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トマホーク・ターヴェラント編
双子座の惨劇ーその⑧
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石井聡子は地面のアスファルトを自分に当たる筈だったナイフが貫いている様子を見て、思わず生唾を飲み込む。
あんな物が当てられたとしたら、自分は今頃、あのナイフで顔から喉まで貫かれているに違いない。
聡子は車から降りて、回り込んで来たアンナ・スチュアートに向かってスコーピオンを撃ち込む。
だが、アンナはその弾を手から召喚したと思われる鋼鉄で精製されたと思われる傘で弾き飛ばしていく。
その様子を横で見ていた折原絵里子と倉本明美は思わずに冷や汗をかいている事に気が付く。
絵里子はかきたくもない汗をかいて追い詰められる漫画の主人公の気持ちが分かったような気がした。
今、自分たちが相手にしている女こそが、漫画の主人公たちが冷や汗を垂らす相手なのだ。
絵里子は聡子のスコーピオンを夢中で弾き飛ばすアンナに向けて、こっそりと武器保存から取り出した、黒塗りのオート拳銃を取り出し、銃口をアンナの左足に向けた。
絵里子が引き金を引こうとした瞬間だ。彼女は聡子のスコーピオン対策のために、用意していた傘をこちらに向けて絵里子の弾を弾き返す。小さな薬莢が大きな鋼鉄の傘に飛ばされる様子を聡子も見てしまったのだろう。攻撃を辞めてこちらの方を向いていた。
「一つ申し遅れましたが、私は殺意の類には非常に敏感になっておりまして……少々の殺意でも直ぐに殺意が向いた方向に向いてしまうのでござります。今度は人に向かって銃を向ける時には、あまり殺意を剥き出しにしない事をオススメ致します」
アンナは傘を手の中に引っ込めて、今度は聡子の使っているような軽機関銃を出して、両手に持ち直して、絵里子の方角に銃口を向けた。
「良い勉強になりましたね?来世ではお気をつけなさいませ」
アンナは聡子の悲鳴も聞かずに、絵里子と明美に向かって銃を撃つが、何故か弾は弾き返されてしまう。
アンナは一瞬だけ眉をひそめたが、すぐにその顔は勝ち誇った笑顔に変わる。
まるで、マジシャンの手品の種を瞬時に見破った勘の良い子供のようだ。
アンナは鼻を鳴らしてから、形の良い唇を開き、
「成る程、見えない壁で魔法や物理現象を防ぐ魔法でしたか……あなた弱そうな外見の割には中々やりますね?」
「うるせぇ!明美の事を知らないのに、余計な口を出すんじゃあねえ!」
聡子の言葉にアンナはもう片方の手から5連発のリボルバーを取り出し、銃口を聡子に向けた。
「うるさいですね。ですが、あなたの仰られる事は至極正論でございます。誠に恐縮ではありますが、少しお黙りになってていただけないでしょうか?」
言葉こそ丁寧であったが、彼女の左手に握られているリボルバーの銃口が自分に向けられている事から、聡子はこの言葉は命令している事だと瞬時に決断を下す。そして、大人しく黙っておく事にした。
アンナはお邪魔虫が消えたとばかりに、今度は軽機関銃の銃口を彼女に向けて、
「良いですか?わたくしの質問に丁寧にお答えになってください?どうして、そんな弱い外見のあなたがそんな魔法を使えるのですか?」
明美は答えない。代わりに絵里子が口を開く。
「そうね、彼女の体がその魔法を使えると機械が判断したから、使えるようになったんでしょ?あなたなら、それくらいの事を知っているわよね?コンピューターによって魔法を発見される日常を事を、世界の常識よ?知らないの?」
馬鹿にする絵里子の態度にくる物があったのだろう。彼女は両眉を強く寄せて、歯をキリキリと鳴らしながら、絵里子を眺めていた。
が、すぐに不機嫌そうな顔を引っ込めて、いつもの貼り付けたような冷徹な顔に戻り、無表情で軽機関銃の銃口を向け、そして引き金を引く。
だが、明美の魔法によって軽機関銃の弾は弾かれていく。
いたちごっこだ。キリがない。そんな状態を打開したかったのだろう。アンナは軽機関銃とリボルバーを捨てて、今度は腕に包丁を構えて突っ込んでいく。
明美が恐怖に駆られた時に、聡子は銃が捨てられたのと同時に、日本刀を異空間の武器庫から取り出して向かって行く。
背後の聡子の殺気に気が付いたのだろう。アンナは明美と絵里子の二人に使おうとしていた包丁を聡子の刀を防ぐのに使う。二本の包丁と日本刀がぶつかり合う。
