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第六部『鬼麿神聖剣』
竜王城決戦ーその⑦
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「降魔霊蔵が殺されたか……これで残るはシャーロットと弥一のみとなるのか……」
シリウスは玉座の上で水晶玉を弄りながら、一人で呟く。
「あの男も役に立たんな、何が伊勢同心の頭領に選ばれし男だ」
シリウスは玉座の肘掛の上で指を鳴らしながら言った。全く不快な事実だ。
シリウスは降魔霊蔵という男に一際深く目を掛けていたのだ。それなのに、ああも簡単に殺されてしまうというのはどういう了見なのだろうか。
彼にとってあの男があっさりと死んでしまった事が不快極まり無かった。
「だが、まだオレには手駒が残っている。シャーロットと弥一ならば、上手くやってくれるだろう」
シリウスは玉座の肘掛で頬杖を突きながら、両目を瞑る。
彼はそこで伊勢の忍びの里で過ごした半年間のように感じられた四十日間の療養期間の事を思い出していく。
彼は意図してこの時間の事を思い出した訳ではない。氾濫した加茂川の流れのように勝手に頭の中に流れて来るのだ。
シリウスは高知城での孝太郎との戦いやユニオン帝国軍の部隊からの銃撃で得た傷を療養している間、妹からこの地における頭領の地位を求めるいざこざが起こっている事を知る。
そして、彼は四十日後に傷が癒えるのと同時に、大勢の忍びの前で自分自身が頭領になった事をアピールしていた。
彼が村野三蔵への見せしめを行うのと同時に、他の忍び達は彼に服従せざるを得なかったに違いない。
いずれにしろ、半年のようにも感じられた四十日間の療養期間はシリウスに多くの事を与えるのに充分な期間であったとも言えるだろう。
元々、帝国竜騎兵隊の仕事は頭が賢く無ければ務まらない仕事だ。
シリウスは療養期間の間に山橋平蔵から多くの事を教えられた事もあり、多くの事を飲み込み、頭領に相応しい器を揃えていったのだった。
そして、頭領の最有力候補と言われた降魔霊蔵を説き伏せた。
話を聞けば、彼も哀れな人間であった。彼は幼い頃から伊勢同心の頭領となるべく育てられ、常に修行の日々を送って過ごしていたらしい。
妖魔党の編成やら、東京に向かうための準備を話す中でシリウスはそんな霊蔵の身内話を耳にしていた。
最も、彼にとってそれは本当に欠伸の出るような打ち明け話でしか無い。
彼は嬉々として喋る男に思わず憐憫の感情を抱いてしまう。
可哀想に、お前は壊れてしまったんだね。そんな話を嬉しそうに話すなんて、と。
勿論、声には出さない。ただ黙って聞いていたのだ。
黙って聞いていたからこそ、こんな風に思い出すのかもしれない。
そんな事を考えながら、シリウスはもう一度肘掛の上で頬杖を突く。
「わたしは兄から新しい魔法……いえ、失礼、妖魔術を与えられましたの、竜王スメウルグと同化した兄だからこそ、このような事が可能と言うべきでしょうか」
シャーロットは胸に手を置きながら畏怖の表情で自身を見上げる孝太郎と微かに肩を震わせている二人の少年忍者に向かって自身の妖魔術の事を説明していく。
「わたしが新たに取得したのは『飛ぶが剣』と呼ばれる魔法、いえ、妖魔術です。この妖魔術があれば、あなた達三人と対等に斬り合えるかもしれないというお兄様のお優しい心遣いなのですよ!」
シャーロットは頬を綻ばせ、心底嬉しそうに両手の拳を握りながら叫ぶ。
と、ここで彼女はもう一度刀を振るい、先程の斬撃を龍一郎に向かって飛ばす。
龍一郎は素晴らしい身のこなしで彼女の惨劇を避け、回避したついでに彼女の元へと回り込み、左下から刀を振り上げていく。
シャーロットが少年の刀を止めた事により、ここに少年とシャーロットとの間に斬り合いが始まったと言っても良いだろう。二人もそれに加わろうとしたが、一人の忍びが孝太郎と鬼麿との前に立ち塞がる。男は腕を組みながら、二人に襲い掛かっていく。
シャーロットと弥一。孝太郎、鬼麿、龍一郎の計五名による竜王城の廊下における戦いが始まっていく。
刀と刀とが交じり合い、大きな金属音を立て、稀に手裏剣の飛び合いによって生じる風を切る音が聞こえた。
シャーロットと龍一郎との斬り合いは一種の佳境に達していたと言っても良いだろう。
たまに透明人間になる事もあるが、龍一郎は気配で透明になった彼女を見破り、刀を振っていく。右腕の傷をものともせずに動く、彼の姿は流石としか言いようが無いだろう。
たまに、手裏剣を飛ばす事もあり、既に周りの石の壁には何枚かの手裏剣が突き刺さっていた。
