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第二章『王国を覆う影?ならば、この私が取り除かせていただきますわ』
瞬間の幸福
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「しかし、キミが食事に乗ってくれるなんて珍しいこともあるもんだな」
フィンが赤ワインが入ったグラスを片手に言った。
外からは城下町の景色が見える。といっても今は昼間ではないのだから街行く人々の姿や喧騒などは拝めそうにない。
代わりに静かになった城下町や酒場などの他の眠らない施設などから生じる光などを見ることができる。二階建てのレストランならではの特徴であった。
この日のために用意した袖付きの黒いロングドレスを身に纏ったカーラはフィンの問い掛けに微笑を浮かべながら答えた。
「……それは毎日頑張っておられる殿下の働きに報いるためですわ。例の惨殺事件に神経をすり減らす殿下が本当にお可哀想でして。それに私が明日仕事がお休みだということも大きいんですの」
「ありがとう。カーラ」
フィンがグラスを近付ける。カーラもそれに対してグラスを近付けて乾杯の音を鳴らし合う。本日何度目の乾杯だろうか。カーラがそんなことを考えていた時だ。やけに小柄な男が料理を運びながら現れた。カーラはその男の顔を見た瞬間に顔を青くした。
というのも、料理を運んできた男はかつてミーモリティと対峙した時に幾度も顔を合わせた男であったからだ。とっくの昔に雇い主であろうミーモリティは死んだはずであるのだが、まだ諦めきれなかったのだろうか。
カーラはかつての敵を視界に入れた瞬間にはドレスの袖の下に隠していた針を強く意識していた。今この瞬間にでも料理を運んでいる自分に襲い掛かってくるかもしれないからだ。
下手をすれば料理の中に毒が盛られているかもしれない。料理に口を付けるべきかどうか。
カーラがそのことを考えていた時だ。小柄な男がこちらを見上げながら笑顔で言った。
「どうぞ、お客様」
「あ、ありがとうございますわ」
何事もなく料理はカーラの目の前に運ばれた。取り敢えず刃物を使っての襲撃ではなかったらしい。
カーラが料理に警戒の目を向けていた時だ。目の前で椅子が倒れる音が聞こえた。慌てて目の前を見つめると、先程の小柄な男がフィンを狙って攻撃を仕掛けている場面が見えたのだ。
小柄な男は最初の襲撃に失敗したためか、短刀を逆刃にして握り、馬乗りになってフィンを狙う。
カーラは慌ててフィンの元へと駆け寄っていく。慌てて袖から針を取り出し、馬乗りになっている小柄な男の延髄に目掛けて突き刺そうと試みていく。
だが、男はカーラの針による攻撃を察したらしく飛び上がってカーラの攻撃を交わし、慌ててその場を去った。
カーラは男を追い掛けて飲食スペースを抜け出し、廊下へと躍り出たが、男は既に行方をくらませていた。いくら廊下を見渡してもその姿を見せようとはしない。カーラは大きな溜息を吐いた後でトイレに向かい、針を袖の中に戻し、慌ててフィンの元へと駆け寄っていく。
入れ違いに血相を変えた男性とすれ違う。恐らく一連の事情を受けて駐屯所に兵士を呼びにいく最中のことであった。
カーラがフィンに向かって駆け寄った時には既に他の客や店員たちに囲まれて助けを借りながら起き上がろうとしていた。
「殿下!ご無事ですの!?」
「あぁ、大丈夫だ?それよりも賊は?」
「……残念ながら取り逃しましたわ」
「……そうか。それよりもすまなかった。今日のディナーを台無しにして……その、メインディッシュもまだだったというのに」
「いえ、帰ってからレキシーさんに夜食をいただきますわ。ですから気になさることはありませんわ」
「……ありがとう」
フィンはその言葉を発した際にようやく起き上がり、改めてカーラと向き直ったのであった。
「この埋め合わせは必ずしよう」
「無理をなさらなくても結構でしてよ。最近は殿下もお忙しい日々が続いておられるでしょうし」
「……そんなことを言わないでくれ。おれはあなたに報いたいんだ……」
フィンは肩に込める力を強くしてカーラを見つめたのであった。
フィンがこのままカーラに顔を近付けて、唇と唇とを重ね合わせたいと考えた時だ。一人の男性が興味深そうに二人の姿を眺めていたので、恥ずかしくなったフィンは慌ててカーラの元から離れて、先程まで自分が座っていた席を立て直し、その上に座った。
その様子を黙って見つめていたカーラであったが、フィンが手招きしてカーラに自身の向かい側に座るように指示を出す。
それでも断るカーラにフィンは明るい笑顔を浮かべながら言った。
「どうか、迎えの兵士たちが来るまではおれの相手を務めてくれないか?一人だとどうしても寂しく思えてしまうのだ」
それを聞いたカーラはフィンと同じように席を直してその上へと座り、ディナーは来なくても席の上で兵士たちが来るまでの間の暇潰しとして他愛のない雑談を繰り広げることにした。
