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満月の夜の殺人鬼編
祭りの後に
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孝太郎は自分の背中に中学生が乗っている事に気が付く。他の全員は先程の聡子の言葉が発せられるのと同時に校門に向かったのを孝太郎は確認している。
孝太郎は背中の浩輔と共に校門へと走っていく。
時間の短縮のために窓を乗り越え、その時に顔と前面に怪我を負い、大きな校庭を走り、そのために疲れと痛さを伴っていたが、それでも爆発に巻き込まれるよりはマシだと考え、必死に脚を動かしていたのだった。
出口には八つの人影。
全員が孝太郎と浩輔に向けて手を伸ばしていた。浩輔を抱えたままの孝太郎は懸命に歯を食いしばりながら、左手だけを目の前に出し、姉の手を掴む。
姉に引っ張られ、孝太郎の体も浩輔の体と五体満足で済んだらしい。孝太郎が校門の外で浩輔を下ろすのと同時に校舎が大きな爆発音を立てて崩壊していくのを見届けた。
爆発の炎が学校を包み込む。その炎は本当に骸骨が笑っているかのようだ。
孝太郎はそれだけを考えると、地面にへたれ込む。後には心地の良い安らぎだけが孝太郎の体を包む。
倒れた弟の体を姉は抱き抱え、サイレンを鳴らし駆け付ける消防車やら救急車に救助を求めていた。
救急隊員は三年前の出来事を思い出したのだろう。顔を真っ青にしながら孝太郎を救急車に乗せて運ぶ。
同時に怪我をした浩輔も彼らからすれば、治療の対象だったのだろう。慌てて救急車に乗り込ませ、病院へと運んでいく。
暗い救急車の中で絵里子は横たわれる弟を眺めながら、涙を流し額を右手で抑えながら呟く。
「ダメね。あたしは弟があんな状況でもあんな強い敵に立ち向かっているのに、ずっとその戦いを見ているだけしかできないなんて……」
涙を落とすリーダーの姿に彼女の中の憐憫の情が動いたのだろう。肩を落とす絵里子の肩の上にポンと手を置く。
「大丈夫だって、あんただって知ってるだろ?孝太郎さんはいつだってどんな時も帰ってきたじゃん!今回だって疲れて眠ってるだけだよ!」
聡子の言葉に絵里子は小さく首を縦に振り、
「そうね。そうだよね……弟はいつもそう。あたし一人を残して、いつもトラブルに首を突っ込んでいくの。それで、あたしがどんなに心配してるか……」
絵里子の言葉にこの場にいた誰もが重い沈黙に支配される。もう一台の浩輔を運んでいる救急車には彼の友達と小田切士郎が着いている。それに関する限りは大丈夫だろう。問題は目の前で救急車の台で横たわれる人間だ。
孝太郎は脱出の際に相当無茶をしたのだろう。時間短縮のために窓の枠でも飛び越えたのだろうか、体の前面に傷が付いている。恐らく、窓の枠に足をかけた時に正面からぶつかったのだろう。
孝太郎は小さくか細い呼吸を奏でている。
ゆっくりと眠る孝太郎を姉を優しく眺めていた。
「ダメね。あたしって……」
「そんな事ないですよ!」
大きな溜息を吐く絵里子に対し、走行中にも関わらず立ち上がったのは丸渕眼鏡の幼い顔立ちの計算係ーー倉本明美であった。
明美は両手の拳を震わせながら、
「あたしに比べたら、あたしの方が足引っ張ってますよ。どの事件でもあたしが居なければ、もっと簡単に犯人を捕らえられたんじゃないかって……」
明美の眼鏡が暗く光っている事に気が付く。そして、彼女の瞳からキラリと輝く透明の液体が零れ落ちている事を聡子は勘付いた。
聡子は大きく笑い声を立てながら、彼女の肩に自分自身の腕を絡めて、笑顔を向ける。
「何言ってんだよぉ~明美のお陰でどれだけ助かったのか分かんないの?あたしや絵里子さんだけじゃ、あんなに書類を処理しきれないよ。確かに、明美の魔法は防御に特化してて、戦闘にはあんまり役に立たない!そして銃の腕もハッキリ言ってそんなに良くない!」
あまりにもキッパリと叫ぶ聡子の姿を見て、明美は少しムスッとした顔を浮かべたが、次の聡子の言葉を聞いた瞬間にもう一度笑顔を見せる。
「けれど、明美はそれで良いと思うよ。あんたがややこしい計算を的確に片付けてくれたり、面倒な書類仕事をしているからこそ、あたし達は捜査に専念できるんだよ。あんたが背後に控えているから、戦闘を放棄しようなんて考えたりしない……だから、無理に変える必要なんてないと思うよ」
聡子の言葉に明美は目を輝かせた。
そして、明美にもう一度抱きかかる。
「ありがとう!聡子ちゃん!」
聡子は頬をかきながら、照れ臭そうい顔を浮かべながらも、それを隠すためにプイッと横を向く。
そんな明美と聡子のやり取りを絵里子は微笑ましい様子で眺めていた。そして、心の中で弟と自分自身の最大のライバルの事を考えていた。
(流石ね、あたしじゃあ、あんな的確な処置はできないわ、あなたは豪傑で豪快で無鉄砲だけれど、いつも孝ちゃんと肩を並べて戦っているわよね。あたしじゃあ、敵わないかな……)
絵里子はその考えを取り捨てて、もう一度聡子に向かって向き直る。
(いいえ、前言撤回!こうなったら、トコトンまであなたと戦うわよ!絶対に弟は渡さないんだからッ!)
