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第二部『アナベル・パニック』
トーキョー・アタックーその③
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「クソッタレの警官どもめッ!よくもオレの仲間をパクリやがったなッ!」
岡田武人は散弾銃を肩に下げて、警察官たちの前に姿を現す。
孝太郎は岡田が現れた事に気を良くしたのだろう。口元の右端を吊り上げて、右足を警察官たちの前線基地と化している大型商店の存在する向かい側と大型商店の存在する通路との狭間に存在するコンクリートの通路に足を踏み出す。
「お前とはここで決着を付ける。それでいいだろう?」
孝太郎の言葉に武人は全身を震わせて叫ぶ。
「望むところだけッ!テメェのその面に弾丸を千発もぶち込んでやるよッ!」
武人は試合開始前のコングとばかりに左手で地震を引き起こす。孝太郎は空間に発生した大きな揺れを自身の右手で破壊する。破壊された地震はそのまま分解されるように消えてゆく。武人は次に両手で散弾銃を孝太郎に向けて構える。
大きな音が炸裂して孝太郎を襲う。だが、孝太郎は傷を負ったりはしていない。彼の魔法鋼鉄の将軍によって武人の散弾を防いだからだ。
孝太郎は目の前の通路を舞台に武人を再度捕まえるべく尽力していく。
武人は孝太郎の元に近付き、もう一度地震攻撃を繰り出す。それを破壊の魔法で打ち消す孝太郎。破壊されていく魔法にはいくら悪魔の鉄槌でも太刀打ちができないのかもしれない。
武人はここで第二の手段を使用した。前回の戦闘では使用できなかった手段。それは大地への地震攻撃。武人が地中に向かって魔法を放った瞬間に孝太郎の視界が揺れてぼやけていく。まるで、頭痛に襲われたかのような錯覚を孝太郎は感じた。だが、目の前で絶壁が開いた瞬間に孝太郎はこの攻撃が岡田武人による人災であると再認識して起き上がる。幸にして、絶壁はほんの僅かな隙間ができる程度で済んだらしい。コンクリートのひび割れは大きかったが真下が見えそうな程の大きなヒビができなくて良かったと孝太郎が安堵していると、武人が二度めの攻撃を繰り出すべく、もう一度拳を地面に向ける。
孝太郎は武人が二度目の拳を地面に向けるよりも前に、リボルバーを空中に向かって発砲し、彼の注意を僅かに逸らす事に成功した。孝太郎はすかさず二度目の攻撃を狙う。弾丸が武人の頬を掠めていく。武人の頬から一筋の血が流れていき、武人はあからさまな攻撃に思わず眉根を寄せて孝太郎に向かって散弾を撃ち返す。
孝太郎は鋼鉄の将軍を使用して、武人の散弾を防ぐ。武人の散弾は孝太郎の魔法の前に跳ね返ってしまい、弾丸の欠片のようなものが地面に落ちていく。
孝太郎は弾丸を浴びても動じる事なく、武人の元に向かって行く。正々堂々とした態度で向かって行くその姿は武人にとっては不動明王にでも映ったのだろう。彼はカタカタと歯を鳴らして孝太郎が歩いて来るのを眺めていた。
孝太郎が武人に向かってリボルバーを突き付ける。勝負があったなと。また、逮捕されるのかと武人が落胆していると、大型商店の方から音符のような攻撃が向かって来る。その音符に当たるのと同時に孝太郎は音符から生じると思われる衝撃によってパトカーの扉にぶつけてしまう。
武人はその様子を見て、機嫌が戻っていったらしい。ケタケタとショットガンを構えて大きく笑い始めた。
「こりゃあ、傑作だぜッ!テメェがここまで情けない場面を見えちまうとはな、オレはオレの仲間に助けられたぜッ!対して、お前の仲間はどうだよ?お前はオレを……いや、私を舐めた代償を払ってもらわないとねッ!」
どうやら、武人はもう一つの人格に支配されてしまっているらしい。武人の中に眠るもう一つの人格、白犬美穂だ。
かつては彼の恋人であり、その死後は彼の肉体に入ったのだと武人は思っているらしい。武人は武器保存から斧を取り出す。斧は朱色を基調とした柄である事から、店の非常用の斧である事を孝太郎は容易に推測した。