聡子もアンナも互いに歯を食いしばりながら、互いの攻撃を受け止めていた。
ここは一度距離を取った方が良いと判断したのだろう。聡子もアンナも大きく足を蹴って、後退した。
そして、再び一台の車の裏でぶつかり合う。アンナがまず最初に右手の包丁を振り下ろし、聡子が自身の刀の刃で受け止めた。アンナは一旦右手の包丁を引っ込めると、次は左手の包丁を聡子の刀に目掛けて浴びせる。
それを刀の刃で防ぐ聡子。アンナはその状態を確認すると、今度は左手の包丁を離さずに、右手の包丁を再び聡子に向けた。それを日本刀で防ぐ聡子。
日本刀と二本の包丁が火花を散らす中で、聡子はアンナに向かって挑発の旨を告げた。
アンナもそれに負けじと皮肉を言い返す。聡子の刀を握る手が強くなっていく。アンナの皮肉が利いたらしい。
アンナは心の中で笑っていると、徐々に自身の包丁を持つ手に力が入り過ぎている事に気が付く。
もしかしたら、アンナは聡子の顔を見るために身を乗り出す。
すると、彼女は笑っていた。つまり、彼女は演技をしていただけに過ぎないのだ。怒った演技。刀に力を込める演技。
早く相手を倒すために油断を誘うための剣術。
アンナは慌てて包丁を引っ込めようとするが、アンナの刀が当たっていた聡子の刀の刃が引っ込められ、アンナは包丁を持ったままバランスを崩して、地面に倒れ込んでしまう。
倒れ込むアンナの顔に聡子は日本刀の刀を突き立てて言った。
「あんたはこの先どうする?あんたさえよけりゃあ、あたしはあんたの首を跳ね飛ばしてもいいんだぜ、最も……あんたに生きたまま司法の手に渡したいんだけれどね。こればっかりはあんたが決める道だ。好きに選びな、あたしに平将門みたく首を空中まで飛ばされるか、生きたまま司法の手に委ねられるか」
アンナは答えない。
「早く決めろよ、あたいの妖刀が早く80人目の血を啜りたくてうずうずしてっからよ。刀が暴走すりゃあ、あたしにも止められないしな」
「それで……脅したつもりですか?甘いですねッ!高級品のメロンよりも、甘い態度にわたし、思わず笑ってしまいそうですわッ!」
アンナの剣幕と言葉に聡子はたじろいでしまう。そして、出来た隙を狙い、アンナは左手から火を見せて聡子を飛び上がらせる。
アンナは左手から炎を見せながら、聡子に近付いて行く。
あんな物が当てられたとしたら、自分は今頃、あのナイフで顔から喉まで貫かれているに違いない。
聡子は車から降りて、回り込んで来たアンナ・スチュアートに向かってスコーピオンを撃ち込む。
だが、アンナはその弾を手から召喚したと思われる鋼鉄で精製されたと思われる傘で弾き飛ばしていく。
その様子を横で見ていた折原絵里子と倉本明美は思わずに冷や汗をかいている事に気が付く。
絵里子はかきたくもない汗をかいて追い詰められる漫画の主人公の気持ちが分かったような気がした。
今、自分たちが相手にしている女こそが、漫画の主人公たちが冷や汗を垂らす相手なのだ。
絵里子は聡子のスコーピオンを夢中で弾き飛ばすアンナに向けて、こっそりと武器保存から取り出した、黒塗りのオート拳銃を取り出し、銃口をアンナの左足に向けた。
絵里子が引き金を引こうとした瞬間だ。彼女は聡子のスコーピオン対策のために、用意していた傘をこちらに向けて絵里子の弾を弾き返す。小さな薬莢が大きな鋼鉄の傘に飛ばされる様子を聡子も見てしまったのだろう。攻撃を辞めてこちらの方を向いていた。
「一つ申し遅れましたが、私は殺意の類には非常に敏感になっておりまして……少々の殺意でも直ぐに殺意が向いた方向に向いてしまうのでござります。今度は人に向かって銃を向ける時には、あまり殺意を剥き出しにしない事をオススメ致します」
アンナは傘を手の中に引っ込めて、今度は聡子の使っているような軽機関銃を出して、両手に持ち直して、絵里子の方角に銃口を向けた。
「良い勉強になりましたね?来世ではお気をつけなさいませ」
アンナは聡子の悲鳴も聞かずに、絵里子と明美に向かって銃を撃つが、何故か弾は弾き返されてしまう。
アンナは一瞬だけ眉をひそめたが、すぐにその顔は勝ち誇った笑顔に変わる。
まるで、マジシャンの手品の種を瞬時に見破った勘の良い子供のようだ。
アンナは鼻を鳴らしてから、形の良い唇を開き、
「成る程、見えない壁で魔法や物理現象を防ぐ魔法でしたか……あなた弱そうな外見の割には中々やりますね?」
