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新兵登場!!
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二人が出て行った後に私は討伐隊に何があったのかを問いかけた。
話によれば、ここ一週間、私が眠っていた間にはミーティア王国や援軍を申し入れた国にもエンジェリオンは出現せず、人々は平穏に暮らしていたらしい。
これで、私が目覚めて以降にエンジェリオンの数が増えたらそれが私のせいだと思われそうだ。
思わずベッドの上で苦笑する。結局、その後、私はマリアから休養を言い付けられ、寝る事になった。
眠った際に私はまた夢を見た。また前の世界の夢だった。
前の世界で私が父親に詰め寄られる夢だった。成績の件だろうか、はたまた将来の進路について揉めた時だったか、よく覚えていない。
夢の中で、私は一方的になじられていた。父は私を怒鳴り付けていく。
なぜだろう。なぜ、ここまで怒られなくてはならないのだろう。どうして私が医者にならなければいけないのだろう。
本当は医者になんてなりたくないのに。
でも、医者になれなければ私の人生に意味はない。
もう嫌だ。逃げたい。そう考えた時に私はようやく目を覚ました。
悪夢にうなされていたためか、私の体全体が冷や汗でひどく滲んでいた。
そして、慌てて辺りを見渡す。孤児院の中にある訓練所の私の部屋だ。
眠っているのは私のベッドの上。あの恐ろしい父はもういない。
私は安堵の溜息を漏らす。すると、私のベッドの前で安からな寝息を立てているティーの姿に気がつく。
「えっ、あ、あぁぁぁ!?」
予想外の出来事に混乱して思わず声を上げる私、その声に驚いて夢の世界からこちらへと引き戻されたティー。
心ここにあらずと言わんばかりに混乱して、辺りを見回している。
そのティーの頭を優しく撫でて、私は優しい声で言った。
「あ、ごめん。起こしちゃったね。私の手を握ってくれていたの?」
その問い掛けにティーは首を縦に動かす。
ティーの笑顔に思わず絆されてしまった。例えるのならば小動物的な可愛らしさというか、子鹿などが見せる求愛行動のようなものだ。
昔、学校で聞いた言葉がある。『可愛いは正義』という言葉を。
それを実現しているのがティーである。思わず抱きしめようとした時だ。
扉が開いてマリアが姿を見せた。
「おはよう。ハル」
「おはよう。あの、どうしてティーが?」
「いやね、ティーがハルを元気付けたいって部屋の中に潜り込んでさ」
「なるほど」
話を聞くほど、ティーが可愛らしく見えてきた。彼女が言葉を話さないのがこの時ほど、残念だと思ったことはない。
私はそっとティーの頭を撫でた。
ティーがまたしても嬉しそうな表情を浮かべる。前の世界では一人っ子だったので、妹ができたような気になれて嬉しかったのだ。
私が思わずニヤついていると、マリアが小首を傾げて私とティーを朝食へと誘った。
スープにパンにそれからオレンジの実一つといういつも通りのメニューだ。
それを順番に片付けていると、ノーブが姿を表した。
いつもならば来ないのに珍しい事もあるものだ。
慌てて立ちあがろうとする私たちを制止して、彼は私たちに向き直ったかと思うと、空咳を行う。その後に大きな声を上げて言った。
「諸君、私は知っての通り、昨日に彼の国に諸君らを派遣し、彼の国を救った!これに関し、彼の国は感謝の意思を示し、我々に対してさらなる討伐隊の兵力の強化を約束した!……といっても、新たな戦士を一人派遣しただけの話なんじゃが」
ノーブは最後の言葉を濁したものの、改めてその仲間を紹介したのだ。
「紹介しよう。彼の国より現れた我々の新しい仲間、クリス・サームじゃ」
そう言って、昨日の戦闘で一人、敵を食い止めていた若くて人の良い顔を浮かべた青年が入ってきた。
彼は改めて自分の名前を名乗り終えると、丁寧に頭を下げて言った。
「みなさん、これからはここで討伐隊の一員としてみなさんとあの忌まわしい天使どもを討伐したいと考えております!よろしくお願い致します!」
クリスは人の良い笑顔を浮かべながら私たち一人一人に挨拶に回っていく。
媚びた様子も見せずに純真な笑顔を浮かべる彼に誰もが好感を持ったらしい。
