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満月の夜の殺人鬼編
刈谷浩輔の原点
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浩輔と孝太郎が商店街の中を歩いていると、目の前から小川宏子の姿が見えた。彼女は父親と何やら楽しそうに話していた。ずっと日陰の人生を送っていた彼女だからこそ、心からの笑顔を見せている姿が浩輔には嬉しく感じるものがあった。と、ここで小川宏子が浩輔の存在に気が付いたらしい、孝太郎と一緒に歩く浩輔に向かって大きく手を振る。
浩輔はそれに気が付き、彼女の動作に対し、彼は優しげな微笑で返す。
商店街の真ん中で会うのも珍しいなと考えていると、宏子は浩輔の元にまでやって来て、可愛らしい歯を見せて笑う。
「こんにちは!浩輔くん!今日は何処かに行ってたの?」
「うん、焼肉屋にね。ちょっと歳の離れた友人とね……」
浩輔の言葉に気が付いたのだろう、赤銅色の肌の青年が浩子に向かって会釈した。宏子は孝太郎に向かって会釈を仕返す。それで、顎に人差し指を当てて首を傾げる。
「あ、この人って……」
「前の中学校が頭のおかしい人に襲撃された事件があったでしょ?その時に、犯人を制圧に来た刑事さんの一人だよ」
その言葉に宏子はようやく思い出したらしく、右手を開き、そこに左手を打つ。ポンと小刻みの良い音が響く。
「そっかー、あれから一ヶ月くらいだったかな……懐かしいな……あの後も色々あったもんね?トマホーク・コープとの戦いとか、東京都知事選挙とか」
宏子の言葉を聞き、浩輔は少しばかり前に会った友人との出会いを思い返す。
あの時の浩輔は敵を追い返したばかりで、満身創痍という状態であった。周りで戦っていた友人達は体力も精神も限界に達していたと言っても良いだろう。
浩輔はそんな中で、三年前に三人の兄のうち二人を投獄し、一人を牢屋に追いやった人間を強く睨む。浩輔の怒りに燃えた瞳を向けられても、赤銅色の肌を持つ美男子は身じろぐどころか、眉一つ動かさない。彼はその時、手に持っていた拳銃を仕舞い直す。それから、孝太郎は事情を聞きたいから警察署に同行するように指示を出す。
「ちょっと待ってよ!幾らなんでもおかしいよ!皆んな疲れているんだよ!明日でもいいじゃないか!」
「……。悪いが、明日になれば、忘れてしまっている事もあるかもしれないんでな、少しばかり事情聴取に協力してくれないか?」
目の前の刑事の無茶苦茶とも言える要求に浩輔は怒りを爆発させた。その時に彼の頭は既に憎しみという名の炎によって支配されていた。
彼は大きく口を開け、
「そんな無茶苦茶なやり方で、お兄ちゃん達を追い詰めたんだろ?そうして、追い詰められた兄ちゃんはあんたに追い詰められて殺されたッ!あんたのせいだッ!」
浩輔は震える人差し指を突き付け、目の前の刑事を弾劾する。だが、目の前の刑事は無表情のまま。彼はニコリともせずに冷静な声で言葉を返す。
「三年前に刈谷恭介を自殺に追い詰めたのは他ならぬオレの不覚だ。早く、あいつの腕に手錠をかけておけば、こんな事にはならなかっただろう。それについては陳謝しよう。だが、それと共に他二人の兄を刑務所に送り込み、その後も刈谷組の力を奪い続けた事に対しては、謝罪しない……」
その言葉に浩輔は視線を逸らす。彼自身、自分の兄が率いていた組が何をしていたのかは知っている。それについては彼自身が既に何人もの人間から、兄の悪行を追及され、それについて責め苦を負っていないのだから、彼もそれについて弁明する気はない。
浩輔は視線を俯かせたまま、白籠署に向かう車の中に乗り込む。
パトカーに揺られながら、彼は自分が通っていた荒れ果てた中学校を眺めていた。苦い思い出しかない場所だが、今は他のパトカーに乗っている四人のかけがえのない友人達と出会った場所でもあった。浩輔は落ちていく太陽に影を照らされながら、中学校を眺めていた。
「ぼくの見た事は今の所はこれで全てです」
浩輔は取り調べにあたった因縁の刑事に向かって仏頂面のまま喋り続けていた。刑事は纏め終えた調書を纏めながら、浩輔を真っ直ぐに見つめる。優しげな瞳。浩輔は心の中に温かいものを感じたような気がした。浩輔が何かを言いたげにしていると、孝太郎がその様子を察したらしく、先に口を開く。
「ありがとう。じゃあ、捜査が続くにつれ、またキミに聞く事があるかもしれないから、街を出ないで欲しいんだが……」
「分かっていますよ。明日もするんでしょう?全く、人を何だと……」
