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第七部『エイジェント・オブ・クリミナル』
病院での出来事
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氷上麗央は目の前の刑事と銃を突き付け合いながらも口の端には笑顔を浮かべていく。
彼の笑顔には恐ろしさのようなものがあった。例えるのなら、殺しに慣れた冷徹な狩人の目と言った所だろうか。
いずれにしろ、麗央は孝太郎を殺す事に躊躇いはない。
かつての仲間、明峯実弥を殺した時のように。
最も、彼は直接手を下したわけではない。自身の魔法を使用して彼の病室に侵入し、美しい筈の顔を包帯で覆った彼の目の前に立って説得を試みただけである。
包帯に覆われていても目は無事だったのか、病院の清潔なベッドの上に寝転がっていた明峯が驚いた声を漏らす。
「て、テメェは氷上、どうしてここに?」
「我がご主人様からのご命令だよ。なぁ、明峯……お前はもう無理だわ。教祖はあんたを人形に捧げたがっている」
事実上の死刑執行を口にするとたちまちのうちに彼の口がパクパクと餌を求める魚の様に動いている事に気が付く。
本来ならば、ここで音の出ない方法で明峯を殺す予定であったが、氷上は普段の彼ならば絶対に見せない慌てふためいた明峯の姿を見て少しだけ揶揄う事を決めた。
「ま、待ってくれ……麻薬ルートはオレしか知らねぇ筈だ!教祖だってオレを生かしておくメリットの方が大きい筈……人形に捧げるのはあんたの独断なんだろ!?」
彼は周囲の空気を張り付かせんばかりに叫ぶ。命が掛かっているから必死だな。
氷上はクックッと笑ってから、彼の枕元に忍び寄り、自分の声が聞こえる距離にまで近寄り、彼の耳元で言う。
「残念だったな。トライアングル・コネクションっていう強力な輸入ルートがある以上、もうあんたのコネは必要ないのさ、それにあんたが生きていれば、国家の犬どもにペラペラとこっちの情報を喋るって教祖は判断してるんだ」
包帯で表情こそ見えないものの、言葉が途切れた事から彼は表情を凍らせていたに違いない。
氷上はそれを察してトドメの一撃を彼に喰らわせる。
「最期だからハッキリと言ってやる。自害しろ、明峯……お前は生きていりゃあ、絶対に警察にペラペラと喋る事は確実だからな。我がご主人様に迷惑をかける前にさっさと死ね」
あまりにも無粋な言い方だっただろうか。明峯はそれを聞くなり包帯に覆われていた目を強く握り締めて視界そのものを遮断してしまう。
だが、氷上は逃さない。彼の耳元で彼が一番、打撃を喰らうであろう事を囁く。
「……薬の事がバレれば重罪は間違いないぜ。加えて入団前の数件の殺人の疑いが掛かってる。そうなる前に死んだ方が得だと思うぜ。それにな、死ねば教団の方であのお方の忠臣として延々と神として祀られる。三国志の関羽みてーにな。我々が日本を取った暁にはあんたの廟が各地にが建てられ、あんたは英雄だ。どうだ?悪くない条件だろう?」
飴と鞭。結局のところ、病床の上で判断力も弱っている明峯にはこの二つが響いたらしい。彼は自らの手で頭を撃ち抜いてこの世を去る事になった。
氷上は明峯が自殺するのを見届けた後に自身の魔法を使用し、とある場所に寄り、とある人に匿ってもらう形で白籠市へと潜り込む。
彼は暫くの間は隠れ家の中で白籠市に潜伏した同志と共に孝太郎たちを監視し、藩金蓮の祖母が白籠署を訪れた瞬間を狙い、異空間に潜り込んでから後を付けて攻撃を仕掛けたのだ。
氷上は明峯を殺した様に孝太郎も話術で殺そうと試みた。
彼は拳銃を突き付けながら、
「なぁ、孝太郎さんよぉ、あんたここで死んでくれや」
と、唐突に百人に聞けば百人が否定する様な質問を投げ掛ける。無論、孝太郎の返答は否。
当たり前だろう。どこの世界に好き好んで自らの命を差し出す人間がいるのだろう。
だが、氷上にとっての交渉はここからが本番であった。
彼は拳銃は孝太郎に突き付けながらも、視線は怯えた表情で両者の戦いを見守っていた丸渕眼鏡の女刑事へと向けていく。
「まぁ、話は最後まで聞くものさ、我々が調べた所によれば、あの可愛らしい刑事さんには家族がいるよな。まだまだ幼い子供と素敵な旦那さんが」
「……貴様」
孝太郎は男の意思を察して歯をギリギリと鳴らしていく。
男は孝太郎が怒りの表情を見せるのと同時に口笛を鳴らして、
「流石だ。ここまで大した学歴もねー低脳なのに、勘と腕っ節だけで多くの事件を逮捕した野生の刑事さんは違うねぇ。そういう事、上手いビジネスっていうのはこういう材料を用意しておく事だとオレは思うんだ」
「……条件は?」
「うん、聞こえん。もう一度言え」
男はわざと耳が遠いふりをして孝太郎を煽る様に耳に手を当てて尋ね返す。
孝太郎は嫌味も兼ねて大きな声で先程の言葉を叫ぶ。
「条件はなんだって聞いてんだ!クソ野郎!」
彼は必死な声の孝太郎を見てニヤニヤと笑う。その表情は明らかに孝太郎の反応を楽しんでいた。
一通り熟練の刑事を嘲笑って気が済んでから、彼はいつになく低い声で告げた。
「あんたが事件から手を引く事だな。あんたが事件から手を引けば、我々ももう関与しない。そのための手打ちとしてあんたの死が必要なんだ」
「汚ねぇ、お前らのやり方はヤクザと同じだ。何が十字軍だ。やってる事はマフィアじゃねぇか」