「この前はよくもやってくれたな、この最高殺人者の知り合いめ、お前の頭をかち割ってやるッ!わたしの大好きな武人を監獄送りになんてさせるもんかッ!」
美穂の斧が振り下ろされようとしている、孝太郎は体を左に寄せる事によって、難を逃れたが美穂には遠慮というものがないらしい。もう一撃を孝太郎に喰らわせようとした際に、刃と刃がかち合う音が聞こえた。
孝太郎が目の前を見上げると、そこに立っていたのは柿谷淳一。淳一は孝太郎にウィンクしてから、遅れた事に詫びを入れた。
「すまねぇな、署内でつい先日にこの街の郊外で発生したと思われる謎の殺傷事件の件を纏めていたもんだからな、ここに来るのが遅れちまった」
「そんな事はない。お前が来てくれた事にオレは感謝してるよ」
温かい笑みを見せた、孝太郎に淳一も小さな微笑を浮かべてから、目の前の女を睨み付ける。
「悪いな、斧使いさんよぉ~お前なんぞに負けるわけにはいかねーんだ。こいつはオレの弟の大事な友達の友達だからな、お前なんぞに殺させるわけにはいかねぇんだよッ!」
淳一はそう言って持っていた日本刀を上段に強く持ち上げ、相手の斧と相手の体を吹き飛ばす。
「さてと、あんたにオレの相手が務めるかな?言っておくが、署の剣道場じゃ、オレが他の爺さん方を抑えて一位なんだぜッ!」
だが、目の前の多重人格者は相手の話など聞いていないらしい。唸り声を上げて淳一に向かって中段に斧を振り下ろす。淳一もそれに合わせて中段に日本刀を重ね合わせる。斧と刀の刃で火花が散らし合わされる。
斬撃、薙ぎ払い、あらゆる手段で白犬美穂は岡田武人の敵を打ち払おうと試みたが、どうもその対象は予想通りにはいかないらしい。どれも寸前の所で彼に笑われて受け止められてしまう。
ここで攻撃手が変更される。淳一は上段から刀を振り下ろし、それが防がれたと思ったら、中段からの脇腹への横払い。
どれもギリギリのところで防いでいく。斧の刃と相手を斬り払うために拵えられた刀とは範囲が異なるらしい、白犬美穂は改めて斧の不便さを思い知らされた。
岡田武人は散弾銃を肩に下げて、警察官たちの前に姿を現す。
孝太郎は岡田が現れた事に気を良くしたのだろう。口元の右端を吊り上げて、右足を警察官たちの前線基地と化している大型商店の存在する向かい側と大型商店の存在する通路との狭間に存在するコンクリートの通路に足を踏み出す。
「お前とはここで決着を付ける。それでいいだろう?」
孝太郎の言葉に武人は全身を震わせて叫ぶ。
「望むところだけッ!テメェのその面に弾丸を千発もぶち込んでやるよッ!」
武人は試合開始前のコングとばかりに左手で地震を引き起こす。孝太郎は空間に発生した大きな揺れを自身の右手で破壊する。破壊された地震はそのまま分解されるように消えてゆく。武人は次に両手で散弾銃を孝太郎に向けて構える。
大きな音が炸裂して孝太郎を襲う。だが、孝太郎は傷を負ったりはしていない。彼の魔法鋼鉄の将軍によって武人の散弾を防いだからだ。
孝太郎は目の前の通路を舞台に武人を再度捕まえるべく尽力していく。
武人は孝太郎の元に近付き、もう一度地震攻撃を繰り出す。それを破壊の魔法で打ち消す孝太郎。破壊されていく魔法にはいくら悪魔の鉄槌でも太刀打ちができないのかもしれない。
武人はここで第二の手段を使用した。前回の戦闘では使用できなかった手段。それは大地への地震攻撃。武人が地中に向かって魔法を放った瞬間に孝太郎の視界が揺れてぼやけていく。まるで、頭痛に襲われたかのような錯覚を孝太郎は感じた。だが、目の前で絶壁が開いた瞬間に孝太郎はこの攻撃が岡田武人による人災であると再認識して起き上がる。幸にして、絶壁はほんの僅かな隙間ができる程度で済んだらしい。コンクリートのひび割れは大きかったが真下が見えそうな程の大きなヒビができなくて良かったと孝太郎が安堵していると、武人が二度めの攻撃を繰り出すべく、もう一度拳を地面に向ける。