あのポイゾですらクリスにはいつも浮かべている、いやらしい笑みではなく、純真な笑顔を浮かべて応対していた。
「正直な人間だなぁ、キミは……いいね、好きになりそうだ」
「はいッ!ありがとうございます!」
どちらも打算あっての行動ではないので、見ているこちらとしても微笑ましくなる光景だ。
その日はクリスを交えての鍛錬となった。クリスはマリアよりも年上であり、今更勉学に混じるのも興じるのもどうかと思ったが、本人は特に気にしていないらしい。
訓練では教わる側であるのと同時に教える側にも混ざっていた。
武術、馬術、体術、どれも自ずと身に入った。
また、話していくうちに彼が極度のお人好しであることもわかった。
彼は兵士であった頃に休日を農家の人に頼まれて、農作業で時間を潰したこともあったのだという。
その話から私は彼が本当にいい人なのだと実感させられた。
三日の後にはすぐにみんなのお兄さんとなった。
その翌日には峠に出現した指揮官のいないエンジェリオンとの戦いに赴いたのだが、その際に彼はあの亀の指揮官との戦いで見せたような爆破魔法を纏わせて、次々と天使たちを葬り去っていく。
特にブレードとの連帯は完璧であった。ブレードの指示に従って動き、討伐隊を勝利へと導いたのである。
ここまでくれば欠点のない完璧な人間のように思われるだろう。
だが、彼にも欠点があるのだ。それがお人好し過ぎる点だ。
だから、負傷してしまうのだ。彼の負傷の要因は敵の指揮官からマリアを庇っての負傷である。
この時の敵の指揮官はフードコブラというコブラの中でも有名なコブラが鎧を着て二本の足で歩いているという印象の亀や豹よりも随分と気色の悪い顔形をした指揮官だ。
紫色のヌメヌメとした気色の悪い皮膚に肋骨を用いて頚部の皮膚を広げ、フードのように見えるコブラであり、Yの字に分かれた赤色の舌に、一般のナイフというよりはペーパーナイフのような細かい歯を見せた気色の悪い姿の生物が自分を模した刺又の槍を持っているのだ。
そんな怪物に攻撃されてしまったのだ。彼の無念は計り知れないものがある。
私は衝動的に馬を降りた後に姿を変え、コブラの指揮官に戦いを挑む。
クリスの仇を取るために。
話によれば、ここ一週間、私が眠っていた間にはミーティア王国や援軍を申し入れた国にもエンジェリオンは出現せず、人々は平穏に暮らしていたらしい。
これで、私が目覚めて以降にエンジェリオンの数が増えたらそれが私のせいだと思われそうだ。
思わずベッドの上で苦笑する。結局、その後、私はマリアから休養を言い付けられ、寝る事になった。
眠った際に私はまた夢を見た。また前の世界の夢だった。
前の世界で私が父親に詰め寄られる夢だった。成績の件だろうか、はたまた将来の進路について揉めた時だったか、よく覚えていない。
夢の中で、私は一方的になじられていた。父は私を怒鳴り付けていく。
なぜだろう。なぜ、ここまで怒られなくてはならないのだろう。どうして私が医者にならなければいけないのだろう。
本当は医者になんてなりたくないのに。
でも、医者になれなければ私の人生に意味はない。
もう嫌だ。逃げたい。そう考えた時に私はようやく目を覚ました。
悪夢にうなされていたためか、私の体全体が冷や汗でひどく滲んでいた。
そして、慌てて辺りを見渡す。孤児院の中にある訓練所の私の部屋だ。
眠っているのは私のベッドの上。あの恐ろしい父はもういない。
私は安堵の溜息を漏らす。すると、私のベッドの前で安からな寝息を立てているティーの姿に気がつく。
「えっ、あ、あぁぁぁ!?」
予想外の出来事に混乱して思わず声を上げる私、その声に驚いて夢の世界からこちらへと引き戻されたティー。
心ここにあらずと言わんばかりに混乱して、辺りを見回している。
そのティーの頭を優しく撫でて、私は優しい声で言った。
「あ、ごめん。起こしちゃったね。私の手を握ってくれていたの?」
その問い掛けにティーは首を縦に動かす。
ティーの笑顔に思わず絆されてしまった。例えるのならば小動物的な可愛らしさというか、子鹿などが見せる求愛行動のようなものだ。
昔、学校で聞いた言葉がある。『可愛いは正義』という言葉を。
それを実現しているのがティーである。思わず抱きしめようとした時だ。