「うるせぇ!明美の事を知らないのに、余計な口を出すんじゃあねえ!」
聡子の言葉にアンナはもう片方の手から5連発のリボルバーを取り出し、銃口を聡子に向けた。
「うるさいですね。ですが、あなたの仰られる事は至極正論でございます。誠に恐縮ではありますが、少しお黙りになってていただけないでしょうか?」
言葉こそ丁寧であったが、彼女の左手に握られているリボルバーの銃口が自分に向けられている事から、聡子はこの言葉は命令している事だと瞬時に決断を下す。そして、大人しく黙っておく事にした。
アンナはお邪魔虫が消えたとばかりに、今度は軽機関銃の銃口を彼女に向けて、
「良いですか?わたくしの質問に丁寧にお答えになってください?どうして、そんな弱い外見のあなたがそんな魔法を使えるのですか?」
明美は答えない。代わりに絵里子が口を開く。
「そうね、彼女の体がその魔法を使えると機械が判断したから、使えるようになったんでしょ?あなたなら、それくらいの事を知っているわよね?コンピューターによって魔法を発見される日常を事を、世界の常識よ?知らないの?」
馬鹿にする絵里子の態度にくる物があったのだろう。彼女は両眉を強く寄せて、歯をキリキリと鳴らしながら、絵里子を眺めていた。
が、すぐに不機嫌そうな顔を引っ込めて、いつもの貼り付けたような冷徹な顔に戻り、無表情で軽機関銃の銃口を向け、そして引き金を引く。
だが、明美の魔法によって軽機関銃の弾は弾かれていく。
いたちごっこだ。キリがない。そんな状態を打開したかったのだろう。アンナは軽機関銃とリボルバーを捨てて、今度は腕に包丁を構えて突っ込んでいく。
明美が恐怖に駆られた時に、聡子は銃が捨てられたのと同時に、日本刀を異空間の武器庫から取り出して向かって行く。
背後の聡子の殺気に気が付いたのだろう。アンナは明美と絵里子の二人に使おうとしていた包丁を聡子の刀を防ぐのに使う。二本の包丁と日本刀がぶつかり合う。
聡子もアンナも互いに歯を食いしばりながら、互いの攻撃を受け止めていた。
ここは一度距離を取った方が良いと判断したのだろう。聡子もアンナも大きく足を蹴って、後退した。
そして、再び一台の車の裏でぶつかり合う。アンナがまず最初に右手の包丁を振り下ろし、聡子が自身の刀の刃で受け止めた。アンナは一旦右手の包丁を引っ込めると、次は左手の包丁を聡子の刀に目掛けて浴びせる。
それを刀の刃で防ぐ聡子。アンナはその状態を確認すると、今度は左手の包丁を離さずに、右手の包丁を再び聡子に向けた。それを日本刀で防ぐ聡子。
日本刀と二本の包丁が火花を散らす中で、聡子はアンナに向かって挑発の旨を告げた。
アンナもそれに負けじと皮肉を言い返す。聡子の刀を握る手が強くなっていく。アンナの皮肉が利いたらしい。
アンナは心の中で笑っていると、徐々に自身の包丁を持つ手に力が入り過ぎている事に気が付く。
もしかしたら、アンナは聡子の顔を見るために身を乗り出す。
すると、彼女は笑っていた。つまり、彼女は演技をしていただけに過ぎないのだ。怒った演技。刀に力を込める演技。
早く相手を倒すために油断を誘うための剣術。
アンナは慌てて包丁を引っ込めようとするが、アンナの刀が当たっていた聡子の刀の刃が引っ込められ、アンナは包丁を持ったままバランスを崩して、地面に倒れ込んでしまう。
倒れ込むアンナの顔に聡子は日本刀の刀を突き立てて言った。
「あんたはこの先どうする?あんたさえよけりゃあ、あたしはあんたの首を跳ね飛ばしてもいいんだぜ、最も……あんたに生きたまま司法の手に渡したいんだけれどね。こればっかりはあんたが決める道だ。好きに選びな、あたしに平将門みたく首を空中まで飛ばされるか、生きたまま司法の手に委ねられるか」
アンナは答えない。
「早く決めろよ、あたいの妖刀が早く80人目の血を啜りたくてうずうずしてっからよ。刀が暴走すりゃあ、あたしにも止められないしな」
「それで……脅したつもりですか?甘いですねッ!高級品のメロンよりも、甘い態度にわたし、思わず笑ってしまいそうですわッ!」
アンナの剣幕と言葉に聡子はたじろいでしまう。そして、出来た隙を狙い、アンナは左手から火を見せて聡子を飛び上がらせる。
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