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第三章『私がこの国に巣食う病原菌を排除してご覧にいれますわ!』
愛の書き置きは思っていたよりも重いらしくて
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カーラがギルドマスターとクレイトンの双方を唖然とさせるような提案を行なってからしばらくの沈黙が続いた。無限ともいえる沈黙の時間が続いた後に耐え切れなくなり、声を出したのはクイントンであった。
「お嬢様、教えてください。私は何をすればよろしいのでしょうか?」
クイントンの目は真剣そのものであった。彼の目に迷いはない。
驚いたのはギルドマスターの方であった。クイントンがカーラの提案に乗るとは思えなかったのだ。
恐怖して怯え、辞退する時こそカーラに。カーラが無理ならばヒューゴに処理を頼もうかと考えていたので、二人がクイントンを殺さないで済むということを考えてホッと胸を撫で下ろしたのだった。
ギルドマスターはこの場が丸く収まったことで和解し、カーラと仲良さげに会話を交わすクイントンを黙って見つめていた。
先程まで極度の恐怖と緊張のために震えていた手は今やすっかり元の通りとなり、今では酒場の中で一番雄弁な語り手になっていた。酒を啜り、つまみを片手に花を咲かせる姿を見て、他の客たちからもカーラを呼ぶようにと指示を出された。あまりにもしつこいので、ギルドマスターはヒューゴを呼んで、
「しつこくてたまったもんじゃない。あいつらにカーラはお抱えの酒場女じゃないと言ってやれ」
と、至極真っ当な指示を出した。
ヒューゴはギルドマスターから伝えられた指示を聞いて、一字一句をそのまま伝えたのであった。
ヒューゴの言葉を聞いて客たちがまたしても騒ぎ出したので、ギルドマスターは客を黙らせるために干した羊肉を使った特製のつまみを差し出さなくてはならない羽目になった。
心底から疲れ切った様子のギルドマスターは仲良さげに酒を酌み交わすカーラとクイントンという青年の姿を見ながら溜息を吐いたのだった。
カーラとクイントンは共に他愛のない雑談を繰り返していき、やがて雑談も尽きてきた頃にカーラが瞳を光らせながら真剣な口調で問い掛けた。
「重ねて、念を押しますけれども本当にお力をお貸しくださるのですよね?」
「もちろんです。ロバート様を裏切ることにはなりますが、それでもオレにとってはロバート様以上にあなたの方が大事なんです」
「クイントンさん、あなたがこれから裏切るのはハンセン家だけじゃなくてよ。人の道、踏み外してはいけない道徳……そういったものをこれから全て裏切ることになりましてよ」
「……それも駆除人の因果ってやつですよね」
「えぇ、だから先程の提案を呑んでくれるとは思わなかったんですの。駆除人の罪というものは大変に重いものですので」
カーラは目を伏せながら先程、自身が語った事を思い返していく。カーラは確かにクイントンを仲間に引き入れるということを提案したのだ。仲間に引き入れ、駆除の片棒を担がせることで警備隊や自警団に自首をさせることを防ぐという
駆除人の掟に逆らっての特例を提案したのであった。
もちろん、その提案に逆らってクレイトンが自首などを行えばカーラの提案は泡のように消え、カーラのみならず提案を了承したギルドマスターもその咎を免れることはできまい。同じ駆除人仲間から駆除されてしまうだろう。仮に駆除人仲間からの手を逃れたとしても警備隊や自警団に捕まり、死刑を免れることはできない。
とどのところ、クレイトンが裏切って仕舞えばどちらに転んだとしても二人は浮かばれないということになるのだ。
クレイトンに計画の件をカーラの訴える目が真剣なものになるのも理解できる。
カーラの心配を他所にクレイトンが笑っているから心配にもなるのだろう。
