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第七部『エイジェント・オブ・クリミナル』
宇宙時代の刑事たち
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「全く、とんでもない事です。これは我が国、始まって以来のテロなのではないでしょうか?」
「ええ、大樹寺率いるバプテスト・アナベル教は悪質極まる新興宗教です。私利私欲ではない分、昌原よりも性質が悪いと言えますね」
三年前に、昌原道明率いる宇宙究明学会と戦った坂山弁護士は腕を組みながら司会の男に告げる。
「ですが、狂った目的ばかりでやっていたわけではなさそうです」
「と、言いますと?」
司会者の男が身を乗り出して発言したジャーナリストの女性に尋ねる。
「大樹寺は教祖の立場を利用して、幼い少年や少女に……エヘン、エヘン、ここくらいにしておきましょうか」
ジャーナリストの実山聖子はわざと咳を出して会場内に笑いを誘う。
だが、その実、大樹寺が未来ある少年少女たちにやった事は冗談にならないので、語らない方が良いだろう。
次に、司会者は警察の不甲斐なさを追求し、警察の死者の多さを責めていく。
ここまで来たところで孝太郎は不快になり、テレビの電源を切る。
病院のベッドの前に浮かんでいたディスプレイは煙をかき消したかの様に消えてなくなったので、孝太郎は改めて背後を振り返る。
「ここまでがつい一週間前までのニュースだぜ、姉貴」
「全く、大変ね。大樹寺の騒動がここまで大きく取り上げられていたなんて……当事者だった時は忙しくて想像もしなかったわ」
「まぁ、当然だろうな。なにせ、警察側も教団側を合わせた死者数は有に五桁を超えてるからな。いかに、奴らが抵抗したのかがわかるだろ?」
弟の問い掛けに、絵里子は黙って首を縦に動かす。絵里子はそれから、深刻な顔つきでベッドの前を操作して、新聞のページを押して、二日前のニュースを取り上げる。
「気になるのは大樹寺雫の死体が何者かに盗み取られた事件よ。一体、誰がこんな事を……」
「さぁな、恐らく、狂信者たちの仕業だろうが、持ち去る先が思い浮かばん。あの事件の後には日本はおろか、海外の拠点にも世界各地の警察のガサ入れが起きてるのに、教祖様の死体を隠す暇さえもーー」
「死んでなかったとしたら?」
そう告げたのは聡子。彼女は深刻な顔付きで孝太郎に向かって告げた。
孝太郎は絵里子の隣のベッドに横たわる聡子に向かって深刻な顔を浮かべて、
「どういう事だ?」
「あたしさぁ、思うんだよ。あいつは確かにドブネズミだよ。でも、口だけは達者だから、何処かが道具として欲しがっていたとしたら?」
「……仮死薬か!」
孝太郎はそう叫んでいきり立ったが、ここが病院である事を思い出し、辺りを見渡して苛立ちを収めていく。
それを見た、聡子は黙って首を縦に動かして、
「そう、今頃は何処かの国の飛行機の中かもしれねー。そうなると、もうあたしらには手出しができない」
「かもな、だが、もうおれはそれでいい気がする。もし、また、日本に来て、聖戦とやらで人を扇動するのなら、また逮捕しに向かう。それだけだ」
孝太郎の決意を聞いて、病床の絵里子と聡子は共に首を縦に動かす。
二人はこの男に何処までも付いて行く事を決めた。
孝太郎がそろそろ、病室を後にしようとすると、扉が開いて明美が孝太郎に抱き付く。
「孝太郎さん!やっぱり、あたし、この職場に残ります!やっぱり、このチームに付いて行きたいから!」
「そ、そうか」
抱きつかれた孝太郎は暫くの間、苦笑していたが、もう一度、扉が開く音が聞こえたので、そちらの方に目をやると、思わず叫んでしまう。
「あ、ど、どうして!?」
「マリヤ・カレニーナ巡査!本日付けで白籠署公安部の配属に決まりました!よろしくお願いします!」
彼女は以前の様な修道服ではなく、絵里子が着る様な女性用スーツに身を包んでいた。
めんくらった表情の白籠市のアンタッチャブルの面々に明美が瞳を輝かせて説明を行う。
「マリヤさんは凄いんですよぉ~ロシア正教会から、警視庁に推薦されてここに配属されたんですって!でも、司教のお仕事も休みの日にするという条件付きらしいですけど……」
「これは驚いたな」
「あ、あたしも」
「マジかよ、ロシアの司教さんが……」
