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ピンクの花の五人の戦士、吹かすな、破滅の風を。お願いです。どうか、五つの力を合わせて、勝利の雄叫びを上げるのだけはやめてください。

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「では、三人目です」
映写機にサミュエル王子……ではなく、サミュエル王子と瓜二つの顔を持った可愛らしい顔の男の子の姿が浮かぶ。
愛らしいその姿に脳内最高評議会の面々が悲鳴を上げる。
鹿の様に思わず庇護欲を注ぎたくなるその少年は見ていてたまらない。
なので、副議長俺は慌てて議長俺に説明を促す。
議長俺は咳払いをして、俺を宥め、落ち着いた口調でこの少年の名前を説明していく。
「彼の名前はウィニー。ウィニー・ラングドーア。この国の第二王子です。サミュエルとは10歳違いで、日本で例えると、幼稚園年長から小学校低学年くらいの年齢です」
「『トゥルーメモリー』サイコー!マンセー」
と、最高評議会の誰かが「マンセー」を口にするのと同時に、議員の俺全員が「マンセー」を口走っていく。
いや、議員だけではない。あろう事か、元の性悪女までその大合唱に加わっている。それを苦笑いで見つめる議長俺とグレース。
暫くの間、大合唱が続いたのだが、このままでは収拾が付かないと議長俺は判断。汗を拭い、空咳をして、会議の続行を脳内議会の面々に訴えていく。
全員が首を縦に動かした事で、会議はようやく再開する事になった。
「で、魔法学園とは一見無縁の彼がどうして、ヒロインと出会うのか、それを教えていただけませんか?」
議長俺の問い掛けに書記俺が俺の記憶が書かれた紙を持って説明する。
「えー、まず、彼が魔法学園に来る事になったのは、離れ離れになった兄を追ってという理由です。要するに、寂しくなったんですね」
「な、なんて可愛い子なんだ!何処ぞのヨーゼフさんとは大違いだぜ!」
議長俺の言葉に同意する最高評議会のメンバーの俺たち。
「で、この子が四人目なんだよな?最後のメンバーは誰だ?」
議長俺の質問に、空咳を出し、書記俺は答える。
「はい、五人目はなんと、この学園の生徒ではありません!」
その言葉に全員が騒めく。『ざわざわ』という擬音が脳内に聞こえる。
「まさか、利根○先生でも出てくるっていうのか!?」
脳内最高評議会の面々が声を荒げる中、書記俺は冷静に首を横に振って否定する。
「違います。騎士ですよ。魔法学園の生徒を守るために王国から派遣された騎士団の団長さんです!」
同時に茶色の髪を逆立てた気丈夫の男がスクリーンに映し出されていく。
「彼の名前は?」
議長俺の質問に、書記俺は冷静に覚えた名前を告げていく。
「彼の名前はロイヤル。ロイヤル・ウェントワースです。カッコいいですよね?」
最高評議会の面々は各々に同意の言葉を呟いていく。
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