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第五部『征服王浪漫譚』
水炎と火花ーその⑥
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乃木桃葉は目の前の警察官を見て叫ぶ。
彼女は瞳から透明の液体を溢しながら、目の前に現れた政府の手先達を詰っていく。
「お前達はいつもそうだッ!いつもッ!いつもッ!いつもッ!あたしと弟が……いや、兄上とあたしが幸せになろうとするのを邪魔するんだッ!」
口を大きく開け、彼女の清楚な外見からは似つかわしいような風貌で目の前を囲む警察官達を睨む。歯茎を丸出しにし、大きく鼻を膨らませる姿には流石の警察官達も驚いていたらしい。
全員が被っていたゲプ帽と呼ばれるフランス式の中央に凹んだ部分のある帽子を下げ、これ以上、彼女の醜い姿を見ないように顔を隠していた。
乃木桃葉は目の前の警察官達を睨みながら、過去の事を思い返していく。
双子の兄妹は伊勢生まれであり、二人が12歳なる年までは里の中で育てられたが、彼女の両親が京都で起こると言われる乱の調査のために、京都に送られると同時に双子の生活環境は一変した。
双子は周りの子供達と馴染めずに、トラブルばかりを起こし、ついには避けられるようになったのだ。
それどころではない。彼女達の住んでいた伏見の街の子供達から迫害を受けられるようになったのだ。
きっかけは桃葉が自分達の正体が忍びである事をいじめっ子の頭目的存在である少年に知られた事であった。
二人は家族の秘密を守るために、その少年に絶対の服従を強いられる事になったのだ。
それ以来、女性である桃葉に男が女性にしてはいけない真似を行い、辱めを受けさせたり、弟の桃矢を彼女の目の前で大勢の人間で袋叩きにするなど日常茶飯事であった。
酷い時には二人に辱めを与え、その姿を絵に描かせ、両親に渡した事もあった。
虐待とも言える苛烈な虐めを受ける中で、双子の兄妹は励まし合い、いつしか普通の兄妹以上の念を抱くようになっていた。
同時に、二人は互いに互いを励まし合う中でどちらの方が年上なのかを判別できなくなっていた。
そのため、兄上と呼んだり、姉上と呼んだりするのは互いがそう呼びたい時に互いの呼び名に従うと言うルールになっていた。
この奇妙な呼び合いも当然、頭目に目を付けられ、その事を多くの人達の前で告白させられた。
そして、極め付けは血の繋がった兄妹であるにも関わらず、大勢の目の前で言葉にはできない行動をさせられた時だろう。
全ての行為を終え、解散した後に頭目から頭を蹴られた時に、彼女の中の何かが切れたのを彼女は明確に覚えていた。
彼女は起き上がると同時に本能のままに頭目を絞め殺した。
その後、泣きじゃくる兄を連れ、両親の元に帰り、事の顛末を話すと、両親は桃葉と桃矢の二人の頬に強烈な一撃を喰らわせ、二人に縁切りを言い渡した。
その後、二人は再調査により、黒幕が発覚した後に怒り狂った頭目の親が冤罪を擦りつけた事によって行われた市中引き回しと獄門の処分を受けた両親の死亡を見た里の忍び達が慈悲とも言える許しを与えるまでの18歳までの四年間を山の上で独自の修行を積む事によって過ごしていた。
二人は妖魔術と印術を独学で取得し、里へと帰還した。そこで、二人は両親の死を知り、警察組織への憎しみをたぎらせていく。
その後は里の忍び達に気に入られ、二人は潜入のための任務に使われ、二人の外国人が現れるまでの三年間を過ごしていた。
二人の見知らぬ外国人は二人に目を掛け、頭領就任の際にその地位を争った降魔霊蔵に二人を妖魔党に加えるように進言した。
霊蔵はいつものような媚びるような笑顔を浮かべながら、二人の新たなる頭領に意見した。
「お言葉でございますが、この者共は潜入はできたとしても、妖魔術は妖魔党の天魔は勿論のこと、地魔の忍びにさえも劣ります。考え直した方が良いのでは?」
霊蔵の進言にも新たなる頭領は身に付けていた甚兵衛の袖の下に自分の腕を入れ、勝利を確信したような微笑を浮かべながら、霊蔵に向かって意見を返す。
「いいや、私はこの二人が気に入った。この二人は他の連中には無い物を持っておる」