孝太郎も鬼麿も暇が出来ていたが、シャーロットと龍一郎との一騎討ちに加わる事は叶わなかった。
何故なら、二人を弥一なる忍びが襲っていたからだ。
孝太郎や鬼麿はその毒牙を二人の刀によって防ぎ、攻撃を跳ね返していくものの、やはり、空中にも地面があるかのように自由自在に飛び跳ねる彼を捕捉するのは難しかったらしい。
弥一は気まぐれに襲う相手を変え、二人を翻弄していた。
反撃の機会は中々にやって来ないらしい。
鬼麿は神術を使用し、弥一を天照大神の力を使用し、倒そうと目論んでいたが、彼にとってそれは無意味らしかった。
弥一は巧みに神術の光を回避し、そればかりか、少年の忍びに向かって反撃を試みていたのだった。
何度か鬼麿の頬を掠める手裏剣がその証拠と言えるだろう。
彼は目を細めて睨み返し、神術を仕掛けて彼を斬り殺そうと目論むが、どうやらそれも叶わないらしい。
男はいくら神聖なる光を纏った刀を振るわれた所で、寸前の所で交わすだけで当たる気配は無かったらしい。
孝太郎も空中に彼に向かって突くが、それも意味をなさない。
彼は歯をギリギリと噛み締めながら、目の前の相手を睨む。
意味が無いと言えるべき行為であったが、彼にとっては戦意を向上させる意味のある行為であった。
戦いが苛烈を極める中、とうとう龍一郎とシャーロットとの戦いは決着が付いたらしい。
龍一郎の刀がシャーロットに蹴られ、石の地面の上を滑っていく。
その彼に刀を突き付けながら、シャーロットは妖しく笑う。
「子供にしては中々やったと褒めておくべきかしら、でも怪我をしているのは残念ねぇ、その傷が無ければもう少し満足に戦えたのに……」
シャーロットが残念そうに目を落とすと、龍一郎は強い目でシャーロットを睨み、
「確かにな、この傷さえ無ければ、オレはお前に勝てたと思うよ。あんたの剣の腕はオレに劣るからな……」
微かに美しい眉が動いた事に気が付く。
だが、彼女は不快感や怒りを隠す事に長けていたのだろう。相変わらずのニコニコとした朗らかな笑顔を浮かべて、
「言いたい事を言い終える事ができて、満足でした?じゃあ、とっととくたばれクソ野郎」
シャーロットは笑顔のまま刀を振り下ろす。
龍一郎が覚悟を決め、両目を閉じる。
が、いつまで経っても彼女の刀は降りて来ない。
彼が恐る恐る目を開くと、目の前ではお萩がシャーロットの刀を受け止めていたのだった。
龍一郎は真っ暗な闇の中で一筋の光を見出したような気がした。
シリウスは玉座の上で水晶玉を弄りながら、一人で呟く。
「あの男も役に立たんな、何が伊勢同心の頭領に選ばれし男だ」
シリウスは玉座の肘掛の上で指を鳴らしながら言った。全く不快な事実だ。
シリウスは降魔霊蔵という男に一際深く目を掛けていたのだ。それなのに、ああも簡単に殺されてしまうというのはどういう了見なのだろうか。
彼にとってあの男があっさりと死んでしまった事が不快極まり無かった。
「だが、まだオレには手駒が残っている。シャーロットと弥一ならば、上手くやってくれるだろう」
シリウスは玉座の肘掛で頬杖を突きながら、両目を瞑る。
彼はそこで伊勢の忍びの里で過ごした半年間のように感じられた四十日間の療養期間の事を思い出していく。
彼は意図してこの時間の事を思い出した訳ではない。氾濫した加茂川の流れのように勝手に頭の中に流れて来るのだ。
シリウスは高知城での孝太郎との戦いやユニオン帝国軍の部隊からの銃撃で得た傷を療養している間、妹からこの地における頭領の地位を求めるいざこざが起こっている事を知る。
そして、彼は四十日後に傷が癒えるのと同時に、大勢の忍びの前で自分自身が頭領になった事をアピールしていた。
彼が村野三蔵への見せしめを行うのと同時に、他の忍び達は彼に服従せざるを得なかったに違いない。
いずれにしろ、半年のようにも感じられた四十日間の療養期間はシリウスに多くの事を与えるのに充分な期間であったとも言えるだろう。
元々、帝国竜騎兵隊の仕事は頭が賢く無ければ務まらない仕事だ。
シリウスは療養期間の間に山橋平蔵から多くの事を教えられた事もあり、多くの事を飲み込み、頭領に相応しい器を揃えていったのだった。
そして、頭領の最有力候補と言われた降魔霊蔵を説き伏せた。
話を聞けば、彼も哀れな人間であった。彼は幼い頃から伊勢同心の頭領となるべく育てられ、常に修行の日々を送って過ごしていたらしい。
妖魔党の編成やら、東京に向かうための準備を話す中でシリウスはそんな霊蔵の身内話を耳にしていた。
最も、彼にとってそれは本当に欠伸の出るような打ち明け話でしか無い。
彼は嬉々として喋る男に思わず憐憫の感情を抱いてしまう。
