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第二部『アナベル・パニック』
トーキョー・アタックーその④
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白犬美穂は斧を肩まで持ち上げて、それから相手に向かって真っ直線に振り下ろす。淳一は上段から放たれた斧の攻撃を日本刀を盾にして防ぐ。彼の顔には余裕の表情こそないが、焦っている様子もない。美穂は危機感を感じて、より一層斧を強く振るう。すると、淳一と美穂の前の空間が裂けた。淳一は冷や汗を垂らして、ひび割れたアスファルトを蹴って背後へと後退する。どうやら、目の前の女は相当に恐ろしい能力を持っているらしい。淳一が刀を持つ手に震えを感じていた時に背後の味方が追い討ちを加えた。
「気を付けろ!岡田武人のもう一人の人格の扱う魔法の特徴は武器で斬った空間に穴を開ける能力なんだッ!」
淳一はそんなのありかよと心の中でツッコミを入れて、目の前の男の体の中に潜む男と相手をする事にした。
淳一は目の前の男を注意深く相手を警戒しておく。美穂はもう一度先程、同様の攻撃を繰り返す。淳一は背後に足を動かして、美穂の斬撃と空間を削り取る攻撃を同時に防ぐ。
淳一が例の魔法付きの攻撃を繰り出そうとした瞬間に相手に向かって刀を防ぐ事によって最悪の事態を回避する。
そして、刃物同士による近接戦闘ではなく、自身の魔法を利用した遠距離戦闘に切り替える事を決意した。淳一は左手を手刀の形にして、空を切る。
その瞬間に見えない斬撃が美穂のひだりの頬を襲う。先程、岡田武人であった時の戦闘により、一度右の頬から血を流している事から、これで彼女(もしくは彼は)両方の頬から血を流した事になる。
白犬美穂は体を震えさせて両手の拳を握り締めて叫ぶ。
「よくもッ!よくもッ!わたしの武人の体に傷を付けたねッ?許さないよッ!許さないッ!」
美穂は闇雲に斧を振り回して、次々と亜空間を生み出していく。
淳一は後退りをして、彼女との距離を詰めていくだけ、それも遠距離から手刀で見えない刃を作り出し、彼女に向かってそれを放つだけ。これで体力を削っていこうと淳一は考えたが、そうは問屋が卸さなかったらしい。淳一は全身で大きな揺れを感じた。到底、我慢できずに膝を突くと、目の前に噂に聞いたような柄の悪そうな男が立っていた。
「テメェ、よくも美穂をいじめてくれやがったな、テメェはじっくりと可愛がってやるぜ」
岡田武人の人格が戻ったらしい。斧が手元と地面に転がっていない事から、彼は武器保存にしまったのだろう。武人は地震を発生させられる拳を淳一に見せた。
「これでお前の頭をかち割ったらどうなるんだろうな?え?」
武人は地震を発生させる拳を淳一に見せて、顔に薄ら笑いを浮かべていた。
あの笑いからするに、自分の頭に限定して地震を起こさせるらしい。その際に起こる衝撃がどんなものなのかは想像もしたくない。淳一は冷や汗をかいて地面を下がっていく。
「待てよ、オレの女を怖い目に遭わせて、五体満足で帰れると思うのか?」
淳一の顔に恐怖の色が浮かぶ。一歩一歩距離を詰めてくる武人の足音が今の淳一には破滅をもたらす悪魔の使いの足音に思えて仕方がない。淳一は横の警官たちを眺める。全員が全員岡田武人の攻撃を恐れているらしい。淳一は最後の最後まで抵抗してやろうと、距離を詰めてくる武人に向かって刀を構えた、まさにその時だ。銃の乾いた音が響く。岡田武人が腹を押さえてひび割れた黒色のコンクリートの上に倒れた。痛みを訴える声が聞こえてくる。
慌てて、淳一が警察官たちの中を見渡すと、そこには銃口から白い煙を立たせている年老いた警察官の姿を目撃した。危機を感じて発砲したのは孝太郎ではない。孝太郎はパトカーのドアに倒れかかっていた。銃を放った男の姿を改めて淳一は確認した。壮年の男であり、白籠署殺人課のベテラン刑事、小田切士郎であった。
士郎は銃を構えたまま呆然と立ち尽くしていた。やがて、全てを悟ったらしく、拳銃を無言で懐にしまいなおす。