扉が開いてマリアが姿を見せた。
「おはよう。ハル」
「おはよう。あの、どうしてティーが?」
「いやね、ティーがハルを元気付けたいって部屋の中に潜り込んでさ」
「なるほど」
話を聞くほど、ティーが可愛らしく見えてきた。彼女が言葉を話さないのがこの時ほど、残念だと思ったことはない。
私はそっとティーの頭を撫でた。
ティーがまたしても嬉しそうな表情を浮かべる。前の世界では一人っ子だったので、妹ができたような気になれて嬉しかったのだ。
私が思わずニヤついていると、マリアが小首を傾げて私とティーを朝食へと誘った。
スープにパンにそれからオレンジの実一つといういつも通りのメニューだ。
それを順番に片付けていると、ノーブが姿を表した。
いつもならば来ないのに珍しい事もあるものだ。
慌てて立ちあがろうとする私たちを制止して、彼は私たちに向き直ったかと思うと、空咳を行う。その後に大きな声を上げて言った。
「諸君、私は知っての通り、昨日に彼の国に諸君らを派遣し、彼の国を救った!これに関し、彼の国は感謝の意思を示し、我々に対してさらなる討伐隊の兵力の強化を約束した!……といっても、新たな戦士を一人派遣しただけの話なんじゃが」
ノーブは最後の言葉を濁したものの、改めてその仲間を紹介したのだ。
「紹介しよう。彼の国より現れた我々の新しい仲間、クリス・サームじゃ」
そう言って、昨日の戦闘で一人、敵を食い止めていた若くて人の良い顔を浮かべた青年が入ってきた。
彼は改めて自分の名前を名乗り終えると、丁寧に頭を下げて言った。
「みなさん、これからはここで討伐隊の一員としてみなさんとあの忌まわしい天使どもを討伐したいと考えております!よろしくお願い致します!」
クリスは人の良い笑顔を浮かべながら私たち一人一人に挨拶に回っていく。
媚びた様子も見せずに純真な笑顔を浮かべる彼に誰もが好感を持ったらしい。
あのポイゾですらクリスにはいつも浮かべている、いやらしい笑みではなく、純真な笑顔を浮かべて応対していた。
「正直な人間だなぁ、キミは……いいね、好きになりそうだ」
「はいッ!ありがとうございます!」
どちらも打算あっての行動ではないので、見ているこちらとしても微笑ましくなる光景だ。
その日はクリスを交えての鍛錬となった。クリスはマリアよりも年上であり、今更勉学に混じるのも興じるのもどうかと思ったが、本人は特に気にしていないらしい。
訓練では教わる側であるのと同時に教える側にも混ざっていた。
武術、馬術、体術、どれも自ずと身に入った。
また、話していくうちに彼が極度のお人好しであることもわかった。
彼は兵士であった頃に休日を農家の人に頼まれて、農作業で時間を潰したこともあったのだという。
その話から私は彼が本当にいい人なのだと実感させられた。
三日の後にはすぐにみんなのお兄さんとなった。
その翌日には峠に出現した指揮官のいないエンジェリオンとの戦いに赴いたのだが、その際に彼はあの亀の指揮官との戦いで見せたような爆破魔法を纏わせて、次々と天使たちを葬り去っていく。
特にブレードとの連帯は完璧であった。ブレードの指示に従って動き、討伐隊を勝利へと導いたのである。
ここまでくれば欠点のない完璧な人間のように思われるだろう。
だが、彼にも欠点があるのだ。それがお人好し過ぎる点だ。
だから、負傷してしまうのだ。彼の負傷の要因は敵の指揮官からマリアを庇っての負傷である。
この時の敵の指揮官はフードコブラというコブラの中でも有名なコブラが鎧を着て二本の足で歩いているという印象の亀や豹よりも随分と気色の悪い顔形をした指揮官だ。
紫色のヌメヌメとした気色の悪い皮膚に肋骨を用いて頚部の皮膚を広げ、フードのように見えるコブラであり、Yの字に分かれた赤色の舌に、一般のナイフというよりはペーパーナイフのような細かい歯を見せた気色の悪い姿の生物が自分を模した刺又の槍を持っているのだ。
そんな怪物に攻撃されてしまったのだ。彼の無念は計り知れないものがある。
私は衝動的に馬を降りた後に姿を変え、コブラの指揮官に戦いを挑む。
クリスの仇を取るために。
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