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第二章『王国を覆う影?ならば、この私が取り除かせていただきますわ』
暗雲払いの一手
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ベケットは上機嫌だった。少し前にネオドラビア教の大司教を務める男から抜擢され、密輸を一気に引き受けることになり、その報酬で好き勝手にできているのだから。
ベケットは生まれ付き自身の醜い顔にコンプレックスを感じていた。女性はおろか同性にすら嫌われ石を投げられていた。ベケットは石を投げられるたびに煮えくりかえる腑を必死に押さえつけ、石を投げる人物たちを睨んでいたものである。
麻薬の密売人になったのは石を投げ付けた人物に対する復讐もあったかもしれない。麻薬を密売することでそうした人物に対する復讐を果たしたかったのかもしれない。
ベケットはそんなことを考えながら前菜から始まりデザートに終わるフルコースに舌鼓を打っていた。そして料理も終盤となり、メインディッシュとして運ばれてきた肉料理を切り分け、それをゆっくりと味わっていた。
この時彼は石を投げていた人物たちが見れば羨ましがる光景に違いないと、考えていた。ベケットの頭の中にはかつてのいじめっ子たちが羨ましそうに涎を垂らして料理を見つめている姿が見えた。
ベケットはこれからも麻薬を売り捌くことで自身を見下ろした人物へ、いや、そんなことを認めた社会に対して復讐を果たすつもりでいた。永遠に自分は麻薬を売る。ベケットは料理を食べながら地面の下に置いていた麻薬の葉と現金が入った鞄を見下ろす。その中には自分の復讐と希望の対象となるものが入っていた。
これから先もこの麻薬と現金とで平穏な日々を過ごしている人々を害してやろうと彼は肉を食いながら考えていた。
すると、そんな邪なことを考えていたために罰が当たったのか、腹を催したらしい。先程から腹が悲鳴を上げている。痛む腹を抱えながらベケットは手洗いへと向かう。
ベケットは腹を抱えながら扉を開けて用事を済ませる。用事を済ませている間に手洗いの扉が閉まる音が聞こえたが、風でしまったのだとベケットは気にも留めなかった。
用事を済ませて手洗いの個室が出ると、目の前には目も眩むような美少女が立っていた。
美少女は愛らしく微笑むと、ベケットに向かって問い掛けた。
「御用事はすまされまして?」
「あ、あぁ……」
「本当ですか!それはようございましたわ!」
「そ、そうか……」
無邪気な笑いを浮かべる美少女を見てベケットは下衆じみた笑みを浮かべた後でポケットの中に仕舞っていた麻薬商売の利益の一部を美少女に向かって差し出す。
「あら、これはどうしましたの?」
「ヘヘッ、おれはいわゆる密売人って奴でね。金なら腐るほど持っているのよ。よかったらこの後にデートしねぇか?」
それを聞いた途端に美少女は手を叩いて喜んだ。
「あら、素敵ですわ。どこへお行きになるのでしょうか?」
「ヘヘッ、そいつはこの後のお楽しみって奴でさぁ」
ベケットは自宅にある葉を思い起こしながら言った。下衆じみた笑みは止まらなかった。その時だ。目の前から美少女が近付いていく。
「……でも、私大事な用事を思い出しましたの。やはり無理ですわ」
「そ、そんな!そりゃあねぇだろ!ここまで人を期待させておきやがって!」
「だって、私気が変わりましたもの……あなたお一人でどうぞ」
少女の声は先程とは一転して洞窟の鍾乳洞から滴り落ちる液体のように冷たくなっていた。
「テメェ、ふざけるんじゃあねぇぞ!」
ベケットは元々の卑屈で怒りっぽい性格に加えて薬をやっていることもあってか、自分が弄ばれたのだと感じて、頭に血が上り、美少女に対していきなり殴り掛かっていくのであった。
これは推測であるが、これまでの人生においてベケットという男が多くの人たちから嫌われてきたのは彼自身の性格にもあるのではないだろうか。
ただの気まぐれで激昂して人に殴り掛かるような人物などが人に好かれるはずもない。美少女もといカーラは心の中でそう分析していた。
ベケットは怒りに身を任せて拳を振るったが、カーラはそれをあっさりといなし、ベケットを足元に転倒させたかと思うと、ベケットの体へと乗り掛かり、袖の下に隠していた針を取り出して、ベケットの首元に向かって勢いよく突き刺していく。
