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第二章『王国を覆う影?ならば、この私が取り除かせていただきますわ』
流れは変わった
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レキシーが訪れた時、国王は虫の息だった。だが、レキシーという医者が用意した薬を飲むと、僅かではあるが体が元気を取り戻していくのだった。
レキシーなる城下町の医者が三度目に寝室に訪れる頃にはベッドの上から起き上がれるまでに回復した国王はレキシーに向き直って言った。
「……わしの体が楽になったのはお前のお陰だ。感謝しよう」
国王は二人きりの場所とはいえレキシーに向かって丁寧に頭を下げたのであった。
「やめてくださいな。国王ともあろうお方が安易に頭を下げるもんじゃないですよ」
「いやいや、わしの命が助かったのはお主のお陰だ。これくらいはして当然だろう」
「……陛下、お喜びされているところ誠に申し訳ありませんが、あたしの薬は陛下の病を治すためのものではないんです。ただほんの少し体調を回復させて、ほんの少しだけ寿命を伸ばしただけなんです」
「……そうか」
国王はその言葉を聞いて沈んだ表情を見せた。無意識なのだろうか、掛け布団まで黙って握っていた。
国王はしばらくの間表情を沈ませていたが、やがてベッドの上から起き上がると、自身のベッドの側にある小さなサイドテーブルの上に置かれていたブランデーと呼ばれる上等の酒が入った小さな瓶と二つのグラスを取って、その片方をベッドの側の椅子に腰を掛けるレキシーに渡す。
国王はわざわざ自身の手でレキシーに酒を注いでから自身の持つグラスに酒を入れてからそれを一気に飲み干す。
レキシーは仕事中であったが、国王の誠意に報いるためにグラスに入った酒に一口だけ口を付けてからそれを元のサイドテーブルに置く。
国王はレキシーがサイドテーブルの上に飲み干したグラスを置くと、レキシーに目を合わせて言った。
「……この際だ。ワシの愚痴を聞いてくれんか?周りには心を許せぬ人が多くてな」
国王の懇願を断りきれなかったのか、レキシーは首を縦に動かして国王が吐く愚痴を聞いたのだった。
「……わしは死の淵に瀕してな。これまでの自身の行いを顧みていた。その時に思ったのはフィンに対する申し訳なさじゃ」
「フィン殿下への申し訳なさですか?」
「あぁ、わしはベクターが可愛くてな。つい贔屓してしまったんじゃ。いや、今でもベクターは可愛い。あやつの結婚式を見るまでワシは死ねんとさえ思っているからな」
「ベクター殿下の結婚式ですか……」
そう言われてレキシーは少しばかり複雑な気持ちになった。というのも、ベクターもその婚約者であるマルグリッタもレキシーは自身の同居人であるカーラに言い掛かりをつけて散々辱めた上に貴族の身分まで剥奪した二人であったからだ。
だが、病人の前でそんな自身の個人的な愚痴を発するわけにはいかない。
レキシーは黙って国王が発する言葉の続きを待っていた。
国王はその後もポツリポツリと愚痴を吐き捨てていく。その中で国王は興味深いことを口にした。
「えっ、ベクター殿下は次の国王に相応しくない?」
「あぁ、ベクターは可愛いが、国王の器に相応しいかと問われれば話は別だ。死の淵に瀕してそう思わされた」
「となると?」
「ワシの跡を継ぐのに相応しいのはフィンじゃ」
レキシーは国王から発せられた言葉を聞いた瞬間に自分の体の毛が全て逆毛になるほどの衝撃を受けた。
同時にこのことをいずれ嗅ぎつけるであろうベクターやネオドラビア教の面々から国王を守る必要が出てきた。
今もこの城の中に護衛が侵入しているはずだが、ネオドラビア教ならばそれ以上の暗殺者を用意していたとしてもおかしくはない。
レキシーが警戒の糸を張り詰めていた時だ。扉を破る音が聞こえた。慌てて振り返ると、そこにはベクターとその婚約者のマルグリッタ、そして見知らぬ中年の夫婦の姿が見えた。
四人は血相を変えた様子で国王の元へと駆け寄っていく。
その中でもとりわけベクターは国王の容態を心配していたようで、必死な様子で父親の手首を掴む。
