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第二章『王国を覆う影?ならば、この私が取り除かせていただきますわ』
決闘の前払いは高くついて
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「ば、バカな!?ヘンダー・クリームウッズが殺されただと!?」
家臣からの報告を受けてウィザード伯爵は思わず大きな声で聞き返した。
「いいえ、ヘンダーはまだ生きております」
その言葉を聞いてウィザード伯爵は胸を撫で下ろしたが、重い表情の家臣から告げられた次の言葉で彼らは再び地獄へと叩き込まれることになったのであった。
「ですが、ヘンダーは酷い仕打ちを受け、任務を続けることは不可能だと言われ、国王陛下から馬車で国に戻るように指示を受けております」
「あなたッ!」
その言葉を聞いて伯爵夫人がパニックを起こす。動揺する夫の裾を強く揺さぶって今後どうするのかと問い掛けていくのであった。
伯爵からすれば後ろ盾であったヘンダーが失脚したことで王子が惨殺事件の濡れ衣を着せた人物を釈放し、代わりに息子のハリーに向けての捜査を進めることは容易に想像できた。決定的な証拠が見つかるのも時間の問題だろう。
そうなる前にハリーを連れてほとぼりが冷めるまで城下を離れて田舎にでも籠るしかあるまい。
伯爵は家臣に向かってそう指示を伝えたかと思うと、旅の支度を進めるために部屋の扉を開けた時だ。そこには見た目麗しい金髪の美姫が立っていた。
その姿に伯爵が見惚れていると、美姫の方が伯爵のあたりに寄ってきたのであった。
「……ねぇ、閣下。これからどこにお行きになるの?」
「う、うむ。それはだなーー」
「それは?なんですの?」
「旅行に使う荷物だ。少し妻や息子を連れて田舎の方を見たくなってな」
「まぁ、素敵ですこと。よかったら私もご一緒させていただけません?」
「よかろう。お前は私のメイドだと触れ込んで今回の旅行に連れて行くことにしよう」
「まぁ、嬉しい」
美姫はそのまま伯爵の体を強く抱き締めていく。そのまま首元を触っていき伯爵を満足させるのかと思った時だ。不意に伯爵の首元に痛みが生じた。伯爵は短い悲鳴を上げたかと思うとそのまま地面の上へと倒れ込んでいく。
美姫はいいや、カーラは駆除に用いた針を利き手に握ったまま地面の上で無惨な姿を晒す伯爵を見下ろしながら言った。
「あなたとご旅行など死んでもごめんですわ。……もっともたった一箇所ならば付いていってもよろしゅうございますわ。その場所の名前は『地獄』……あなたのような悪党に相応しい旅行場所でしょう?その『地獄』でしばらく王による裁きを受けながらお待ちくださないな。後はこの私……『血吸い姫』がその先をご案内させていただきますので」
カーラは伯爵への自分なりの手向けを終えた後で凶器に使った針を袖の下へと隠し、伯爵の部屋にあった窓を使って来た時と同じく屋根を使って庭へと降り、塀をくぐり抜けるという手法を使って伯爵家を後にしたのであった。
ちょうどカーラが伯爵家を抜けたのと同じ頃合に屋敷から絶叫が聞こえた。恐らく伯爵夫人のものだろう。
だが、カーラはその声を聞いても眉一つ変えずに来た道を戻っていくのであった。自宅へと戻っていく。
自宅では何も言わずにレキシーと共に朝食を準備して食べ終えた後でお互いに身支度を整えてカーラはレキシーを手伝うために共に診療所へと向かい、そこで患者たちの診察を手伝う。
カーラはこの手で人を殺めた後で同じ手で人を癒す手伝いをしているということに矛盾を抱かないこともなかった。
だが、一方でそんな矛盾した行為を行うことで自身の手にこびりついた人の血を洗い流していると考えると気も楽になるのだ。