「キミの境遇には同情するが、キミの証言が、この街に侵入したと思われる異常者を捕らえるための重要な手掛かりになると思うからな、オレは街を人々を守るためなら、どんな事でもするよ。それが、刑事としての宿命だからな……」
孝太郎の一瞬の間に見えた決意の塊に浩輔は絆されたと言っても良いだろう。浩輔は両手の拳を握り締めながら、孝太郎に向かって自分の考えを話す。
「……。あなたはぼくと三人の兄達を同じような人間だと考えているかもしれませんが、ぼくは兄達とは違う考えを持っています」
その言葉に孝太郎が反応する。彼は今までに動かなかった筈の眉を動かし、取り調べ室の部屋に座っている浩輔を黙って見つめていた。浩輔の目は直接、三人の兄達と対峙した孝太郎だからこそ、違うと見抜けた。
孝太郎は浩輔と視線を合わせ、
「本当だな?お前は兄達三人とは違うと信じていいんだな?」
「ええ、かつての刈谷組や少し前の白籠市の暗黒街を牛耳っていた東海林会のような麻薬を流したり、政治家や企業と癒着して、関係の無い人々に迷惑をかけるヤクザとは違う組織を作ろうと考えています。ぼくは人情と義理に溢れた昔ながらのヤクザが出来ないかと考えています」
澄んだ瞳を向ける浩輔の姿に孝太郎は三年前の聖杯をめぐる戦いの後に、飛ばされた1950年代で会ったマフィアの相談役、ヴィト・プロテッツオーネの姿を重ねる。
彼はマフィアでありながら、懸命で優しく、義理と人情に溢れた人間であった。
彼は彼なりのやり方で住民達を保護していた。古き良き時代だからこそ出来たやり方であるかもしれないが、それでも今でもそのやり方は通用しそうな気もする。
孝太郎は『毒を持って毒を制す』と言う言葉を思い出す。
この街の他の暴力団の台頭を抑えるためには、浩輔のような人間が必要なのではないか。孝太郎は浩輔に大昔の時代に人々にとっての守護する騎士達であった人々の事を話す。浩輔は孝太郎の話に耳を傾け、話に興奮して目を輝かせていた。
そして、浩輔は座っていた席から立ち上がり、
「ぼくはやるよ!必ず、あの異常者を見つけ出し、そして、コーサ・ノストラを追い出して、必ずこの街に平穏を取り戻させてもらうよ!」
孝太郎はこの街のボスの座を狙って意気込む少年に向けて拳を突き出す。突き出された拳は浩輔の目の前に止められていた。
浩輔は様子を察し、孝太郎の拳に自分の拳をぶつける。二人はそれから、お互いに見つめ合って笑う。
浩輔はその時から、孝太郎と友人になったのだと思い出す。
浩輔は月日が経つのは早いと回顧した。少なくとも、もう自分はあの時のような気弱な子供ではないのだ。そう自分に言って、宏子に向かって笑いかけた。
浩輔はそれに気が付き、彼女の動作に対し、彼は優しげな微笑で返す。
商店街の真ん中で会うのも珍しいなと考えていると、宏子は浩輔の元にまでやって来て、可愛らしい歯を見せて笑う。
「こんにちは!浩輔くん!今日は何処かに行ってたの?」
「うん、焼肉屋にね。ちょっと歳の離れた友人とね……」
浩輔の言葉に気が付いたのだろう、赤銅色の肌の青年が浩子に向かって会釈した。宏子は孝太郎に向かって会釈を仕返す。それで、顎に人差し指を当てて首を傾げる。
「あ、この人って……」
「前の中学校が頭のおかしい人に襲撃された事件があったでしょ?その時に、犯人を制圧に来た刑事さんの一人だよ」
その言葉に宏子はようやく思い出したらしく、右手を開き、そこに左手を打つ。ポンと小刻みの良い音が響く。
「そっかー、あれから一ヶ月くらいだったかな……懐かしいな……あの後も色々あったもんね?トマホーク・コープとの戦いとか、東京都知事選挙とか」
宏子の言葉を聞き、浩輔は少しばかり前に会った友人との出会いを思い返す。
あの時の浩輔は敵を追い返したばかりで、満身創痍という状態であった。周りで戦っていた友人達は体力も精神も限界に達していたと言っても良いだろう。
浩輔はそんな中で、三年前に三人の兄のうち二人を投獄し、一人を牢屋に追いやった人間を強く睨む。浩輔の怒りに燃えた瞳を向けられても、赤銅色の肌を持つ美男子は身じろぐどころか、眉一つ動かさない。彼はその時、手に持っていた拳銃を仕舞い直す。それから、孝太郎は事情を聞きたいから警察署に同行するように指示を出す。
「ちょっと待ってよ!幾らなんでもおかしいよ!皆んな疲れているんだよ!明日でもいいじゃないか!」
「……。悪いが、明日になれば、忘れてしまっている事もあるかもしれないんでな、少しばかり事情聴取に協力してくれないか?」
目の前の刑事の無茶苦茶とも言える要求に浩輔は怒りを爆発させた。その時に彼の頭は既に憎しみという名の炎によって支配されていた。
彼は大きく口を開け、