その言葉を聞くなり、突如、氷上は孝太郎の元にまで近寄り、それまでは正しい方向に握っていた拳銃を逆向きに握り締めて孝太郎の頬を思いっきり叩く。
孝太郎はそれを喰らって盛大に地面の上へと転ぶ。
「言葉に気を付けてもらいたい。我らが神聖なる教団をその様なものと同一視するとは許せん奴だ。八つ裂きにしても飽き足らん不敬な奴だ」
氷上は怒りの感情に突き動かされながら、頭の上に転がっている孝太郎の頭を踏み付ける。
だが、孝太郎もタダでは転ばない。彼は自身の頭を踏み付ける氷上の右足を両手でしっかりと掴む。
そして、そのまま彼を地面の上へと引き摺り落としていく。
そして、彼は氷上の上に馬乗りになり、かつての明峯と同じ状況になった事を悟り、顔に微かな笑いを浮かべながら彼に拳を振るう。
が、彼は明峯とは違い、咄嗟の戦闘にも対応できたらしい。孝太郎の拳を受け止め、代わりに自分よりも優位に立っているはずの頭上の孝太郎に拳を食らわせていく。
孝太郎は思いっきり拳を喰らったが、倒れてはいない。彼はギリギリの所を踏み止まり、今度はもう片方の残った左手で彼の頬を叩く。
不意に頬を殴られた痛みからか、彼は孝太郎の頬に喰らわせていた拳を思わずに引く。
孝太郎は一瞬の隙を利用した事を悟り、この状況を見守っていた仲間たちに向かって大きな声で指示を出す。
「姉貴!聡子!そして、明美!今から、署を出て家族の保護に向かうんだ!こいつはオレがこの場で逮捕してやるさ!」
「で、でも孝太郎さん」
躊躇いを見せる明美に向かって孝太郎は構う事なく同じ指示を出す。
そして、やむなく聡子に手を取られた明美は彼女と共に部屋を後にする。
だが、氷上は悔しそうな表情を見せない。それどころか、孝太郎の下で勝ち誇った様な笑みを見せていた。
「クックッ、後一足遅かったな。今頃、あの女の家族は白籠市に潜伏したオレの仲間が、始末してるよ。桜井っていう男がな!」
「……バカな!?桜井貢が!?」
孝太郎の頭に浮かんだのは教団幹部の一人、桜井貢の顔と名前。
予想外の人物だ。まさか、彼の様な男が居ては聡子たちも分が悪いかもしれない。
孝太郎が呆気に取られていると、氷上はその隙を見計らって孝太郎を押し倒して彼の上に馬乗りになる。
彼は得意げな顔を浮かべて言った。
「これで、形勢逆転だな」
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いずれにしろ、麗央は孝太郎を殺す事に躊躇いはない。
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氷上はクックッと笑ってから、彼の枕元に忍び寄り、自分の声が聞こえる距離にまで近寄り、彼の耳元で言う。
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包帯で表情こそ見えないものの、言葉が途切れた事から彼は表情を凍らせていたに違いない。
氷上はそれを察してトドメの一撃を彼に喰らわせる。
「最期だからハッキリと言ってやる。自害しろ、明峯……お前は生きていりゃあ、絶対に警察にペラペラと喋る事は確実だからな。我がご主人様に迷惑をかける前にさっさと死ね」
あまりにも無粋な言い方だっただろうか。明峯はそれを聞くなり包帯に覆われていた目を強く握り締めて視界そのものを遮断してしまう。
だが、氷上は逃さない。彼の耳元で彼が一番、打撃を喰らうであろう事を囁く。
「……薬の事がバレれば重罪は間違いないぜ。加えて入団前の数件の殺人の疑いが掛かってる。そうなる前に死んだ方が得だと思うぜ。それにな、死ねば教団の方であのお方の忠臣として延々と神として祀られる。三国志の関羽みてーにな。我々が日本を取った暁にはあんたの廟が各地にが建てられ、あんたは英雄だ。どうだ?悪くない条件だろう?」
飴と鞭。結局のところ、病床の上で判断力も弱っている明峯にはこの二つが響いたらしい。彼は自らの手で頭を撃ち抜いてこの世を去る事になった。
氷上は明峯が自殺するのを見届けた後に自身の魔法を使用し、とある場所に寄り、とある人に匿ってもらう形で白籠市へと潜り込む。
彼は暫くの間は隠れ家の中で白籠市に潜伏した同志と共に孝太郎たちを監視し、藩金蓮の祖母が白籠署を訪れた瞬間を狙い、異空間に潜り込んでから後を付けて攻撃を仕掛けたのだ。
氷上は明峯を殺した様に孝太郎も話術で殺そうと試みた。
彼は拳銃を突き付けながら、
「なぁ、孝太郎さんよぉ、あんたここで死んでくれや」
と、唐突に百人に聞けば百人が否定する様な質問を投げ掛ける。無論、孝太郎の返答は否。
当たり前だろう。どこの世界に好き好んで自らの命を差し出す人間がいるのだろう。
だが、氷上にとっての交渉はここからが本番であった。
彼は拳銃は孝太郎に突き付けながらも、視線は怯えた表情で両者の戦いを見守っていた丸渕眼鏡の女刑事へと向けていく。
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「……貴様」
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「……バカな!?桜井貢が!?」
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