孝太郎は武人が二度目の拳を地面に向けるよりも前に、リボルバーを空中に向かって発砲し、彼の注意を僅かに逸らす事に成功した。孝太郎はすかさず二度目の攻撃を狙う。弾丸が武人の頬を掠めていく。武人の頬から一筋の血が流れていき、武人はあからさまな攻撃に思わず眉根を寄せて孝太郎に向かって散弾を撃ち返す。
孝太郎は鋼鉄の将軍を使用して、武人の散弾を防ぐ。武人の散弾は孝太郎の魔法の前に跳ね返ってしまい、弾丸の欠片のようなものが地面に落ちていく。
孝太郎は弾丸を浴びても動じる事なく、武人の元に向かって行く。正々堂々とした態度で向かって行くその姿は武人にとっては不動明王にでも映ったのだろう。彼はカタカタと歯を鳴らして孝太郎が歩いて来るのを眺めていた。
孝太郎が武人に向かってリボルバーを突き付ける。勝負があったなと。また、逮捕されるのかと武人が落胆していると、大型商店の方から音符のような攻撃が向かって来る。その音符に当たるのと同時に孝太郎は音符から生じると思われる衝撃によってパトカーの扉にぶつけてしまう。
武人はその様子を見て、機嫌が戻っていったらしい。ケタケタとショットガンを構えて大きく笑い始めた。
「こりゃあ、傑作だぜッ!テメェがここまで情けない場面を見えちまうとはな、オレはオレの仲間に助けられたぜッ!対して、お前の仲間はどうだよ?お前はオレを……いや、私を舐めた代償を払ってもらわないとねッ!」
どうやら、武人はもう一つの人格に支配されてしまっているらしい。武人の中に眠るもう一つの人格、白犬美穂だ。
かつては彼の恋人であり、その死後は彼の肉体に入ったのだと武人は思っているらしい。武人は武器保存から斧を取り出す。斧は朱色を基調とした柄である事から、店の非常用の斧である事を孝太郎は容易に推測した。
「この前はよくもやってくれたな、この最高殺人者の知り合いめ、お前の頭をかち割ってやるッ!わたしの大好きな武人を監獄送りになんてさせるもんかッ!」
美穂の斧が振り下ろされようとしている、孝太郎は体を左に寄せる事によって、難を逃れたが美穂には遠慮というものがないらしい。もう一撃を孝太郎に喰らわせようとした際に、刃と刃がかち合う音が聞こえた。
孝太郎が目の前を見上げると、そこに立っていたのは柿谷淳一。淳一は孝太郎にウィンクしてから、遅れた事に詫びを入れた。
「すまねぇな、署内でつい先日にこの街の郊外で発生したと思われる謎の殺傷事件の件を纏めていたもんだからな、ここに来るのが遅れちまった」
「そんな事はない。お前が来てくれた事にオレは感謝してるよ」
温かい笑みを見せた、孝太郎に淳一も小さな微笑を浮かべてから、目の前の女を睨み付ける。
「悪いな、斧使いさんよぉ~お前なんぞに負けるわけにはいかねーんだ。こいつはオレの弟の大事な友達の友達だからな、お前なんぞに殺させるわけにはいかねぇんだよッ!」
淳一はそう言って持っていた日本刀を上段に強く持ち上げ、相手の斧と相手の体を吹き飛ばす。
「さてと、あんたにオレの相手が務めるかな?言っておくが、署の剣道場じゃ、オレが他の爺さん方を抑えて一位なんだぜッ!」
だが、目の前の多重人格者は相手の話など聞いていないらしい。唸り声を上げて淳一に向かって中段に斧を振り下ろす。淳一もそれに合わせて中段に日本刀を重ね合わせる。斧と刀の刃で火花が散らし合わされる。
斬撃、薙ぎ払い、あらゆる手段で白犬美穂は岡田武人の敵を打ち払おうと試みたが、どうもその対象は予想通りにはいかないらしい。どれも寸前の所で彼に笑われて受け止められてしまう。
ここで攻撃手が変更される。淳一は上段から刀を振り下ろし、それが防がれたと思ったら、中段からの脇腹への横払い。
どれもギリギリのところで防いでいく。斧の刃と相手を斬り払うために拵えられた刀とは範囲が異なるらしい、白犬美穂は改めて斧の不便さを思い知らされた。
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