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第七部『エイジェント・オブ・クリミナル』
終わるのはお前か、オレかーその⑧
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東京国際会館を丸々用いてのマリヤ・カレーニナによる演説は第一日であり、また、彼女自身も長旅を終えたばかりだというのにそんな様子をおくびにも出さずにハッキリとした声でカルト教団の危険性を訴えていく。
ドームの中央、多くの人々の視線や声が集中して浴びせられる場所で彼女は演説を繰り返し、カルト教団に家族を奪われた人々の拍手や喝采を集めていく。
マリヤはそんな人々に対して笑顔を振りまきながら手を振っていく。
その様はまさに聖母。現代のマリアという表現が似つかわしいかもしれない。
彼女の笑顔に人々は魅了され、また同時にマリヤへの歓迎の声を浴びせていく。
そして、帰り際、彼女はハッキリとした口調で集まったテレビカメラの前で言い放つ。
「いいですか!私は、いや、ロシア正教会はどの様な嫌がらせにも弾圧にも負けません!私は人々を惑わし、絆を引き裂く悪魔たちに対して断固たる姿勢を持って戦います!」
その悪魔が誰を指しているのかは明白であった。彼女は被害者家族の歓声に包まれながら初日の演説を終えて国際会館を後にする。
その最中、被害者家族や演説を聞きに来た人々の中に紛れたバプテスト・アナベル教の信者が、彼女の胸元にナイフを突き刺そうとしたが、それは彼が入り口、群衆から抜け出す直前にCIAの最新鋭の金属探知機の発動により、見破られてしまう。
彼はその場で凶器を走って駆け付けたCIAの男に取り落とされた直後に周りにいた警備の警察官たちに取り押さえられて捻じ伏せられてしまう。
地面の上で小突き回された末に教団の危うさを披露する事になった信者は数人の警察官に取り押さえられる中でぶつぶつと訳の分からない独り言を呟いていく。
また、来日初日からバプテスト・アナベル教というカルト教団の使徒に襲われたというニュースは世界中を駆け巡り、それは大樹寺の教えがマリヤひいてはロシア正教会の教義に敵わないのだと自覚したものだと報道されて世界のあちこちへと飛び交っていく。
この事件を知って激怒したのはバプテスト・アナベル教の熱心な信徒であり、同時にトライアングル・コネクションの一翼を担う百目竜のボス、呂蔡京。
彼はこの無礼なロシア人に激怒し、両肩を震わせるのと同時に、彼女を『人形に捧げる』ために選りすぐりの部下二名を日本へと派遣する。
呂蔡京のプライベートジェット機を使用したために、即日のうちに日本に到着した二人の男は現地に出迎えに現れた氷上麗央と背後に控える二人の仲間に飛行機から降りるのと同時に大きく右手を振るう。
氷上とその仲間もそれに気が付いて手を振り返す。
彼らは百目竜の腕利きが来るという情報を本国の呂蔡京から受け取った大樹寺から掛けられた連絡により知り、すぐさま、テロを行うために隠れていたビッグ・トーキョーのホテルを飛び出し、黒いアタッシュケースを持ち、全身を黒ずくめの衣装に覆われた人物と迎合したのだ。
二人は氷上の予約したマリヤ・カレニーナの泊まる高級ホテルの向かい側の五階建ての最上室へと案内する。
呂蔡京の忠実な部下である扈三娘と袁高俅の二名は部屋の最奥に存在する大都会を一望する巨大な両開きの窓にミルクの様に真っ白なカーテンが掛けられるのと同時に被っていたハッシュ帽を外して氷上に向かって一礼をする。
帽子を外すの同時に扈三娘の長くて青い髪がはらりという音を立てて部屋の中に靡いていく。
彼女は少女の様な顔をしているものの、顔全体から漂う妖艶な空気や、少女の顔には似合わない大人びた空気からその年齢は既に大人に達しているという事が容易に推察できる。
彼女は氷上の視線に気が付いたのか、口元に小さな笑みを浮かべながら、黒いトレンチコートを脱いでいく。すると、その下に身に付けていたと思われる高価な青色のチャイナドレスが露わになる。
チャイナドレスから見える生足は思わず釘付けになってしまう。
これは修練をある程度まで極めた幹部といえども耐えられないかもしれない。それ程までにドレスの裾から見える彼女の白い足は素晴らしい。
扈三娘は氷上の頭の中に存在する邪な欲望を見抜いたに違いない。
そして、恐らく、扈三娘は袁高俅よりも地位が高いのだろう。彼を差し置いて百目竜を代表して心の中でニヤケ面を浮かべる氷上に向かって握手の手を差し伸ばす。
氷上はそれを躊躇う事なく受け取り、深い握手を交わしていく。
