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満月の夜の殺人鬼編
困難に敷き詰められし道ーその12
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二階堂の力が刀を伝って浩輔の両腕に伝わってくる。ビリビリと両腕が痺れるよう感覚を浩輔は味わう。
浩輔は目を大きく見開き、大きく日本刀を振り上げ、飛び上がって上段から二階堂に向かって斬りかかる。
二階堂は浩輔の日本刀を自分自身の剣を盾に防ぎ、飛び上がっていた浩輔を刀を振るった衝撃で打ち返す。
浩輔は悲鳴を上げ、壁に大きく体を打ち付けた。
倒れる浩輔の元に聡子が慌てて駆け付け、浩輔をゆっくりと助け起こす。
浩輔は疲れ切った体をゆっくりと起き上がらせながら、目の前で剣を光らせる二階堂を睨む。
「キミの抵抗は面白かったけれどね。それでも、何事にも終わりと言うのは存在するんだよ。今の状況がそんな状況なのかな?」
「……。お前がいくらこの街にイタリアのマフィアを引き入れさせようとも、桃屋さんや村上さんがボクの意思を継いで、妨害するだろう……自由共和党に金が入る可能性は多くの砂糖の中に混じった一粒の塩を見つける事よりも難しい事だと言っておくぞ!必ず、お前はイタリアのマフィアに殺される!『約束が違う』と脅されながら……」
二階堂は目を開いて叫ぶ浩輔の言葉が余程、面白かったのだろう。額に手を当てて大きな声で笑う。
「ハッハッハッハッ、私が殺されるだと?面白い冗談だ。キミは私が殺されると思っているのかい?私の魔法『星の杖』は無敵の魔法だッ!キミは無敵の魔法を破れるかい?」
大きな声で両手を広げて笑う二階堂に向かって浩輔は彼と同じくらい大きな声で反論を返す。
「違うッ!この世界に無敵なんて言葉はないッ!お前の魔法にだって絶対に何処かしらの弱点は残っているんだッ!そのうちに弱点を必ず看破され、お前は殺されるぞ!」
浩輔の言葉が彼の気に触ったのだろう。彼は笑顔を浮かべたまま、体の周りに刃を漂わせ、漂っていた刃を壁にもたれかかっている浩輔へと発射していく。
浩輔は大声で自らを奮い立たせ、体全体から雷を放電させ、刃を自らの電気で焼き切っていく。
二階堂はその様子を見て、もう一度口元を大きく歪めて、剣を携え浩輔に向かって斬りかかっていく。今度は剣だけではない、全身に剣の刃を漂わせていた。
浩輔は側に落ちていた日本刀を拾い上げ、二階堂相手に向き直る。
浩輔は剣道の授業で学んだ僅かばかりの剣の知識を頼りに、刀を握った両手を目の前の男に構え、二階堂に向かって刀を振り下ろす。
二階堂は自らの剣で上段から放たれた剣を防いだが、即座に自分の体に痺れのような感覚を感じた。二階堂は両腕が震えた理由を目の前で刀を振るう少年を見て悟る。
少年は自らの雷として使用する電力を弱めて、刀と付着させ二階堂の両腕の剣を震えさせいたのだ。
二階堂はこのハンデを打ち負かす事ができずに、浩輔の無茶苦茶な素振りに敗北し、廊下に沈み、大きく尻餅を付いてしまう。
二階堂は目の前で日本刀を突き付ける少年を険しい目線で睨む。少年は二階堂の狼を思わせるような目にも動じない。それどころか、強い視線で反対に二階堂を睨み返す。
二階堂は面食らった様子で相手に向かって問い掛ける。
「不味かった……剣の腕を見誤ったのが、誤算だったよ。まさか、キミのような子供に負けてしまうとはね」
「もうこの街の人間をお前に襲わせたりはしない……これは街を守る守護者としての使命だ」
二階堂は少年の返答に一瞬、眉を顰めたが、直ぐに大きな声で笑い、
「ご立派な精神だな、坊や……けれど、キミにこの先の事が分かるのか?」
「この先の事だと?」
二階堂は口元を大きく吊り上げて言う。
「分からんだろ?この先に起きる大災害を今言っておくとね、最近、流行っているキャンドール・コーブがあるだろ?どうして、小さな子供があんなに夢中になっていると思う?他にも、どうして毎週そればっかりを見たくて、親に不気味な姿を見せていると思う?」