「父上、しっかりくださいませ!」
「おぉ、ベクター。わざわざ来てくれたのか……」
「何を仰せられるのですッ!父上の危機に駆け付けるのは当然でしょう!?」
「ワシはいい息子を持ったものだ」
国王は両目から透明の液体を溢す。感動の親子の対面というべき場面を冷ややかな視線で見つめていたのはレキシーであった。
レキシーはかつて国王がこれ以上ないまでに弱っていた時に暗殺の計画を立てていたのを聞き逃していなかった。
ベクターはかつて父親の死を画策していた同一人物だとは思えないほどに涙を流しつつ病床の父親を思い遣って見せていたのだ。これが演技なのか、それとも二つの人格がベクターの中に同棲しているのかはわからなかったが、いずれにしろベクターというのは腹黒い人物であり、国王にしてはいけない人物だとレキシーは心の中で判断していた。
病床の父親に追い縋る国王の側で同じように中年の夫妻が心配そうに国王を心配そうな表情で見つめていた。
「……陛下、どうかこのまま力をお出しくださいませ。我々のお支えとなるのは一重に陛下のご体調だけなのですから……」
「すまぬな。プラフティー公爵よ」
「いえいえ、我らは恐れ多くも幼き頃は父上に連れられ、陛下の膝の上に座らせていただいたこともございました!」
「……そういえばお主とは古い付き合いだったな。あの小さかった坊主が今ではプラフティー公爵だものな」
「陛下と旦那様とのお付き合いは長いとお伺いしましたけれど、まさかそんなに長かったとわ……」
公爵婦人が感心したように言った。国王も二人の言葉を聞いて古い時代のことを思い返しているのか、どこか懐かしそうな目を天井に向けていた。
そして、顔に優しい笑顔を浮かべたまま二人に向かって言った。
「もう少し後で相談しようかと思っていたのだがな。わしの死んだ後も王子となるベクターの後任になってほしいんじゃ」
その言葉を聞いてレキシーを除く全員に衝撃が走ったらしい。特に王位を継げるものだとばかり思っていたベクターは唖然としていて動けなかった。
唖然としたベクターに代わって動けなかったベクターの代わりに口を聞いたのはプラフティー公爵だった。
「へ、陛下ご冗談でしょう?べ、ベクター王子殿下は第一王子ですぞ……」
「わかっておる。だが、死の淵に瀕するうちに考えを改め直したのじゃ。次の国王はフィンにしようと思ってな」
その言葉を聞いてレキシーを除く全員が動揺していく。ベクターとマルグリッタに至っては予想ができていたはずだというのに、いざそのことを直接告げられると動揺して何も言えないらしい。
だが、そこにいる全員の心境を思ってか、国王は優しい口調で告げた。
「案ずるな。お主たちならばきっとフィンと協力して我が王国をよくしていけるだろう。その姿をワシは見ることができないが、フフッ、冥界で楽しみにしておるぞ」
だが、国王の息子を思う言葉は肝心の本人には届いていなかったらしい。部屋の柱に手をついて虚な目で独り言をぶつぶつと吐き捨てている。
マルグリッタには明らかに動揺していた。頭を抱えて今後のことを模索していたのだろう。しばらくの間は唸り声を上げながら頭を捻っていたが、やがて何やら妙案を思い付いたらしく、こっそりと公爵夫妻の両耳に向かって耳打ちを行う。
公爵は義娘の耳打ちを受けてオドオドと体を震わせながら国王に向かって告げた。
「恐れながら申し上げます。我が娘によればフィン王子殿下は市中における警備の任務の合間に陛下が追放なされた人面獣心と定期的に顔を合わせているようで、そのような人物があの人を人とも思わぬ人面獣心をまた貴族の位に……最悪の場合ですと、あやつが王后になる可能性もございます。そのようなお方に御政道をお任せになるのは不適格かと」
「いい加減にしなよッ!」
公爵の言葉に激昂したのは国王ではなく、レキシーであった。レキシーは椅子の上から立ち上がったかと思うと、公爵の胸ぐらを掴み上げてその耳元で叫んだ。
「あんたッ!あの子は……カーラは実の娘だろう!?なんでそこまで言えるのさッ!」
「な、貴様は何者だ?」
胸ぐらを強く掴まれたためか、少しばかり弱々しい口調で公爵はレキシーに向かって問い掛けた。