可哀想に、お前は壊れてしまったんだね。そんな話を嬉しそうに話すなんて、と。
勿論、声には出さない。ただ黙って聞いていたのだ。
黙って聞いていたからこそ、こんな風に思い出すのかもしれない。
そんな事を考えながら、シリウスはもう一度肘掛の上で頬杖を突く。
「わたしは兄から新しい魔法……いえ、失礼、妖魔術を与えられましたの、竜王スメウルグと同化した兄だからこそ、このような事が可能と言うべきでしょうか」
シャーロットは胸に手を置きながら畏怖の表情で自身を見上げる孝太郎と微かに肩を震わせている二人の少年忍者に向かって自身の妖魔術の事を説明していく。
「わたしが新たに取得したのは『飛ぶが剣』と呼ばれる魔法、いえ、妖魔術です。この妖魔術があれば、あなた達三人と対等に斬り合えるかもしれないというお兄様のお優しい心遣いなのですよ!」
シャーロットは頬を綻ばせ、心底嬉しそうに両手の拳を握りながら叫ぶ。
と、ここで彼女はもう一度刀を振るい、先程の斬撃を龍一郎に向かって飛ばす。
龍一郎は素晴らしい身のこなしで彼女の惨劇を避け、回避したついでに彼女の元へと回り込み、左下から刀を振り上げていく。
シャーロットが少年の刀を止めた事により、ここに少年とシャーロットとの間に斬り合いが始まったと言っても良いだろう。二人もそれに加わろうとしたが、一人の忍びが孝太郎と鬼麿との前に立ち塞がる。男は腕を組みながら、二人に襲い掛かっていく。
シャーロットと弥一。孝太郎、鬼麿、龍一郎の計五名による竜王城の廊下における戦いが始まっていく。
刀と刀とが交じり合い、大きな金属音を立て、稀に手裏剣の飛び合いによって生じる風を切る音が聞こえた。
シャーロットと龍一郎との斬り合いは一種の佳境に達していたと言っても良いだろう。
たまに透明人間になる事もあるが、龍一郎は気配で透明になった彼女を見破り、刀を振っていく。右腕の傷をものともせずに動く、彼の姿は流石としか言いようが無いだろう。
たまに、手裏剣を飛ばす事もあり、既に周りの石の壁には何枚かの手裏剣が突き刺さっていた。
孝太郎も鬼麿も暇が出来ていたが、シャーロットと龍一郎との一騎討ちに加わる事は叶わなかった。
何故なら、二人を弥一なる忍びが襲っていたからだ。
孝太郎や鬼麿はその毒牙を二人の刀によって防ぎ、攻撃を跳ね返していくものの、やはり、空中にも地面があるかのように自由自在に飛び跳ねる彼を捕捉するのは難しかったらしい。
弥一は気まぐれに襲う相手を変え、二人を翻弄していた。
反撃の機会は中々にやって来ないらしい。
鬼麿は神術を使用し、弥一を天照大神の力を使用し、倒そうと目論んでいたが、彼にとってそれは無意味らしかった。
弥一は巧みに神術の光を回避し、そればかりか、少年の忍びに向かって反撃を試みていたのだった。
何度か鬼麿の頬を掠める手裏剣がその証拠と言えるだろう。
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男はいくら神聖なる光を纏った刀を振るわれた所で、寸前の所で交わすだけで当たる気配は無かったらしい。
孝太郎も空中に彼に向かって突くが、それも意味をなさない。
彼は歯をギリギリと噛み締めながら、目の前の相手を睨む。
意味が無いと言えるべき行為であったが、彼にとっては戦意を向上させる意味のある行為であった。
戦いが苛烈を極める中、とうとう龍一郎とシャーロットとの戦いは決着が付いたらしい。
龍一郎の刀がシャーロットに蹴られ、石の地面の上を滑っていく。
その彼に刀を突き付けながら、シャーロットは妖しく笑う。
「子供にしては中々やったと褒めておくべきかしら、でも怪我をしているのは残念ねぇ、その傷が無ければもう少し満足に戦えたのに……」
シャーロットが残念そうに目を落とすと、龍一郎は強い目でシャーロットを睨み、
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微かに美しい眉が動いた事に気が付く。
だが、彼女は不快感や怒りを隠す事に長けていたのだろう。相変わらずのニコニコとした朗らかな笑顔を浮かべて、
「言いたい事を言い終える事ができて、満足でした?じゃあ、とっととくたばれクソ野郎」
シャーロットは笑顔のまま刀を振り下ろす。
龍一郎が覚悟を決め、両目を閉じる。
が、いつまで経っても彼女の刀は降りて来ない。
彼が恐る恐る目を開くと、目の前ではお萩がシャーロットの刀を受け止めていたのだった。
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