よくある悪役令嬢ものの性悪ヒロインのポジにTS転生してしまったので、前世で培った知識を活用して、破滅フラグを回避しようと思います！

理性全滅！脳内のブレーキが壊れる時、俺の頭の中は煩悩まみれに

あんな事があったのだから、俺は気が気でたまらなかった。結局、その晩は大好きな冒険小説を読む事もできずに、ただベッドの上に寝転がり、オリビア嬢の事を思い出していた。あの人は恐らく、俺に説教をしたかったのだろう。
だが、俺が妙な理屈を付けて跳ね除けたせいで、それを正す機会を失ってしまった……。
そう解釈するのが自然だろう。一晩経って、そう言った考えに至っていく。
と、いうか、意思を読み取るのに、どれだけ掛かったんだという突っ込みが入るだろうが、生憎と、成績の良さで召喚獣を呼び出して、バトらせるラノベならば間違いなく、最下位クラスに入る程の頭なのだ。
ぶっちゃけて言おう。前世の俺の成績はあのラノベの第一巻の主人公と殆ど変わらん。
だから、少し鈍い所はあるが、まぁ、気にするな。と、どこぞの魔王様の様な台詞を吐いて、学生生活を再開していく。
相変わらず、退屈な授業は続き、放課後の剣術の授業も続く。
卒業式の日に破滅フラグが訪れるかもしれないという恐怖以外は、何も変わらない穏やかな日常が続く筈であった。
だが、そんな俺の求めていた均衡は翌日の魔法理論の教師によって脆くも崩れ去ってしまう。
「では、転校生を紹介します」
今日の退屈な授業が続くと思って、閉ざそうとした目蓋を思いっきり、上げた。
目を大きく開けると、そこには眠気も吹っ飛ぶ程の美少女が立っていた。
赤い髪をたなびかせた少女は我々に向かって微笑むと、
「おはようございます。転校生のクロエ・セダカです。よろしくお願いします」
彼女はそう言うと、可愛らしい顔で俺や他の生徒に向かって微笑む。
このクラスの男子の何人かが、その笑顔に心惹かれておるらしい。
魔法理論の教師の説明によれば、彼女は平民でありながら、魔法が使えるために、急遽、この学園に転入させたのだそうだ。
待て、この設定、何処かで聞いた事があるぞ。あ、そうだ！はめふ○のマ○アだ！マリ○・キャンベ○さんや！
興奮のあまり、何処ぞのネット民の方々の様に、関西弁を使用しているではないか。
「彼女は今後、特待生として迎えられる予定です。みなさん、貴族としての家名に恥じない様に、軽率な行動を慎み、友としてミス・セダカを迎える様に」
何を当たり前の事をと思ったが、例の有名悪役令嬢作品でも、平民のくせに珍しい魔法が使えるという理由で虐められていた事を思い出す。
学園側もその事は予期していたのだろうから、敢えて転校初日にこの様な忠告を行なったのだろう。
ただ、男子生徒側はそうでも、令嬢側はあまり、あの少女を好意的には見ていないらしい。
冷ややかな視線で、あの可愛らしい少女を眺めていた。