「誰だっていいじゃないか……それよりもあんたカーラに謝んなよ」
「なぜだ?」
「何もしていないカーラに『人面獣心』だなんて言ったことを謝れって言ってるんだッ!」
レキシーは公爵の胸ぐらを掴み上げて、その耳元で叫び上がる。野獣の如き慟哭を聞いて公爵の心から寒かしめられたらしい。公爵は必死になって両目を逸らしていた。
レキシーなる城下町の医者が三度目に寝室に訪れる頃にはベッドの上から起き上がれるまでに回復した国王はレキシーに向き直って言った。
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「いやいや、わしの命が助かったのはお主のお陰だ。これくらいはして当然だろう」
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国王はしばらくの間表情を沈ませていたが、やがてベッドの上から起き上がると、自身のベッドの側にある小さなサイドテーブルの上に置かれていたブランデーと呼ばれる上等の酒が入った小さな瓶と二つのグラスを取って、その片方をベッドの側の椅子に腰を掛けるレキシーに渡す。
国王はわざわざ自身の手でレキシーに酒を注いでから自身の持つグラスに酒を入れてからそれを一気に飲み干す。
レキシーは仕事中であったが、国王の誠意に報いるためにグラスに入った酒に一口だけ口を付けてからそれを元のサイドテーブルに置く。
国王はレキシーがサイドテーブルの上に飲み干したグラスを置くと、レキシーに目を合わせて言った。
「……この際だ。ワシの愚痴を聞いてくれんか?周りには心を許せぬ人が多くてな」
国王の懇願を断りきれなかったのか、レキシーは首を縦に動かして国王が吐く愚痴を聞いたのだった。
「……わしは死の淵に瀕してな。これまでの自身の行いを顧みていた。その時に思ったのはフィンに対する申し訳なさじゃ」
「フィン殿下への申し訳なさですか?」
「あぁ、わしはベクターが可愛くてな。つい贔屓してしまったんじゃ。いや、今でもベクターは可愛い。あやつの結婚式を見るまでワシは死ねんとさえ思っているからな」
「ベクター殿下の結婚式ですか……」
そう言われてレキシーは少しばかり複雑な気持ちになった。というのも、ベクターもその婚約者であるマルグリッタもレキシーは自身の同居人であるカーラに言い掛かりをつけて散々辱めた上に貴族の身分まで剥奪した二人であったからだ。
だが、病人の前でそんな自身の個人的な愚痴を発するわけにはいかない。
レキシーは黙って国王が発する言葉の続きを待っていた。
国王はその後もポツリポツリと愚痴を吐き捨てていく。その中で国王は興味深いことを口にした。
「えっ、ベクター殿下は次の国王に相応しくない?」
「あぁ、ベクターは可愛いが、国王の器に相応しいかと問われれば話は別だ。死の淵に瀕してそう思わされた」
「となると?」
「ワシの跡を継ぐのに相応しいのはフィンじゃ」
レキシーは国王から発せられた言葉を聞いた瞬間に自分の体の毛が全て逆毛になるほどの衝撃を受けた。
同時にこのことをいずれ嗅ぎつけるであろうベクターやネオドラビア教の面々から国王を守る必要が出てきた。
今もこの城の中に護衛が侵入しているはずだが、ネオドラビア教ならばそれ以上の暗殺者を用意していたとしてもおかしくはない。
レキシーが警戒の糸を張り詰めていた時だ。扉を破る音が聞こえた。慌てて振り返ると、そこにはベクターとその婚約者のマルグリッタ、そして見知らぬ中年の夫婦の姿が見えた。
四人は血相を変えた様子で国王の元へと駆け寄っていく。
その中でもとりわけベクターは国王の容態を心配していたようで、必死な様子で父親の手首を掴む。
「父上、しっかりくださいませ!」
「おぉ、ベクター。わざわざ来てくれたのか……」
「何を仰せられるのですッ!父上の危機に駆け付けるのは当然でしょう!?」
「ワシはいい息子を持ったものだ」
国王は両目から透明の液体を溢す。感動の親子の対面というべき場面を冷ややかな視線で見つめていたのはレキシーであった。
レキシーはかつて国王がこれ以上ないまでに弱っていた時に暗殺の計画を立てていたのを聞き逃していなかった。
