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第五部『征服王浪漫譚』
七つの魂が支配するーその②
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「オレの印術はちょっとばかり凄いもんでね。あんたらも見たら、腰抜かすんじゃあ無いのか?」
男は手に持っていた刀を下ろすと、刀の中に風を宿らせた。
「中の印術って言うと、風だろ?風に関する六つの術式を使用できる」
老人の言葉に孝太郎は関心を寄せる。最初に戦ったあの少年は印術を少ししか使用できなかった。せいぜい六つという所だろう。
孝太郎は下の印術の使用方式は『地』である事を認識させられた。
孝太郎は自分の魔法でそれを打ち消せないかと考えた。印術は恐らく23世紀における魔法と同等なのは理解できる。
大陸における妖術や黒魔術はウィリアムズが魔法の原理を発見するまでに、そう呼ばれていただけだと言うのは孝太郎は小学校の一年生の時に習った記憶がある。
そんな事を思い出していると、目の前の老人も彼に倣い印術を使用したらしく、老人の持つ中国刀の婉曲の刃に炎が宿っていく。
橋本雲内の顔が少しばかり引きつったのを孝太郎は確認した。
「そうか、お前さんが使用できる印術は中の段までじゃったな、なら、これでお前さんを一刀両断にしてやるとするか……」
雲内は思わず生唾を飲み込む。老人と男の刀と刀がぶつかり合う。
刃と刃のぶつかり合う音が聞こえた。
孝太郎がどのタイミングで参戦しようかと考えていると、老人は茶目っ気な笑顔を浮かべて言った。
「待て、お前さんが参戦する事は無いよ。この男はワシが七回ともきっちりと倒してやるからね」
「世迷言をほざくのもいい加減にしなさいよ。オレがあんなカスみたいな妖魔術に頼りっきりの男にでも見えるのかい?」
「お前さん、まさか自分の印術や体術に自信があると思っていたのかい?自意識過剰は良く無いよ」
その言葉に彼の理性は机の上に積もったチリのようにいとも簡単に吹き飛ばされてしまったのだろう。
大きな刀を振り上げて、老人に向かって斬りかかってきていた。
老人はその刀を頭を下げる事によって避け、ついでに刀に弧を描かせて、男の胴体を真っ二つにした。
老人は手に持っていた唐刀を鞘に仕舞うと、倒れた男を見下ろしながら言った。
「どうしたね?まだやる気かい?」
本来なら出血多量で死んだ筈の男に向かって問い掛ける。
男は口から出かかっていた一筋の血を見下ろしていた老人に向かって吐く。
老人は血がかかると、眉を顰めたが、直ぐに唐刀を抜き、次の攻撃に備える。
そして、雲内が目を覚ますのと同時に、唐刀を振り下ろそうとしたが、今度は雲内が刀を自分の真横に構え、盾の代わりとして刀を使用する事で、老人の攻撃を防ぐ。
老人は男の剣の腕に感心したらしく、両眉を上げて言った。
「成る程な、体術も印術も大した事は無いようだが、剣術の才能だけはあるらしい。感心したな」
「当たり前でさぁ、オレが何年前から他の人間の魂を奪って生きてきたと思ってんだ?オレの剣の腕に恐れをなしたんだったら、さっさと身を引きな、雷蔵様が仰せられたのは赤い肌の若造の首と小僧の首だけだから、あんたは含まれてねぇから」
「残念だが、引く事はできんね。ワシだって若い者にまだまだ年老いて無いと言われたいのでね」
老人の言葉が口から漏れるのと同時に、彼の刀を持つ力が強くなっていく。
「やれやれ、これだから老人は嫌なんだ。融通が効かなくて、若者の活躍の場を奪っちまうし」
「その通りだな、もう何十年も生きておるのに、未だに若い人間の魂を奪い続けて生きる生き意地の汚い男が言う言葉は違うな」
老人の言葉に再度怒りの感情に囚われたらしく、彼の刃の中に含まれる風が強くなっていく。
微量の竜巻を身に纏った刃が老人を襲っていく。
老人は風の印術の含まれた刃をまるで、本当に何もかかっていないかのようにすんなりと刀を使って受け流していく。
本当に魔法を使用しているかのような錯覚に襲われた。
孝太郎は鬼麿の側により、彼の小さな手を握り締めながら、二人の戦いを見守っていた。