次々と驚きの言葉を述べる三人にマリヤは優しい笑顔を向けて言った。
「これから、よろしくお願いしますね」
楽しげな表情を向ける彼女とは対照的に困惑した顔を浮かべる三人。
明美は暫くの間、それを見て首を傾げていたが、すぐに手をポンと叩いて、人差し指を掲げて言う。
「そうそう、波越警部からの伝言で、今すぐビッグ・トーキョーの惑星向けの空港で発着予定の宇宙囚人船『メトロポリス』に向かって欲しいって言われました」
宇宙囚人船。それは、第二級の殺人罪などの重罪を犯した人々を遠い不毛の惑星へと送る船の事。
その船で何があったのだろう。孝太郎は一度、明美を離して、詳しい事情を問う。
明美は孝太郎の目の前に宇宙囚人船『メトロポリス』号の全体図を浮び出させていく。
一見、飛行船と間違えんばかりの宇宙船が浮かび上がるの同時に、明美は事件の詳細を事細かに表していく。
どうやら、この『メトロポリス』号に内蔵されている全自動アンドロイドが、これから、流刑地に向かう予定の囚人を扇動して反乱を起こさせたらしい。
今、そのアンドロイドは囚人と共に『メトロポリス』号にて看守を人質に立て籠っているらしい。
そればかりか……。
「全自動アンドロイド第一号、ゼウスは要求が受けいられない場合は看守を一時間ごとに殺し、宇宙囚人船に内蔵されている隕石破壊砲をビッグ・トーキョー内にて向けると告げています」
隕石破壊砲は惑星航海の際に邪魔な隕石を破壊するために船に備え付けられた砲弾である。
そんなものが無垢な市民に向けられたかと思うと……。
孝太郎は意を決して、明美に真剣な目を向けて、
「行くぞ、警察はホシが誰だろうと関係ねぇ、アンドロイドだろうが、新興宗教団体の教祖だろうが、そいつを逮捕して、法の裁きを受けさせるだけだ」
孝太郎がそう告げて、部屋を出ていくと、マリヤと明美の両名は互いを見つめ合うと、同時に首を縦に動かして孝太郎の後を追い掛ける。
絵里子と聡子は合流できない事にもどかしさを感じながらも、黙って見送っていた。
絵里子は逞しくなった弟を。聡子は自分が憧れ、恋焦がれている男の姿を。
それぞれに思い描きながら。
あとがき
『魔法刑事たちの事件簿R』はこれにて完結です。こんな気になる終わり方をしておいてあれですが、続編の発表時期は未定です。ですが、キチリと書くのでその時もまた付き合って頂ければ嬉しいです。
「ええ、大樹寺率いるバプテスト・アナベル教は悪質極まる新興宗教です。私利私欲ではない分、昌原よりも性質が悪いと言えますね」
三年前に、昌原道明率いる宇宙究明学会と戦った坂山弁護士は腕を組みながら司会の男に告げる。
「ですが、狂った目的ばかりでやっていたわけではなさそうです」
「と、言いますと?」
司会者の男が身を乗り出して発言したジャーナリストの女性に尋ねる。
「大樹寺は教祖の立場を利用して、幼い少年や少女に……エヘン、エヘン、ここくらいにしておきましょうか」
ジャーナリストの実山聖子はわざと咳を出して会場内に笑いを誘う。
だが、その実、大樹寺が未来ある少年少女たちにやった事は冗談にならないので、語らない方が良いだろう。
次に、司会者は警察の不甲斐なさを追求し、警察の死者の多さを責めていく。
ここまで来たところで孝太郎は不快になり、テレビの電源を切る。
病院のベッドの前に浮かんでいたディスプレイは煙をかき消したかの様に消えてなくなったので、孝太郎は改めて背後を振り返る。
「ここまでがつい一週間前までのニュースだぜ、姉貴」
「全く、大変ね。大樹寺の騒動がここまで大きく取り上げられていたなんて……当事者だった時は忙しくて想像もしなかったわ」
「まぁ、当然だろうな。なにせ、警察側も教団側を合わせた死者数は有に五桁を超えてるからな。いかに、奴らが抵抗したのかがわかるだろ?」
弟の問い掛けに、絵里子は黙って首を縦に動かす。絵里子はそれから、深刻な顔つきでベッドの前を操作して、新聞のページを押して、二日前のニュースを取り上げる。
「気になるのは大樹寺雫の死体が何者かに盗み取られた事件よ。一体、誰がこんな事を……」
「さぁな、恐らく、狂信者たちの仕業だろうが、持ち去る先が思い浮かばん。あの事件の後には日本はおろか、海外の拠点にも世界各地の警察のガサ入れが起きてるのに、教祖様の死体を隠す暇さえもーー」
「死んでなかったとしたら?」
そう告げたのは聡子。彼女は深刻な顔付きで孝太郎に向かって告げた。