ベクターはかつて父親の死を画策していた同一人物だとは思えないほどに涙を流しつつ病床の父親を思い遣って見せていたのだ。これが演技なのか、それとも二つの人格がベクターの中に同棲しているのかはわからなかったが、いずれにしろベクターというのは腹黒い人物であり、国王にしてはいけない人物だとレキシーは心の中で判断していた。
病床の父親に追い縋る国王の側で同じように中年の夫妻が心配そうに国王を心配そうな表情で見つめていた。
「……陛下、どうかこのまま力をお出しくださいませ。我々のお支えとなるのは一重に陛下のご体調だけなのですから……」
「すまぬな。プラフティー公爵よ」
「いえいえ、我らは恐れ多くも幼き頃は父上に連れられ、陛下の膝の上に座らせていただいたこともございました!」
「……そういえばお主とは古い付き合いだったな。あの小さかった坊主が今ではプラフティー公爵だものな」
「陛下と旦那様とのお付き合いは長いとお伺いしましたけれど、まさかそんなに長かったとわ……」
公爵婦人が感心したように言った。国王も二人の言葉を聞いて古い時代のことを思い返しているのか、どこか懐かしそうな目を天井に向けていた。
そして、顔に優しい笑顔を浮かべたまま二人に向かって言った。
「もう少し後で相談しようかと思っていたのだがな。わしの死んだ後も王子となるベクターの後任になってほしいんじゃ」
その言葉を聞いてレキシーを除く全員に衝撃が走ったらしい。特に王位を継げるものだとばかり思っていたベクターは唖然としていて動けなかった。
唖然としたベクターに代わって動けなかったベクターの代わりに口を聞いたのはプラフティー公爵だった。
「へ、陛下ご冗談でしょう?べ、ベクター王子殿下は第一王子ですぞ……」
「わかっておる。だが、死の淵に瀕するうちに考えを改め直したのじゃ。次の国王はフィンにしようと思ってな」
その言葉を聞いてレキシーを除く全員が動揺していく。ベクターとマルグリッタに至っては予想ができていたはずだというのに、いざそのことを直接告げられると動揺して何も言えないらしい。
だが、そこにいる全員の心境を思ってか、国王は優しい口調で告げた。
「案ずるな。お主たちならばきっとフィンと協力して我が王国をよくしていけるだろう。その姿をワシは見ることができないが、フフッ、冥界で楽しみにしておるぞ」
だが、国王の息子を思う言葉は肝心の本人には届いていなかったらしい。部屋の柱に手をついて虚な目で独り言をぶつぶつと吐き捨てている。
マルグリッタには明らかに動揺していた。頭を抱えて今後のことを模索していたのだろう。しばらくの間は唸り声を上げながら頭を捻っていたが、やがて何やら妙案を思い付いたらしく、こっそりと公爵夫妻の両耳に向かって耳打ちを行う。
公爵は義娘の耳打ちを受けてオドオドと体を震わせながら国王に向かって告げた。
「恐れながら申し上げます。我が娘によればフィン王子殿下は市中における警備の任務の合間に陛下が追放なされた人面獣心と定期的に顔を合わせているようで、そのような人物があの人を人とも思わぬ人面獣心をまた貴族の位に……最悪の場合ですと、あやつが王后になる可能性もございます。そのようなお方に御政道をお任せになるのは不適格かと」
「いい加減にしなよッ!」
公爵の言葉に激昂したのは国王ではなく、レキシーであった。レキシーは椅子の上から立ち上がったかと思うと、公爵の胸ぐらを掴み上げてその耳元で叫んだ。
「あんたッ!あの子は……カーラは実の娘だろう!?なんでそこまで言えるのさッ!」
「な、貴様は何者だ?」
胸ぐらを強く掴まれたためか、少しばかり弱々しい口調で公爵はレキシーに向かって問い掛けた。
「誰だっていいじゃないか……それよりもあんたカーラに謝んなよ」
「なぜだ?」
「何もしていないカーラに『人面獣心』だなんて言ったことを謝れって言ってるんだッ!」
レキシーは公爵の胸ぐらを掴み上げて、その耳元で叫び上がる。野獣の如き慟哭を聞いて公爵の心から寒かしめられたらしい。公爵は必死になって両目を逸らしていた。
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