絵里子は明美と戯れる聡子に向けて無言の宣戦布告を放つ。
当然気付くなんて思ってもいなかったのだが、聡子はじゃれ合う中で絵里子に向けて笑い掛け、空間をノートに「こちらこそ」と返す。
そして、もう一度じゃれ合いに戻っていく。
絵里子はもう一度微笑み返す。今度こそ負けないわよ言わんばかりに。
暗い夜の中でここに世界で一番平和と思われる三角関係が始まったのだった。
清潔な病室の中で甲高い声が響いていく。
「一日?じゃあ、オレはこの病院で一日中ずっと寝てたってわけか!?」
自らの顔に人差し指を向けて尋ねる孝太郎に絵里子は満面の笑みで首を縦に動かす。
「ええ、あれから病院まで眠りっぱなしでね、眠りながら、病院の機器で調べた所、特に異常は無いそうよ!」
孝太郎はホッとしたように小さな溜息を吐き出す。
「良かったよ。浩輔くんは?」
「怪我の治療のために二週間はこの病院から出られないらしいわ、それでも、友達が毎日来てくれるから、問題は無いそうよ」
絵里子の言葉に孝太郎は自分の事のように嬉しいと感じていた。
絵里子は弟が安心したのを見て、ようやく続きを話していく。
「事情聴取は翌日になるらしいわ、今日はゆっくりする事ね!」
そう言って笑う姉に孝太郎はもう一度笑い返す。その時の弟の顔が絵里子には太陽よりも眩しく映ったように思われた。
孝太郎は背中の浩輔と共に校門へと走っていく。
時間の短縮のために窓を乗り越え、その時に顔と前面に怪我を負い、大きな校庭を走り、そのために疲れと痛さを伴っていたが、それでも爆発に巻き込まれるよりはマシだと考え、必死に脚を動かしていたのだった。
出口には八つの人影。
全員が孝太郎と浩輔に向けて手を伸ばしていた。浩輔を抱えたままの孝太郎は懸命に歯を食いしばりながら、左手だけを目の前に出し、姉の手を掴む。
姉に引っ張られ、孝太郎の体も浩輔の体と五体満足で済んだらしい。孝太郎が校門の外で浩輔を下ろすのと同時に校舎が大きな爆発音を立てて崩壊していくのを見届けた。
爆発の炎が学校を包み込む。その炎は本当に骸骨が笑っているかのようだ。
孝太郎はそれだけを考えると、地面にへたれ込む。後には心地の良い安らぎだけが孝太郎の体を包む。
倒れた弟の体を姉は抱き抱え、サイレンを鳴らし駆け付ける消防車やら救急車に救助を求めていた。
救急隊員は三年前の出来事を思い出したのだろう。顔を真っ青にしながら孝太郎を救急車に乗せて運ぶ。
同時に怪我をした浩輔も彼らからすれば、治療の対象だったのだろう。慌てて救急車に乗り込ませ、病院へと運んでいく。
暗い救急車の中で絵里子は横たわれる弟を眺めながら、涙を流し額を右手で抑えながら呟く。
「ダメね。あたしは弟があんな状況でもあんな強い敵に立ち向かっているのに、ずっとその戦いを見ているだけしかできないなんて……」
涙を落とすリーダーの姿に彼女の中の憐憫の情が動いたのだろう。肩を落とす絵里子の肩の上にポンと手を置く。
「大丈夫だって、あんただって知ってるだろ?孝太郎さんはいつだってどんな時も帰ってきたじゃん!今回だって疲れて眠ってるだけだよ!」
聡子の言葉に絵里子は小さく首を縦に振り、
「そうね。そうだよね……弟はいつもそう。あたし一人を残して、いつもトラブルに首を突っ込んでいくの。それで、あたしがどんなに心配してるか……」
絵里子の言葉にこの場にいた誰もが重い沈黙に支配される。もう一台の浩輔を運んでいる救急車には彼の友達と小田切士郎が着いている。それに関する限りは大丈夫だろう。問題は目の前で救急車の台で横たわれる人間だ。
孝太郎は脱出の際に相当無茶をしたのだろう。時間短縮のために窓の枠でも飛び越えたのだろうか、体の前面に傷が付いている。恐らく、窓の枠に足をかけた時に正面からぶつかったのだろう。