休憩の時間サンドイッチを片手にカーラは伯爵家に関する顛末を話していた時だ。剣を持ったギークが仲間に加わった。ギークはレキシーとヒューゴの予想通りにギルドマスターから王子護衛の仕事を仰せ付けられており、今日は報告のためにギルドへと戻り、そのついでに診療所へと寄ったのだという。
ギークはレキシーが奢ったサンドイッチを片手に診療所の椅子の上で足をパタパタと動かしながら昨夜のことを話していく。
ギークは二夜続けて王子を狙おうとした暗殺者を始末したと報告し、自身が手にかけた人物が例のヘンダー・クリームウッズとその一味であったことを語っていったのであった。
「まさか、王子を狙っていたのがあの悪そうな奴だったとはね……やはり、不意討ちで有無を言わさずに始末しておいてよかったよ」
「なるほど、でも殿下をお守りするだけならばあんな目に遭わせる必要はないはずですわ。ヘンダーをあのような目に遭わせたのは理由がおありでしょう?」
「うん。……護衛をしている最中にマスターとマスターの仲間でおれと同じく駆除人がヘンダーに関する情報を持ってきてくれてね。それ以外でも王子が自分の部屋でヘンダーがどんなことを知っているのかを一人で呟いていてね。護衛の傍でつい駆除を行なってしまったんだ」
「なるほど、ヘンダーの取り巻きが死んで、本人があのような目に遭われたのはあなたなりの駆除でしたのね」
「うん。それよりさ、今朝話題になってたウィザード伯爵急死についてなんだけど……駆除をしたのはカーラだよね?」
「えぇ、少し前から先に伯爵を駆除しようと考えておりましてね」
ギークや仲間たちに駆除の理由を説明するカーラの脳裏に浮かんでいたのは惨殺事件の現場で発見した伯爵家の家紋が入った指輪であった。
あからさまな証拠があるというのに息子や家名のためならば事件を闇に葬ろうとする伯爵の態度に腹が立ち、息子のハリーを駆除する前に父親の伯爵を先に駆除しようと考えていて実行したのである。
この時カーラは知らなかったが父親のウィザード伯爵と捜査の後ろ盾となっていたヘンダーが失脚した以上、カーラが持っている指輪という決定的な証拠さえ揃えばハリーは法の裁きを受ける運命になっている。
ウィザード伯爵家自体も国王の怒りを買ってお取り潰しになるはずだ。
だが、カーラはそのことを知らない。ギークもヘンダーがフィンを狙っていることは知っていたとしてもヘンダーがウィザード伯爵家と手を結んでいたことまでは知らない。ギルドマスターもこの件に関してまでは探り出せなかったようであり、ヘンダーがフィンを狙っていた理由も捜査のすれ違いによる逆恨みであると認識している。
皮肉なことに指輪さえあればハリーを処刑台に送れるということ誰も知らなかったのだ。
最も大事な情報を欠如した四人が腰を上げてハリーの始末へと動こうとした時だ。
扉からイーサンの声が聞こえてきた。各々がそれぞれの得物を携えて扉の前に向かってイーサンの襲撃に備えようとしていた時だ。イーサンはとある重要な言葉を述べた。
「ヘヘッ、おい坊主。お前さんのせいでここ最近おれは王子に近付くこともできなかったよ。まーた任務に失敗して先に依頼人を殺されちまった。二度目はねぇ、おれは殺されるだろうな」
「……それで命乞いのために私たちの首を手土産にあなたの上司に命乞いをするということですの?」
「そんなんじゃあねぇや。今日診療所が終わった後で城下の外れ、教会に向かう道中にある林檎の木が聳え立つ丘の上に嬢ちゃんが一人できな」
「私が?」
「あぁ、一対一で決着で付けようや。まさか、駆除人ともあろうものがくだらない害虫を相手に逃げ出したり、他の人の助けを借りて挑もうなんて考えてないよな?」