短い金色の髪をした青年はそう言うと同時に、揃って並んでいた双子の兄の顎を掴み、霊蔵に目を見せた。
「この目だ。分かるか?目だッ!この全てを達観したような目の裏側に隠れている筈の憎悪に燃えた目を私は気に入ったッ!必ずや、我が敵を倒すと私は信じている」
新しい頭領の言葉にはそれ以上の分別は要らなかった。
彼は大きく口元を歪めて、二人が地魔の忍びとして採用する事を称えた。
短い金髪の青年は二人に向かって笑いかけて言った。
「お前達二人の苗字は『乃木』だ。妹の調べによると、この苗字は現在の帝国議会の貴族院で議員を務める乃木伯爵家から取ったそうだ。乃木がこの国の帝に仕えるように、お前達も私達に仕えてくれるな?」
男の言葉に二人は大きく平伏し、二人に従っていく。
二人は新たなる頭領への忠誠心と理不尽な取り調べを行った警察組織への憎しみを糧に任務を遂行するつもりであった。
だが、結果はどうであろう。この様だ。
彼女の目の前には憎むべき官憲の手下達が取り囲み、背後には対象の男が頭領が就任した際に見せびらかした西洋式の武器を握って立っているのだ。
乃木桃葉は諦めにも似た感情を抱いたが、次の瞬間にはヤケとも思える行動を起こし、巡査達の前に水の膜を広げ、そこからダツの群れを出し、彼らを攻撃していく。
ダツの群れが目の前を覆っていた巡査達を全滅させる中で、彼女は高揚感に見舞われ、目の前で倒れていた巡査の死体を踏もうと試みたが、彼女が巡査を踏む事は無かった。
何故なら、上段からの攻撃の前に彼女は斬られてしまったのだから。
斬られた彼女は全身から血を流しながら、両手を使って前面へと這い蹲っていく。
「あ、あたしは死なない……だって、兄上が絶対に守ってくれる筈なんだもん……兄上は絶対にあたしを見捨てない。助けてくれる……」
巡査の死体に囲まれた彼女が見上げた先に存在していたのは彼女が口にしていた兄だった。
最愛の兄は血に塗れて倒れている桃葉に手を差し伸べ、
「もういいんだ。オレ達はあの世に行くんだから……この世の未練は置いていこう。地獄だって悪くはないぞ、お前とならな……」
桃葉はその言葉に顔を明るくし、兄の手を受け取り、あの世へと向かっていく。
後には15人の巡査の死体に覆われた一人のくノ一の死体だけが残された。
彼女は瞳から透明の液体を溢しながら、目の前に現れた政府の手先達を詰っていく。
「お前達はいつもそうだッ!いつもッ!いつもッ!いつもッ!あたしと弟が……いや、兄上とあたしが幸せになろうとするのを邪魔するんだッ!」
口を大きく開け、彼女の清楚な外見からは似つかわしいような風貌で目の前を囲む警察官達を睨む。歯茎を丸出しにし、大きく鼻を膨らませる姿には流石の警察官達も驚いていたらしい。
全員が被っていたゲプ帽と呼ばれるフランス式の中央に凹んだ部分のある帽子を下げ、これ以上、彼女の醜い姿を見ないように顔を隠していた。
乃木桃葉は目の前の警察官達を睨みながら、過去の事を思い返していく。
双子の兄妹は伊勢生まれであり、二人が12歳なる年までは里の中で育てられたが、彼女の両親が京都で起こると言われる乱の調査のために、京都に送られると同時に双子の生活環境は一変した。
双子は周りの子供達と馴染めずに、トラブルばかりを起こし、ついには避けられるようになったのだ。
それどころではない。彼女達の住んでいた伏見の街の子供達から迫害を受けられるようになったのだ。
きっかけは桃葉が自分達の正体が忍びである事をいじめっ子の頭目的存在である少年に知られた事であった。
二人は家族の秘密を守るために、その少年に絶対の服従を強いられる事になったのだ。
それ以来、女性である桃葉に男が女性にしてはいけない真似を行い、辱めを受けさせたり、弟の桃矢を彼女の目の前で大勢の人間で袋叩きにするなど日常茶飯事であった。
酷い時には二人に辱めを与え、その姿を絵に描かせ、両親に渡した事もあった。
虐待とも言える苛烈な虐めを受ける中で、双子の兄妹は励まし合い、いつしか普通の兄妹以上の念を抱くようになっていた。
同時に、二人は互いに互いを励まし合う中でどちらの方が年上なのかを判別できなくなっていた。
そのため、兄上と呼んだり、姉上と呼んだりするのは互いがそう呼びたい時に互いの呼び名に従うと言うルールになっていた。