「そんな無茶苦茶なやり方で、お兄ちゃん達を追い詰めたんだろ?そうして、追い詰められた兄ちゃんはあんたに追い詰められて殺されたッ!あんたのせいだッ!」
浩輔は震える人差し指を突き付け、目の前の刑事を弾劾する。だが、目の前の刑事は無表情のまま。彼はニコリともせずに冷静な声で言葉を返す。
「三年前に刈谷恭介を自殺に追い詰めたのは他ならぬオレの不覚だ。早く、あいつの腕に手錠をかけておけば、こんな事にはならなかっただろう。それについては陳謝しよう。だが、それと共に他二人の兄を刑務所に送り込み、その後も刈谷組の力を奪い続けた事に対しては、謝罪しない……」
その言葉に浩輔は視線を逸らす。彼自身、自分の兄が率いていた組が何をしていたのかは知っている。それについては彼自身が既に何人もの人間から、兄の悪行を追及され、それについて責め苦を負っていないのだから、彼もそれについて弁明する気はない。
浩輔は視線を俯かせたまま、白籠署に向かう車の中に乗り込む。
パトカーに揺られながら、彼は自分が通っていた荒れ果てた中学校を眺めていた。苦い思い出しかない場所だが、今は他のパトカーに乗っている四人のかけがえのない友人達と出会った場所でもあった。浩輔は落ちていく太陽に影を照らされながら、中学校を眺めていた。
「ぼくの見た事は今の所はこれで全てです」
浩輔は取り調べにあたった因縁の刑事に向かって仏頂面のまま喋り続けていた。刑事は纏め終えた調書を纏めながら、浩輔を真っ直ぐに見つめる。優しげな瞳。浩輔は心の中に温かいものを感じたような気がした。浩輔が何かを言いたげにしていると、孝太郎がその様子を察したらしく、先に口を開く。
「ありがとう。じゃあ、捜査が続くにつれ、またキミに聞く事があるかもしれないから、街を出ないで欲しいんだが……」
「分かっていますよ。明日もするんでしょう?全く、人を何だと……」
「キミの境遇には同情するが、キミの証言が、この街に侵入したと思われる異常者を捕らえるための重要な手掛かりになると思うからな、オレは街を人々を守るためなら、どんな事でもするよ。それが、刑事としての宿命だからな……」
孝太郎の一瞬の間に見えた決意の塊に浩輔は絆されたと言っても良いだろう。浩輔は両手の拳を握り締めながら、孝太郎に向かって自分の考えを話す。
「……。あなたはぼくと三人の兄達を同じような人間だと考えているかもしれませんが、ぼくは兄達とは違う考えを持っています」
その言葉に孝太郎が反応する。彼は今までに動かなかった筈の眉を動かし、取り調べ室の部屋に座っている浩輔を黙って見つめていた。浩輔の目は直接、三人の兄達と対峙した孝太郎だからこそ、違うと見抜けた。
孝太郎は浩輔と視線を合わせ、
「本当だな?お前は兄達三人とは違うと信じていいんだな?」
「ええ、かつての刈谷組や少し前の白籠市の暗黒街を牛耳っていた東海林会のような麻薬を流したり、政治家や企業と癒着して、関係の無い人々に迷惑をかけるヤクザとは違う組織を作ろうと考えています。ぼくは人情と義理に溢れた昔ながらのヤクザが出来ないかと考えています」
澄んだ瞳を向ける浩輔の姿に孝太郎は三年前の聖杯をめぐる戦いの後に、飛ばされた1950年代で会ったマフィアの相談役、ヴィト・プロテッツオーネの姿を重ねる。
彼はマフィアでありながら、懸命で優しく、義理と人情に溢れた人間であった。
彼は彼なりのやり方で住民達を保護していた。古き良き時代だからこそ出来たやり方であるかもしれないが、それでも今でもそのやり方は通用しそうな気もする。
孝太郎は『毒を持って毒を制す』と言う言葉を思い出す。
この街の他の暴力団の台頭を抑えるためには、浩輔のような人間が必要なのではないか。孝太郎は浩輔に大昔の時代に人々にとっての守護する騎士達であった人々の事を話す。浩輔は孝太郎の話に耳を傾け、話に興奮して目を輝かせていた。
そして、浩輔は座っていた席から立ち上がり、
「ぼくはやるよ!必ず、あの異常者を見つけ出し、そして、コーサ・ノストラを追い出して、必ずこの街に平穏を取り戻させてもらうよ!」
孝太郎はこの街のボスの座を狙って意気込む少年に向けて拳を突き出す。突き出された拳は浩輔の目の前に止められていた。
浩輔は様子を察し、孝太郎の拳に自分の拳をぶつける。二人はそれから、お互いに見つめ合って笑う。
浩輔はその時から、孝太郎と友人になったのだと思い出す。
浩輔は月日が経つのは早いと回顧した。少なくとも、もう自分はあの時のような気弱な子供ではないのだ。そう自分に言って、宏子に向かって笑いかけた。
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