よくある悪役令嬢ものの性悪ヒロインのポジにTS転生してしまったので、前世で培った知識を活用して、破滅フラグを回避しようと思います!

アンジェロ岩井

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アンソロジー悪役令嬢ものの転生ヒロインのポジに転生したつもりだったのに、何故か、悪役令嬢に追及され続けているんですが……

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結局、その日は朝食も午前の茶会も昼食もずっとオリビア嬢と同じであった。
その間、俺は向こうに話す手掛かりを与えないため、ひっきりなしにこの世界における話題を続けていく。
歴史の話でも、舞踏会の話でも、パーティーの話でも、小説の話でも、料理の話でもなんでもいい。
途切れる事なく話を続けていく。その最中、世界的に有名なショートショートの大物作家の話の中に、テレビ好きな宇宙人を満足させるために、途切れる事なく豪華な番組を編成したという話を思い出した。
最終的に最後のオチは催眠術師がその宇宙人たちを永遠の眠りにつかせて解決したのだったが、生憎と俺は催眠術師の様に上手く催眠を扱えない。
なので、彼女を説得する事は無理だろう。
早く帰ってもらいたいという思いから、俺は思わず早口になっていき、最後には言葉にも詰まってしまうという有様だ。
寝ては寿命が縮むため、一晩中集まって喋る庚申の夜でも、こんなに喋りはしまい。
お陰で昼食が終わる頃にはすっかりと俺の話題は尽きてしまった。
次の話題に困り、会話の中に「うー」とか「あー」とかいう唸り声が多くなってきて、いよいよ、会話に詰まってしまう。そんな時だ。意外な人物が俺を助けてくれた。
「そういえば、オリビア様。最近、サミュエル王子とはどうなのですかな?噂によれば、最近、王子は娘と近付いているとか……」
親父は声こそ畏れ多いっていたが、質問は無礼そのものであった。身分関係なく、女性にそんな事は聞くものではないだろう。
助け舟を出してくれた事には感謝するがな。俺は一通り強い侮蔑の目を親父に突き刺す。
だが、オリビア嬢はそれを寛大な笑顔で許し、質問にも答えてくれた。
「ええ、魔法学園では、サミュエル様とグレースが仲つむまじくされている姿を何度も見ましたし、テスト前は二人で彼女に歴史学以外の勉学を教えましてよ。本当にグレースは物覚えが良くてーー」
オリビア嬢のリップサービスに、親父はデレデレしている。
親父よ、今、娘を褒めている相手は近い未来で、娘とあんたとを同時に破滅させる存在だぞ。
心の中で釘を刺しておくも、我が親父殿はエヘエヘと笑いながら、上機嫌でメイドにお代わりの紅茶を注がせている。
オリビア嬢もそれに天使の様な微笑を浮かべながら、応対していく。
なんとも複雑な思いで、父親と悪役令嬢の両方を眺めていたが、同時に「転生者」の話題がこの話題が親父と俺との間に流れている間は語られない事に安堵していた。
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