この奇妙な呼び合いも当然、頭目に目を付けられ、その事を多くの人達の前で告白させられた。
そして、極め付けは血の繋がった兄妹であるにも関わらず、大勢の目の前で言葉にはできない行動をさせられた時だろう。
全ての行為を終え、解散した後に頭目から頭を蹴られた時に、彼女の中の何かが切れたのを彼女は明確に覚えていた。
彼女は起き上がると同時に本能のままに頭目を絞め殺した。
その後、泣きじゃくる兄を連れ、両親の元に帰り、事の顛末を話すと、両親は桃葉と桃矢の二人の頬に強烈な一撃を喰らわせ、二人に縁切りを言い渡した。
その後、二人は再調査により、黒幕が発覚した後に怒り狂った頭目の親が冤罪を擦りつけた事によって行われた市中引き回しと獄門の処分を受けた両親の死亡を見た里の忍び達が慈悲とも言える許しを与えるまでの18歳までの四年間を山の上で独自の修行を積む事によって過ごしていた。
二人は妖魔術と印術を独学で取得し、里へと帰還した。そこで、二人は両親の死を知り、警察組織への憎しみをたぎらせていく。
その後は里の忍び達に気に入られ、二人は潜入のための任務に使われ、二人の外国人が現れるまでの三年間を過ごしていた。
二人の見知らぬ外国人は二人に目を掛け、頭領就任の際にその地位を争った降魔霊蔵に二人を妖魔党に加えるように進言した。
霊蔵はいつものような媚びるような笑顔を浮かべながら、二人の新たなる頭領に意見した。
「お言葉でございますが、この者共は潜入はできたとしても、妖魔術は妖魔党の天魔は勿論のこと、地魔の忍びにさえも劣ります。考え直した方が良いのでは?」
霊蔵の進言にも新たなる頭領は身に付けていた甚兵衛の袖の下に自分の腕を入れ、勝利を確信したような微笑を浮かべながら、霊蔵に向かって意見を返す。
「いいや、私はこの二人が気に入った。この二人は他の連中には無い物を持っておる」
短い金色の髪をした青年はそう言うと同時に、揃って並んでいた双子の兄の顎を掴み、霊蔵に目を見せた。
「この目だ。分かるか?目だッ!この全てを達観したような目の裏側に隠れている筈の憎悪に燃えた目を私は気に入ったッ!必ずや、我が敵を倒すと私は信じている」
新しい頭領の言葉にはそれ以上の分別は要らなかった。
彼は大きく口元を歪めて、二人が地魔の忍びとして採用する事を称えた。
短い金髪の青年は二人に向かって笑いかけて言った。
「お前達二人の苗字は『乃木』だ。妹の調べによると、この苗字は現在の帝国議会の貴族院で議員を務める乃木伯爵家から取ったそうだ。乃木がこの国の帝に仕えるように、お前達も私達に仕えてくれるな?」
男の言葉に二人は大きく平伏し、二人に従っていく。
二人は新たなる頭領への忠誠心と理不尽な取り調べを行った警察組織への憎しみを糧に任務を遂行するつもりであった。
だが、結果はどうであろう。この様だ。
彼女の目の前には憎むべき官憲の手下達が取り囲み、背後には対象の男が頭領が就任した際に見せびらかした西洋式の武器を握って立っているのだ。
乃木桃葉は諦めにも似た感情を抱いたが、次の瞬間にはヤケとも思える行動を起こし、巡査達の前に水の膜を広げ、そこからダツの群れを出し、彼らを攻撃していく。
ダツの群れが目の前を覆っていた巡査達を全滅させる中で、彼女は高揚感に見舞われ、目の前で倒れていた巡査の死体を踏もうと試みたが、彼女が巡査を踏む事は無かった。
何故なら、上段からの攻撃の前に彼女は斬られてしまったのだから。
斬られた彼女は全身から血を流しながら、両手を使って前面へと這い蹲っていく。
「あ、あたしは死なない……だって、兄上が絶対に守ってくれる筈なんだもん……兄上は絶対にあたしを見捨てない。助けてくれる……」
巡査の死体に囲まれた彼女が見上げた先に存在していたのは彼女が口にしていた兄だった。
最愛の兄は血に塗れて倒れている桃葉に手を差し伸べ、
「もういいんだ。オレ達はあの世に行くんだから……この世の未練は置いていこう。地獄だって悪くはないぞ、お前とならな……」
桃葉はその言葉に顔を明るくし、兄の手を受け取り、あの世へと向かっていく。
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