途中に、互いに下段の印術を使用し、土の拳を作り上げ、互いの拳を殴らせ、辺り一面に土埃を散乱させた時には孝太郎も鬼麿も咳き込んでしまったが、それでも見応えのある戦いだ。
後、五回ほど、殺さなくては殺せない男と余裕そうに白い髭に覆われた口元を歪める老人の決闘は老人の有利な展開で進んでいく。
そして、二回目の対決も決闘が付いたらしく、老人は婉曲した例の刀で男を左斜め下から斬り上げる事によって話は終結していく。
袈裟係によって葬られた男は心肺を停止させたと思ったら直ぐにホラー映画に登場するゾンビのように立ち上がり、もう一度老人に向かって剣を振っていく。
暫く斬り合いが続いたかと思うと、もう一度老人が彼を斬り殺し勝利を収めた。
そして、もう一度死亡し、立ち上がって老人と剣を打ち合う。
だが、十合ばかり刀を打ち合ったかと思うと、彼は方向転換を行い、孝太郎に狙いを定めていた。
孝太郎は鬼麿の前に立ち塞がり、持っていた日本刀を鞘から引き抜き、彼に向かって刀を向ける。
孝太郎は一歩前に踏み出し、男が飛び掛かろうとする方向に向かって剣を振り上げたが、その刀は男の草履の先を地面に落とすだけに留まってしまう。
男は口元を歪めて、余裕の笑みを浮かべていた。
そして、もう一度空中で弧を描くと、懐から取り出した銀色に光り輝く武器を取り出し、孝太郎に向かって放り投げた。
孝太郎はやっとの思いで、銀色の武器を刀を使って弾き返す。
銀色の武器は地面に突き刺さり、たまたま地面を歩いていた蟻の群れに大きな損害を与えていたのを孝太郎は目撃した。
男は大量の蟻の死体が飛び散った地面にを見て、もう一度笑みを浮かべていた。
「さてと、あの爺さんは後回しだ。おれは既に三回も死んでいるんだからな、勝てそうな奴がいれば、そいつに目を向ける。オレは目的さえ果たせればそれで良いんだからな……」
「そうか、お前がオレに対して何を企もうが、オレは負けないぞ、お前を必ず倒し、鬼麿を守ってみせる!」
孝太郎はしっかりと刀を握りながら、目の前の相手と対峙していく。
孝太郎は必ず鬼麿を守ってみせると言う信念を纏って、目の前の男に向かっていく。
孝太郎の振り上げた刀が男の振り上げた刀と交差していく。
金属のぶつかる音が響き渡り、次に彼は印術を刀に纏わせ、孝太郎は左手の破壊の魔法を男に向けた。
孝太郎は自分の魔法で目の前の男の蘇生を食い止められないかを考えた。
男は手に持っていた刀を下ろすと、刀の中に風を宿らせた。
「中の印術って言うと、風だろ?風に関する六つの術式を使用できる」
老人の言葉に孝太郎は関心を寄せる。最初に戦ったあの少年は印術を少ししか使用できなかった。せいぜい六つという所だろう。
孝太郎は下の印術の使用方式は『地』である事を認識させられた。
孝太郎は自分の魔法でそれを打ち消せないかと考えた。印術は恐らく23世紀における魔法と同等なのは理解できる。
大陸における妖術や黒魔術はウィリアムズが魔法の原理を発見するまでに、そう呼ばれていただけだと言うのは孝太郎は小学校の一年生の時に習った記憶がある。
そんな事を思い出していると、目の前の老人も彼に倣い印術を使用したらしく、老人の持つ中国刀の婉曲の刃に炎が宿っていく。
橋本雲内の顔が少しばかり引きつったのを孝太郎は確認した。
「そうか、お前さんが使用できる印術は中の段までじゃったな、なら、これでお前さんを一刀両断にしてやるとするか……」
雲内は思わず生唾を飲み込む。老人と男の刀と刀がぶつかり合う。
刃と刃のぶつかり合う音が聞こえた。
孝太郎がどのタイミングで参戦しようかと考えていると、老人は茶目っ気な笑顔を浮かべて言った。
「待て、お前さんが参戦する事は無いよ。この男はワシが七回ともきっちりと倒してやるからね」
「世迷言をほざくのもいい加減にしなさいよ。オレがあんなカスみたいな妖魔術に頼りっきりの男にでも見えるのかい?」
「お前さん、まさか自分の印術や体術に自信があると思っていたのかい?自意識過剰は良く無いよ」
その言葉に彼の理性は机の上に積もったチリのようにいとも簡単に吹き飛ばされてしまったのだろう。
大きな刀を振り上げて、老人に向かって斬りかかってきていた。
老人はその刀を頭を下げる事によって避け、ついでに刀に弧を描かせて、男の胴体を真っ二つにした。
老人は手に持っていた唐刀を鞘に仕舞うと、倒れた男を見下ろしながら言った。
「どうしたね?まだやる気かい?」
本来なら出血多量で死んだ筈の男に向かって問い掛ける。
男は口から出かかっていた一筋の血を見下ろしていた老人に向かって吐く。
老人は血がかかると、眉を顰めたが、直ぐに唐刀を抜き、次の攻撃に備える。
そして、雲内が目を覚ますのと同時に、唐刀を振り下ろそうとしたが、今度は雲内が刀を自分の真横に構え、盾の代わりとして刀を使用する事で、老人の攻撃を防ぐ。
老人は男の剣の腕に感心したらしく、両眉を上げて言った。
「成る程な、体術も印術も大した事は無いようだが、剣術の才能だけはあるらしい。感心したな」
「当たり前でさぁ、オレが何年前から他の人間の魂を奪って生きてきたと思ってんだ?オレの剣の腕に恐れをなしたんだったら、さっさと身を引きな、雷蔵様が仰せられたのは赤い肌の若造の首と小僧の首だけだから、あんたは含まれてねぇから」
「残念だが、引く事はできんね。ワシだって若い者にまだまだ年老いて無いと言われたいのでね」
老人の言葉が口から漏れるのと同時に、彼の刀を持つ力が強くなっていく。
「やれやれ、これだから老人は嫌なんだ。融通が効かなくて、若者の活躍の場を奪っちまうし」
「その通りだな、もう何十年も生きておるのに、未だに若い人間の魂を奪い続けて生きる生き意地の汚い男が言う言葉は違うな」
老人の言葉に再度怒りの感情に囚われたらしく、彼の刃の中に含まれる風が強くなっていく。
微量の竜巻を身に纏った刃が老人を襲っていく。
老人は風の印術の含まれた刃をまるで、本当に何もかかっていないかのようにすんなりと刀を使って受け流していく。
本当に魔法を使用しているかのような錯覚に襲われた。
孝太郎は鬼麿の側により、彼の小さな手を握り締めながら、二人の戦いを見守っていた。
途中に、互いに下段の印術を使用し、土の拳を作り上げ、互いの拳を殴らせ、辺り一面に土埃を散乱させた時には孝太郎も鬼麿も咳き込んでしまったが、それでも見応えのある戦いだ。
後、五回ほど、殺さなくては殺せない男と余裕そうに白い髭に覆われた口元を歪める老人の決闘は老人の有利な展開で進んでいく。
そして、二回目の対決も決闘が付いたらしく、老人は婉曲した例の刀で男を左斜め下から斬り上げる事によって話は終結していく。
袈裟係によって葬られた男は心肺を停止させたと思ったら直ぐにホラー映画に登場するゾンビのように立ち上がり、もう一度老人に向かって剣を振っていく。
暫く斬り合いが続いたかと思うと、もう一度老人が彼を斬り殺し勝利を収めた。
そして、もう一度死亡し、立ち上がって老人と剣を打ち合う。
だが、十合ばかり刀を打ち合ったかと思うと、彼は方向転換を行い、孝太郎に狙いを定めていた。
孝太郎は鬼麿の前に立ち塞がり、持っていた日本刀を鞘から引き抜き、彼に向かって刀を向ける。
孝太郎は一歩前に踏み出し、男が飛び掛かろうとする方向に向かって剣を振り上げたが、その刀は男の草履の先を地面に落とすだけに留まってしまう。
男は口元を歪めて、余裕の笑みを浮かべていた。
そして、もう一度空中で弧を描くと、懐から取り出した銀色に光り輝く武器を取り出し、孝太郎に向かって放り投げた。
孝太郎はやっとの思いで、銀色の武器を刀を使って弾き返す。
銀色の武器は地面に突き刺さり、たまたま地面を歩いていた蟻の群れに大きな損害を与えていたのを孝太郎は目撃した。
男は大量の蟻の死体が飛び散った地面にを見て、もう一度笑みを浮かべていた。
「さてと、あの爺さんは後回しだ。おれは既に三回も死んでいるんだからな、勝てそうな奴がいれば、そいつに目を向ける。オレは目的さえ果たせればそれで良いんだからな……」
「そうか、お前がオレに対して何を企もうが、オレは負けないぞ、お前を必ず倒し、鬼麿を守ってみせる!」
孝太郎はしっかりと刀を握りながら、目の前の相手と対峙していく。
孝太郎は必ず鬼麿を守ってみせると言う信念を纏って、目の前の男に向かっていく。
孝太郎の振り上げた刀が男の振り上げた刀と交差していく。
金属のぶつかる音が響き渡り、次に彼は印術を刀に纏わせ、孝太郎は左手の破壊の魔法を男に向けた。
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