だが、カーラの心配は杞憂といってもよい。というのも、クレイトンは裏切るつもりなど毛頭なかった。元からカーラには強く惹かれているのだ。カーラの正体が害虫駆除人であったとしてもそれをロバートに口外するつもりなどない。
それどころか、クレイトンは幸福の絶頂にあったといってもいい。自分の愛する人と秘密を共有できた上に仕事に手を貸すことができるのだ。これ以上の幸せは感じられない。
クレイトンは別れる直前にラブレターを差し出すかのような感覚で自身の記憶を頼りにしたハンセン公爵家屋敷の見取り図と公爵家が一同に集う日とを教え、そのまま酒場を後にしたのだった。
クレイトンが去った後、カーラはギルドマスターに屋敷の見取り図を渡し、酒場を後にしたのだった。
カーラは自宅へと向かう途中で今日のことを思い返していく。今日ギルドマスターには急ぎの駆除とハンセン公爵家がこちらの首を狩ろうとしていることを告げられたのだった。急ぎの駆除を終わらせた後でこちらの首を狩る前にハンセン公爵家の首を狩ってやろうということで駆除の相談を行おうと考えていたのだが、その前にクレイトンに駆除の現場を見らてしまったのだ。
これに関しては予想外の出来事だった。
それでも因果は良い方向へと転がっていく。クレイトンを助命する代わりに仲間に引き入れることで屋敷の見取り図と駆除に必要な情報とを引き出すことに成功し、より円滑な駆除が約束されたのだった。
一刻も早くレキシーにこの件を報告しなくてはなるまい。カーラは浮き上がる喜びを抑え切れずに軽いステップを踏みながら夜の街を駆けていく。
自宅で夕食を用意しながらカーラを待ち侘びていたレキシーは上機嫌で帰ってきたカーラを見て驚いたようだ。両目を丸くしてカーラを見つめている。
「あんた、珍しいことがあったもんだねぇ。駆除の帰りにそんな機嫌良さげに帰ってくるんだもの」
「あら、私が機嫌が良いのはある事情がありますの」
「事情だって?」
レキシーが両眉を上げながら問いかける。
「聞いてくださいな。レキシーさん、新しいお仲間が加わるんですの」
「本当かい?助かったよ。最近相次ぐ抗争で街の駆除人が減っていたからねぇ。で、あんたのいう新人はどんな得物を使うんだい?」
「恐らく凶器は握ったこともない方でしょうね」
「凶器を握ったこともない?それは本当かい?」
「えぇ、だってそのお方はズブの素人ですもの」
その言葉を聞いてレキシーはカーラがふざけているのかと勘違いしたが、顔こそ笑っているものの、その視線はひたむきであったので嘘ではないと判断した。
それから何も言わずにカーラに夕食を勧めた。カーラは出来立ての豆のスープを啜り、サラダを口に付け、白色の丸パンを齧っていく。
満足がいくまで食べ終えた後にレキシーはデザートとして帰りに果物屋で買ってきたという林檎を差し出した。新鮮で水々しさを帯びておりスベスベとした綺麗な林檎であった。
カーラが喜んだ顔で林檎に口をつけようとレキシーがその前に林檎を取り上げたのだった。
「な、何をなさいますの!?とても美味しそうな林檎だというのにッ!お預けなんてあんまりですわッ!」
「ねぇ、カーラ。この林檎食べたいかい?」
レキシーは怪しげに笑った。あまりにも邪悪な笑顔であったので、カーラは御伽噺に登場する魔女を連想させられた。
林檎を食べることができずに体を震わせているカーラにレキシーは先程と同様の邪悪な笑みを浮かべながら、
「じゃあ、今夜何があったのか話してごらんよ」
「……仕方がありませんわ」
カーラは観念して何があったのかを語っていく。林檎を切りながら話を聞いたレキシーは始めは驚き、次に怒り、最後に呆れたのだった。
レキシーは頭痛が痛いという表情で額を抑えながら、
「全く、馬鹿なことをしたもんだねぇ」
と、吐き捨てたのだった。