「……私に得はありますの?」
「得?面白い。流石は駆除人だ。ただじゃ駆除の依頼を受理しちゃくれねぇか」
「いいから仰いなさいな。私たちの得はなんですの?」
「……ハリー・ウィザードを法の力で裁く話を知っている。それを教える……じゃあダメか?」
その言葉を聞いて四人に戦慄が走った。というのも駆除人というのは警備隊や自警団といった公的な団体が漏らした悪を始末する存在であり、法で裁なるのならば法に任せるというのがその大原則であったからだ。
そのような言葉を言われてはカーラも受け入れざるを得ない。カーラはイーサンの決闘の申し出を受け入れた。
それを聞いたイーサンから上機嫌な声が聞こえてくる。
「よし、おれの駆除を受諾してくれたな。先に前金をやるよ。実はな、ヘンダー・クリームウッズと伯爵家は繋がってたんだ。伯爵がバカ息子の犯罪を隠すためにヘンダーの野郎に賄賂を贈ったんだ」
これはイーサンがこの街に着いた時にヘンダーから直々に聞いた言葉であったから間違いはなかった。
イーサンの言葉にレキシーの手が震えていた。彼女は既に制裁を受けた伯爵とヘンダーに強い怒りの念を宿していたのであった。
そんなレキシーの心境を知ってか知らずか扉の向こうのイーサンもどこか悲しげな声で語っていく。
「ったく、肥大した貴族ってのは罪なものだよなぁ。誰かが貴族っていうのは正当化された盗賊だという言葉を言っていたがその通りだ。テメェの家や家族を守るためならばどんな汚い手でも使いやがる」
「……あなたのご高説など伺っておりませんわ。早くハリー・ウィザードを法で裁くという情報をお教えくださいな」
「……元貴族令嬢には辛いお話だったかな。それに前金はここまでだ。肝心の話はおれを倒してから……わかるだろ?」
「わかりましたわ。あなたとの決闘お受け致しましょう」
カーラがなんの感情も込めることなく言ったのは貴族社会の綻びを指摘されたことに元貴族令嬢として怒りを感じたからだろうか。それはカーラにもわからないことであった。
家臣からの報告を受けてウィザード伯爵は思わず大きな声で聞き返した。
「いいえ、ヘンダーはまだ生きております」
その言葉を聞いてウィザード伯爵は胸を撫で下ろしたが、重い表情の家臣から告げられた次の言葉で彼らは再び地獄へと叩き込まれることになったのであった。
「ですが、ヘンダーは酷い仕打ちを受け、任務を続けることは不可能だと言われ、国王陛下から馬車で国に戻るように指示を受けております」
「あなたッ!」
その言葉を聞いて伯爵夫人がパニックを起こす。動揺する夫の裾を強く揺さぶって今後どうするのかと問い掛けていくのであった。
伯爵からすれば後ろ盾であったヘンダーが失脚したことで王子が惨殺事件の濡れ衣を着せた人物を釈放し、代わりに息子のハリーに向けての捜査を進めることは容易に想像できた。決定的な証拠が見つかるのも時間の問題だろう。
そうなる前にハリーを連れてほとぼりが冷めるまで城下を離れて田舎にでも籠るしかあるまい。
伯爵は家臣に向かってそう指示を伝えたかと思うと、旅の支度を進めるために部屋の扉を開けた時だ。そこには見た目麗しい金髪の美姫が立っていた。
その姿に伯爵が見惚れていると、美姫の方が伯爵のあたりに寄ってきたのであった。
「……ねぇ、閣下。これからどこにお行きになるの?」
「う、うむ。それはだなーー」
「それは?なんですの?」
「旅行に使う荷物だ。少し妻や息子を連れて田舎の方を見たくなってな」
「まぁ、素敵ですこと。よかったら私もご一緒させていただけません?」
「よかろう。お前は私のメイドだと触れ込んで今回の旅行に連れて行くことにしよう」
「まぁ、嬉しい」
