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取り敢えず、面倒臭い事になってしまったので、現実逃避します
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「いやいや、なんでそこで話を蒸し返すの!?パカなの?」
ロージー嬢は呆れ返った目付きで俺を見つめていた。
「いや、だってさ。あそこでハムナ○トラの事を考えてましたーなんて言えないじゃん」
「そうだけど、よりにもよって話を蒸し返す!?あの一件、本当はサミュエルの味方をしたかったというのに、わざわざ自分を庇った事をオリビア嬢は変に思うし、サミュエル王子だって意見をコロコロ変える女に疑問を持つでしょ?それに、伯爵令息だって、あんたの泣き落としを見て、何か考えるでしょ?あんた、色々ヤバいよ!」
「それってさ、第一次大戦前のバルカン半島並みにヤバい?」
「いや、もうあたしから見たら、オーストリア皇太子を射殺されてる状態だから」
冷ややかな声でそう告げる友人の姿を見て、俺は改めて、取り返しのつかない事をしてしまったという事を理解した。
だが、まだ巻き返せるかもしれない。俺は額を抑えてクックッと笑う。
「な、何がおかしいの!?恐怖で頭がハッピーセットになっちゃったの?」
「いいや、違う。忘れたのかい?オーストリアがセルビアに圧力をかけなけりゃあ、セルビアはロシアに擦り寄らなかったという事を!!」
それを聞いてあっと叫ぶロージー。
「た、確かに。と、すると、あなたはこの状況でまだやり直しを図る気!?」
「その通りでございます」
俺は某有名冒険漫画の人気悪役キャラクターの執事の様に丁寧に頭を下げると、自分自身の考えを述べていく。
言い訳の呼吸、壱の型、弍の型という調子で。
それを全て聞いていたロージーは初めに眉を顰め、次に苦笑いを浮かべた。
「フフ、あんたは天才ね。言い訳の……でも、面白いわ。その方法でやってご覧なさい」
ロージーからの応援を得た俺はその日、脳内で最高評議会の緊急集会を行い、評議会メンバーの監視の元で、言い訳文を書き上げ、それを推敲し、何度も口に出して、それを覚えていく。
そして、その文を完璧に頭の中に叩き込んでから、翌日の学園に向かう。
言い訳の文を各々方に述べ、最後にオリビア嬢に述べると、オリビア嬢を蔑んだ目で俺を見下ろして、
「ふーん、と、すると、あなたはサミュエル王子殿下の態度はいけないとは思っているけれども、本当は嬉しかった。だから、あそこでたまたま思い出して、泣いてしまった……と」
「ええ、そういう事なんですの。ですから、特に変な意図はありませんでしてよ。ただ、女の子としてーー」
「嘘だッ!」
悪役令嬢はそう言うと、大きな声で叫ぶ。
ロージー嬢は呆れ返った目付きで俺を見つめていた。
「いや、だってさ。あそこでハムナ○トラの事を考えてましたーなんて言えないじゃん」
「そうだけど、よりにもよって話を蒸し返す!?あの一件、本当はサミュエルの味方をしたかったというのに、わざわざ自分を庇った事をオリビア嬢は変に思うし、サミュエル王子だって意見をコロコロ変える女に疑問を持つでしょ?それに、伯爵令息だって、あんたの泣き落としを見て、何か考えるでしょ?あんた、色々ヤバいよ!」
「それってさ、第一次大戦前のバルカン半島並みにヤバい?」
「いや、もうあたしから見たら、オーストリア皇太子を射殺されてる状態だから」
冷ややかな声でそう告げる友人の姿を見て、俺は改めて、取り返しのつかない事をしてしまったという事を理解した。
だが、まだ巻き返せるかもしれない。俺は額を抑えてクックッと笑う。
「な、何がおかしいの!?恐怖で頭がハッピーセットになっちゃったの?」
「いいや、違う。忘れたのかい?オーストリアがセルビアに圧力をかけなけりゃあ、セルビアはロシアに擦り寄らなかったという事を!!」
それを聞いてあっと叫ぶロージー。
「た、確かに。と、すると、あなたはこの状況でまだやり直しを図る気!?」
「その通りでございます」
俺は某有名冒険漫画の人気悪役キャラクターの執事の様に丁寧に頭を下げると、自分自身の考えを述べていく。
言い訳の呼吸、壱の型、弍の型という調子で。
それを全て聞いていたロージーは初めに眉を顰め、次に苦笑いを浮かべた。
「フフ、あんたは天才ね。言い訳の……でも、面白いわ。その方法でやってご覧なさい」
ロージーからの応援を得た俺はその日、脳内で最高評議会の緊急集会を行い、評議会メンバーの監視の元で、言い訳文を書き上げ、それを推敲し、何度も口に出して、それを覚えていく。
そして、その文を完璧に頭の中に叩き込んでから、翌日の学園に向かう。
言い訳の文を各々方に述べ、最後にオリビア嬢に述べると、オリビア嬢を蔑んだ目で俺を見下ろして、
「ふーん、と、すると、あなたはサミュエル王子殿下の態度はいけないとは思っているけれども、本当は嬉しかった。だから、あそこでたまたま思い出して、泣いてしまった……と」
「ええ、そういう事なんですの。ですから、特に変な意図はありませんでしてよ。ただ、女の子としてーー」
「嘘だッ!」
悪役令嬢はそう言うと、大きな声で叫ぶ。
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