「面目しだいもありませんわ。ただ、クレイトンさんはハンセン公爵家の内情にも通じられたお方……仲間にするにはとっておきのお方かと」
「けど、駆除の現場を見られた人間には冥界の門をくぐってもらうってのが駆除人の領分だろ?それはあんたが前にあたしに言ったことじゃあないか」
カーラの頭に思い浮かぶのは少し前、ジョー・ゴットフリートの駆除を行った際にその現場を目撃したナタリーという女性の件だった。
その時にカーラはレキシーに対して先程のレキシーの台詞とほとんど同じ台詞をレキシーに対して口にしていたのだった。
カーラが答えられずにいると、レキシーは黙って均等に切った林檎を口にし、頬杖をつきながらカーラを見つめていた。
どこか冷たい視線であったので、カーラが耐え切れずに苦笑していた時だ。
「まぁ、あの時もあんたはナタリーを手に掛けなかったしね。わかったよ、今回の件は大目に見てあげるよ」
カーラは喜びを表現するためにレキシーに抱き付いたのだが、レキシーは困ったような笑いを浮かべるばかりであった。
この選択が正しかったのかどうかは神のみぞ知るはずだ。レキシーはそんなことを考えながらその日は床に就いた。
翌日レキシーがカーラを伴って診療所へ向かうと、診察時間の前だというのに扉の前が騒がしかった。
レキシーは人をかき分け、集まった患者の一人に何があったのかを問い掛けた。
すると、患者の一人はひどく慌てた様子で、
「大変ですよ、レキシー先生!診療所に大貴族が現れたんですよ!」
「診療所に大貴族だって?」
レキシーが訝しげな視線で入り口を見つめると、そこには立派な馬車と身綺麗な服を整えた侍女を連れ添ったエミリー・ハンセン公爵令嬢が見えた。
どうして、こんなところにエミリーがいるのだろう。レキシーが首を傾げていた時だ。エミリーがレキシーの元へと駆け寄り、勢いよく抱き付いたのだった。
「レキシー先生!お久しぶりですわ!」
「エミリー様、あんたどうしてこんなところに?」
「決まっていますわ。最愛の従姉妹に会いにきたんですの」
目的はカーラであったらしい。人混みをかき分けて、カーラは溜息を吐きながらエミリーの前へと現れたのだった。
「お嬢様、教えてください。私は何をすればよろしいのでしょうか?」
クイントンの目は真剣そのものであった。彼の目に迷いはない。
驚いたのはギルドマスターの方であった。クイントンがカーラの提案に乗るとは思えなかったのだ。
恐怖して怯え、辞退する時こそカーラに。カーラが無理ならばヒューゴに処理を頼もうかと考えていたので、二人がクイントンを殺さないで済むということを考えてホッと胸を撫で下ろしたのだった。
ギルドマスターはこの場が丸く収まったことで和解し、カーラと仲良さげに会話を交わすクイントンを黙って見つめていた。
先程まで極度の恐怖と緊張のために震えていた手は今やすっかり元の通りとなり、今では酒場の中で一番雄弁な語り手になっていた。酒を啜り、つまみを片手に花を咲かせる姿を見て、他の客たちからもカーラを呼ぶようにと指示を出された。あまりにもしつこいので、ギルドマスターはヒューゴを呼んで、
「しつこくてたまったもんじゃない。あいつらにカーラはお抱えの酒場女じゃないと言ってやれ」
と、至極真っ当な指示を出した。
ヒューゴはギルドマスターから伝えられた指示を聞いて、一字一句をそのまま伝えたのであった。
ヒューゴの言葉を聞いて客たちがまたしても騒ぎ出したので、ギルドマスターは客を黙らせるために干した羊肉を使った特製のつまみを差し出さなくてはならない羽目になった。
心底から疲れ切った様子のギルドマスターは仲良さげに酒を酌み交わすカーラとクイントンという青年の姿を見ながら溜息を吐いたのだった。
カーラとクイントンは共に他愛のない雑談を繰り返していき、やがて雑談も尽きてきた頃にカーラが瞳を光らせながら真剣な口調で問い掛けた。
「重ねて、念を押しますけれども本当にお力をお貸しくださるのですよね?」
「もちろんです。ロバート様を裏切ることにはなりますが、それでもオレにとってはロバート様以上にあなたの方が大事なんです」
「クイントンさん、あなたがこれから裏切るのはハンセン家だけじゃなくてよ。人の道、踏み外してはいけない道徳……そういったものをこれから全て裏切ることになりましてよ」
「……それも駆除人の因果ってやつですよね」
「えぇ、だから先程の提案を呑んでくれるとは思わなかったんですの。駆除人の罪というものは大変に重いものですので」
カーラは目を伏せながら先程、自身が語った事を思い返していく。カーラは確かにクイントンを仲間に引き入れるということを提案したのだ。仲間に引き入れ、駆除の片棒を担がせることで警備隊や自警団に自首をさせることを防ぐという
駆除人の掟に逆らっての特例を提案したのであった。
もちろん、その提案に逆らってクレイトンが自首などを行えばカーラの提案は泡のように消え、カーラのみならず提案を了承したギルドマスターもその咎を免れることはできまい。同じ駆除人仲間から駆除されてしまうだろう。仮に駆除人仲間からの手を逃れたとしても警備隊や自警団に捕まり、死刑を免れることはできない。
とどのところ、クレイトンが裏切って仕舞えばどちらに転んだとしても二人は浮かばれないということになるのだ。
クレイトンに計画の件をカーラの訴える目が真剣なものになるのも理解できる。
カーラの心配を他所にクレイトンが笑っているから心配にもなるのだろう。
だが、カーラの心配は杞憂といってもよい。というのも、クレイトンは裏切るつもりなど毛頭なかった。元からカーラには強く惹かれているのだ。カーラの正体が害虫駆除人であったとしてもそれをロバートに口外するつもりなどない。
それどころか、クレイトンは幸福の絶頂にあったといってもいい。自分の愛する人と秘密を共有できた上に仕事に手を貸すことができるのだ。これ以上の幸せは感じられない。
クレイトンは別れる直前にラブレターを差し出すかのような感覚で自身の記憶を頼りにしたハンセン公爵家屋敷の見取り図と公爵家が一同に集う日とを教え、そのまま酒場を後にしたのだった。
クレイトンが去った後、カーラはギルドマスターに屋敷の見取り図を渡し、酒場を後にしたのだった。
カーラは自宅へと向かう途中で今日のことを思い返していく。今日ギルドマスターには急ぎの駆除とハンセン公爵家がこちらの首を狩ろうとしていることを告げられたのだった。急ぎの駆除を終わらせた後でこちらの首を狩る前にハンセン公爵家の首を狩ってやろうということで駆除の相談を行おうと考えていたのだが、その前にクレイトンに駆除の現場を見らてしまったのだ。
これに関しては予想外の出来事だった。
それでも因果は良い方向へと転がっていく。クレイトンを助命する代わりに仲間に引き入れることで屋敷の見取り図と駆除に必要な情報とを引き出すことに成功し、より円滑な駆除が約束されたのだった。
一刻も早くレキシーにこの件を報告しなくてはなるまい。カーラは浮き上がる喜びを抑え切れずに軽いステップを踏みながら夜の街を駆けていく。
自宅で夕食を用意しながらカーラを待ち侘びていたレキシーは上機嫌で帰ってきたカーラを見て驚いたようだ。両目を丸くしてカーラを見つめている。
「あんた、珍しいことがあったもんだねぇ。駆除の帰りにそんな機嫌良さげに帰ってくるんだもの」
「あら、私が機嫌が良いのはある事情がありますの」
「事情だって?」
レキシーが両眉を上げながら問いかける。
「聞いてくださいな。レキシーさん、新しいお仲間が加わるんですの」
「本当かい?助かったよ。最近相次ぐ抗争で街の駆除人が減っていたからねぇ。で、あんたのいう新人はどんな得物を使うんだい?」
「恐らく凶器は握ったこともない方でしょうね」
「凶器を握ったこともない?それは本当かい?」
「えぇ、だってそのお方はズブの素人ですもの」
その言葉を聞いてレキシーはカーラがふざけているのかと勘違いしたが、顔こそ笑っているものの、その視線はひたむきであったので嘘ではないと判断した。
それから何も言わずにカーラに夕食を勧めた。カーラは出来立ての豆のスープを啜り、サラダを口に付け、白色の丸パンを齧っていく。
満足がいくまで食べ終えた後にレキシーはデザートとして帰りに果物屋で買ってきたという林檎を差し出した。新鮮で水々しさを帯びておりスベスベとした綺麗な林檎であった。
カーラが喜んだ顔で林檎に口をつけようとレキシーがその前に林檎を取り上げたのだった。
「な、何をなさいますの!?とても美味しそうな林檎だというのにッ!お預けなんてあんまりですわッ!」
「ねぇ、カーラ。この林檎食べたいかい?」
レキシーは怪しげに笑った。あまりにも邪悪な笑顔であったので、カーラは御伽噺に登場する魔女を連想させられた。
林檎を食べることができずに体を震わせているカーラにレキシーは先程と同様の邪悪な笑みを浮かべながら、
「じゃあ、今夜何があったのか話してごらんよ」
「……仕方がありませんわ」
カーラは観念して何があったのかを語っていく。林檎を切りながら話を聞いたレキシーは始めは驚き、次に怒り、最後に呆れたのだった。
レキシーは頭痛が痛いという表情で額を抑えながら、
「全く、馬鹿なことをしたもんだねぇ」
と、吐き捨てたのだった。
「面目しだいもありませんわ。ただ、クレイトンさんはハンセン公爵家の内情にも通じられたお方……仲間にするにはとっておきのお方かと」
「けど、駆除の現場を見られた人間には冥界の門をくぐってもらうってのが駆除人の領分だろ?それはあんたが前にあたしに言ったことじゃあないか」
カーラの頭に思い浮かぶのは少し前、ジョー・ゴットフリートの駆除を行った際にその現場を目撃したナタリーという女性の件だった。
その時にカーラはレキシーに対して先程のレキシーの台詞とほとんど同じ台詞をレキシーに対して口にしていたのだった。
カーラが答えられずにいると、レキシーは黙って均等に切った林檎を口にし、頬杖をつきながらカーラを見つめていた。
どこか冷たい視線であったので、カーラが耐え切れずに苦笑していた時だ。
「まぁ、あの時もあんたはナタリーを手に掛けなかったしね。わかったよ、今回の件は大目に見てあげるよ」
カーラは喜びを表現するためにレキシーに抱き付いたのだが、レキシーは困ったような笑いを浮かべるばかりであった。
この選択が正しかったのかどうかは神のみぞ知るはずだ。レキシーはそんなことを考えながらその日は床に就いた。
翌日レキシーがカーラを伴って診療所へ向かうと、診察時間の前だというのに扉の前が騒がしかった。
レキシーは人をかき分け、集まった患者の一人に何があったのかを問い掛けた。
すると、患者の一人はひどく慌てた様子で、
「大変ですよ、レキシー先生!診療所に大貴族が現れたんですよ!」
「診療所に大貴族だって?」
レキシーが訝しげな視線で入り口を見つめると、そこには立派な馬車と身綺麗な服を整えた侍女を連れ添ったエミリー・ハンセン公爵令嬢が見えた。
どうして、こんなところにエミリーがいるのだろう。レキシーが首を傾げていた時だ。エミリーがレキシーの元へと駆け寄り、勢いよく抱き付いたのだった。
「レキシー先生!お久しぶりですわ!」
「エミリー様、あんたどうしてこんなところに?」
「決まっていますわ。最愛の従姉妹に会いにきたんですの」
目的はカーラであったらしい。人混みをかき分けて、カーラは溜息を吐きながらエミリーの前へと現れたのだった。
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