通常であるのならば針が延髄に突き刺さっていく時点で絶命するはずなのであるが、ベケットに関しては首の肉が太いためか、なかなか刺さらない。そのため美少女もといカーラは針を更に深く差し込まなくてはならなかった。
悶えたような声を上げながら手を伸ばして助けを求めていた。カーラはその姿を見て焦りを感じ、針に込める力を強めていく。針が深々と突き刺さっていくにつれてようやく絶命したらしい。
カーラは深く刺さった針を引っこ抜き、再び袖の中にしまうと、ベケットを一度見下ろし、息が止まっているのを確認してからその後を去っていく。
後にベケットの死体は同じく手洗いに訪れた別の客によって発見されることになるのだが、それに関してはカーラの知ることではなかった。
「なんだと?ベケットが死んだ?」
モランがベケット死亡の報告を受けたのはベケットが変死した翌日の朝頃であった。
この時モランにとって運が悪かったのはベケットがレストランの中に持ち込んだ鞄の中に麻薬の葉や現金といった証拠である。
不幸中の幸いというところか教団の関与を示すものは鞄の中に持ち合わせてはいなかったが、密売ルートを辿られたのならば教団に辿り着く可能性は高くなる。
モランは頭が抱えた。何があったとしても詰みであった。このままでは身の破滅である。フラフラと足を歩かせていると、扉が開いて教皇の次男ジョゼフがその姿を見せた。
「待ちなよ、モランさん。まだ手はあるぜ」
「手はあるですって?麻薬密売を知られればわしは破滅ですよッ!それにあなたはお父上の元に逃げ帰られるから無責任なことを仰られるのですッ!」
モランは冷遇されているとはいえども教皇の息子にこのような態度を取ればどうなるのかは理解できたいたはずだ。しかし、のっぴきならない事態を受けてモランの中にあった理性や冷静さというのは消失してしまっていたようだ。
だが、そんなモランの態度もジョゼフは寛容に許し、ガサツな態度で頭をかきながら励ますように言った。
「おいおい、やけになるなよ。フィンだよ、警備隊の司令官であるフィン王子をぶっ殺せば捜査の目は今回の事件からそっちの方にいくじゃねぇか、その間にあんたは教団とその男との関係を消せばいいじゃあねぇか」
モランにはその言葉が天の助けのように聞こえた。モランはその言葉を聞いて縋り付く。
「ありがとうございます。これで……これで……私は助かります」
救世主に縋り付く力のない人のような態度をしたモランを見てジョゼフは口元を緩めながら言った。
「代わりに以後はおれのバックについてくれや……親父もあんたには一目置いているからな。そのあんたがバックについてくれればおれの地位も少しは上がるというものよ」
「あ、あなた……初めからそのつもりで……」
「それ以外のことであんたを助けるメリットなんてあるのかい?」
ジョゼフは怪しげな笑みを浮かべながら問い掛けた。
「まぁ、今回はおれに任せておきな。あんたは自分の部屋の中で酒でも飲んで、成果を待ってなよ」
ジョゼフは大きな笑い声を上げながら聖堂の中を出ていき、当初の目的から一変してフィンを仕留めるために教団が持っていた馬車を使って城下町へと向かっていく。
城下町に着いたジョゼフは城下町にある駐屯所へと向かっていく。あまりにも堂々と入っていくものだから駐屯所の人々もジョゼフを用事があって尋ねてきた人物であると判断して誰も咎めなかったのだ。
ジョゼフは駐屯所にある司令官室の扉を開けた。そこで執務に励んでいると思われるフィンの姿を見つけた。
ジョゼフは舌舐めずりを行い、標的であるフィンを舐め回すように見た後で、自分に注意を向けさせるために空咳を行う。目論見通りにジョゼフの空咳に気が付いたフィンは書類から顔を上げ、侵入者に向かって大きな声で問い掛けた。
「き、貴様ッ!何者だッ!」
「おれか?おれの名前はジョゼフ。ジョゼフ・ビグラフトだ。教皇イノケンティウスの次男だよ、覚えておきな」
「その教皇の次男が何の用があってここに来た?」
「用件?ンなもん決まってるだろ?お前の命だよッ!」
ジョゼフは腰に下げていた剣を振り上げてフィンに向かって斬りかかっていく。
フィンは慌てて机の横に立てかけていた自身の剣を使ってジョゼフの剣を受け止めた。
「この野郎ッ!どうして早くくたばらねぇんだッ!」
「当たり前だろう!?死ねと言われて死ぬ者がどこにいるッ!」
フィンは大きな声を振り上げて、ジョゼフの剣を自分の元から離れさせる。