同時に袁高俅は両者の握手が交わされるのと同時に、用意していた黒のアタッシュケースを開けて二人に運んできたものを見せる。
アタッシュケースの中に存在したのは大金ではない。だが、銃器でもない。
柔らかいクッションの中に含まれていたのは眩いばかりに輝やかん二つのエメラルドと口紅と思われる小さな筒状のもの。
これは一体何なのだろう。二人が首を傾げていると、扈三娘は丁寧な声で紹介した。
「宝石は古来に存在したとされる我が国の伝来の宝物、九龍城に存在したとされるドラゴンアイと呼ばれる宝物よ。大昔にロシアに渡った筈だったけれど、最近、本国に戻って来てね、それを大人が買い戻したのよ。これを売った軍資金でマリヤ・カレーニナを確実に殺してくれ、と」
扈三娘の口が怪しげに歪むのと同時に風が強かったのか、窓から風が上昇する音が氷上の耳に入っていく。
扈三娘は氷上の動揺を他所に、アタッシュケースに入っていたもう一つのもの、本題についての話を続けていく。
「あなた達に大人が寄付したのはこれ、一見大した事がない様に見えるけれど、これは小形の超高性能爆弾でね、セットした時間に爆弾を鳴らせば、そうね……ビルなんて木っ端微塵に吹き飛ぶわ」
扈三娘の笑い声と共に風が外で窓に当たる音が同時に聞こえた。これはヤバい。
氷上の本能が告げていた。だが、それ以上に彼は首を突っ込みたかった。この爆弾の性能を。爆弾の使い道を。
身を乗り出して尋ねると、扈三娘は何故か人差し指を軽くその舌で舐めていく。
そして、人差し指を自身の吐息で乾かす姿を彼にマジマジと見せつけながら、
「使い道はこうよ。郵便物として、省庁やら大統領官邸やらに送り込むか、はたまた誰か一人、寝返ったフリをしてこの爆弾を中枢部に持ち込んで、中央の人間を大勢殺すか……ウフフ、見ものね。どう?これならばあなた方の用意した計画に支障はきたないでしょう?それどころか、鮮やかな一筆を加え、より一層のテロを実行できる。素敵だとは思わない?」
両手を大きく広げて興奮しながら語る扈三娘の言葉を聞いて氷上は肩を震わせたが、それは恐怖からではない。むしろ、その反対。興奮からくるものであった。
彼は武器保存から刀を仕込んだ杖を取り出して地面の上に大きく突き刺して、
「よしッ!計画は決まった!マリヤ・カレーニナを人形に捧げ、そして、日本政府の高官をも人形に捧げるという計画がな……!!」
「決まったのなら、善は急げね。後は計画の遂行に邪魔な奴らを始末するだけ……」
扈三娘は背後に控えていた袁高俅に目配せし、無言の指示を出す。
邪魔者を始末しろといういかにもマフィアらしい指示を。
ドームの中央、多くの人々の視線や声が集中して浴びせられる場所で彼女は演説を繰り返し、カルト教団に家族を奪われた人々の拍手や喝采を集めていく。
マリヤはそんな人々に対して笑顔を振りまきながら手を振っていく。
その様はまさに聖母。現代のマリアという表現が似つかわしいかもしれない。
彼女の笑顔に人々は魅了され、また同時にマリヤへの歓迎の声を浴びせていく。
そして、帰り際、彼女はハッキリとした口調で集まったテレビカメラの前で言い放つ。
「いいですか!私は、いや、ロシア正教会はどの様な嫌がらせにも弾圧にも負けません!私は人々を惑わし、絆を引き裂く悪魔たちに対して断固たる姿勢を持って戦います!」
その悪魔が誰を指しているのかは明白であった。彼女は被害者家族の歓声に包まれながら初日の演説を終えて国際会館を後にする。
その最中、被害者家族や演説を聞きに来た人々の中に紛れたバプテスト・アナベル教の信者が、彼女の胸元にナイフを突き刺そうとしたが、それは彼が入り口、群衆から抜け出す直前にCIAの最新鋭の金属探知機の発動により、見破られてしまう。
彼はその場で凶器を走って駆け付けたCIAの男に取り落とされた直後に周りにいた警備の警察官たちに取り押さえられて捻じ伏せられてしまう。
地面の上で小突き回された末に教団の危うさを披露する事になった信者は数人の警察官に取り押さえられる中でぶつぶつと訳の分からない独り言を呟いていく。
また、来日初日からバプテスト・アナベル教というカルト教団の使徒に襲われたというニュースは世界中を駆け巡り、それは大樹寺の教えがマリヤひいてはロシア正教会の教義に敵わないのだと自覚したものだと報道されて世界のあちこちへと飛び交っていく。
この事件を知って激怒したのはバプテスト・アナベル教の熱心な信徒であり、同時にトライアングル・コネクションの一翼を担う百目竜のボス、呂蔡京。
彼はこの無礼なロシア人に激怒し、両肩を震わせるのと同時に、彼女を『人形に捧げる』ために選りすぐりの部下二名を日本へと派遣する。
