32 / 43
嘘だろ?あんたの兄貴が来てるのかよ!?
しおりを挟む
「もうやだ……オレもういやだ……お化けとか一生見たくない!」
涙を流しながらお化け屋敷の出口の塀の近くで体育座りをする俺の背中を元樹くんは優しく撫でていく。
無心で俺の背中を撫でる彼は一見すれば、古の聖典に書かれている聖人のように思えるが、騙されてはならない。
こいつこそが真の悪魔。俺を絶望へと誘う最悪の存在なのだ。
お化け屋敷で包丁を持った婆に追い掛けられた時は「なんなの……ッ!なんなのよ!もう!」とか変な言葉を叫んでしまうくらいに恐怖していたのだ。
と、いうか、なぜ、そんな風に言ってしまったのだろうか。
俺の前世か?前世の記憶なのか!?
前世の記憶が微かに頭の片隅にでも残留しているから、あんな事を言ってしまったのだろうか。
そう彼に訴えたのだが、彼は苦笑するばかりで俺のその質問には答えようとはしない。
まぁ、それは当然だろう。誰も前世の事など知らないのだから。
俺が元樹くんに暫く愚痴を聞いてもらっていると、不意にズボンが揺れていく。
どうやら、スマートフォンが振動で揺れているらしい。
俺がスマートフォンを手に取ると、その相手は如月涼子。
今の俺のお袋兼元カノである。俺が電話を手に取ると、彼女は大声で捲し立てていく。
『大変よ!この遊園地にお兄ちゃんがやって来るのよ!だから、この後、メリーゴーランドの前に合流だよ!』
「ちょっと待って?お兄ちゃんって?」
「あぁ、幸樹兄ちゃんの事か……」
涼子の代わりに、弟が代わりに答えてくれた。だが、その幸樹というのはどんな事をしているのだろうか。
電話の向こうの涼子に尋ねると、
『知らないの?ミュージシャンの如月幸樹。世界的にも知られるミュージシャンだよ。近年では日本のみならず、台湾やマレーシアでもライブをしてるくらい人気なんだよ』
と、返ってきた。そんなに有名な人物なのに、どうして、俺はその事を知らないのだろうか。
俺が悩み事をしていると、元樹くんが助け舟を出してくれた。
「まぁ、ロック界とか、そこら辺を追っ掛けている人になら有名なんだけど、あんまり一般の人は知らないよね。でも、最近だとアニメ作品の主題歌も担当しててね……」
元樹くんの説明によれば、それは俺もよく知る有名アニメ作品の名前であった。
成る程、そんなにも有名な人物だったとは知らなかった。
ならば、今のうちに行っておこうではないか。
善は急げという奴だ。俺は先程とは真逆に、元樹くんの手を取って、メリーゴーランドへと向かっていく。
涙を流しながらお化け屋敷の出口の塀の近くで体育座りをする俺の背中を元樹くんは優しく撫でていく。
無心で俺の背中を撫でる彼は一見すれば、古の聖典に書かれている聖人のように思えるが、騙されてはならない。
こいつこそが真の悪魔。俺を絶望へと誘う最悪の存在なのだ。
お化け屋敷で包丁を持った婆に追い掛けられた時は「なんなの……ッ!なんなのよ!もう!」とか変な言葉を叫んでしまうくらいに恐怖していたのだ。
と、いうか、なぜ、そんな風に言ってしまったのだろうか。
俺の前世か?前世の記憶なのか!?
前世の記憶が微かに頭の片隅にでも残留しているから、あんな事を言ってしまったのだろうか。
そう彼に訴えたのだが、彼は苦笑するばかりで俺のその質問には答えようとはしない。
まぁ、それは当然だろう。誰も前世の事など知らないのだから。
俺が元樹くんに暫く愚痴を聞いてもらっていると、不意にズボンが揺れていく。
どうやら、スマートフォンが振動で揺れているらしい。
俺がスマートフォンを手に取ると、その相手は如月涼子。
今の俺のお袋兼元カノである。俺が電話を手に取ると、彼女は大声で捲し立てていく。
『大変よ!この遊園地にお兄ちゃんがやって来るのよ!だから、この後、メリーゴーランドの前に合流だよ!』
「ちょっと待って?お兄ちゃんって?」
「あぁ、幸樹兄ちゃんの事か……」
涼子の代わりに、弟が代わりに答えてくれた。だが、その幸樹というのはどんな事をしているのだろうか。
電話の向こうの涼子に尋ねると、
『知らないの?ミュージシャンの如月幸樹。世界的にも知られるミュージシャンだよ。近年では日本のみならず、台湾やマレーシアでもライブをしてるくらい人気なんだよ』
と、返ってきた。そんなに有名な人物なのに、どうして、俺はその事を知らないのだろうか。
俺が悩み事をしていると、元樹くんが助け舟を出してくれた。
「まぁ、ロック界とか、そこら辺を追っ掛けている人になら有名なんだけど、あんまり一般の人は知らないよね。でも、最近だとアニメ作品の主題歌も担当しててね……」
元樹くんの説明によれば、それは俺もよく知る有名アニメ作品の名前であった。
成る程、そんなにも有名な人物だったとは知らなかった。
ならば、今のうちに行っておこうではないか。
善は急げという奴だ。俺は先程とは真逆に、元樹くんの手を取って、メリーゴーランドへと向かっていく。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる