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第四部Ⅱ 『入江の中の海賊』
征服王の懐刀ーその⑤
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二つの銃口が向き合う中で、先に引き金を引いたのはシリウスの方らしい。五分後の孝太郎はそれに合わせて引き金を引く。
同時に銃声が鳴り響く中で、銃弾が当たったのはシリウスの方だった。
最も、彼の場合は左の頬を銃弾が掠めただけであったが……。
彼はナポレオン・ボナパルトのように自分自身の体には銃弾が当たらないと思っていたばかりに、この攻撃には衝撃を受けた。彼はワザとらしく体を大きく揺さぶっていく。
「ば、バカな……私が怪我をするなんて……」
「征服王の栄光とやらもこれで終わりらしいな?」
孝太郎は銃口を突き付けながら問う。
「己ッ!小癪なガキがッ!」
シリウスは今度は両腕大きく広げて、今度は例の空間から元の空間に戻っていく。
時間は先程と同じ時間、攻撃を与えるために、旅立った時と同じで、目の前には鋼鉄の将軍の強靭な膜を身に纏った例の刑事が立っていた。
シリウスは歯軋りをしながら、彼に向かって引き金を引く。
だが、この魔法を纏っている限りは銃弾は当たらない。銃弾が虚しく弾かれている様をシリウスは茫然とした様子で眺めていた。
鋼鉄の将軍を身に纏った孝太郎は手に持っていたピストルの黒く光る銃口を突き付けながら問い掛ける。
「どうだ?ここらで降伏するか?そうすれば、お前の命だけは助けてやるぞ」
「誰がするものかッ!」
シリウスは手に持っている軍用の黒く塗られた自動拳銃を大きく振りかざしながら叫ぶ。
「そうか、ならば、オレはこのままお前を撃ち殺しーー」
孝太郎の言葉はここで遮られてしまう。だが、彼が中断をしなくてはならないのもやむを得ない事なのかもしれない。
誰だって自分の体を守られているとはいえ、天井から鋭く光る剣が落ちてきたら、言葉を中断をせざるを得ないだろう。
シリウスは背後を振り向く。そこには不気味に笑う例の老人の姿。
「ホッホッ、無事ですかな?シリウス隊長?」
「私は平気だッ!だが、貴様こそどうしたのだ!?あの女どもはどうなっておる!?」
老人はシリウスにとって『ムンクの叫び』を見た時のような生理的な嫌悪感を抱かせるような不気味な笑みを口元に収めながら事情を話していく。
「あんな女どもなど放っておいても、大丈夫でしょう。大した事はできませんよ。私にとって心配なのはあなた何です。シリウス隊長」
と、老人は相変わらずの不気味な笑みを浮かべながら、シリウスに向かって言った。
シリウスは生理的に嫌悪を感じるのか、ゾッとするような冷や汗が首筋から流れている事に気が付く。
シリウスは吐き気を催しながらも、彼に向かって例の二人の女と孝太郎を同時に始末するように指示を出す。
老人は両腕を大きく広げながら、天を覆い隠さんばかりの剣を作り上げていく。
多くの剣が妖しく光り、地面の敵達を狙っていく。
「いつ見ても、壮観だな、お前の魔法『刀剣による空間的支配』は……」
孝太郎はこの時のシリウスと老人のやり取りを聞いて、彼は最初の戦闘におけるシリウスの魔法ではなく、彼の隣に居る老人が引き起こしたものだと言う事を悟った。
孝太郎はシリウスが少しばかり前に対峙した二階堂俊博と同じような様々な種類の魔法を使えるのかと危惧していたが、どうやら孝太郎の勘は外れたらしい。
孝太郎は鋼鉄の将軍を後、五分間だけ使用し、その後にシリウスの魔法を攻略しようと試みた。
あの時、確かに目の前の男は自分を殺すために、時間を支配するための空間へと乗り込んだ事を孝太郎は目視していた。
あれが自分の魔法、全ての破壊の効果によるものなのだろう。
だとすれば、彼は五分後には魔法を解き、例の破壊の魔法を用いてシリウスを撃退しなくてはならないに違いない。
孝太郎は五分と言う時間が迫るまでの間、空中に広がる剣と、五分後には例の空間を通って、自分に迫るシリウスと対峙する事を決意した。
二、三合刀とライトセイバー同士で剣を混じり終え、一度距離を取ってから、唐突に長い金髪の髪の女性は優しそうな顔で言った。
「中々、やりますね。まさか、私のエクスカリバーにここまで対抗できる人が来るなんて、ビックリしましたよ」
シャーロットは手に持っている光り輝く閃光の刃を大袈裟に振り回し、口元に微かな笑いを浮かべながら呟く。
「やっかましいや、何がエクスカリバーだよ。テメェのこの進歩的な剣で何人の命を奪いやがった?」
「仕事だからしょうがないんです。いいえ、それだけではありませんね。わたしはお兄様の為ならば、わたしはどんな事でもやりますから、例え世界がお兄様の敵に回ろうとも、わたしだけはお兄様の味方のつもりです」
華美な世辞が聡子の耳を貫き、彼女は『歯の浮き出るようなお世辞』と言う言葉の意味を今こそ理解できたような気がした。
だが、シャーロットは自分の発した言葉に酔っているのか、彼女は相変わらずの優しいと言う言葉の似合うような満面の笑みを浮かべていた。
『ニコニコ』と言う形容詞がこれ程似合うような朗らかで優しい笑顔を聡子は見た事はあっただろうか。
聡子がぼんやりとしていた為だろうか、シャーロットは地を蹴って、彼女の懐に割り込んでいく。
シャーロットは両手に持っていたライトセイバーを右の斜め下から斬り上げていく。
聡子は右下に刀を構えて、ライトセイバーが自分の体を袈裟斬りにしていこうとする事態を防ぐ。
ライトセイバーと刃を混じり合え、何度か火花が散るのを確認してから、彼女は背後に飛び、上段から刀を振り上げ、シャーロットの頭上を狙う。
だが、シャーロットは手に握っていたライトセイバーを盾に聡子の剣を防ぐ。
光り輝く見えない刃に自分の刀が防がれるのを見るのは何故か、彼女の癇に障っていた。
見える刃に防がれているのなら、互いに斬り合いをしていると言う実感が湧くのだろうが、やはり、見えない刃に防がれているのは何か引っ掛かる物があるのだろう。
お前にはこの見えない刃が相応しいとでも言わんばかりの言葉が彼女の見えない刃から発せられたような気もするのだ。
聡子はそんな事を考えながら、彼女と刃を重ね合っていた。
同時に銃声が鳴り響く中で、銃弾が当たったのはシリウスの方だった。
最も、彼の場合は左の頬を銃弾が掠めただけであったが……。
彼はナポレオン・ボナパルトのように自分自身の体には銃弾が当たらないと思っていたばかりに、この攻撃には衝撃を受けた。彼はワザとらしく体を大きく揺さぶっていく。
「ば、バカな……私が怪我をするなんて……」
「征服王の栄光とやらもこれで終わりらしいな?」
孝太郎は銃口を突き付けながら問う。
「己ッ!小癪なガキがッ!」
シリウスは今度は両腕大きく広げて、今度は例の空間から元の空間に戻っていく。
時間は先程と同じ時間、攻撃を与えるために、旅立った時と同じで、目の前には鋼鉄の将軍の強靭な膜を身に纏った例の刑事が立っていた。
シリウスは歯軋りをしながら、彼に向かって引き金を引く。
だが、この魔法を纏っている限りは銃弾は当たらない。銃弾が虚しく弾かれている様をシリウスは茫然とした様子で眺めていた。
鋼鉄の将軍を身に纏った孝太郎は手に持っていたピストルの黒く光る銃口を突き付けながら問い掛ける。
「どうだ?ここらで降伏するか?そうすれば、お前の命だけは助けてやるぞ」
「誰がするものかッ!」
シリウスは手に持っている軍用の黒く塗られた自動拳銃を大きく振りかざしながら叫ぶ。
「そうか、ならば、オレはこのままお前を撃ち殺しーー」
孝太郎の言葉はここで遮られてしまう。だが、彼が中断をしなくてはならないのもやむを得ない事なのかもしれない。
誰だって自分の体を守られているとはいえ、天井から鋭く光る剣が落ちてきたら、言葉を中断をせざるを得ないだろう。
シリウスは背後を振り向く。そこには不気味に笑う例の老人の姿。
「ホッホッ、無事ですかな?シリウス隊長?」
「私は平気だッ!だが、貴様こそどうしたのだ!?あの女どもはどうなっておる!?」