孝太郎は絵里子の隣のベッドに横たわる聡子に向かって深刻な顔を浮かべて、
「どういう事だ?」
「あたしさぁ、思うんだよ。あいつは確かにドブネズミだよ。でも、口だけは達者だから、何処かが道具として欲しがっていたとしたら?」
「……仮死薬か!」
孝太郎はそう叫んでいきり立ったが、ここが病院である事を思い出し、辺りを見渡して苛立ちを収めていく。
それを見た、聡子は黙って首を縦に動かして、
「そう、今頃は何処かの国の飛行機の中かもしれねー。そうなると、もうあたしらには手出しができない」
「かもな、だが、もうおれはそれでいい気がする。もし、また、日本に来て、聖戦とやらで人を扇動するのなら、また逮捕しに向かう。それだけだ」
孝太郎の決意を聞いて、病床の絵里子と聡子は共に首を縦に動かす。
二人はこの男に何処までも付いて行く事を決めた。
孝太郎がそろそろ、病室を後にしようとすると、扉が開いて明美が孝太郎に抱き付く。
「孝太郎さん!やっぱり、あたし、この職場に残ります!やっぱり、このチームに付いて行きたいから!」
「そ、そうか」
抱きつかれた孝太郎は暫くの間、苦笑していたが、もう一度、扉が開く音が聞こえたので、そちらの方に目をやると、思わず叫んでしまう。
「あ、ど、どうして!?」
「マリヤ・カレニーナ巡査!本日付けで白籠署公安部の配属に決まりました!よろしくお願いします!」
彼女は以前の様な修道服ではなく、絵里子が着る様な女性用スーツに身を包んでいた。
めんくらった表情の白籠市のアンタッチャブルの面々に明美が瞳を輝かせて説明を行う。
「マリヤさんは凄いんですよぉ~ロシア正教会から、警視庁に推薦されてここに配属されたんですって!でも、司教のお仕事も休みの日にするという条件付きらしいですけど……」
「これは驚いたな」
「あ、あたしも」
「マジかよ、ロシアの司教さんが……」
次々と驚きの言葉を述べる三人にマリヤは優しい笑顔を向けて言った。
「これから、よろしくお願いしますね」
楽しげな表情を向ける彼女とは対照的に困惑した顔を浮かべる三人。
明美は暫くの間、それを見て首を傾げていたが、すぐに手をポンと叩いて、人差し指を掲げて言う。
「そうそう、波越警部からの伝言で、今すぐビッグ・トーキョーの惑星向けの空港で発着予定の宇宙囚人船『メトロポリス』に向かって欲しいって言われました」
宇宙囚人船。それは、第二級の殺人罪などの重罪を犯した人々を遠い不毛の惑星へと送る船の事。
その船で何があったのだろう。孝太郎は一度、明美を離して、詳しい事情を問う。
明美は孝太郎の目の前に宇宙囚人船『メトロポリス』号の全体図を浮び出させていく。
一見、飛行船と間違えんばかりの宇宙船が浮かび上がるの同時に、明美は事件の詳細を事細かに表していく。
どうやら、この『メトロポリス』号に内蔵されている全自動アンドロイドが、これから、流刑地に向かう予定の囚人を扇動して反乱を起こさせたらしい。
今、そのアンドロイドは囚人と共に『メトロポリス』号にて看守を人質に立て籠っているらしい。
そればかりか……。
「全自動アンドロイド第一号、ゼウスは要求が受けいられない場合は看守を一時間ごとに殺し、宇宙囚人船に内蔵されている隕石破壊砲をビッグ・トーキョー内にて向けると告げています」
隕石破壊砲は惑星航海の際に邪魔な隕石を破壊するために船に備え付けられた砲弾である。
そんなものが無垢な市民に向けられたかと思うと……。
孝太郎は意を決して、明美に真剣な目を向けて、
「行くぞ、警察はホシが誰だろうと関係ねぇ、アンドロイドだろうが、新興宗教団体の教祖だろうが、そいつを逮捕して、法の裁きを受けさせるだけだ」
孝太郎がそう告げて、部屋を出ていくと、マリヤと明美の両名は互いを見つめ合うと、同時に首を縦に動かして孝太郎の後を追い掛ける。
絵里子と聡子は合流できない事にもどかしさを感じながらも、黙って見送っていた。
絵里子は逞しくなった弟を。聡子は自分が憧れ、恋焦がれている男の姿を。
それぞれに思い描きながら。
あとがき
『魔法刑事たちの事件簿R』はこれにて完結です。こんな気になる終わり方をしておいてあれですが、続編の発表時期は未定です。ですが、キチリと書くのでその時もまた付き合って頂ければ嬉しいです。
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