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第三章『私がこの国に巣食う病原菌を排除してご覧にいれますわ!』
ギークの働き
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ギークはワイアットという男が一人になる機会を垣間見ていた。
用心深いのかなかなか一人にはならない。人を騙す時を除けば大体三人と一緒にいる。もちろんまとめて始末するのが正攻法というところなのだろうが、流石に三人というのは骨が折れる。
いや、骨が折れるという問題で済めばいいのだが、問題は三人が三人とも腕利きの傭兵であり正面から立ち向かうのは不利だというものだ。
この日も三人は町外れにある小屋の中で酒を浴びるように呑んでいた。
「ハハハハハハッ、いやぁ、愉快愉快」
ワイアットがグラスを片手に言った。
「しかし、よくこんな面白いことを思い付いたな。流石はワイアットだ」
「あぁ、全くあんたの頭の良さには惚れ惚れしちまうよ」
「ハハッ、腕っ節だけで世の中をのしあがるって時代はもう終わったのよ。これからはここの時代よ、ここの」
ワイアットは自身の頭を人差し指で軽く小突きながら二人の手下に向かって言った。
「よく言うよ、あんたは腕っ節だってそんじょそこらの傭兵なんぞ寄せ付けないくせによ」
手下の二人は自分たちの親分であるワイアットが少し前に中金持ちの男から雇われたという五人の傭兵を斬って捨てた話を面白おかしく語っていく。
それは真夜中、酒が足りずにどこかの酒場へと行って酒を買いに向かおうとした時に五人の見知らぬ男たちに囲まれたのだ。
男たちは上等な鎧や剣を身に付けており、自分たちよりも厚遇されているのが目に見えてわかった。それだけに剣の腕も立つのだろう。全員が自身に満ち溢れた目でワイアットたちを見つめていた。
だが、ワイアットはそんな手だれともいえる傭兵たちを目にしても眉一つ変えることなく、剣を抜いて、あっという間に傭兵たちを片付けてしまったのである。
それこそ目にも止まらぬような早技で……という表現が的確であるかもしれない。
いずれにせよ、ワイアットは小悪党ながらも文と武の両方を有している傑材であることを証明するのには十分だろう。
そのことは手下たちも理解していたのか、一様にワイアットを褒めそやす姿が目立った。
ギークは手下たちの接待芸を聞くのに飽き、その日は小屋を後にした。
そして昨日と同じ酒場でちまちまと安い酒を飲んでいた時だ。目の前に小さな溜息を吐いたカーラが座った。
どうやらカーラも用事を終わらせて、この酒場に現れたらしい。
カーラは店員に酒とつまみを注文し、人差し指を立てながらギークに問い掛けた。
「どうです?進捗のほどは?」
「難しいね。あいつら滅多に別れないし」
「こちらも……思っていたよりもオーウェンさんの防御が固くて……なかなか近付けませんの」
カーラはこの日、休日を犠牲にして探ったオーウェンという男についての詳細を語っていく。
オーウェンという人物は商人として成功した人物であり、数年前に王室から『ゲイリー』という苗字と宝剣さえも与えられている。
基本的に平民には苗字が与えられていないのに、与えられていることからオーウェンという男の手腕というものがわかる。
ただ、陰で調べてみたところオーウェンという男には誰にも話せない秘密があったのだ。
それはそれまでが表の顔だとするのならばカーラがこれから語るのはオーウェンという男の裏の顔であった。
オーウェンはあろう事か引き取った子どもたちを隣国に奴隷として売り渡していたのだ。そればかりではない。あろう事か大量の薬物さえ密貿易していたのだ。
「……人間というものは誰しも裏の顔があるとは仰いますけれども、ここまで酷いとは思いもしませんでしたわ」
