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好きなものを問われたら、そりゃあ、あなた、答えないわけにはいかないでしょう。ついでに俺の好きな悪役令嬢が全員集合してくれたらいいんだが……

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さてと、俺はこのまま部屋に引き篭もろう。そう思った矢先の事だ。
唐突にオリビア嬢に声を掛けられた。
「ねぇ、グレース。あなたは龍○の中だと誰が好きなの?」
俺の一番好きなシリーズだ。俺は『○騎』の二文字が頭に浮かんだ瞬間に、思わず反射的に答えてしまう。
「えっ、それは勿論、王○……でも、シ○ースも捨てがたいかな?あっ……」
「やはり、あなた、転生者ね」
今の答えで、オリビア嬢に確信を与えてしまったらしい。
オリビア嬢は勝ち誇った様な笑みを浮かべながら、俺に近付き、俺に得意げな顔を浮かべて呟く。
「ハッタリをかましてみたけど、当たって良かったわぁ~それに、あなたも見てたんだ。『龍○』」
世代ではなかったけど、たまたまネットで知ってどハマりしたのだ。俺の通っていた学校でも見てると声高に叫んでいた奴がいて、それに影響されたのもあるが……。
だが、そんな事はどうでもいい。
問題はこうもあっさりと俺が『転生者』だと彼女に知られてしまった事だ。
俺は慌てて苦笑いをして誤魔化したのだが、彼女の真剣な顔を見て、もう誤魔化しは通じないと悟った。
こうなってしまっては、ドラゴンロードをバイクで飛ばしながら、これまで現れた大勢の悪役令嬢が俺の元に来てくれないものだろうか。
そうすれば、多少は俺の溜飲も下がるというものだ。
カタリ○様、ティアラロー○様、セシリ○様、どうか駆け付けてくださいませ。
いや、いくら悪役令嬢といっても、令嬢なのだ。そんな事は不可能だろう。
この中でも、カタリ○様なら、バイクに乗って、颯爽と駆け付けてくれそうな気がする。と、なると、彼女が全員を引っ張れば、いける気がする。そうすれば、共闘は可能なのではないだろうか。
タイトルはそうだな。『新悪役令嬢誕生!悪役令嬢全員集合!!』とかどうだろう。
これは売れるんじゃあないだろうか。我ながら、ナイスアイデア過ぎて褒めたいくらいだ。
ストーリーは、新しく悪役令嬢として認められた俺が地獄の帝国バ○ンと戦い、最後に全員で共闘して、バダ○の幹部であるアカ○を倒すという筋書きだ。
いや、ア○リはそんな悪い人間じゃあないから、敵の幹部ポジションではないだろう。後で応援に駆け付けるポジションだな。
と、なると、そのまま、暗闇大○の役は誰がなるのだろう。
俺が頭の中で、夢中になって、各作品の悪役令嬢と共闘しながら、○ダンを倒す姿を思い描いていると、
「私は龍○やナ○トの方が好きなんだけど、あなたは悪役の方が好きなのね」
と、したり顔で告げるオリビア嬢の言葉で俺は現実世界へと引き戻されていく。
「けど、面白いわ。前世ではヒーローの方が好きだった私が悪役に転生し、同じく前世では悪役が好きだったあなたが今世ではヒロインに転生するなんて、皮肉めいたものを感じるわぁ」
いや、オリビア嬢よ。あなたは感心しながら、言っているが、漫画の内容を知っている俺からすれば、ヒロインはあなたで、悪役ヴィランは俺の方なのだ。
ちゃんと前世の好みが今世にも反映されている。
あと、オリビア嬢よ。親父がさっきから、放りっぱなしだが、放っておいて良いのか。
先程から、我々の会話についていけずにポカーンとしているぞ。
俺は悪役令嬢にそう言ってやると、悪役令嬢は慌てる事もなく、それでも、親父のフォローに向かう。
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