呂蔡京のプライベートジェット機を使用したために、即日のうちに日本に到着した二人の男は現地に出迎えに現れた氷上麗央と背後に控える二人の仲間に飛行機から降りるのと同時に大きく右手を振るう。
氷上とその仲間もそれに気が付いて手を振り返す。
彼らは百目竜の腕利きが来るという情報を本国の呂蔡京から受け取った大樹寺から掛けられた連絡により知り、すぐさま、テロを行うために隠れていたビッグ・トーキョーのホテルを飛び出し、黒いアタッシュケースを持ち、全身を黒ずくめの衣装に覆われた人物と迎合したのだ。
二人は氷上の予約したマリヤ・カレニーナの泊まる高級ホテルの向かい側の五階建ての最上室へと案内する。
呂蔡京の忠実な部下である扈三娘と袁高俅の二名は部屋の最奥に存在する大都会を一望する巨大な両開きの窓にミルクの様に真っ白なカーテンが掛けられるのと同時に被っていたハッシュ帽を外して氷上に向かって一礼をする。
帽子を外すの同時に扈三娘の長くて青い髪がはらりという音を立てて部屋の中に靡いていく。
彼女は少女の様な顔をしているものの、顔全体から漂う妖艶な空気や、少女の顔には似合わない大人びた空気からその年齢は既に大人に達しているという事が容易に推察できる。
彼女は氷上の視線に気が付いたのか、口元に小さな笑みを浮かべながら、黒いトレンチコートを脱いでいく。すると、その下に身に付けていたと思われる高価な青色のチャイナドレスが露わになる。
チャイナドレスから見える生足は思わず釘付けになってしまう。
これは修練をある程度まで極めた幹部といえども耐えられないかもしれない。それ程までにドレスの裾から見える彼女の白い足は素晴らしい。
扈三娘は氷上の頭の中に存在する邪な欲望を見抜いたに違いない。
そして、恐らく、扈三娘は袁高俅よりも地位が高いのだろう。彼を差し置いて百目竜を代表して心の中でニヤケ面を浮かべる氷上に向かって握手の手を差し伸ばす。
氷上はそれを躊躇う事なく受け取り、深い握手を交わしていく。
同時に袁高俅は両者の握手が交わされるのと同時に、用意していた黒のアタッシュケースを開けて二人に運んできたものを見せる。
アタッシュケースの中に存在したのは大金ではない。だが、銃器でもない。
柔らかいクッションの中に含まれていたのは眩いばかりに輝やかん二つのエメラルドと口紅と思われる小さな筒状のもの。
これは一体何なのだろう。二人が首を傾げていると、扈三娘は丁寧な声で紹介した。
「宝石は古来に存在したとされる我が国の伝来の宝物、九龍城に存在したとされるドラゴンアイと呼ばれる宝物よ。大昔にロシアに渡った筈だったけれど、最近、本国に戻って来てね、それを大人が買い戻したのよ。これを売った軍資金でマリヤ・カレーニナを確実に殺してくれ、と」
扈三娘の口が怪しげに歪むのと同時に風が強かったのか、窓から風が上昇する音が氷上の耳に入っていく。
扈三娘は氷上の動揺を他所に、アタッシュケースに入っていたもう一つのもの、本題についての話を続けていく。
「あなた達に大人が寄付したのはこれ、一見大した事がない様に見えるけれど、これは小形の超高性能爆弾でね、セットした時間に爆弾を鳴らせば、そうね……ビルなんて木っ端微塵に吹き飛ぶわ」
扈三娘の笑い声と共に風が外で窓に当たる音が同時に聞こえた。これはヤバい。
氷上の本能が告げていた。だが、それ以上に彼は首を突っ込みたかった。この爆弾の性能を。爆弾の使い道を。
身を乗り出して尋ねると、扈三娘は何故か人差し指を軽くその舌で舐めていく。
そして、人差し指を自身の吐息で乾かす姿を彼にマジマジと見せつけながら、
「使い道はこうよ。郵便物として、省庁やら大統領官邸やらに送り込むか、はたまた誰か一人、寝返ったフリをしてこの爆弾を中枢部に持ち込んで、中央の人間を大勢殺すか……ウフフ、見ものね。どう?これならばあなた方の用意した計画に支障はきたないでしょう?それどころか、鮮やかな一筆を加え、より一層のテロを実行できる。素敵だとは思わない?」
両手を大きく広げて興奮しながら語る扈三娘の言葉を聞いて氷上は肩を震わせたが、それは恐怖からではない。むしろ、その反対。興奮からくるものであった。
彼は武器保存から刀を仕込んだ杖を取り出して地面の上に大きく突き刺して、
「よしッ!計画は決まった!マリヤ・カレーニナを人形に捧げ、そして、日本政府の高官をも人形に捧げるという計画がな……!!」
「決まったのなら、善は急げね。後は計画の遂行に邪魔な奴らを始末するだけ……」
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