ジョゼフは一時的にフィンの前から足を下がらせて距離を止める羽目になってしまった。両者はそれから剣を構えながら狭い部屋の中で向かい合っていく。
この時奇しくも王子と教皇の息子というクライン王国の中心となる一家の次世代を担う人物が相対することになったのである。
ベケットは生まれ付き自身の醜い顔にコンプレックスを感じていた。女性はおろか同性にすら嫌われ石を投げられていた。ベケットは石を投げられるたびに煮えくりかえる腑を必死に押さえつけ、石を投げる人物たちを睨んでいたものである。
麻薬の密売人になったのは石を投げ付けた人物に対する復讐もあったかもしれない。麻薬を密売することでそうした人物に対する復讐を果たしたかったのかもしれない。
ベケットはそんなことを考えながら前菜から始まりデザートに終わるフルコースに舌鼓を打っていた。そして料理も終盤となり、メインディッシュとして運ばれてきた肉料理を切り分け、それをゆっくりと味わっていた。
この時彼は石を投げていた人物たちが見れば羨ましがる光景に違いないと、考えていた。ベケットの頭の中にはかつてのいじめっ子たちが羨ましそうに涎を垂らして料理を見つめている姿が見えた。
ベケットはこれからも麻薬を売り捌くことで自身を見下ろした人物へ、いや、そんなことを認めた社会に対して復讐を果たすつもりでいた。永遠に自分は麻薬を売る。ベケットは料理を食べながら地面の下に置いていた麻薬の葉と現金が入った鞄を見下ろす。その中には自分の復讐と希望の対象となるものが入っていた。
これから先もこの麻薬と現金とで平穏な日々を過ごしている人々を害してやろうと彼は肉を食いながら考えていた。
すると、そんな邪なことを考えていたために罰が当たったのか、腹を催したらしい。先程から腹が悲鳴を上げている。痛む腹を抱えながらベケットは手洗いへと向かう。
ベケットは腹を抱えながら扉を開けて用事を済ませる。用事を済ませている間に手洗いの扉が閉まる音が聞こえたが、風でしまったのだとベケットは気にも留めなかった。
用事を済ませて手洗いの個室が出ると、目の前には目も眩むような美少女が立っていた。
美少女は愛らしく微笑むと、ベケットに向かって問い掛けた。
「御用事はすまされまして?」
「あ、あぁ……」
「本当ですか!それはようございましたわ!」
「そ、そうか……」
無邪気な笑いを浮かべる美少女を見てベケットは下衆じみた笑みを浮かべた後でポケットの中に仕舞っていた麻薬商売の利益の一部を美少女に向かって差し出す。
「あら、これはどうしましたの?」
「ヘヘッ、おれはいわゆる密売人って奴でね。金なら腐るほど持っているのよ。よかったらこの後にデートしねぇか?」
それを聞いた途端に美少女は手を叩いて喜んだ。
「あら、素敵ですわ。どこへお行きになるのでしょうか?」
「ヘヘッ、そいつはこの後のお楽しみって奴でさぁ」
ベケットは自宅にある葉を思い起こしながら言った。下衆じみた笑みは止まらなかった。その時だ。目の前から美少女が近付いていく。
「……でも、私大事な用事を思い出しましたの。やはり無理ですわ」
「そ、そんな!そりゃあねぇだろ!ここまで人を期待させておきやがって!」
「だって、私気が変わりましたもの……あなたお一人でどうぞ」
少女の声は先程とは一転して洞窟の鍾乳洞から滴り落ちる液体のように冷たくなっていた。
「テメェ、ふざけるんじゃあねぇぞ!」
ベケットは元々の卑屈で怒りっぽい性格に加えて薬をやっていることもあってか、自分が弄ばれたのだと感じて、頭に血が上り、美少女に対していきなり殴り掛かっていくのであった。
これは推測であるが、これまでの人生においてベケットという男が多くの人たちから嫌われてきたのは彼自身の性格にもあるのではないだろうか。
ただの気まぐれで激昂して人に殴り掛かるような人物などが人に好かれるはずもない。美少女もといカーラは心の中でそう分析していた。
ベケットは怒りに身を任せて拳を振るったが、カーラはそれをあっさりといなし、ベケットを足元に転倒させたかと思うと、ベケットの体へと乗り掛かり、袖の下に隠していた針を取り出して、ベケットの首元に向かって勢いよく突き刺していく。
通常であるのならば針が延髄に突き刺さっていく時点で絶命するはずなのであるが、ベケットに関しては首の肉が太いためか、なかなか刺さらない。そのため美少女もといカーラは針を更に深く差し込まなくてはならなかった。