孝太郎は小さくか細い呼吸を奏でている。
ゆっくりと眠る孝太郎を姉を優しく眺めていた。
「ダメね。あたしって……」
「そんな事ないですよ!」
大きな溜息を吐く絵里子に対し、走行中にも関わらず立ち上がったのは丸渕眼鏡の幼い顔立ちの計算係ーー倉本明美であった。
明美は両手の拳を震わせながら、
「あたしに比べたら、あたしの方が足引っ張ってますよ。どの事件でもあたしが居なければ、もっと簡単に犯人を捕らえられたんじゃないかって……」
明美の眼鏡が暗く光っている事に気が付く。そして、彼女の瞳からキラリと輝く透明の液体が零れ落ちている事を聡子は勘付いた。
聡子は大きく笑い声を立てながら、彼女の肩に自分自身の腕を絡めて、笑顔を向ける。
「何言ってんだよぉ~明美のお陰でどれだけ助かったのか分かんないの?あたしや絵里子さんだけじゃ、あんなに書類を処理しきれないよ。確かに、明美の魔法は防御に特化してて、戦闘にはあんまり役に立たない!そして銃の腕もハッキリ言ってそんなに良くない!」
あまりにもキッパリと叫ぶ聡子の姿を見て、明美は少しムスッとした顔を浮かべたが、次の聡子の言葉を聞いた瞬間にもう一度笑顔を見せる。
「けれど、明美はそれで良いと思うよ。あんたがややこしい計算を的確に片付けてくれたり、面倒な書類仕事をしているからこそ、あたし達は捜査に専念できるんだよ。あんたが背後に控えているから、戦闘を放棄しようなんて考えたりしない……だから、無理に変える必要なんてないと思うよ」
聡子の言葉に明美は目を輝かせた。
そして、明美にもう一度抱きかかる。
「ありがとう!聡子ちゃん!」
聡子は頬をかきながら、照れ臭そうい顔を浮かべながらも、それを隠すためにプイッと横を向く。
そんな明美と聡子のやり取りを絵里子は微笑ましい様子で眺めていた。そして、心の中で弟と自分自身の最大のライバルの事を考えていた。
(流石ね、あたしじゃあ、あんな的確な処置はできないわ、あなたは豪傑で豪快で無鉄砲だけれど、いつも孝ちゃんと肩を並べて戦っているわよね。あたしじゃあ、敵わないかな……)
絵里子はその考えを取り捨てて、もう一度聡子に向かって向き直る。
(いいえ、前言撤回!こうなったら、トコトンまであなたと戦うわよ!絶対に弟は渡さないんだからッ!)
絵里子は明美と戯れる聡子に向けて無言の宣戦布告を放つ。
当然気付くなんて思ってもいなかったのだが、聡子はじゃれ合う中で絵里子に向けて笑い掛け、空間をノートに「こちらこそ」と返す。
そして、もう一度じゃれ合いに戻っていく。
絵里子はもう一度微笑み返す。今度こそ負けないわよ言わんばかりに。
暗い夜の中でここに世界で一番平和と思われる三角関係が始まったのだった。
清潔な病室の中で甲高い声が響いていく。
「一日?じゃあ、オレはこの病院で一日中ずっと寝てたってわけか!?」
自らの顔に人差し指を向けて尋ねる孝太郎に絵里子は満面の笑みで首を縦に動かす。
「ええ、あれから病院まで眠りっぱなしでね、眠りながら、病院の機器で調べた所、特に異常は無いそうよ!」
孝太郎はホッとしたように小さな溜息を吐き出す。
「良かったよ。浩輔くんは?」
「怪我の治療のために二週間はこの病院から出られないらしいわ、それでも、友達が毎日来てくれるから、問題は無いそうよ」
絵里子の言葉に孝太郎は自分の事のように嬉しいと感じていた。
絵里子は弟が安心したのを見て、ようやく続きを話していく。
「事情聴取は翌日になるらしいわ、今日はゆっくりする事ね!」
そう言って笑う姉に孝太郎はもう一度笑い返す。その時の弟の顔が絵里子には太陽よりも眩しく映ったように思われた。
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