美姫はそのまま伯爵の体を強く抱き締めていく。そのまま首元を触っていき伯爵を満足させるのかと思った時だ。不意に伯爵の首元に痛みが生じた。伯爵は短い悲鳴を上げたかと思うとそのまま地面の上へと倒れ込んでいく。
美姫はいいや、カーラは駆除に用いた針を利き手に握ったまま地面の上で無惨な姿を晒す伯爵を見下ろしながら言った。
「あなたとご旅行など死んでもごめんですわ。……もっともたった一箇所ならば付いていってもよろしゅうございますわ。その場所の名前は『地獄』……あなたのような悪党に相応しい旅行場所でしょう?その『地獄』でしばらく王による裁きを受けながらお待ちくださないな。後はこの私……『血吸い姫』がその先をご案内させていただきますので」
カーラは伯爵への自分なりの手向けを終えた後で凶器に使った針を袖の下へと隠し、伯爵の部屋にあった窓を使って来た時と同じく屋根を使って庭へと降り、塀をくぐり抜けるという手法を使って伯爵家を後にしたのであった。
ちょうどカーラが伯爵家を抜けたのと同じ頃合に屋敷から絶叫が聞こえた。恐らく伯爵夫人のものだろう。
だが、カーラはその声を聞いても眉一つ変えずに来た道を戻っていくのであった。自宅へと戻っていく。
自宅では何も言わずにレキシーと共に朝食を準備して食べ終えた後でお互いに身支度を整えてカーラはレキシーを手伝うために共に診療所へと向かい、そこで患者たちの診察を手伝う。
カーラはこの手で人を殺めた後で同じ手で人を癒す手伝いをしているということに矛盾を抱かないこともなかった。
だが、一方でそんな矛盾した行為を行うことで自身の手にこびりついた人の血を洗い流していると考えると気も楽になるのだ。
休憩の時間サンドイッチを片手にカーラは伯爵家に関する顛末を話していた時だ。剣を持ったギークが仲間に加わった。ギークはレキシーとヒューゴの予想通りにギルドマスターから王子護衛の仕事を仰せ付けられており、今日は報告のためにギルドへと戻り、そのついでに診療所へと寄ったのだという。
ギークはレキシーが奢ったサンドイッチを片手に診療所の椅子の上で足をパタパタと動かしながら昨夜のことを話していく。
ギークは二夜続けて王子を狙おうとした暗殺者を始末したと報告し、自身が手にかけた人物が例のヘンダー・クリームウッズとその一味であったことを語っていったのであった。
「まさか、王子を狙っていたのがあの悪そうな奴だったとはね……やはり、不意討ちで有無を言わさずに始末しておいてよかったよ」
「なるほど、でも殿下をお守りするだけならばあんな目に遭わせる必要はないはずですわ。ヘンダーをあのような目に遭わせたのは理由がおありでしょう?」
「うん。……護衛をしている最中にマスターとマスターの仲間でおれと同じく駆除人がヘンダーに関する情報を持ってきてくれてね。それ以外でも王子が自分の部屋でヘンダーがどんなことを知っているのかを一人で呟いていてね。護衛の傍でつい駆除を行なってしまったんだ」
「なるほど、ヘンダーの取り巻きが死んで、本人があのような目に遭われたのはあなたなりの駆除でしたのね」
「うん。それよりさ、今朝話題になってたウィザード伯爵急死についてなんだけど……駆除をしたのはカーラだよね?」
「えぇ、少し前から先に伯爵を駆除しようと考えておりましてね」
ギークや仲間たちに駆除の理由を説明するカーラの脳裏に浮かんでいたのは惨殺事件の現場で発見した伯爵家の家紋が入った指輪であった。
あからさまな証拠があるというのに息子や家名のためならば事件を闇に葬ろうとする伯爵の態度に腹が立ち、息子のハリーを駆除する前に父親の伯爵を先に駆除しようと考えていて実行したのである。
この時カーラは知らなかったが父親のウィザード伯爵と捜査の後ろ盾となっていたヘンダーが失脚した以上、カーラが持っている指輪という決定的な証拠さえ揃えばハリーは法の裁きを受ける運命になっている。