士郎は震える手でタバコを持って、落ち着きを得るためにタバコを吸う。淳一は勇気ある行動を取った士郎に無言で頭を下げた。士郎は片手で静止してタバコの続きを吸い始めた。
淳一は不穏な空気に包まれている仲間たちに発破をかけた。この機会に商店を占領しているギャング共を制圧しようと。
パトカーにもたれかかっていた孝太郎も淳一の行動に同意したらしい。白籠市のアンタッチャブルのメンバーと集まった警察署の仲間たちに号令をかけて、大型商店に突っ込む。
先程の銃撃戦でショックを受けた様子の小田切士郎ですら混じって自分たちの立て篭もる大型の商店に迫り込む警察側とは異なり、自分たちのボス、岡田武人を撃たれてしまったと勘付いた、商店に籠る“脱獄囚”達はパニックを引き起こしていた。
金子などは勝ち目がないと考えたのだろう、店を捨てて裏口から逃げ出して行く。あまり強くない魔法を持つ魔法師たちも金子に続いて、裏口へと向かう。銃や魔法の腕に自信のある人間は正面から押し寄せる警察官たちの数に怯えながら、銃を構えた。
だが、彼らが引き金を引くよりも前に、ウィンドーガラスを割って警察たちの銃弾が彼らの脚を撃っていたために、殆どの人間がその場で脚から血を流して戦闘不能に陥ってしまう。唯一、この事態を店の商品棚に隠れて難を凌いだ山口裕作は得意の魔法狂人たちの演奏会を使用して、大型の実体化した音符を飛ばして、迫りくる警察官たちを跳ね除けていたが、その音符が孝太郎の右手によって『破壊』されてしまうと、裕作の魔法も意味がなくなってしまい、逮捕されるその瞬間に至るまで、裕作は音符を作り続けたが、無駄な抵抗だったらしく、孝太郎により手錠を嵌められてもう一度拘置所に向かう事になってしまう。
孝太郎や他の警察官たちが銃を構えて店の中を確認する。どうやら、この店の中に隠れている人間はもういないらしい。
孝太郎が安心して、道路に戻ると、そこには死亡した岡田武人の死体をワゴン車に詰め込む黒色のスーツを着た男たちの姿が目撃できた。
孝太郎は慌ててワゴン車の元に駆け寄ったが、男たちがワゴン車に引っ込んで、岡田武人の死体を回収する方が早かったらしく、彼らの車は走り去ってしまう。
孝太郎は細い目でワゴン車を見つめた。この事件はこの件だけでは終わらないと。この続きがあるのだと。
「気を付けろ!岡田武人のもう一人の人格の扱う魔法の特徴は武器で斬った空間に穴を開ける能力なんだッ!」
淳一はそんなのありかよと心の中でツッコミを入れて、目の前の男の体の中に潜む男と相手をする事にした。
淳一は目の前の男を注意深く相手を警戒しておく。美穂はもう一度先程、同様の攻撃を繰り返す。淳一は背後に足を動かして、美穂の斬撃と空間を削り取る攻撃を同時に防ぐ。
淳一が例の魔法付きの攻撃を繰り出そうとした瞬間に相手に向かって刀を防ぐ事によって最悪の事態を回避する。
そして、刃物同士による近接戦闘ではなく、自身の魔法を利用した遠距離戦闘に切り替える事を決意した。淳一は左手を手刀の形にして、空を切る。
その瞬間に見えない斬撃が美穂のひだりの頬を襲う。先程、岡田武人であった時の戦闘により、一度右の頬から血を流している事から、これで彼女(もしくは彼は)両方の頬から血を流した事になる。
白犬美穂は体を震えさせて両手の拳を握り締めて叫ぶ。
「よくもッ!よくもッ!わたしの武人の体に傷を付けたねッ?許さないよッ!許さないッ!」
美穂は闇雲に斧を振り回して、次々と亜空間を生み出していく。
淳一は後退りをして、彼女との距離を詰めていくだけ、それも遠距離から手刀で見えない刃を作り出し、彼女に向かってそれを放つだけ。これで体力を削っていこうと淳一は考えたが、そうは問屋が卸さなかったらしい。淳一は全身で大きな揺れを感じた。到底、我慢できずに膝を突くと、目の前に噂に聞いたような柄の悪そうな男が立っていた。
「テメェ、よくも美穂をいじめてくれやがったな、テメェはじっくりと可愛がってやるぜ」