あのような事件があったというのに談笑を続けられる神経を持つ二人を集まった人々は信じられないと言わんばかりに見つめていた。
人々が待ち構えていた兵士たちが勢いよく扉を開けて現れたのは予想よりも長い時間が経ってからであった。
扉を開けた兵士は血相を変えて護衛対象を探していた。
「殿下は!?フィン王子殿下はご無事であらせられるか!?」
フィンは席の上から立ち上がると、自ら兵士たちの元へと近付いていく。
「おれはここだ」
「殿下!我々を心配なさせますな!」
「すまなかった。とある方と食事をしていたものだから」
その言葉を聞いて兵士の一人が先程までフィンの向かい側に座っていたカーラを強く睨んだ。
「貴様かッ!なんの権限があって殿下を駐屯所から連れ出されたのだッ!」
「やめてくれ。誘ったのはおれなんだから」
「し、しかしですな……」
「頼む。彼女を責めないでやってくれ。怒るのならばおれ一人だけにしてくれ。この通りだ」
フィンは一介の兵士に対して丁寧に頭を下げたのであった。大人数の前でである。
兵士はそれを見て慌てた様子でフィンに頭を上げるように懇願し、他の兵士たちと共にフィンの周りを囲みながらフィンを駐屯所にまで護衛していくのであった。
カーラは窓から兵士に囲まれたフィンが出るまでの姿を確認してから堂々と店を出たのであった。支払いに関しては出る際にフィンが二人分の代金を払ってくれたのを知っているから心配はしていなかった。
翌日が休日で誰に対しても気兼ねすることがなかったのは幸いであった。ゆっくりと帰ろうとレストランから外へと踏み出し、夜の街を歩いていた時だ。何も見えないような暗闇の中から声が聞こえてきた。それは間違いなくミーモリティの診察に行った時に聞いたあの男の声だった。
「……何の用ですの?」
カーラが暗闇の中で袖の下から取り出した針を光らせながら問い掛けた。
「何って警告さ。今後二度とあの王子様に関わるなとおれは言いたいんだ。今回わざわざ一週間前、教会を出た日から機会を伺って、あの店の店員の制服まで揃えたのにあんたのお陰で全部台無しになっちまったからな」
「……なぜ私に警告などをなさるのです?」
「なぜって?決まってるだろ。あの王子様はおれの獲物ってことをあんたに教えておきたかったんだ。今回みたいにあんたに妨害されちゃあ面白くないからな。狙うんなら個別に狙いたいしな。おれは」
「……殺し屋であるあなたが殿下を狙う理由は?」
「そいつは言えないな。お前たち駆除人が害虫駆除を依頼する人から理由をあんたらのマスターが喋りたがらないのと同じさ」
「……では、あなた様のお名前だけでもお教え願えませんか?」
しばらくの間沈黙が漂った。このまま永遠に沈黙を続けるのかと不安になったカーラであったが、その後に低い声で言葉が返ってきた。
「イーサンだ。職業はあんたが想像しているのとは違うが、ほとんど同じだ」
「……ではご機嫌よう。イーサンさん。言っておきますが、あなたに殿下を殺させませんわ。必ず私の手で殿下を守らせていただきます」
「その粋だ。駆除人のお嬢さん」
イーサンはわざと立ち去る音を出して自分が立ち去ったということをカーラにアピールしたのであった。
カーラはイーサンの足音を聞いてようやくレキシーの待つ自宅へと帰還したのであった。
フィンが赤ワインが入ったグラスを片手に言った。
外からは城下町の景色が見える。といっても今は昼間ではないのだから街行く人々の姿や喧騒などは拝めそうにない。
代わりに静かになった城下町や酒場などの他の眠らない施設などから生じる光などを見ることができる。二階建てのレストランならではの特徴であった。
この日のために用意した袖付きの黒いロングドレスを身に纏ったカーラはフィンの問い掛けに微笑を浮かべながら答えた。
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「ありがとう。カーラ」
フィンがグラスを近付ける。カーラもそれに対してグラスを近付けて乾杯の音を鳴らし合う。本日何度目の乾杯だろうか。カーラがそんなことを考えていた時だ。やけに小柄な男が料理を運びながら現れた。カーラはその男の顔を見た瞬間に顔を青くした。
というのも、料理を運んできた男はかつてミーモリティと対峙した時に幾度も顔を合わせた男であったからだ。とっくの昔に雇い主であろうミーモリティは死んだはずであるのだが、まだ諦めきれなかったのだろうか。
カーラはかつての敵を視界に入れた瞬間にはドレスの袖の下に隠していた針を強く意識していた。今この瞬間にでも料理を運んでいる自分に襲い掛かってくるかもしれないからだ。
下手をすれば料理の中に毒が盛られているかもしれない。料理に口を付けるべきかどうか。
カーラがそのことを考えていた時だ。小柄な男がこちらを見上げながら笑顔で言った。
「どうぞ、お客様」
「あ、ありがとうございますわ」