二階堂の問い掛けに、浩輔は答えを返す事ができない。二階堂はその様子を見て満足そうな笑みを見せた。
それから、細い人差し指を浩輔に向けてもう一度笑う。
「そうッ!その表情だよッ!キミのそんな表情を見たかったッ!さぁ、もう一度ショーの続きを始めるとするかッ!」
二階堂は大きく両手を広げ、浩輔の目の前に次々と擬似惑星を作り出していく。
二階堂は狂ったように笑いながら、その惑星を浩輔に向けていく。
浩輔は雷を放電し、全ての刃を破壊していくが、そのたびにレーザーまで出ては堪ったものではない。浩輔は二重とも言えるトラップに引っ掛かり、左手の肩と右脚をレーザーに貫かれてしまう。
浩輔は小さな悲鳴を上げ、地面に倒れ込む。
二階堂は大きな声で笑いながら、地面で倒れる浩輔を見下ろす。
「まぁ、キャンドール・コーブだのイタリアン・マフィアだのはもうキミには関係のない事だな、キミ達はここで全員殺されるんだからなッ!」
二階堂はそう言って一階の全てに例の擬似惑星を繰り出していく。
孝太郎は目の前の空間を破壊し、偽物の小さな惑星を破壊していくが、数が多過ぎる。処理が追い付かないと言うべきだろうか。
何とか、姉と計算係の前に現れた模型のように小さい惑星を破壊し尽くす事には成功したのだが、その次の浩輔の友達と小田切士郎の座る階段の目の前に現れた惑星を破壊するのだけは間に合いそうにない。
不幸な事に目の前の空間を破壊しながら向かって行く孝太郎の脇腹を二階堂に蹴られたとなっては尚更無理だった。
少年と少女と老人だけの階段の前はやむを得ずに阿久津孝弘の小さな近衛兵のみで守っているらしい。小さな兵士達の悲鳴が孝太郎の耳元にまで届く。
二階堂が大きな声で笑いながら、目の前の非力と言ってもいい人間達の死を嘲笑っていると、突如、彼の口から笑みが消えていく。
孝太郎は二階堂の次の様子に堪らずに首を傾げたが、次の瞬間に全てを理解したのだ。
小田切士郎が両手を掲げ、大小様々な鏡が現れ、二階堂の光線を跳ね返していっているのだった。
全ての光線が跳ね返され、その一筋の光線が二階堂の腹に直撃する。
強力な殺人光線に貫かれた二階堂は口から一塊りの赤い液体を吐き出し、地面に倒れ込む。
彼の近くに倒れていた聡子が慌てて二階堂の側に駆け寄っていく。
既に虫の息と化していた二階堂はもう一度口から血を吐き出し、目の前の青色のボブヘアーの勝気な女性へと呪詛の言葉を投げ掛けた。
「弱ったな、この私がここで死ぬとは……それにしても、あの刑事め、まさか、あんな隠し玉を持っていたとは、抜け目がないじゃあないか……」
聡子は必死に呪詛の言葉を呟く二階堂に向かって問い掛ける。
「あんたの愚痴なんてどうでもいい。あたしがあんたに聞きたいのは、あんたの隠し持っている爆弾の正体だよ。死ぬ間際の自白だぜ、嘘は吐かないよな?」
「……。私の体の中さ、小型だが、最新型でね。私の死と共に爆発する事になっているんだ」
二階堂はもう一度大きく血を吐きながら呟く。
聡子はその場で二階堂と同じ事を叫んでから、全員に一階から脱出する事を述べる。
全員が慌てて校門へと向かって行く。怪我を負った浩輔も孝太郎が背中におぶさる事によって何とか庇えたらしい。
暗い校舎の中には二階堂がたった一人で取り残された。
二階堂が腹から出た血を眺めていると、周りから懐かしい影が見える。
どれも二階堂が殺した人間だった。死の間際の幻覚か迎えに来た亡霊なのかは分からなかったのだが、二階堂はいつもの冷徹な声を崩す事なく亡霊達に問う。
「私を迎えに来たのか?私を地獄に連れて行くために?」
二階堂を取り囲む亡霊達は一斉に首肯した。すると、二階堂の体の周りに多くの手が現れ、地面へと引き込んでいく。
二階堂はそんな状態でもありながら笑い続けた。
「ハッハッハッハッ、いいぞォォォ~!!!あの世でも私は殺し続けてやるッ!どんな奴でも私の魔法で嬲り殺してにしてやるんだッ!修羅道と言うんだったかな?あの世での殺しが楽しみだッ!ハッハッハッハッ、もう一度お前達を殺してやるぞォォォ~!!」