岡田武人の人格が戻ったらしい。斧が手元と地面に転がっていない事から、彼は武器保存にしまったのだろう。武人は地震を発生させられる拳を淳一に見せた。
「これでお前の頭をかち割ったらどうなるんだろうな?え?」
武人は地震を発生させる拳を淳一に見せて、顔に薄ら笑いを浮かべていた。
あの笑いからするに、自分の頭に限定して地震を起こさせるらしい。その際に起こる衝撃がどんなものなのかは想像もしたくない。淳一は冷や汗をかいて地面を下がっていく。
「待てよ、オレの女を怖い目に遭わせて、五体満足で帰れると思うのか?」
淳一の顔に恐怖の色が浮かぶ。一歩一歩距離を詰めてくる武人の足音が今の淳一には破滅をもたらす悪魔の使いの足音に思えて仕方がない。淳一は横の警官たちを眺める。全員が全員岡田武人の攻撃を恐れているらしい。淳一は最後の最後まで抵抗してやろうと、距離を詰めてくる武人に向かって刀を構えた、まさにその時だ。銃の乾いた音が響く。岡田武人が腹を押さえてひび割れた黒色のコンクリートの上に倒れた。痛みを訴える声が聞こえてくる。
慌てて、淳一が警察官たちの中を見渡すと、そこには銃口から白い煙を立たせている年老いた警察官の姿を目撃した。危機を感じて発砲したのは孝太郎ではない。孝太郎はパトカーのドアに倒れかかっていた。銃を放った男の姿を改めて淳一は確認した。壮年の男であり、白籠署殺人課のベテラン刑事、小田切士郎であった。
士郎は銃を構えたまま呆然と立ち尽くしていた。やがて、全てを悟ったらしく、拳銃を無言で懐にしまいなおす。
士郎は震える手でタバコを持って、落ち着きを得るためにタバコを吸う。淳一は勇気ある行動を取った士郎に無言で頭を下げた。士郎は片手で静止してタバコの続きを吸い始めた。
淳一は不穏な空気に包まれている仲間たちに発破をかけた。この機会に商店を占領しているギャング共を制圧しようと。
パトカーにもたれかかっていた孝太郎も淳一の行動に同意したらしい。白籠市のアンタッチャブルのメンバーと集まった警察署の仲間たちに号令をかけて、大型商店に突っ込む。
先程の銃撃戦でショックを受けた様子の小田切士郎ですら混じって自分たちの立て篭もる大型の商店に迫り込む警察側とは異なり、自分たちのボス、岡田武人を撃たれてしまったと勘付いた、商店に籠る“脱獄囚”達はパニックを引き起こしていた。
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だが、彼らが引き金を引くよりも前に、ウィンドーガラスを割って警察たちの銃弾が彼らの脚を撃っていたために、殆どの人間がその場で脚から血を流して戦闘不能に陥ってしまう。唯一、この事態を店の商品棚に隠れて難を凌いだ山口裕作は得意の魔法狂人たちの演奏会を使用して、大型の実体化した音符を飛ばして、迫りくる警察官たちを跳ね除けていたが、その音符が孝太郎の右手によって『破壊』されてしまうと、裕作の魔法も意味がなくなってしまい、逮捕されるその瞬間に至るまで、裕作は音符を作り続けたが、無駄な抵抗だったらしく、孝太郎により手錠を嵌められてもう一度拘置所に向かう事になってしまう。
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孝太郎が安心して、道路に戻ると、そこには死亡した岡田武人の死体をワゴン車に詰め込む黒色のスーツを着た男たちの姿が目撃できた。
孝太郎は慌ててワゴン車の元に駆け寄ったが、男たちがワゴン車に引っ込んで、岡田武人の死体を回収する方が早かったらしく、彼らの車は走り去ってしまう。
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松井奈美子 一発合格! 毒物劇物取扱者試験テキスト&問題集
船山信次 史上最強カラー図解 毒の科学 毒と人間のかかわり
齋藤勝裕 毒の科学 身近にある毒から人間がつくりだした化学物質まで
鈴木勉 毒と薬 (大人のための図鑑)
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