何事もなく料理はカーラの目の前に運ばれた。取り敢えず刃物を使っての襲撃ではなかったらしい。
カーラが料理に警戒の目を向けていた時だ。目の前で椅子が倒れる音が聞こえた。慌てて目の前を見つめると、先程の小柄な男がフィンを狙って攻撃を仕掛けている場面が見えたのだ。
小柄な男は最初の襲撃に失敗したためか、短刀を逆刃にして握り、馬乗りになってフィンを狙う。
カーラは慌ててフィンの元へと駆け寄っていく。慌てて袖から針を取り出し、馬乗りになっている小柄な男の延髄に目掛けて突き刺そうと試みていく。
だが、男はカーラの針による攻撃を察したらしく飛び上がってカーラの攻撃を交わし、慌ててその場を去った。
カーラは男を追い掛けて飲食スペースを抜け出し、廊下へと躍り出たが、男は既に行方をくらませていた。いくら廊下を見渡してもその姿を見せようとはしない。カーラは大きな溜息を吐いた後でトイレに向かい、針を袖の中に戻し、慌ててフィンの元へと駆け寄っていく。
入れ違いに血相を変えた男性とすれ違う。恐らく一連の事情を受けて駐屯所に兵士を呼びにいく最中のことであった。
カーラがフィンに向かって駆け寄った時には既に他の客や店員たちに囲まれて助けを借りながら起き上がろうとしていた。
「殿下!ご無事ですの!?」
「あぁ、大丈夫だ?それよりも賊は?」
「……残念ながら取り逃しましたわ」
「……そうか。それよりもすまなかった。今日のディナーを台無しにして……その、メインディッシュもまだだったというのに」
「いえ、帰ってからレキシーさんに夜食をいただきますわ。ですから気になさることはありませんわ」
「……ありがとう」
フィンはその言葉を発した際にようやく起き上がり、改めてカーラと向き直ったのであった。
「この埋め合わせは必ずしよう」
「無理をなさらなくても結構でしてよ。最近は殿下もお忙しい日々が続いておられるでしょうし」
「……そんなことを言わないでくれ。おれはあなたに報いたいんだ……」
フィンは肩に込める力を強くしてカーラを見つめたのであった。
フィンがこのままカーラに顔を近付けて、唇と唇とを重ね合わせたいと考えた時だ。一人の男性が興味深そうに二人の姿を眺めていたので、恥ずかしくなったフィンは慌ててカーラの元から離れて、先程まで自分が座っていた席を立て直し、その上に座った。
その様子を黙って見つめていたカーラであったが、フィンが手招きしてカーラに自身の向かい側に座るように指示を出す。
それでも断るカーラにフィンは明るい笑顔を浮かべながら言った。
「どうか、迎えの兵士たちが来るまではおれの相手を務めてくれないか?一人だとどうしても寂しく思えてしまうのだ」
それを聞いたカーラはフィンと同じように席を直してその上へと座り、ディナーは来なくても席の上で兵士たちが来るまでの間の暇潰しとして他愛のない雑談を繰り広げることにした。
あのような事件があったというのに談笑を続けられる神経を持つ二人を集まった人々は信じられないと言わんばかりに見つめていた。
人々が待ち構えていた兵士たちが勢いよく扉を開けて現れたのは予想よりも長い時間が経ってからであった。
扉を開けた兵士は血相を変えて護衛対象を探していた。
「殿下は!?フィン王子殿下はご無事であらせられるか!?」
フィンは席の上から立ち上がると、自ら兵士たちの元へと近付いていく。
「おれはここだ」
「殿下!我々を心配なさせますな!」
「すまなかった。とある方と食事をしていたものだから」
その言葉を聞いて兵士の一人が先程までフィンの向かい側に座っていたカーラを強く睨んだ。
「貴様かッ!なんの権限があって殿下を駐屯所から連れ出されたのだッ!」
「やめてくれ。誘ったのはおれなんだから」
「し、しかしですな……」
「頼む。彼女を責めないでやってくれ。怒るのならばおれ一人だけにしてくれ。この通りだ」
フィンは一介の兵士に対して丁寧に頭を下げたのであった。大人数の前でである。
兵士はそれを見て慌てた様子でフィンに頭を上げるように懇願し、他の兵士たちと共にフィンの周りを囲みながらフィンを駐屯所にまで護衛していくのであった。
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「……何の用ですの?」
カーラが暗闇の中で袖の下から取り出した針を光らせながら問い掛けた。
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「イーサンだ。職業はあんたが想像しているのとは違うが、ほとんど同じだ」
「……ではご機嫌よう。イーサンさん。言っておきますが、あなたに殿下を殺させませんわ。必ず私の手で殿下を守らせていただきます」
「その粋だ。駆除人のお嬢さん」
イーサンはわざと立ち去る音を出して自分が立ち去ったということをカーラにアピールしたのであった。
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