慌てて剣を引っ込める。
そして、あろう事か、奴は自分の足を俺の足に引っ掛け、俺を転ばされてしまう。
クソッタレ、最悪の気分だ。地面の上に倒れ込んだためか、俺が普段着として着ていたドレスが泥に塗れてしまう。
正直に言えば気分は最悪であったが、俺は同じ様に泥塗れになって奮闘する十三人の特撮ヒーローの事を思えば、なんて事もない様に思えた。
特に、俺の推しのアウトローヒーローなど、辛い時には泥さえも食していたと言うではないか。
その事を思えば、俺はまだ戦える。俺が起きあがろうとするのと、向こうから静止する声とが同時に響いていく。
「へっへっ、構うもんかよ。オレをここまでイラつかせたんだ。この場で始末してやる!クライアントだろうが、誰だろうが、文句なんか言わさねぇぞ!」
俺が倒れた場所から見上げたところで俺を見つめるジーンは有名ロボットアニメの第一話に登場する、かませ犬のロボット操縦者と同様に危うい精神状態にあるらしい。
思えば、あのジーンがあそこで暴れたから、主人公がロボットを動かそうと思ったんだっけ……。
俺は立ち上がろうと考えたが、この状況では起き上がるのも難しいだろう。
もしかして、俺はこのまま……。嫌だ。そんなの……。俺は声を震わせて叫ぶ。
「ウソダドンドコドーン!」
いけない、『嘘だそんな事!』と叫んだつもりであったのに、滑舌が悪かったせいか、オンドゥル語になっている。
すると、訳の分からない言語に御者はおろか、今、剣を振り上げようとしているジーンでさえも首を傾げていた。
逃げるのなら、今だろう。俺は慌てて起き上がると、御者の元へと駆けていく。
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