「……話を聞く限り、オーウェンさんはやり過ぎているけど、どうするの?『血吸い姫』としてはさ?」
「フフッ、私美味しいものは最後にとっておく主義ですの。まずはオーウェンさんと一緒に悪事を働いておられるお方を先に駆除してからオーウェンさんを懲らしめて差し上げますわ」
カーラは黒い笑顔を浮かべながら言った。その顔はまさしく悪女そのものだ。
だが、ギークはその姿を見ても引きはしなかった。それどころか面白がっているのか、口元を抑えてクスクスと笑う。
「そういうわけですので、私はもう少し機会を伺おうと思っていますの。ギークさんはどうですの?」
「ぼくもまだいいかな」
ギークはそう言って運ばれてきた酒を啜る。
「……お互いになかなかこれという機会が見出せないようですわね」
「……だね」
両者は互いに椅子の上から立ち上がり、お互いにそれぞれの場所へと戻っていく。
ギークがその日の夜も駆除ができる絶好の機会がないかとワイアットの周りを探っていた時だ。不意に三人が空き家を出ていく姿が見えた。
違法賭博でも広げるつもりなのか、はたまた哀れな生贄の元にまで行くつもりなのだろうか。
そんなことを考えていても時間の無駄であるので、ギークは黙ってワイアットたちの後をつけることにした。
ワイアットたちは和かに談笑を続けながらそのまま郊外にある小さな丘の上へと向かっていく。
どうする気なのかと背後でギークが見つめていた時だ。
不意にワイアットが剣を抜いて手下の一人に向かって斬りつけたのであった。
「わ、ワイアットッ!な、なにをッ!」
「なにをって?もう用済みだから始末するだけよ」
「よ、用済みだと!?あんたに散々仕えてきたオレたちが!?」
「その通りよ、冥界王の下賜品として最後に教えてやるが、オレは今度騎士としてさる大貴族のお方に仕えることが決まってな。それで過去を知るテメェらが邪魔になったのよッ!」
ワイアットはそう叫んで斬りつけた仲間の頭をそのまま叩き斬った。
それを見たもう一人の手下が悲鳴を上げて逃げようとしたのだが、ワイアットはその手下の襟首を掴んで強引に自分の元へと引き寄せたかと思うと、そのまま背中から一突きに刺し殺したのであった。
ワイアットはそのまま郊外の丘の上から根城にしている空き家に荷物や金を取るために戻ろうとした。
ギークは手下二人が消えたこの瞬間しかないと判断し、背後から声を掛けたのであった。
ギークの計画では振り向いた瞬間を狙って、長鞭を飛ばし、ワイアットの首を一気に絞めて殺すという算段になっていたのだが、腕利きの傭兵というだけのことはあり、目の前から飛んできた長鞭を剣で弾き飛ばし、そのままギークへと斬りかかっていくのである。ギークは得物を鞭から剣へと変え、ワイアットの剣に応酬していく。
ワイアットはその最中に足を踏み込みながらギークに向かって問い掛ける。
「おい、貴様、どこの誰から頼まれた?」
「それだけは言えないな。駆除人としては」
「なるほど、駆除人か……そりゃあ、傭兵よりも手慣れているだろうからオレを殺すには最適の相手だろうよ」
ワイアットはククッと笑う。自身の命が脅かされているのにも関わらず、笑うことができるという相手にギークは思わず背筋を凍らせてしまった。
その時だ。足を取られたのか、バランスを崩して地面の上へと倒れそうになる。
ギークは体が地面の上へと接着しそうになるのを感じ、どうしようもない絶望と浮遊感とを感じてしまう。起死回生の一歩というものも思い付かない。
このままワイアットに剣で体を貫かれて死んでしまうのかと両目を閉じた時だ。
ギークは咄嗟に体を捻り、剣を交わしてから再び距離を取って対峙していく。
迷いはない。今度の一撃でしっかりとワイアットを仕留めるつもりだ。
ギークは剣を構えながらもう一度ワイアットに向かっていく。
お互いすれ違い様に急所を狙って剣を放つ。ワイアットの剣はギークの肩を斬ったらしい。ギークの肩に凄まじい痛みが生じていく。苦痛に悶えるギークの顔を見てワイアットは勝利を確信したような笑みを浮かべていたが、次の瞬間に彼の胸元から大きな血が噴き出ており、ワイアットは口から血を出したかと思うと、そのまま地面の上に膝をつく。その後で雪崩れ込むかのように地面の上へと倒れ込む。これでようやく決着はついた。
ギークはすれ違い様にワイアットを下段斜め下から瞬時に斬り上げ、自身が怪我をしたことなどを気付かせることもなく相手を倒したのだった。
ギークは死体を一瞥することもなく誰かが来るよりも前に丘の上を後にしていくのだった。
翌日ギークはギルドマスターから後金を受け取り、ギルドマスターが経営する酒場の中で一番高くて美味い酒を注文し、駆除の疲れを癒していた。
ギークが楽しげに酒を飲んでいた時だ。カーラが酒場へと入ってきた。
「カーラ、オーウェン・ゲイリーは駆除できたのかい?」
「いいえ、でも、ギルドマスターの口振りから察するにあなたは既に駆除を終えられたようですね。ギークさん」
「その口振りから察するにあなたはまだみたいだね?」
ギークは酒を啜りながら言い返した。それを聞いてカーラはクスリと笑いながら答えた。
「お恥ずかしい話ですわ。でも、今夜いよいよ機会が巡ってきそうですの」
「……密貿易の日だね?」
ギルドマスターが目を大きく開きながら問い掛けた。
「えぇ、その日にまとめて駆除してご覧にいれますわ」
カーラはそう言って高い声で笑ってみせた。その様はまさしく悪女そのもので、『這いつくばり姫』に登場する主人公を虐める義理の姉のようであった。
だが、その様を見ても二人は動じる気配は見せない。それどころか、頼もしさすら感じていた。
そのためかギルドマスターはカーラを勇気付けたのである。
「頼りにしてますよ」
カーラはギルドマスターからの声援に対して黙って首を縦に動かした。
用心深いのかなかなか一人にはならない。人を騙す時を除けば大体三人と一緒にいる。もちろんまとめて始末するのが正攻法というところなのだろうが、流石に三人というのは骨が折れる。
いや、骨が折れるという問題で済めばいいのだが、問題は三人が三人とも腕利きの傭兵であり正面から立ち向かうのは不利だというものだ。
この日も三人は町外れにある小屋の中で酒を浴びるように呑んでいた。
「ハハハハハハッ、いやぁ、愉快愉快」
ワイアットがグラスを片手に言った。
「しかし、よくこんな面白いことを思い付いたな。流石はワイアットだ」
「あぁ、全くあんたの頭の良さには惚れ惚れしちまうよ」
「ハハッ、腕っ節だけで世の中をのしあがるって時代はもう終わったのよ。これからはここの時代よ、ここの」
ワイアットは自身の頭を人差し指で軽く小突きながら二人の手下に向かって言った。
「よく言うよ、あんたは腕っ節だってそんじょそこらの傭兵なんぞ寄せ付けないくせによ」
手下の二人は自分たちの親分であるワイアットが少し前に中金持ちの男から雇われたという五人の傭兵を斬って捨てた話を面白おかしく語っていく。
それは真夜中、酒が足りずにどこかの酒場へと行って酒を買いに向かおうとした時に五人の見知らぬ男たちに囲まれたのだ。
男たちは上等な鎧や剣を身に付けており、自分たちよりも厚遇されているのが目に見えてわかった。それだけに剣の腕も立つのだろう。全員が自身に満ち溢れた目でワイアットたちを見つめていた。
だが、ワイアットはそんな手だれともいえる傭兵たちを目にしても眉一つ変えることなく、剣を抜いて、あっという間に傭兵たちを片付けてしまったのである。
それこそ目にも止まらぬような早技で……という表現が的確であるかもしれない。
いずれにせよ、ワイアットは小悪党ながらも文と武の両方を有している傑材であることを証明するのには十分だろう。
そのことは手下たちも理解していたのか、一様にワイアットを褒めそやす姿が目立った。
ギークは手下たちの接待芸を聞くのに飽き、その日は小屋を後にした。
そして昨日と同じ酒場でちまちまと安い酒を飲んでいた時だ。目の前に小さな溜息を吐いたカーラが座った。
どうやらカーラも用事を終わらせて、この酒場に現れたらしい。
カーラは店員に酒とつまみを注文し、人差し指を立てながらギークに問い掛けた。
「どうです?進捗のほどは?」
「難しいね。あいつら滅多に別れないし」
「こちらも……思っていたよりもオーウェンさんの防御が固くて……なかなか近付けませんの」
カーラはこの日、休日を犠牲にして探ったオーウェンという男についての詳細を語っていく。
オーウェンという人物は商人として成功した人物であり、数年前に王室から『ゲイリー』という苗字と宝剣さえも与えられている。
基本的に平民には苗字が与えられていないのに、与えられていることからオーウェンという男の手腕というものがわかる。
ただ、陰で調べてみたところオーウェンという男には誰にも話せない秘密があったのだ。
それはそれまでが表の顔だとするのならばカーラがこれから語るのはオーウェンという男の裏の顔であった。
オーウェンはあろう事か引き取った子どもたちを隣国に奴隷として売り渡していたのだ。そればかりではない。あろう事か大量の薬物さえ密貿易していたのだ。
「……人間というものは誰しも裏の顔があるとは仰いますけれども、ここまで酷いとは思いもしませんでしたわ」
「……話を聞く限り、オーウェンさんはやり過ぎているけど、どうするの?『血吸い姫』としてはさ?」
「フフッ、私美味しいものは最後にとっておく主義ですの。まずはオーウェンさんと一緒に悪事を働いておられるお方を先に駆除してからオーウェンさんを懲らしめて差し上げますわ」
カーラは黒い笑顔を浮かべながら言った。その顔はまさしく悪女そのものだ。
だが、ギークはその姿を見ても引きはしなかった。それどころか面白がっているのか、口元を抑えてクスクスと笑う。
「そういうわけですので、私はもう少し機会を伺おうと思っていますの。ギークさんはどうですの?」
「ぼくもまだいいかな」
ギークはそう言って運ばれてきた酒を啜る。
「……お互いになかなかこれという機会が見出せないようですわね」
「……だね」
両者は互いに椅子の上から立ち上がり、お互いにそれぞれの場所へと戻っていく。
ギークがその日の夜も駆除ができる絶好の機会がないかとワイアットの周りを探っていた時だ。不意に三人が空き家を出ていく姿が見えた。
違法賭博でも広げるつもりなのか、はたまた哀れな生贄の元にまで行くつもりなのだろうか。
そんなことを考えていても時間の無駄であるので、ギークは黙ってワイアットたちの後をつけることにした。
ワイアットたちは和かに談笑を続けながらそのまま郊外にある小さな丘の上へと向かっていく。
どうする気なのかと背後でギークが見つめていた時だ。
不意にワイアットが剣を抜いて手下の一人に向かって斬りつけたのであった。
「わ、ワイアットッ!な、なにをッ!」
「なにをって?もう用済みだから始末するだけよ」
「よ、用済みだと!?あんたに散々仕えてきたオレたちが!?」
「その通りよ、冥界王の下賜品として最後に教えてやるが、オレは今度騎士としてさる大貴族のお方に仕えることが決まってな。それで過去を知るテメェらが邪魔になったのよッ!」
ワイアットはそう叫んで斬りつけた仲間の頭をそのまま叩き斬った。
それを見たもう一人の手下が悲鳴を上げて逃げようとしたのだが、ワイアットはその手下の襟首を掴んで強引に自分の元へと引き寄せたかと思うと、そのまま背中から一突きに刺し殺したのであった。
ワイアットはそのまま郊外の丘の上から根城にしている空き家に荷物や金を取るために戻ろうとした。
ギークは手下二人が消えたこの瞬間しかないと判断し、背後から声を掛けたのであった。
ギークの計画では振り向いた瞬間を狙って、長鞭を飛ばし、ワイアットの首を一気に絞めて殺すという算段になっていたのだが、腕利きの傭兵というだけのことはあり、目の前から飛んできた長鞭を剣で弾き飛ばし、そのままギークへと斬りかかっていくのである。ギークは得物を鞭から剣へと変え、ワイアットの剣に応酬していく。
ワイアットはその最中に足を踏み込みながらギークに向かって問い掛ける。
「おい、貴様、どこの誰から頼まれた?」
「それだけは言えないな。駆除人としては」
「なるほど、駆除人か……そりゃあ、傭兵よりも手慣れているだろうからオレを殺すには最適の相手だろうよ」
ワイアットはククッと笑う。自身の命が脅かされているのにも関わらず、笑うことができるという相手にギークは思わず背筋を凍らせてしまった。
その時だ。足を取られたのか、バランスを崩して地面の上へと倒れそうになる。
ギークは体が地面の上へと接着しそうになるのを感じ、どうしようもない絶望と浮遊感とを感じてしまう。起死回生の一歩というものも思い付かない。
このままワイアットに剣で体を貫かれて死んでしまうのかと両目を閉じた時だ。
ギークは咄嗟に体を捻り、剣を交わしてから再び距離を取って対峙していく。
迷いはない。今度の一撃でしっかりとワイアットを仕留めるつもりだ。
ギークは剣を構えながらもう一度ワイアットに向かっていく。
お互いすれ違い様に急所を狙って剣を放つ。ワイアットの剣はギークの肩を斬ったらしい。ギークの肩に凄まじい痛みが生じていく。苦痛に悶えるギークの顔を見てワイアットは勝利を確信したような笑みを浮かべていたが、次の瞬間に彼の胸元から大きな血が噴き出ており、ワイアットは口から血を出したかと思うと、そのまま地面の上に膝をつく。その後で雪崩れ込むかのように地面の上へと倒れ込む。これでようやく決着はついた。
ギークはすれ違い様にワイアットを下段斜め下から瞬時に斬り上げ、自身が怪我をしたことなどを気付かせることもなく相手を倒したのだった。
ギークは死体を一瞥することもなく誰かが来るよりも前に丘の上を後にしていくのだった。
翌日ギークはギルドマスターから後金を受け取り、ギルドマスターが経営する酒場の中で一番高くて美味い酒を注文し、駆除の疲れを癒していた。
ギークが楽しげに酒を飲んでいた時だ。カーラが酒場へと入ってきた。
「カーラ、オーウェン・ゲイリーは駆除できたのかい?」
「いいえ、でも、ギルドマスターの口振りから察するにあなたは既に駆除を終えられたようですね。ギークさん」
「その口振りから察するにあなたはまだみたいだね?」
ギークは酒を啜りながら言い返した。それを聞いてカーラはクスリと笑いながら答えた。
「お恥ずかしい話ですわ。でも、今夜いよいよ機会が巡ってきそうですの」
「……密貿易の日だね?」
ギルドマスターが目を大きく開きながら問い掛けた。
「えぇ、その日にまとめて駆除してご覧にいれますわ」
カーラはそう言って高い声で笑ってみせた。その様はまさしく悪女そのもので、『這いつくばり姫』に登場する主人公を虐める義理の姉のようであった。
だが、その様を見ても二人は動じる気配は見せない。それどころか、頼もしさすら感じていた。
そのためかギルドマスターはカーラを勇気付けたのである。
「頼りにしてますよ」
カーラはギルドマスターからの声援に対して黙って首を縦に動かした。
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