悶えたような声を上げながら手を伸ばして助けを求めていた。カーラはその姿を見て焦りを感じ、針に込める力を強めていく。針が深々と突き刺さっていくにつれてようやく絶命したらしい。
カーラは深く刺さった針を引っこ抜き、再び袖の中にしまうと、ベケットを一度見下ろし、息が止まっているのを確認してからその後を去っていく。
後にベケットの死体は同じく手洗いに訪れた別の客によって発見されることになるのだが、それに関してはカーラの知ることではなかった。
「なんだと?ベケットが死んだ?」
モランがベケット死亡の報告を受けたのはベケットが変死した翌日の朝頃であった。
この時モランにとって運が悪かったのはベケットがレストランの中に持ち込んだ鞄の中に麻薬の葉や現金といった証拠である。
不幸中の幸いというところか教団の関与を示すものは鞄の中に持ち合わせてはいなかったが、密売ルートを辿られたのならば教団に辿り着く可能性は高くなる。
モランは頭が抱えた。何があったとしても詰みであった。このままでは身の破滅である。フラフラと足を歩かせていると、扉が開いて教皇の次男ジョゼフがその姿を見せた。
「待ちなよ、モランさん。まだ手はあるぜ」
「手はあるですって?麻薬密売を知られればわしは破滅ですよッ!それにあなたはお父上の元に逃げ帰られるから無責任なことを仰られるのですッ!」
モランは冷遇されているとはいえども教皇の息子にこのような態度を取ればどうなるのかは理解できたいたはずだ。しかし、のっぴきならない事態を受けてモランの中にあった理性や冷静さというのは消失してしまっていたようだ。
だが、そんなモランの態度もジョゼフは寛容に許し、ガサツな態度で頭をかきながら励ますように言った。
「おいおい、やけになるなよ。フィンだよ、警備隊の司令官であるフィン王子をぶっ殺せば捜査の目は今回の事件からそっちの方にいくじゃねぇか、その間にあんたは教団とその男との関係を消せばいいじゃあねぇか」
モランにはその言葉が天の助けのように聞こえた。モランはその言葉を聞いて縋り付く。
「ありがとうございます。これで……これで……私は助かります」
救世主に縋り付く力のない人のような態度をしたモランを見てジョゼフは口元を緩めながら言った。
「代わりに以後はおれのバックについてくれや……親父もあんたには一目置いているからな。そのあんたがバックについてくれればおれの地位も少しは上がるというものよ」
「あ、あなた……初めからそのつもりで……」
「それ以外のことであんたを助けるメリットなんてあるのかい?」
ジョゼフは怪しげな笑みを浮かべながら問い掛けた。
「まぁ、今回はおれに任せておきな。あんたは自分の部屋の中で酒でも飲んで、成果を待ってなよ」
ジョゼフは大きな笑い声を上げながら聖堂の中を出ていき、当初の目的から一変してフィンを仕留めるために教団が持っていた馬車を使って城下町へと向かっていく。
城下町に着いたジョゼフは城下町にある駐屯所へと向かっていく。あまりにも堂々と入っていくものだから駐屯所の人々もジョゼフを用事があって尋ねてきた人物であると判断して誰も咎めなかったのだ。
ジョゼフは駐屯所にある司令官室の扉を開けた。そこで執務に励んでいると思われるフィンの姿を見つけた。
ジョゼフは舌舐めずりを行い、標的であるフィンを舐め回すように見た後で、自分に注意を向けさせるために空咳を行う。目論見通りにジョゼフの空咳に気が付いたフィンは書類から顔を上げ、侵入者に向かって大きな声で問い掛けた。
「き、貴様ッ!何者だッ!」
「おれか?おれの名前はジョゼフ。ジョゼフ・ビグラフトだ。教皇イノケンティウスの次男だよ、覚えておきな」
「その教皇の次男が何の用があってここに来た?」
「用件?ンなもん決まってるだろ?お前の命だよッ!」
ジョゼフは腰に下げていた剣を振り上げてフィンに向かって斬りかかっていく。
フィンは慌てて机の横に立てかけていた自身の剣を使ってジョゼフの剣を受け止めた。
「この野郎ッ!どうして早くくたばらねぇんだッ!」
「当たり前だろう!?死ねと言われて死ぬ者がどこにいるッ!」
フィンは大きな声を振り上げて、ジョゼフの剣を自分の元から離れさせる。
ジョゼフは一時的にフィンの前から足を下がらせて距離を止める羽目になってしまった。両者はそれから剣を構えながら狭い部屋の中で向かい合っていく。
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