最後の雄叫びと共に二階堂は地面に中に完全に引き摺り込まれた。
同時に大きな爆発がかつての校舎を飲み込む。後にこの爆発を見た人々はこう語ったと言う。
まるで、大きな髑髏が笑っているかのようだったと。
浩輔は目を大きく見開き、大きく日本刀を振り上げ、飛び上がって上段から二階堂に向かって斬りかかる。
二階堂は浩輔の日本刀を自分自身の剣を盾に防ぎ、飛び上がっていた浩輔を刀を振るった衝撃で打ち返す。
浩輔は悲鳴を上げ、壁に大きく体を打ち付けた。
倒れる浩輔の元に聡子が慌てて駆け付け、浩輔をゆっくりと助け起こす。
浩輔は疲れ切った体をゆっくりと起き上がらせながら、目の前で剣を光らせる二階堂を睨む。
「キミの抵抗は面白かったけれどね。それでも、何事にも終わりと言うのは存在するんだよ。今の状況がそんな状況なのかな?」
「……。お前がいくらこの街にイタリアのマフィアを引き入れさせようとも、桃屋さんや村上さんがボクの意思を継いで、妨害するだろう……自由共和党に金が入る可能性は多くの砂糖の中に混じった一粒の塩を見つける事よりも難しい事だと言っておくぞ!必ず、お前はイタリアのマフィアに殺される!『約束が違う』と脅されながら……」
二階堂は目を開いて叫ぶ浩輔の言葉が余程、面白かったのだろう。額に手を当てて大きな声で笑う。
「ハッハッハッハッ、私が殺されるだと?面白い冗談だ。キミは私が殺されると思っているのかい?私の魔法『星の杖』は無敵の魔法だッ!キミは無敵の魔法を破れるかい?」
大きな声で両手を広げて笑う二階堂に向かって浩輔は彼と同じくらい大きな声で反論を返す。
「違うッ!この世界に無敵なんて言葉はないッ!お前の魔法にだって絶対に何処かしらの弱点は残っているんだッ!そのうちに弱点を必ず看破され、お前は殺されるぞ!」
浩輔の言葉が彼の気に触ったのだろう。彼は笑顔を浮かべたまま、体の周りに刃を漂わせ、漂っていた刃を壁にもたれかかっている浩輔へと発射していく。
浩輔は大声で自らを奮い立たせ、体全体から雷を放電させ、刃を自らの電気で焼き切っていく。
二階堂はその様子を見て、もう一度口元を大きく歪めて、剣を携え浩輔に向かって斬りかかっていく。今度は剣だけではない、全身に剣の刃を漂わせていた。
浩輔は側に落ちていた日本刀を拾い上げ、二階堂相手に向き直る。
浩輔は剣道の授業で学んだ僅かばかりの剣の知識を頼りに、刀を握った両手を目の前の男に構え、二階堂に向かって刀を振り下ろす。
二階堂は自らの剣で上段から放たれた剣を防いだが、即座に自分の体に痺れのような感覚を感じた。二階堂は両腕が震えた理由を目の前で刀を振るう少年を見て悟る。
少年は自らの雷として使用する電力を弱めて、刀と付着させ二階堂の両腕の剣を震えさせいたのだ。
二階堂はこのハンデを打ち負かす事ができずに、浩輔の無茶苦茶な素振りに敗北し、廊下に沈み、大きく尻餅を付いてしまう。
二階堂は目の前で日本刀を突き付ける少年を険しい目線で睨む。少年は二階堂の狼を思わせるような目にも動じない。それどころか、強い視線で反対に二階堂を睨み返す。
二階堂は面食らった様子で相手に向かって問い掛ける。
「不味かった……剣の腕を見誤ったのが、誤算だったよ。まさか、キミのような子供に負けてしまうとはね」
「もうこの街の人間をお前に襲わせたりはしない……これは街を守る守護者としての使命だ」
二階堂は少年の返答に一瞬、眉を顰めたが、直ぐに大きな声で笑い、
「ご立派な精神だな、坊や……けれど、キミにこの先の事が分かるのか?」
「この先の事だと?」
二階堂は口元を大きく吊り上げて言う。
「分からんだろ?この先に起きる大災害を今言っておくとね、最近、流行っているキャンドール・コーブがあるだろ?どうして、小さな子供があんなに夢中になっていると思う?他にも、どうして毎週そればっかりを見たくて、親に不気味な姿を見せていると思う?」