ウィザード伯爵家自体も国王の怒りを買ってお取り潰しになるはずだ。
だが、カーラはそのことを知らない。ギークもヘンダーがフィンを狙っていることは知っていたとしてもヘンダーがウィザード伯爵家と手を結んでいたことまでは知らない。ギルドマスターもこの件に関してまでは探り出せなかったようであり、ヘンダーがフィンを狙っていた理由も捜査のすれ違いによる逆恨みであると認識している。
皮肉なことに指輪さえあればハリーを処刑台に送れるということ誰も知らなかったのだ。
最も大事な情報を欠如した四人が腰を上げてハリーの始末へと動こうとした時だ。
扉からイーサンの声が聞こえてきた。各々がそれぞれの得物を携えて扉の前に向かってイーサンの襲撃に備えようとしていた時だ。イーサンはとある重要な言葉を述べた。
「ヘヘッ、おい坊主。お前さんのせいでここ最近おれは王子に近付くこともできなかったよ。まーた任務に失敗して先に依頼人を殺されちまった。二度目はねぇ、おれは殺されるだろうな」
「……それで命乞いのために私たちの首を手土産にあなたの上司に命乞いをするということですの?」
「そんなんじゃあねぇや。今日診療所が終わった後で城下の外れ、教会に向かう道中にある林檎の木が聳え立つ丘の上に嬢ちゃんが一人できな」
「私が?」
「あぁ、一対一で決着で付けようや。まさか、駆除人ともあろうものがくだらない害虫を相手に逃げ出したり、他の人の助けを借りて挑もうなんて考えてないよな?」
「……私に得はありますの?」
「得?面白い。流石は駆除人だ。ただじゃ駆除の依頼を受理しちゃくれねぇか」
「いいから仰いなさいな。私たちの得はなんですの?」
「……ハリー・ウィザードを法の力で裁く話を知っている。それを教える……じゃあダメか?」
その言葉を聞いて四人に戦慄が走った。というのも駆除人というのは警備隊や自警団といった公的な団体が漏らした悪を始末する存在であり、法で裁なるのならば法に任せるというのがその大原則であったからだ。
そのような言葉を言われてはカーラも受け入れざるを得ない。カーラはイーサンの決闘の申し出を受け入れた。
それを聞いたイーサンから上機嫌な声が聞こえてくる。
「よし、おれの駆除を受諾してくれたな。先に前金をやるよ。実はな、ヘンダー・クリームウッズと伯爵家は繋がってたんだ。伯爵がバカ息子の犯罪を隠すためにヘンダーの野郎に賄賂を贈ったんだ」
これはイーサンがこの街に着いた時にヘンダーから直々に聞いた言葉であったから間違いはなかった。
イーサンの言葉にレキシーの手が震えていた。彼女は既に制裁を受けた伯爵とヘンダーに強い怒りの念を宿していたのであった。
そんなレキシーの心境を知ってか知らずか扉の向こうのイーサンもどこか悲しげな声で語っていく。
「ったく、肥大した貴族ってのは罪なものだよなぁ。誰かが貴族っていうのは正当化された盗賊だという言葉を言っていたがその通りだ。テメェの家や家族を守るためならばどんな汚い手でも使いやがる」
「……あなたのご高説など伺っておりませんわ。早くハリー・ウィザードを法で裁くという情報をお教えくださいな」
「……元貴族令嬢には辛いお話だったかな。それに前金はここまでだ。肝心の話はおれを倒してから……わかるだろ?」
「わかりましたわ。あなたとの決闘お受け致しましょう」
カーラがなんの感情も込めることなく言ったのは貴族社会の綻びを指摘されたことに元貴族令嬢として怒りを感じたからだろうか。それはカーラにもわからないことであった。
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