よくある悪役令嬢ものの性悪ヒロインのポジにTS転生してしまったので、前世で培った知識を活用して、破滅フラグを回避しようと思います!

アンジェロ岩井

文字の大きさ
上 下
13 / 105

悪役令嬢が突然に訪問されるというのが、こんなにも地獄の様な事だとは思いませんでした。もし、機嫌を損ね、追放されたら、蝋燭を立てて暮らします

しおりを挟む
こんな話を聞いた事がある。性悪転生ヒロイン。或いは隣国に通じているもしくは公金横領やら何やらの罪を犯しているヒロインや攻略対象のイケメンよりも悪役令嬢は地位も高く、道徳優位に立っているので、何を言っても暴言にはならない筈だ、という話を。例えば、相手が一番、気にしている成績の事を挙げて、大勢の人の前で馬鹿にしたとしても、悪役令嬢ものでは悪とはされない様に。
アンソロジーにおける本来のヒロイン枠の少女たちの扱いの悪さや攻略対象のイケメンを見れば、俺は常々、そう思っていた。
だが、魔法学園におけるオリビア嬢やサミュエル王子の俺への態度を見るに、それは随分と偏った目線であった事が理解できた。
俺はそんな事を考えながら、ぼんやりと部屋のバルコニーの上で紅茶を啜っていく。特に意味はない。令嬢といえば紅茶、みたいなイメージが強いから、飲んでいるだけだ。
某有名小説家の主人公が物事が終わった後に「やれやれ」と呟きながら、パスタを茹でたり、『シャーロック・ホームズの冒険』を読む様なものだ。
そういえば、あの日、家に帰ったら、その人の小説を読む予定だったのだが、その前に事故で死んでしまった。
面白そうなタイトルであったのに、実に惜しい事をした。
俺は結局、前世で読めなかった小説に思いを馳せながら、バルコニーから満点の星空を見上げていく。
空いっぱいに輝く星々。それはまるで、宝石箱の中で光り輝く宝石の様だ。
俺が暫く、星を見て物思いにふけていると、背後から声がしたので、慌てて振り向く。
そこには俺付きのメイドの姿。メイドは丁寧に頭を下げると、俺に来客を告げた。
こんな時間に誰だろう。非常識だ。俺は先程まで感じていた雅な心をすっかり消失し、代わりに頭の中を怒りの色で塗り潰し、不機嫌な様子で俺の元を訪れた客の元へと向かっていく。
だが、そんな怒りの気持ちは玄関に着くと同時に、すぐに宇宙の果てまで吹っ飛んでしまう。
何故ならば、玄関に立っていたのはオリビア・コンドール公爵令嬢であったのだから。
オレは素っ頓狂な声を上げて、
「お、オリビア様!?どうして、この様な家に!?先にお申し付けくだされば、それなりのおもてなしをさせていただいたもののーー」
「いえ、大掛かりなおもてなしなど不要ですわ。だって、私は貴女と話したかったんですもの。グレース」
彼女は笑顔だった。だが、その笑顔の裏には何やら黒いものがはっきりと感じられた。
私はひきつった笑顔を浮かべながら、オリビア嬢を応接室にまで案内する。
我が家の一階に存在する応接室は文字通り、来客をもてなすために作られた部屋で、部屋の中にはゆったりとして座り心地の良い長椅子が二脚が置かれ、その二脚の椅子の間にお茶や茶菓子を置くための茶色の長テーブルが置かれている。
現在、俺が座っているのはその長椅子であり、俺の向かい側にオリビア嬢が座っている。
メイドがお茶と茶菓子を運び終え、それが終わったところで、オリビア嬢は唐突に切り出す。
「貴女、グレース・ベンフォールではありませんね?何者です?誰がその体の中にいるんです?」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

旦那様には愛人がいますが気にしません。

りつ
恋愛
 イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。 ※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

処理中です...