二階堂の問い掛けに、浩輔は答えを返す事ができない。二階堂はその様子を見て満足そうな笑みを見せた。
それから、細い人差し指を浩輔に向けてもう一度笑う。
「そうッ!その表情だよッ!キミのそんな表情を見たかったッ!さぁ、もう一度ショーの続きを始めるとするかッ!」
二階堂は大きく両手を広げ、浩輔の目の前に次々と擬似惑星を作り出していく。
二階堂は狂ったように笑いながら、その惑星を浩輔に向けていく。
浩輔は雷を放電し、全ての刃を破壊していくが、そのたびにレーザーまで出ては堪ったものではない。浩輔は二重とも言えるトラップに引っ掛かり、左手の肩と右脚をレーザーに貫かれてしまう。
浩輔は小さな悲鳴を上げ、地面に倒れ込む。
二階堂は大きな声で笑いながら、地面で倒れる浩輔を見下ろす。
「まぁ、キャンドール・コーブだのイタリアン・マフィアだのはもうキミには関係のない事だな、キミ達はここで全員殺されるんだからなッ!」
二階堂はそう言って一階の全てに例の擬似惑星を繰り出していく。
孝太郎は目の前の空間を破壊し、偽物の小さな惑星を破壊していくが、数が多過ぎる。処理が追い付かないと言うべきだろうか。
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少年と少女と老人だけの階段の前はやむを得ずに阿久津孝弘の小さな近衛兵のみで守っているらしい。小さな兵士達の悲鳴が孝太郎の耳元にまで届く。
二階堂が大きな声で笑いながら、目の前の非力と言ってもいい人間達の死を嘲笑っていると、突如、彼の口から笑みが消えていく。
孝太郎は二階堂の次の様子に堪らずに首を傾げたが、次の瞬間に全てを理解したのだ。
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全ての光線が跳ね返され、その一筋の光線が二階堂の腹に直撃する。
強力な殺人光線に貫かれた二階堂は口から一塊りの赤い液体を吐き出し、地面に倒れ込む。
彼の近くに倒れていた聡子が慌てて二階堂の側に駆け寄っていく。
既に虫の息と化していた二階堂はもう一度口から血を吐き出し、目の前の青色のボブヘアーの勝気な女性へと呪詛の言葉を投げ掛けた。
「弱ったな、この私がここで死ぬとは……それにしても、あの刑事め、まさか、あんな隠し玉を持っていたとは、抜け目がないじゃあないか……」
聡子は必死に呪詛の言葉を呟く二階堂に向かって問い掛ける。
「あんたの愚痴なんてどうでもいい。あたしがあんたに聞きたいのは、あんたの隠し持っている爆弾の正体だよ。死ぬ間際の自白だぜ、嘘は吐かないよな?」
「……。私の体の中さ、小型だが、最新型でね。私の死と共に爆発する事になっているんだ」
二階堂はもう一度大きく血を吐きながら呟く。
聡子はその場で二階堂と同じ事を叫んでから、全員に一階から脱出する事を述べる。
全員が慌てて校門へと向かって行く。怪我を負った浩輔も孝太郎が背中におぶさる事によって何とか庇えたらしい。
暗い校舎の中には二階堂がたった一人で取り残された。
二階堂が腹から出た血を眺めていると、周りから懐かしい影が見える。
どれも二階堂が殺した人間だった。死の間際の幻覚か迎えに来た亡霊なのかは分からなかったのだが、二階堂はいつもの冷徹な声を崩す事なく亡霊達に問う。
「私を迎えに来たのか?私を地獄に連れて行くために?」
二階堂を取り囲む亡霊達は一斉に首肯した。すると、二階堂の体の周りに多くの手が現れ、地面へと引き込んでいく。
二階堂はそんな状態でもありながら笑い続けた。
「ハッハッハッハッ、いいぞォォォ~!!!あの世でも私は殺し続けてやるッ!どんな奴でも私の魔法で嬲り殺してにしてやるんだッ!修羅道と言うんだったかな?あの世での殺しが楽しみだッ!ハッハッハッハッ、もう一度お前達を殺してやるぞォォォ~!!」
最後の雄叫びと共に二階堂は地面に中に完全に引き摺り込まれた。
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