老人はシリウスにとって『ムンクの叫び』を見た時のような生理的な嫌悪感を抱かせるような不気味な笑みを口元に収めながら事情を話していく。
「あんな女どもなど放っておいても、大丈夫でしょう。大した事はできませんよ。私にとって心配なのはあなた何です。シリウス隊長」
と、老人は相変わらずの不気味な笑みを浮かべながら、シリウスに向かって言った。
シリウスは生理的に嫌悪を感じるのか、ゾッとするような冷や汗が首筋から流れている事に気が付く。
シリウスは吐き気を催しながらも、彼に向かって例の二人の女と孝太郎を同時に始末するように指示を出す。
老人は両腕を大きく広げながら、天を覆い隠さんばかりの剣を作り上げていく。
多くの剣が妖しく光り、地面の敵達を狙っていく。
「いつ見ても、壮観だな、お前の魔法『刀剣による空間的支配』は……」
孝太郎はこの時のシリウスと老人のやり取りを聞いて、彼は最初の戦闘におけるシリウスの魔法ではなく、彼の隣に居る老人が引き起こしたものだと言う事を悟った。
孝太郎はシリウスが少しばかり前に対峙した二階堂俊博と同じような様々な種類の魔法を使えるのかと危惧していたが、どうやら孝太郎の勘は外れたらしい。
孝太郎は鋼鉄の将軍を後、五分間だけ使用し、その後にシリウスの魔法を攻略しようと試みた。
あの時、確かに目の前の男は自分を殺すために、時間を支配するための空間へと乗り込んだ事を孝太郎は目視していた。
あれが自分の魔法、全ての破壊の効果によるものなのだろう。
だとすれば、彼は五分後には魔法を解き、例の破壊の魔法を用いてシリウスを撃退しなくてはならないに違いない。
孝太郎は五分と言う時間が迫るまでの間、空中に広がる剣と、五分後には例の空間を通って、自分に迫るシリウスと対峙する事を決意した。
二、三合刀とライトセイバー同士で剣を混じり終え、一度距離を取ってから、唐突に長い金髪の髪の女性は優しそうな顔で言った。
「中々、やりますね。まさか、私のエクスカリバーにここまで対抗できる人が来るなんて、ビックリしましたよ」
シャーロットは手に持っている光り輝く閃光の刃を大袈裟に振り回し、口元に微かな笑いを浮かべながら呟く。
「やっかましいや、何がエクスカリバーだよ。テメェのこの進歩的な剣で何人の命を奪いやがった?」
「仕事だからしょうがないんです。いいえ、それだけではありませんね。わたしはお兄様の為ならば、わたしはどんな事でもやりますから、例え世界がお兄様の敵に回ろうとも、わたしだけはお兄様の味方のつもりです」
華美な世辞が聡子の耳を貫き、彼女は『歯の浮き出るようなお世辞』と言う言葉の意味を今こそ理解できたような気がした。
だが、シャーロットは自分の発した言葉に酔っているのか、彼女は相変わらずの優しいと言う言葉の似合うような満面の笑みを浮かべていた。
『ニコニコ』と言う形容詞がこれ程似合うような朗らかで優しい笑顔を聡子は見た事はあっただろうか。
聡子がぼんやりとしていた為だろうか、シャーロットは地を蹴って、彼女の懐に割り込んでいく。
シャーロットは両手に持っていたライトセイバーを右の斜め下から斬り上げていく。
聡子は右下に刀を構えて、ライトセイバーが自分の体を袈裟斬りにしていこうとする事態を防ぐ。
ライトセイバーと刃を混じり合え、何度か火花が散るのを確認してから、彼女は背後に飛び、上段から刀を振り上げ、シャーロットの頭上を狙う。
だが、シャーロットは手に握っていたライトセイバーを盾に聡子の剣を防ぐ。
光り輝く見えない刃に自分の刀が防がれるのを見るのは何故か、彼女の癇に障っていた。
見える刃に防がれているのなら、互いに斬り合いをしていると言う実感が湧くのだろうが、やはり、見えない刃に防がれているのは何か引っ掛かる物があるのだろう。
お前にはこの見えない刃が相応しいとでも言わんばかりの言葉が彼女の見えない刃から発せられたような気もするのだ。
聡子はそんな事を考えながら、彼女と刃を重ね合っていた。
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